自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年4月24日木曜日
もう明日のことが分からないってことは確からしい
中国の杭州という町、普通に東京と同じような大都会である。その町へいった時、地下鉄に乗っていると、女の子が乗客に何事かしている場面に出くわした。身振り手振りからすると座っている客に次々と署名をつのっているらしい。中国語は分からないが、乗客が彼女たちに尋ねると、耳を指差すそぶりをするのは見て分かる。
耳が聞こえないらしいのだ。そして署名を求めるらしき紙を出し、ボールペンを渡してサインをうながす。多分、耳に障害を負っている私たちが何らかの誓願をできるよう、署名をしてください。そういうことなんだろう。
そして、乗客が署名をすると、今度は署名をしたから寄付をしてくれ。と要求するのである。
耳が聞こえないからしゃべらない。その代わりに紙を見せる。乗客が何事か言うと、耳が聞こえないから分からない、あなたは署名したじゃないか、と、紙を指差すようなそぶりを見せる。困った乗客は小額だが金を寄付する。あまり大した金額じゃあるまい。だが、これを次々と行う。
こっちにも来たが、当然、何が書いてあるのか分からない。日本人だとパスポートを見せると、ああ、と別の客の元へいった。
地下鉄の駅と駅の間だ。不可能ではないにせよ、乗客は逃げようがない。ちょっとあまりにもずるいやり方だ。彼女たちが次の駅で降りると、入れ替わるように乗ってきた男性が、彼女たちをちらっと見て、何事か周囲に聞こえるように言った。
中国語の分かる人によると、どうも、
あの子たち、前も見たよ
ということを彼は言ったらしい。
∧∧
( ‥)ようするに詐欺だよね
( ‥)ここから色々なことが
‐□ 分かるよね
中国の人も日本人も、この点は同じなのだ。この手の詐欺は、ここまで露骨でないにしても、日本でも街頭で行われている。ただ、それが逃げようのない地下鉄の車内で行われるのは、大胆不敵としか言い様が無いし、日本よりも”自由”なのだ、ということでもある。
もっとも、乗客の反応からすると、さすがにこれは中国の人もまったく想定外で、予想外の出来事であったことがわかる。つまりまともな中国人ならこんな発想はしないということだ。
一方、弱者を救ってほしいという大義名分には、中国の人も当然、良かれと思って署名することも分かる。そしてそうしてしまった以上、金を払えと言われると、困りながらも応じてしまう人がいること、これも分かる。
∧∧
( ‥)そこは日本人も中国人も
同じだね
( ‥)それで騙されてしまうのも
‐□ 同じなんだ
ほとんど同じ。ただ、こういう詐欺行為を働く人間の頻度が日本よりも高いのだろう。こっちがごく短く滞在しただけでこういう場面に遭遇するのだから、そういうことになる。狭い田舎ならここまで大胆な詐欺はないだろうし、事実、見なかった。だがしかし、都会となるとそうではない。それは日本も同じだが、広い中国ではその自由度が日本よりも高い。少なくとも、現代の日本よりも高いことは、まあ分かる。
∧∧
(‥ )乗客の皆さん、
\‐ 憮然というか、釈然としない
顔をしていたよね
(‥ )そりゃそうだろうな
広くて自由があると、相互監視が行き届かない。そうなると狭い日本よりも、人間の自由度が上がる。そうなるとずるをする人間が必ずある頻度で現れてくる。
∧∧
( ‥)そしてそれに騙された人は
次は騙されないぞと
身構える
(‥ )そして確実な”今”だけに
なってしまう
そうせざるをえないよな
つまり、広いゆえに逃げるという選択肢がある中国では、ずるをする人間がある割合で存在できる。だから他の普通の人々まで、確実な今を取らざるをえないだろう。当然のことだが、しかし、この結果として明日のことや約束が不確定になる。こうして基本は同じなのに、日本人と中国人はまるで違う人々となる。どうもそういうことではないのか。
民間の賠償は放棄した、という日中の取り決めを無視する形で、中国の司法は商船三井の船を差し押さえた。
∧∧
(‥ )そして商船三井さん、
\‐ 差し押さえに対して
お金を支払ったみたいだけど
どうなるのだろうね?
(‥ )さてねえ、相手に合わせて
今を取ったのかどうなのか
どっちにしろ
もう、明日の事が分からないってことは確からしい。
これはhilihiliのhilihili: 間違った中二病も物事を説明できるの続き
ブログ アーカイブ
-
▼
2014
(726)
-
▼
4月
(61)
- こればっかりはどうにもならぬ
- 仕事してねー やべー 俺やべー
- 太陽光発電では生活できない人類が機械にまかせて遊び暮らそうとは...
- 機械に労働をまかせて働かないで暮らせる社会はありえない
- 月齢25と26
- 科学ライターは殲滅しなければならぬ ただの一人も残さずに
- 月齢24の月(1日遅れ)
- なぜお前は私を選ばなかったのか?
- もう明日のことが分からないってことは確からしい
- 寝てしまったので
- 月齢23の月(去年のもの)
- 人は輝かしき青春に一生拘泥する
- 獣にプログラムを上書きしただけ
- 確かに昔、アメリカは憧れの国だった
- 間違った中二病も物事を説明できる
- ああ、やっぱ中二病だったんだ
- 真面目に考えると八方ふさがりなので
- 理想の民主主義とかそういう雑なことより
- 闇の三原色
- その胡散臭さは本来からあまりにかけ離れすぎている
- 戦争ごときではリセットできないらしいので
- 19日の朝は曇りだった
- ツバキがアステリドだった
- キリンの長い首とオカピの短い首
- 月の海と雨と椿と
- 月齢16日 クレーターは上書きされる
- 月齢15日、フンボルトの海は見えず
- 忘れていないか? 自分が把握していない経費がこの世界に存在することを
- 月齢14の月とマレ オリエンタレ
- 文章は任意の部分を無駄なく広げられるので
- それは考えて作られた間違いでしかない
- 因果関係は判定できず、雑な詭弁を義憤にかられて語る
- 月齢12の月とワルゲンチン
- タンブルウィード
- 月齢11の月
- 海辺の不法投棄
- 二つの球状星団
- 2つの人工衛星
- ヘルクレス座とエルタニン
- へび座の球状星団
- 明るい灰色の空に天の川を見た
- 星が王子様
- 4月の重油騒動
- ホンヤドカリ無惨
- 2014年:火星逆行中
- 混沌たるサボタージュ局
- 金を賭けなければギャンブルではないが、それだけで勝てるわけでもない
- 仕事は結局、認識か
- 巨大なクマさん
- 4日の月とアルデバランと5日の太陽
- それができなくなる、それが老い
- 主人公のお行儀が良いからこそ
- やれないことが色々とあります
- みんなが我慢していたものをあえてやる
- 要約すると、確かに彼は愚かだったのだけども
- 脳が悪口を区別できないというのなら
- 物書きと”分かった問題”
- 安易に言うと100人いれば100人に1人の...
- 理解するにはどの大前提を捨てたら良いと思う?
- あのマッチポンプぶりはただ事ではない
- ぺらい専門用語を使うのがいけない
-
▼
4月
(61)