自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2015年6月16日火曜日
そのおっさん、速度は10分の1
ああ、疲れたアイスでも買いにいこう。足を伸ばしてコンビニまでいってみると
レジが妙に
∧∧ 混んでるよ
( ‥)
‐( ‥)ああ二つのレジの
‐° ひとつが公共料金の
支払いで
ふさがっているのだな
だが、良く見てみると、店員の前には電卓があり、女性店員がおっさんに説明していた。おっさんは納得いかないという顔だ。別にクレームを入れているわけではない。なんでそうなるのか理解できないので、何度も同じことを尋ねている、そんな感じ。おっさんは、いや、じいさんだな、年齢はもう60を越えていよう。長い労働で焼けた黒い肌が骨に張り付くよう。体は丈夫そうだが頭は悪そうだ。どんよりした目が、なんで? と言っている。自分が受け入れられない現実はすべて嘘だと思い込んでいるかのようだ。
なんでしょうね?
なんでこんな金額に
なるのか分からないとか?
∧∧
(‥ )
‐( ‥)そんな感じに見えるね
‐°
理由がなんであれ、店員にしても他の客にしても迷惑な話である。幸いにもレジは二つある。そこに並んでいると、次々に人が並ぶ並ぶ。自分の後ろに並んだ別のおっさんがつらそうな顔をしている。
いや、脇目で見ただけだが、後ろのおっさん、時々、家の近所を徘徊しているおっさんだよな。
あれ徘徊ですか?
∧∧
( ‥)
‐( ‥)そうねえ
‐° ぼけて徘徊とかじゃ
ないよねえ
アル中かなにかで足取りがおぼつかない、そんな感じに見えるおっさんだ。顔を下に向け、夜の道を、じっと目を閉じたまま突っ立ち、時々、2、3歩、よろめくように進むのである。つらそうな顔はいつものことだ。いやつらいのではなく、見たくないのかもしれない。しかもどうやら時として、道を間違えているらしい。
このおっさんは何を買ったのだ? ちらっとおっさんの買い物かごを覗くと、ひとつはつまみかもしれない。そしてもうひとつはビールだった。
ビール????
アル中がビールを
∧∧ 飲みますかね?
(‥ )
‐( ‥)おっさんアル中じゃ
‐° ないのか?
どういうこっちゃ
おっさんが後ろで何か言ってる。早くしろよー、そんな感じのもごもごした言葉だ。
いやいや、おっさん、あんた普通人の10分の1の速度でしか動けないじゃんよ。
以前、そのコンビニの前でおっさんを見たのである。自分はそこから散歩へ行く途中で、300メートルあまり歩いて振り返ったら、まだコンビニの前、30メートル以内にいるのが明かりに照らされて見えた。つまりおっさんの移動速度は通常人の10分の1である。
うつむいてじっと立つ、思い出したように2、3歩、歩く。そうしてまたじっと立つ。その繰り返しがこの結果である。
公園でぼんやり夜景を眺めて計算するに、自分が公園と家を往復する間におっさんは、ちょうど自分の家の近くにまでたどり着くはずだ。移動方向からすればそうなるだろう。そう考えながら家まで帰ってみたら
いたよねえ
∧∧
( ‥)
‐( ‥)いたんだよなあ
‐°
そのおっさん、速度は通常人の10分の1。だのになぜレジを生き急ぐ。アルコールをすぐ飲みたかったにしても、ビールとはまた薄い。アル中でないとしたら、その動機といらつきは一体何なのか?
コンビニを出て振り返っても、おっさんの姿は無かった。その移動力10分の1、健在である。
ブログ アーカイブ
-
▼
2015
(783)
-
▼
6月
(65)
- 考えるという言葉は精度が悪すぎる
- 落とし穴に向かって歩く人
- 低賃金労働は成功体験にとらわれすぎている
- ケプラー138B
- 栄光の手
- 思想犯罪は犯罪停止しなければならぬ
- 人は幸いであるか? それとも罪を犯したか?
- ムツゴロウな1日
- 感性の鋭さとは老いぼれた脳の手抜き宣言である
- 世界にはあらゆるモデルと方程式が存在する
- 話題の惑星が存在しない可能性
- 自分の頭で考えるということがどれほど危険か!
- 酵素ジュースとはこれまた意識が高い
- 昆虫的な突破
- 同じ手遅れでもやるなら今のうち
- 日常系、勝利の日は間近ぞ
- 福祉帝国は廃熱の増大によって必ず自壊する
- 土壇場で敷金礼金言われても困るだろう
- 法的曲解を合法かどうか認めるのは人々
- 日常系は勝利する
- 楽しい記憶を呼び覚ませ
- 人工知能に殺されないようにしないとね♡
- 人生の引っ掛け問題
- 心中物語
- この手抜きは食い物でないせいか? それとも体力の限界か?
- 流されて流れ着いた先の物語
- それは砂金取りの話じゃねえの?
- そのおっさん、速度は10分の1
- もうWW2なんて忘れた方が良いね
- 賢さとは愚かの影である
- すべてはあるがままに
- 炊飯器方法論
- 怪物というよりむしろ怪獣
- 機構と民間
- お前たちは同じ時刻を示す、ただの時計
- テレビが凋落しなかった時空
- 俗世間が決めることだよね
- なれば世界の理が崩壊するような混沌を
- 考えてる時点でそれは知的ではない
- 合理主義者を人間とは呼べん
- 仮想的な森の物語
- 二度寝したい夜
- もっとシラカシの森
- 調べないための言い訳だろ?
- マーゲイ
- 黒い森を目指せ
- 読書家とは逃げの人生と成れの果て
- 高いリテラシーを持ったと思い込んだカモを...
- 困っている人間はあまりに危険なので始末するべきである
- だだ漏れ世界に直面し、皆は恐怖した
- 読書家は、芋のツルを見て、これは芋じゃないと言いよる
- ドブネズミ・レストラン
- テレスクリーンはべらべらしゃべる
- 消毒液が減少中っぽい
- 新聞は偉大であった
- 成功が意味を喪失する時代に、では、なんとする?
- 改憲するまでもなく
- 新しい先進国ほどうまみが少なくなる可能性
- さあ俳句を詠め、江戸時代主義者
- 勘違いは明白である
- 絶賛、負け戦です
- そういえばそういっている奴がいたよ
- あぶく銭だけに心も軽く
- ブヨと瞬間接着剤
- 所詮はあぶく銭だろ?
-
▼
6月
(65)