自己紹介

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2014年3月20日木曜日

致命的な間違いというと、ひとつあった

 
 これまで本を作ってきて、致命的と言えるほど大きな間違いを犯したことはない
 
 ∧∧
( ‥)はずだ、と
 
  ( ‥)自分で自分の間違いを
    ‐□ 探すのは原理的に
      難しいことでね
      これまで見た限りでは
      無いはずだ、と言うのが
      精一杯なわけだ
 
 もちろん、誤字脱字などは抜かす。
 
 だがしかし、少なくともひとつ、非常に大きな間違いをしたことがある
 
この本の60〜61ページの記述=>Untitled Document
 
 ∧∧
(‥ )同位体の振る舞いの
\‐  説明が間違っていた奴だね
 
  (‥ )電子版では直したよ
 
 もう2年も前の本だけども、修正すべき箇所は近いうちに、HPへアップしなければならない。
 
 ちなみに2011年はこれほどではないが、大きな間違いが他にもあった。

ヒゲナガダコの学名を間違えている=>Untitled Document

テンガンムネエソの水晶体を黄色く描いている(正確には同属別種のナガムネエソであるべき)=>Untitled Document

 
 ∧∧
(‥ )これらは致命的とまでは
\‐  言わないまでも、誤植よりは
    大きなミスであると
 
  (‥ )2011年は震災の年でね
      被災していないけども
      計画停電とかでばたばた
      してしまってな
      そのせいかもしれないな
 
 ミスの多い年であった。しかし、以上の二つのミスも、先の同位体のふるまいを間違って書いたことに比べればまだまだちっちゃな話である。
 
 だがしかし
 
 ∧∧
( ‥)本当に恐ろしいのは
    理解の枠組みと
    盤のルールが変わってしまう
    ことであると
 
  ( ‥)同位体の間違いでさえ
    ‐□ わっ、俺の理解が浅い、で
      話を済ませられるわけだよ
 
 だが盤のルールが変わるとこうはいかない。
 
 なぜなら、それは知らなかった、が問題になるのではなく、知っている、これ自体が問題になるからだ。
 
 これまでのルールを熟知していること、それ自体が致命的となる。
 
 ∧∧
(‥ )科学の歴史では大小様々
\‐  そういうことが何度も
    起こってきた
 
  (‥ )本当にでかいのは
      ごくまれなんだけどね
      小さなものも含めれば
      各々の分野で
      数十年に一度は
      起こってるよね
      複数の分野で見れば
      もっと頻度が高い
 
 自分が本を作る際に考慮すべきジャンルのことを考えても、ここ半世紀の間に
 
 プレートテクトニクス、血縁淘汰説、性淘汰理論、ネオダーウィニズム、分子系統学、分岐学、KT境界における隕石衝突と大量絶滅
 
 とまあ、これだけ起こっている。
 
 ∧∧
( ‥)これについていけなかった人が
    学問的にくびれ死んでいく
    過程を見てきたと
 
  ( ‥)物書きでもいたろ?
    ‐□ 分岐学反対とか言ったけど
      いまやこのジャンルの
      論文は分岐学だらけだ
 
 古いルールにすがりつき、新しいルールに反対するのは勝手だけども、そうすると新しいルールに基づいた論文が読めないし、論文の意味すら分からなくなってしまう。
 
 これでどう仕事をしようというのか?
 
 例えばの話、論文の意味が分からないから「始祖鳥は鳥ではない!」という話をタイトル通りに鵜呑みにしてしまうのだ。これでは、正確な記事など書けるわけがないではないか。
 
 しかし、ルールが変わるとは、こういうことである。ルールそのものが変わった時、新しいルールを知らない人間は新しい業績を読む事ができなくなるのだ。
 
 それは仕事ができなくなることを意味する。これは物書きだろうが研究者だろうが変わらない。
 
 しかも、かつて慣れ親しんで自分のものにして熟知していたルールが、今やなんの業績も生み出さないのだ。


 ∧∧
(‥ )あなたは幸いにも
\‐  こういうルールが変わる状況で
    負け組に組みした事は
    なかったよね
 
  (‥ )そりゃあそうさ
 
 だって、どれもとっくに勝負がついていたのだから。
  

 例えば系統解析をする際には、共有されている派生形質のみが使用できる、という分岐学の名前を耳にし始めた90年代、周囲の知り合いたちは分岐学に対する態度を決めかねていた、
 
 では自分はどうするか、そう思って調べてみると...
 
 ∧∧
(‥ )実は科学の世界ではとっくに
\‐  決着がついていて
    だからこそ、あなた方が
    仕事をしていたジャンルにまで
    侵攻を開始したところ
    だったんだよね
 
  (‥ )だから話は
      単純だったわけさ
 
 なにもすでに負けた側の負け戦の、さらなる負け戦に加担することはない。
 
 そういうわけで分岐学を選び、今でも論文を読むのに支障はない。
 
 だが、そうしなかったひとり、その彼は、どんどん文章がおかしくなっていった。確かに元からおかしい人ではあった。ダーウィニズムは間違っていると思っていたし、今西進化論とグールドの断続平衡説にお熱だった。科学や生物学、進化学、系統学の理解の基礎に問題があるのだ。しかも、さらにそこへ分岐学に関する無理解が付け加わった。
 
 最近、見た限りでは、彼の理解も把握も文脈も、今や以前より悪化してぐちゃぐちゃである。
 
 先もいったように、一度ルールが変わってしまうと論文が理解できなくなるのだから当然だ。多分、彼はこのままおかしなライターとして落ちていってしまうだろう。
 
 ∧∧
( ‥)それを見たからこそ
    盤のルールが
    変わる事が恐ろしい
 
  ( ‥)みんな消えていったからな
    ‐□
 
 これまでは良かった。すでにルールは変わった後だったからだ。
 
 しかし、いつか、今あるルールが変わる。
 
 どのルールが変わるとは言えないが、どれかは変わる。それが歴史ではなかったか?
 
 では、次にルールが変わるのはいつで、そして、どれだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)そして、その時がきたら
    あなたは今度こそ
    ルール改変の場に直面し
    そこから逃れられない
 
  (‥ )だからいつもいつも
      考えるのさ
 
 俺はいつ、どうやって死ぬのだ?
 
 
これはhilihiliのhilihili: 6022:2001 自分はそろそろここから出たいんだの続き

 
 
 

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