自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2014年3月1日土曜日
民主主義が滅びるなら、ファシズムもまた滅びるのだろう
ファシズムは血統で人々を奮い立たせ、国をまとめあげ、国家というよりもむしろ血族への忠誠と奉仕を要請して人々を軍列につかせる。
∧∧
( ‥)人間の大量動員
国家をひとつの武器に
変える方法論
( ‥)挑んだ側だからこそ
‐□ こういう無理矢理な
方法論が必要なの
だろうな
挑まれた側はこんなことを発明する必要はない。
大変だ! 侵略者だ! 武器を取れ! あいつら悪だ! 殺せ! 殺せ!
そう言えばすむ話。
∧∧
(‥ )WW2は持てる国と
\‐ 持たざる国の戦いであったと
評した人もいますよね
(‥ )その視点で見た場合
挑んだ側がファシズムを
発明し、採用したのは
暗示的であるね
そうでないと戦いを挑めなかった、ということでもあるのだろう。実際、例えばドイツはWW1の敗北と戦後の押しつけに困窮していたのであった。
∧∧
( ‥)つまり言い換えればやはり
ファシズムとは民主主義の
理想化された姿なのだと
(‥ )農奴を兵士に変える銃
銃剣をそろえた突撃戦法
素人臭いが数で押し寄せる
大量動員
その延長にあるのが
民主主義なのだ
民主主義とは本来、数の暴力そのものに他ならない。
事実、軍人貴族制が少数エリートの横暴だというのなら、
∧∧
( ‥)やはり民主主義とは
数の暴力であるのだと
(‥ )延長線上にファシズムが
出現するのは当然だよね
国を血縁関係という、原始的だが人間にとって基礎的で確固たるものへ落とし込まねばならない。そうして血縁への忠誠を国家への忠誠へと変換しなければならない。
そうすることで初めて、農奴たちを銃によって兵士へ変換し、戦線へと大量動員し、そして勝利できる。
∧∧
(‥ )左翼の人は右翼やファシズムを
\‐ 愚かで野蛮で原始的wwwと
揶揄するのにも根拠はある
ということですかね?
(‥ )根拠はあるけど
マルクス主義を宗教にして
スターリンを大司祭にした
宗教帝国を作った連中が
笑う事ではないなあ
ともあれ、ファシズムが純化された民主主義そのものだ、というのなら未来予測は比較的楽観的だ、とも言える。
∧∧
( ‥)なぜかと申しますに
( ‥)民主主義は終焉に
‐□ 近づいているからね
あるいは、終焉に近づく可能性がある? そういうべき?
∧∧
( ‥)銃が戦争を変えて
政体を変えて民主主義を
生み出したのならば
(‥ )次の世界はやはり
兵器が決定することになる
現状、兵器は非常に高度化しているので、扱える人も数も少ない。これは、どっちかというと民主主義ではなく、軍人貴族の世界へ移行しそうな状況。
∧∧
(‥ )こういうと、
\‐ 今のアメリカ軍は貧乏人を
集めているじゃないか
軍人貴族なんて
そんな風になるわけない
マイケルムーアの映画とか
見れば分かる
と言う人もいるみたいですけど
(‥ )いやいや
話は逆だろ
軍人が金持ちになってから軍人貴族制度ができるわけじゃない。貧乏だがプロの軍人が政権を奪取してから金持ちになるのだ。例えばの話、源氏は豊かになってから幕府を開いたわけじゃないだろう。
∧∧
( ‥)もちろん、色々な状況が
ありえるわけですよね
( ‥)ローマ帝国なんかは
‐□ ずっとプロの軍隊が
維持されてきて
やがて、叩き上げの
軍団指揮官が
元首に就任するように
なっていく
こうして軍人皇帝が
普通になるのだけども
プロの軍隊から
軍人貴族制へ移行した
わけでもないんだよな
だがしかし、これは暗示的なのだが、このプロの軍隊、賃金がめちゃくちゃ安かったのだ
例えばタキトゥスの「年代記(上)」岩波文庫版 pp34と、「プルターク英雄伝」第6巻 岩波文庫版 pp156 スッラ篇の冒頭を見ると
∧∧
(‥ )アウグストゥス帝が
\‐ 亡くなった時における
兵隊さんの給料って
ローマの裕福でない人たちの
家賃よりも安いのだよね
(‥ )まあなんだ、
ざっと計算すると
貧乏家賃の7割ぐらいね
両者の時代には100年あまりの差があるけども、当時まだローマの貨幣はインフレが進んでいないので、物価が同じと大胆に仮定して比較する。
家賃の7割って、これは日本で言えば年収50万とかじゃね?
確かに、現在と違って電気やガスや石油などが無い時代だ。そういう支出が存在しないから一概に決めるわけにはいかないが、だがしかし、これはいくらなんでも安いよねえ?
