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2015年11月20日金曜日

ファンが蒸発した時、残るのは不純物だけである

 
 ∧∧
( ‥)あなた今日は使い物に
    ならないね
 
   ( - -)ちょっと一週間
       忙しかったからな
       今日はだらだら休みます
 
 
 ふと思い出した
 
 UFOに乗った、金星人に出会った、金星人に平和について教えられた。金星人はブロンドの美女だ。
 
 アメリカのジョージ・アダムスキーなる人物がこうしたことを言い出したのは1950年代。
 
 
 ∧∧
(‥ )...ほとんど宗教だよね
\‐
 
  (‥ )天使と神が否定された
      唯物論の時代
      UFOと宇宙人は
      唯物論の時代における
      宗教だと言った人が
      いたなあ
 
 しかし、早くも1962年には探査機が金星に到着し、金星が超高温であることが明らかとなる。
 
 自分が子供の時代は1970年代、80年代だが、その時すでに、アダムスキーとか、アダムスキー型円盤とか、あるいは金星人というのは荒唐無稽なオカルトに成り果てていた。
 
 ∧∧
(‥ )金星には生物がいない
\‐  金星は
    生物がすめない惑星である
    この事実は宗教さえも
    殺したのである
 
  (‥ )これを考えると
      SFが衰退したのって
      当然だよねえ
 
 宗教すらも現実の前にしなびて死んだのだ。宗教ですらない文芸の一ジャンルなど、ひとたまりもなかったであろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも今でもアダムスキーの
\‐  主張を信じて
    金星には人がいる
    金星が熱いのは嘘
    これはNASAの陰謀だと
    言う人いるよね
 
  (‥ )これを否定的に評論すると
     ジャンルが衰退し
     ファンが蒸発していく中で
     過激派だけが残った
     そういうことなんだが
 
 
 考えてみれば当たり前な話でもある。
 
 例えば、SFならどうであろうか? 化学燃料でも到達できる距離に火星や金星という本物の異世界があるかもしれない! その期待が打ち砕かれた後、SFはどうならざるをえなかったであろうか?
 
 ∧∧
( ‥)太陽系で駄目なら
    異世界へいくには
    太陽系から飛び出すしか無い
    そして恒星間をラノベっぽく
    お手軽に行き来するには
    ワープとかそういう
    お馬鹿理屈を
    述べなければいけない
 
  ( ‥)その時点でSFは科学から
    ‐/ 派手に逸脱せざるを
       えなかったのだ
 
 もちろん、光速度の限界を突破できない、という物理的な制約を守ることで恒星間を旅することもできるが、距離がありすぎて、無理がある。

 恒星間旅行は今の人間の経済規模や技術では手が届かない大規模土木工事になってしまうし、それ以上に、そういう大規模土木工事を描くと、小説はラノベやジュブナイルから逸脱してしまう。
 
 ∧∧
(‥ )ワープで科学から逸脱するか
\‐  土木工事小説になって
    ラノベから逸脱するか
    どちらか好きな方を
     選べと
 
  (‥ )正直どっちも
      選びたくないよな
      必然、残るのは
      ワープはSF魂だ! とか
      ほざく勘違い人間か
      土木工事小説こそSFだ!
      と叫ぶ変人か
      そのどっちかだよ
 
 しかも世間は、金星と火星という大いなる夢を失ったままなのだ。
 
 夢を失った時、アダムスキーの宗教でさえもそっぽを向かれた。
 
 なれば火星と金星を失ったSFが世間からそっぽを向かれるのは当然。
 
 ∧∧
(‥ )残るのは
\‐  非科学をSFと称する人間と
    土木工事をたしなむ変人だけ
 
  (‥ )逆に言うと
      今でも残ってるSFマニアや
      SF小説家ってあれな
      アダムスキーの言う事を
      信じて
      金星が熱いのは
      NASAの陰謀だ! と
      叫ぶ奴らと同じってことよね
 
 ファンが蒸発した時、残るのは不純物だけである。
 
 
 
 *土木工事小説:物理学者フォワードが書いた「ロシュワールド」って、あれは土木小説だよね?
 
 ∧∧
(‥ )光子の圧力で宇宙をゆく
\‐  宇宙帆
   この世で一番速い光が
   推進剤になるから
   加速する時間さえ十分あれば
   恒星間をかなり速く移動できる
   宇宙帆に強力なビームを当てれば
   近隣の恒星まで宇宙帆を
   数十年で送り込むことも可能
   しかも推進力になるビームは
   太陽系にあるから
   宇宙船を動かす燃料それ自体を
   動かすための燃料を
   宇宙船に搭載しないですむ
 
  (‥ )そのかわり
      ビームをしぼるレンズは
      何千キロもある巨大な
      ものにならざるをえないし
      それを
      建設しないといけない
      小説「ロシュワールド」は
      土木小説だよね
 
 
 もう少し工事の規模を小さくして恒星間を行き来するには、移動速度を遅らせることだ。即座に恒星へいきたい! という無茶さえ言わなければ、工事の規模は比較的小さくなる。その代わり、時間がかかる。

 だが、時間がかかるのなら、みんなで生活しながら移動すればいい。極端な話、隣の恒星に到着するのが何百年後でも良い。子孫さえそこにたどり着けば良いのだから。
 
 **もっとも、隣の星に何百年という、宇宙的にはごく短い時間で到着できる、しかも相当でかい宇宙船、というだけでも、これは大変な技術力だし大工事である。
 
 ∧∧
(‥ )よくあるのは
\‐  世代船だよね
    巨大な宇宙船の中で
    何世代も人が生きている
 
  (‥ )でもこの手のアイデアは
      人気ないんだよなあ
 
 お手軽に冒険にいけないし、狭い宇宙船の中で何世紀も人が閉じ込められて生活している。この有り様に閉塞感を感じるからかもしれない。
 
 こういう船を舞台にした小説は、内部の人々が、ここは宇宙船であることを忘れてしまう、というものもある。カナダの古いドラマ「スターロスト宇宙船アーク」とかそうであった。
 
 このように世代船はどっちかという、サスペンス向きな設定だってことらしい。
 
 ∧∧
(‥ )でも最近だとシドニアの騎士が
\‐  世代船だったよね
 
  (‥ )地球から脱出して
      すでに1000年
      それでもまだ敵が
      追いかけてくるから
      それと戦う
      船が守るべき世界であり
      船内に戻れば
      そこには日常と生活がある
      ああいうやり方や
      アイデアもあるんだな
  
 
 ∧∧
(‥ )でも今時のSFジャンルは
\‐  シドニアをSFとは
    呼ばないかもね
 
  (‥ )その方がいいんじゃねえか?
     それに
     枯れたコップの底に残った
     澱に「お前は我々じゃない」
     と言われても ?? だろ

 
 
 

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