自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年4月29日火曜日
太陽光発電では生活できない人類が機械にまかせて遊び暮らそうとは...
真空の揺らぎからエネルギーを取り出す。そういう発想がある。
現実的か、とか、採算が取れるか、とかそういうことは抜きにして可能ではあるらしい。
∧∧
( ‥)まあ、可能で採算が取れると
仮定しましょうか
( ‥)機械さえあれば
‐□ 無限に発電が可能なのだ
問題はである。無限に発電が可能なのは良いとして、では電気代はタダになるのか?
∧∧
( ‥)ならないだろうと
(‥ )発電機のメンテナンスを
しなければいかんからな
壊れた部品や古い部品を交換しなければいけない。送電線も末端の機械群もそうだ。すべてを次々に取り替える必要がある。当然、点検も必要だ。
∧∧
(‥ )それを考えたら
\‐ お金が必要ですよ、と
(‥ )鉱石を採掘する
船舶で輸送する
工場で精製する
それを再び運ぶ
それから製造する
製品と部品を
メンテナンスに使う
あらゆる行程が必要になる
当然、コストがかかる。
ありとあらゆる行程を機械化しても、メンテナンスを機械がやるにしても、やはりコストがかかる。機械が増えたらメンテナンスをする機械、それ自体がますます増える。
当然、電気代はタダにはならない。
これはお金の有る無しの問題ではない。お金という概念の話でもない。機械たちを維持するには資源と経費が必要なのだ。いかにエネルギー源が無限でも、資源も無限にあっても、金という概念がこの世界から無くなっても、こればっかりは解決できない。
というか、全自動で自らをメンテナンスして、無限のエネルギー源と資源から生産を行い、金という概念を持たない存在が事実としてある。
∧∧
( ‥)太陽光線で
光合成を行う植物が
それだよね
( ‥)生物にとって太陽は
‐□ 事実上、
無限のエネルギー源だ
二酸化炭素と水は
砂漠とかあるにしても
事実上無限偏在だな
しかし植物は無限に
成長できるわけじゃない
いや、やろうと思えば多分できるのだろう。
彼らは細胞を自己複製することで自らをメンテナンスし、自らを廃棄し、自らを補填し、自らを交換し、次々にパーツを変えて古くなることもなく永々と持続する。余剰さえ出来るのならば、無限エネルギーのおもむくまま、無限に成長できる。
∧∧
(‥ )問題はですよ
\‐ エネルギー源は無限でも
(‥ )時間あたりに使える
エネルギーは
有限なんだよね
当たり前の話なんだが、太陽が今後50億年、つまり、地球の生物には事実上永久に当たるような時間存続するにしても、1秒当たりに生み出すエネルギーは無限ではない。それには限度があるのだ。実際、太陽光発電では人類の今の生活を維持できない。
つまり無限のエネルギー源から維持費を引いて、残りのエネルギーでかつかつの生活をするしかないのだが
∧∧
( ‥)真空中からエネルギーを
くみ出せるようになっても
結果は同じだろうと
( ‥)無限だから使い放題だ
‐□ そんなわけないからな
無限といっても、いわば濃度に違いがあるのは当然。一人当たり、カルピスの原液が1日1リットル支給されるのか、限りなく水に近いカルピスが1リットル支給されるのか、どちらも無限に支給されるにしても、この二つの選択肢は同じじゃない。
*世の中には無限と聞くと使い放題だ、と思う人がいるけども、それは正しくないだろう。
∧∧
(‥ )それでも植物だけなら
\‐ 無限成長は運さえ良ければ
可能だよね
(‥ )新陳代謝を低くして
長くのんびり生きる
それで収支決算が
0以上なら存続は
可能だよね
人間の手を完全に離れた機械。自己複製が出来る機械というのは多分、ありえないだろう。少なくとも部品で構成された機械にそんなことは無理だろう。SFで出てくる”部品で構成された機械生物”も、自己メンテナンスを完全にこなす機械群も完成はしないだろう。だが”分子を部品にして熱の揺らぎを組み立てに使う存在”、生物のようなものならそれが可能であるし、事実、可能としている。
*これはこの話でもある=>hilihiliのhilihili: 機械生物 VS 有機生物
部品を持つ機械では多分、無理だ。しかし、生物的な機械なら可能なのだろう。そして
収入-維持費≧0
こうである限りなら、存続は可能だ。仮に無限のエネルギー源が開発されれば、そして人類がメンテナンスを完全に自動化できれば、そして以上の条件を維持できる支出のみで生活すると決めれば植物のような生活ができる。
問題はである
地球の生物って植物だけじゃないよね? なんで?
∧∧
( ‥)ようするに裏切り者、
あるいは利己主義者が
現れるわけですよね
自らは光合成を行わないが
植物の余剰生産に
ただ乗りする生物がいる
( ‥)ようするに我々、動物だ
‐□
必ず裏切り者が出る。だから植物も防衛するために余計なコストを払ってアルカロイドやタンニンといった毒物を合成して防衛する。
資源が無限に存在しても、単位時間あたりに利用できるのは有限だ。そして世界は多様で裏切り者が絶えず現れる。ゆえに理想化された必要最小限な経費だけで状況を切り抜けられるわけがない。無限成長できる植物でも、食われて終わる場合があるのだ。
アクシデントに見舞われて、予算オーバーで大ピンチ、こんなことは誰でも経験があるんじゃないだろうか?
すると答えは明らかだ
∧∧
(‥ )無限のエネルギー源が
\‐ 存在しても
電気代はタダにはならず
使える量も限られており
それを守るために余計な
経費を必要としなければ
ならない
(‥ )つまるところだな
やっぱり
社会全体を自動化して
人間が遊んで暮らせる
未来なんてこないって
ことさ
まあ、可能といえば可能なのだ。マルクス主義が理想化された条件なら可能である、という程度の意味での可能なら。
∧∧
( ‥)人間全部がつつましい生活で
無限に遊ぶために
限られた娯楽と生活と食事しか
許されない世界
( ‥)まあ、マルクス主義と
‐□ 同じ運命を辿るのだろうね
これはhilihiliのhilihili: 機械に労働をまかせて働かないで暮らせる社会はありえないの続き
∧∧
( ‥)まあ、ぶっちゃけた話
(‥ )まがいなりにも
無限エネルギーの
太陽光発電では
生活できないほどに
むちゃくちゃしてる
現代人がだな
機械に労働をまかせて
暮らそうって
なんの冗談ですか?
そういうことなのよね
太陽光発電ではまかないきれないほどに生活を加速する必要があった。そうして石油に支えられる工業社会を作り上げ、さらに競合を激化させている。このこと自体、機械に仕事をまかせる、などということがあり得ないことを示している。
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