自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2015年11月12日木曜日
黒魔術で成功した物理学 黒魔術で失敗した生物学
人間は物事を直感で分類し、それに対して一律に属性を与える。
∧∧
(‥ )人間ならこうである
\‐ 女ならこうである
男ならこうである
日本人ならこうである
今時の若者なら
ゲームをしている子供なら
漫画を読んでる大人なら
(‥ )まあざっくり
そう考える分には
構わないのだが
これって所詮は
黒魔術なんだよねえ
人間が分類をどう行うのか? それは意外にも良くわかっていないそうだ。ただしなにかの特徴を恣意的に選び出し、それに基づいて並べているだけらしい、という話はある。
ゲームをしている子供がいる。それが今時の子供である。だったら今時の子供はこのような属性を持っているに違いない。
だいたいそんな感じだろうか。
∧∧
(‥ )これが黒魔術になるのだと
\‐
(‥ )赤いものは炎と同じ色だ
だとしたら赤い果物には
火の属性があるに違いない
そういう発想だな
化学の周期表に疲れた人は、魔法の世界で一息つく。そこにあるのは火の属性、水の属性、風の属性、土の属性。
それは古来からあり、そして化学に破れて消えていった旧化学理論。すなわち黒魔術である。
∧∧
(‥ )黒魔術がいかに人にとって
\‐ 自然であるか
それがよく分かります
(‥ )黒魔術は人の普通の
信仰であり
発想なんだ
黒魔術は人間の脳神経に
刻み込まれた必然の
反応なのだ
ホモ・サピエンスの
認識の基礎なんだろうな
科学は人の営みである。だから黒魔術の影響を逃れることはできない。
∧∧
( ‥)そして黒魔術によって
最も大きな成果を上げた
学問というと
(‥ )実は物理学なんだよね
∧∧
(‥ )そう言うと激怒する
\‐ 人がいるかもだけど
(‥ )ピタゴラスは
数が世界であると言った
彼は和音と比率を
世界の根底にすえた
そういう発想はプラトンが受け継ぎ、そしてケプラーはこの発想に基づいてケプラーの法則を発見する。さらにケプラーの法則を論理的に論証してみせたニュートンは最後の大錬金術士だし、彼の重力理論はあからさまに発想の根幹が黒魔術である。
∧∧
(‥ )ガリレオさんみたいに
\‐ 黒魔術を真っ向否定した人も
いたんだけどね
(‥ )でもそれが彼の理論の
最終的な失敗につながり
そこを教会に突かれて
失脚しちゃったじゃないか
アインシュタインとて世界に客観的な秩序と実在があると考えた。今でも宇宙の法則には美しい対称性があるはずだ、とか平気で言う研究者がいるのである。
∧∧
( ‥)ピタゴラス以来
プラトンに強化された
数の比率と宇宙の神秘と秩序
それがあからさまに
伝わっているのである
( ‥)物理学が黒魔術で大成功を
‐/ 収めたのは明白だろ?
多分、原因は単純なんである。陽子も電子もニュートリノも、それらはそれぞれ同じ属性を持っている。分類し、属性を与え、それを論理的に考える。これは適切な思考法ではなかったか?
そしてこの宇宙には確かに数の比率による秩序が、完璧とまでは言わなくても存在するのだろう。
∧∧
(‥ )反対に黒魔術な思考で
\‐ 大失敗した分野というと
(‥ )生物学だねえ
考えてみれば当たり前である。いくら原子が一律な属性を持っていたとしても、元素になるとその一律さは崩れる。
∧∧
( ‥)元素だと同位体が
存在するからね
( ‥)元素でさえも
‐/ 一律たりえないのだ
分子になると光学異性体とかまで出てくるし、蛋白質とかになればさらにあらゆる変異が生じてくる。ましてやその集合体である生物に至っては一律な属性の付与などできるわけがない。
∧∧
(‥ )分類という枠組みに
\‐ 囚われる限り
生物学はそれ以上の進歩も
理解も不可能であった
(‥ )分類はまやかしである
そういって
その壁を突破したのは
ダーウィンなんだが
結局、事実上誰も
その後に続けなかったしな
そもそもダーウィン自体、本来、生物学者ではないのだ。彼のスタートは地質学者である。ダーウィンを生物学者と考えることは多分、致命的な認識の誤りだろう。
そしてこれを踏まえると言える。論理的な人間は進化学を理解できないだろうし、事実そうであった。
例えば、マルクス主義は正しい、これはマルクス主義的である。ゆえにこれは正しい。そう論理的に言い立てるかつての団塊世代たちは、ついにダーウィニズムを理解しなかった。
論理的な人間はなぜ進化論を理解できないか?
∧∧
( ‥)なぜかというに
論理は黒魔術信仰のひとつ
だからである
(‥ )論理自体は無味乾燥な
文法論でしかないんだがな
人間は論理に対して
”論理的だから正しい”
という属性を
無条件に与えてしまう
これを黒魔術信仰と呼ばずになんと言う?
そして黒魔術とは分類に一律に属性を付与する信仰体系でもあった。しかるに生物には属性もないし、その性質上、一律な定義も分類も実際には不可能である。
そもそもだからこそ生物分類学は絶えず混乱するのだ。ありもしない分類を存在すると見なし、ありもしない属性をありえない一律さで定義し付与する。これでは生物学を理解することも、分類の放棄を基礎とする進化学も理解できないであろう。
これゆえ、論理的な人間は進化学を理解できないし、生物学を極めることも出来ない。
これが、論証されるべきことであった。
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