自己紹介

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2010年6月23日水曜日

月人、地球をのぞく

 
 一仕事終えた。取りあえず休むにしても
 
 ∧∧
( ‥)〆切りに猶予はできましたが・・・
  -□

     (‥ )状況は楽観できん。

 というか。ああ、それは北村さん良かったですけども、こちらの作業はどうなりますか? と別件の方から心配の声。そうなんだよねえ、時間は1次元だからなあ・・・・

 ∧∧
( ‥)現在が詰まると、未来のすべてが詰まります。

     ( ‥)ドミノだドミノ。

 あるいはこう? 時間を借金する人生。

 さて

 もしも月世界に月人がいて、その地質学者が望遠鏡で地球をのぞいたらどう解釈するだろう?

 ∧∧
( ‥)大気、雲、海があるから天候現象に興味を持つ一方で、
    地球表面のすべてが見られないから歯がゆいでしょうね。

     (‥ )月人は火山をどう解釈するんだろうねえ?

 googleの航空写真で見ると阿蘇山はなんとなくクレーターっぽく見える。

 ∧∧
(‥ )でもインパクトクレーターにしては中央丘が
\-   大きすぎませんか?

     (‥ )おまけにてっぺんに”穴”が開いているもんな。

 たぶん、月人の地質学者もそのことには気がつくんだろう。インパクトクレーターにしては形も比率も変だと。

 ∧∧
( ‥)でも月人の科学者さんはこれが火山だと
\-  気がつくのでしょうか?

     (‥ )うーんどうだろう? 

 ドーム、月にあるむにょっともり上がった、なんというの? 皿を伏せたような高まりのこと。この月のドームは月の火山だとされている(マリウス丘陵はそういうものの集合)。その中にはてっぺんにちょこーんと穴が開いているものもある。たまたま偶然、隕石がちょうどいい具合に衝突して開いたというのでないのなら、多分、火口なんでしょうねえ(少なくともそう解釈はできるよね、とは言われているらしい)。

 ∧∧
( ‥)月のドームから考えると、地球の阿蘇は火山だと
    月の人は解釈するというわけですかね?

     (‥ )でもそういう考えに説得力をもたせるのは
         なかなか大変かもしれないねえ。

 月は時々、発光などの異常現象が報告されることがあって、今でも火山活動がごく小規模に起きている・・・とも言うけども。

 ∧∧
( ‥)あれですよね、明白な火山活動はないんじゃなかった
    でしたっけ?

     (‥ )とするとだ。月人の立場からすればドームという
         地形の成因を説明するために地球の火山を使う
         ということになるんだよな。

 長い時間観測していれば地球の火山が活動していること、円錐の高まりの真ん中てっぺんにしばしば明瞭な穴があること、そこから気体を放出すること、赤く輝く液体も流れるが、それが冷えると黒くなるらしいこと、なにか砂のようなものを放出するらしいこと、それにともない山の形が変化することなども分かるはず。

 ∧∧
( ‥)じゃあ問題なくないですか? 地球の火山には色々な種類があって
    月のドームもこうした活動のある種のものから出来た、
    そう解釈できるでしょう。今はもう活動していない故郷の地形を
    地球を通して理解できるわけですよ。

     (‥ )画期的な研究ではあるんだろうな。
        とはいえ疑問も疑義も残るだろう?

 例えばの話。

:阿蘇山は”火山”の周囲に円形の構造物がある。これはクレーターではないのか?

 ∧∧
( ‥)否定はできるでしょ? 月のクレーターの中央丘は
    火山じゃないんですから。

     (‥ )でもこういう風に考える月人もいるかもしれない。

:阿蘇山は隕石衝突のインパクトによって、中央に火山(月のドームに相当する地球の構造物)ができたクレーターである

 ∧∧
( ‥)あーいやーそのーなんだ。
    あからさまに間違ってますよね?

     ( ‥)他の月人はどう反論するか?
         あるいはそういう仮説では地球の地形が説明できない
         そのことに他の月人は気がつくだろうか?

 例えばこう?

:カナダのマニコーガンクレーター(Manicouagan crater)を見よ、そんな構造があるか? 
:我々がいる月のクレーターを見よ、中央丘が火山か? 違うだろ?
:地球の個々の火山を比べよ、富士山は火口が小さく、大島の火口はやや陥没した中央にあり、箱根はさらに広いではないか

 ∧∧
( ‥)ゆえに阿蘇山の円形構造は火山が自力で作り出すもので
   インパクトクレーターではないと判断しうると。

     (‥ )できるんじゃないかなあ、とね。


 だけども、月人は地球でどうして火山活動が今でも活発なのか? そしてどうして火山が奇妙に片寄った分布を示すのか、その疑問には答えられるだろうか?

 ∧∧
( ‥)例えば地球の内部はまだどろどろに
    融けているのだ、そう考えるかもしれませんね。

     (‥ )だがそうだとしたら火山の片寄った分布を
         月人はどう説明する?

 ∧∧
( ‥)地球の海の下の構造は分かりかねるでしょうねえ。

     (‥ )よもや海底の地形に間接的なヒントが
         隠されているなんて想像もしないだろうな。

 地形が見えたらどうだろう? 地形と火山の分布に対応関係があることは分かるだろう。だけどもその具体的な因果関係は分かるだろうか? そもそも月にプレート運動なんてないのだから、月人はプレートテクトニクスという概念も、プレートが沈むという発想も多分もってないだろう。もっていても、それでもなお、答えにはまだほど遠い。

 そんな彼らが知恵を振り絞った時、地球の火山をどう説明するだろう?

 


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