自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年7月21日月曜日
僕らは歴史を把握する必要があり、古本は役に立つ
ネットをうろうろしていたら、知っている人がだいぶ前に亡くなっていることに気がついた
∧∧
(‥ )あなたは他人との関係が
\‐ ほとんど切れているからね
今ようやく
たまたま知ったのだと
(‥ )ようするに俺が死んだ場合
確実に孤独死で
死体発見はずいぶん
後になる
そういうことだろうな
∧∧
( ‥)それは避けたいと
( ‥)そうなったら
‐□ 俺の持っている本が
駄目になる
そればっかりは
我慢がならん
時々、古本屋で本を探していると、ああ持ち主が亡くなったのだろうな、そう思わせるものがある。学名の綴り間違いや誤植を直した痕、丁寧な細かい字で書き込みがある大きく高価な本。本人が売るとはあまり思えない本であるし、購入時期もずいぶんと古い、そういったもの。
∧∧
(‥ )本はそうやって
\‐ 還るものだからね
(‥ )別に稀覯本を持っている
わけではないけどね
自分が死んだら
使える本は
それを欲している
人のものとへ
行くべきさね
つまりこの話はこれの続きhilihiliのhilihili: 教科書が当時すでに時代遅れで駄目になりかけていた事例
∧∧
( ‥)先の駄目な教科書ではなく
新しい理論紹介のさきがけ
「プレート・テクトニクス」に
引用されていた本を
amazon経由で発注を
かけましたと
( ‥)その本は1973年の
‐/ 本でな
今まで古本屋で見た事は
多分ないなあ...
”地向斜”を現代理論に
置き換えた初期の本だよ
ブックオフのような、古本量販店みたいな存在が現れた後でも、理系、技術系の本というのは、それを扱う専門店でないと手に出来ない。そういう専門古書店におけるいわば最後の砦のひとつだった。
∧∧
(‥ )しかしいよいよそこも
\‐ amazonに浸食されていく
そうい状況ですか
(‥ )amazonですら扱えない
そんな古本となると
需要が本当に
限られているからね
amazonがすべてを
食い尽くすというのは
ほぼ近似解だろうな
さて
古本の出版時期や内容から推論するに、山脈が誕生する理論、それは1970年代には”地向斜”からプレートテクトニクスに置き換えられた、ということはおよそ分かる。
つまり、
堆積と隆起と山脈の成立が全世界的に起こる
という謎めいた説明不足な世界観から
プレートテクトニクスで大陸が移動、衝突する過程で堆積物が隆起し、海洋プレートの沈み込みでマグマが作られ火山活動と火成岩の貫入が起こる、山脈が隆起する
という理解への変貌
これが日本語の本で起きたのはどうも70年代から80年代
∧∧
( ‥)これを古本で確認すること
これはすなわち
理解が変貌する過程への
接近である
( ‥)この変貌とその過程は
‐□ 少なくとも日本語では
今、40代の人間が
生まれた時に起きた
そういうことでもあるな
そしてまた読んだ限りでは、1989年においてもなお、なぜ海洋プレートの沈み込みでマグマが生ずるのか? それが分かっていない、あるいはコンセンサスを得られていないことも分かる。
*例えば日本は火山列島だが、お隣の朝鮮半島や中国には火山がない(例外的なものがあることはあるがこれは非常に珍しい事例)。地球の中は高温だが、マントルはあくまでも固体であり岩石だ。溶けたマグマがそこに、無条件にあるわけではない。しかもそこへ沈み込む海洋プレートは冷たい。そうであるのに日本近海でのみマグマがつくられ、火山活動が起こるのはなぜか? この問題が解かれたのは実は20年程度前の話だ、ということになる。
∧∧
(‥ )それを考えると
\‐ 地層の堆積と隆起
火山活動や
マグマの生成に関して
理解が進んだのは
本当に最近のこと
なんですね
(‥ )で、それが第一線である
研究者たちが
置かれた状況なわけだ
当然、私たち一般人にまでこの理解が広まってくるのは、もっと遅い。
∧∧
( ‥)つまりあなたがたの理解は
絶望的に遅れていることに
なるのだと
( ‥)例えば40代以上は
‐□ 確実にやばいだろうな
これは、40代、50代の理解、さらには40代、50代の物書きが書いた啓蒙書も、内容が前近代的で間違っていることを暗示するし、それを読んだもっと若い世代も汚染されてしまう、そういうことを意味している。
*そもそもそんな物書きが書いた啓蒙書なんか読むのがいけないのだ。この本、分かりやすーい、とか馬鹿丸出しなことを言う暇があるのなら、ちゃんと教科書や論文を読めよ、という”正論”はこの際、脇に置いておく。
実際にそういう怪し気な汚染を感じることがあるのは事実。例えば比較的最近のある本に曰く、
中生代末期、地球の地質活動は活発化し、造山運動が盛んとなって気候は寒冷化、恐竜を始め多くの動物が数を減らし...
∧∧
(‥ )造山運動によって
\‐ 漸進的な絶滅が起こる
この理屈だと
ヒマラヤ山脈は
死の世界なんだろうね
(‥ )山脈自体はあまりに高度が
高い場所では
生存できる動植物が
限られるけども
周辺はそんなことないよな
そもそも中生代末期から新生代にかけて起こった造山運動とは、例えばアルプス山脈とかヒマラヤ山脈のことなのだが
∧∧
( ‥)それって単に
アフリカが
ヨーロッパに接近する
インドがユーラシアに
衝突する
その結果生じた
別々のイベントで
時代もばらばら
地球の地質活動の活発化とか
そういうのじゃないよね
( ‥)つまりなあさっきの文章を
‐□ 書いた人はだ
”地向斜”の概念
つまり世界同時的に
造山運動が活発化する
こういう世界観で
考えている可能性が
あるんだよね
もちろん、もはや21世紀だ。書き手はプレートテクトニクスも大陸移動も知っているだろう。というか確かにそういう知識はその本に書かれていたのである。
∧∧
( ‥)つまり古い否定された概念と
新しい理論とが
彼の脳内でごちゃまぜになって
いるのだと
( ‥)だからさ
‐□ 僕らは歴史を把握する
必要があるのだ
古い新しいは時間的なものだ。それを考えると歴史を把握しない限り、これらを弁別するは不可能だということになる。そしてこの時、古本は役に立つ。
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