∧∧
( ‥)辺境に赴任している
兵隊さんだから、
帝国の首都、ローマ市の
家賃7割に相当する賃金は、
赴任地では高いのかも
しれないけども
( ‥)でもさ、そもそも
‐□ 「年代記」における冒頭の
反乱って賃金の安さが
原因なんだよね
もっと調べないといけないが、ざっと言うとローマでは兵隊への給料はだんだんと高くなっていった。これは当然なんだろう。帝国の防衛はなによりも彼らの働きにかかっていたのであるから。
軍隊はそれ自体が力であり、軍隊こそが帝国の生命線でもあった。当然、低賃金でも軍人が力を持ち、貴族でも元老院の出身でもない、一地方の民間人から出世した、軍人皇帝の時代がやってくる。
独裁体制ではあるが、この意味では、共和制のローマよりも開放的だったと言えるのかもしれない。
∧∧
(‥ )しかし、ローマの東西分裂まで
\‐ 軍隊は歩兵が中心なのですよね
騎兵とか軍人貴族が
出現したようには見えない
(‥ )生き残った東ローマの
軍隊が騎兵中心になって
いくのは7世紀ぐらい
らしいのだ
もう、その時代になると、長く厳しい訓練で身につけた、統制の取れた歩兵による強力な軍隊は存在しなくなっていたらしい。
∧∧
( ‥)さりとて、その時点でも
軍人貴族が幅を効かせて
いるかというと
ちょっとよく分からない
むしろ怪しい
( ‥)東ローマの先にある
‐□ ビザンティン帝国の
後半だとどうなるかな
そこんところは
要検討だよね
*東ローマ帝国のさらに先、ビザンティン帝国はイスラームの侵入による混乱、既存秩序の崩壊、富裕層の没落、搾取されていた農民の復興、テマ制、武器を自弁した農民による軍隊、重装騎兵、貴族による群雄割拠、そして滅亡という流れがあるらしい
一方、早々に崩壊してしまった西欧は比較的分かりやすい。イメージ的にあっちは農民に支えられた騎士という軍人貴族の世界になる。
∧∧
( ‥)つまり、軍隊が貧乏だから
”軍人貴族制などありない”
ということはない
少なくとも軍事政権は
成立する
(‥ )その一方で、
軍隊がプロ化したから
即、軍人貴族制という
わけでもないわけだ
あるいはまた、プロの軍隊がいると自動的に軍事政権が発足する、というわけでもないらしい。
軍隊が幅を聞かせた時代が終わると、東ローマ帝国皇帝の即位は軍隊、市民、官僚の歓呼で承認を得た事になったようであるから。
つまり、
プロの軍隊の存在≠軍事政権
∧∧
(‥ )やはり、軍人貴族制は
\‐ 馬を使うとか
維持や訓練にお金がかかる
武器が主力になると出現する
そう考えるべきですかね
(‥ )事実、銃の出現で
軍人貴族制が終わり
民主主義が現れることを
考えれば、
そういう風に見えるよねえ
例えば西欧では、銃の出現で騎馬の軍人貴族の時代は終わり、銃の出現の延長に民主主義が、そのさらに延長にファシズムがある。その意味では、ナチスの制服に乗馬ズボン由来のデザインがあったのは、かっこよさや貴族への憧れを追求した結果である一方で、それは笑える冗談でしかなかったのかもしれない。
そして
∧∧
( ‥)プロの軍隊でも歩兵が中心なら
軍人皇帝は現れても
軍人貴族は出現しないのかも
しれない
(‥ )あるいはプロの軍隊が
存在していても
官僚制があると
軍隊、官僚、政治家は
それぞれ特化して
軍事政権は出現しない
のかもしれない
例えばビザンティン帝国が
どっちかというと
文民統治だったと
言われるようにね
まあ、議論の余地は多いにあるけども
ともあれ、いずれにせよ
∧∧
(‥ )ファシズムはもう
\‐ 心配するようなものでは
ないのだと
(‥ )武器の高度化
軍隊のプロ化
それが今の僕らの世界
こういう形で
民主主義の前提が
崩れゆくというのなら
ファシズムの出る幕は
もはやないってことに
なるからな
役にも立たない市民を煽り立てて、もはや一体、なんの意味があろう?
そして一方、アメリカ軍が貧乏人を集めた軍隊になっている、だから軍人貴族制への移行などない、という主張も間違っている。
むしろこれは、さらなるもうひとつの予兆でもある。
∧∧
( ‥)貧乏人を集めた軍隊
それはようするに市民軍じゃ
ないってことだからね
(‥ )つまりこれもまた
民主主義が滅びる
予兆ってわけだ
ローマ軍は、途中から市民軍ではなくて貧乏人を集めたプロの軍団になった。そうして共和制は終わった。共和制の終焉には色々な理由があるが、未来を考えた場合、これは暗示的なのだろう。
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