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2014年6月11日水曜日

レベル低いと思ったら自分でちゃんとしたのを読まなきゃ嘘でしょ

 
 どんどん本のレベルが下がっていく。ラノベを見よ。どんどん読者の知的レベルが下がっていく。
 
 否
 
 ∧∧
( ‥)読者のレベルが
    下がったわけではない
 
  (‥ )そもそもまずあるのは
      売り上げの向上だ
      それには市場を
      開拓しなければならぬ
      肝要なのは
      本を読まない人にも
      本を読ませることよ
      ただ、この動作は
      無茶な要請でな...

 
 本を読まない人でも読める本
 
 これは存在自体が矛盾だ。水に近いカルピスを作るようなものである。もちろん、作ること自体は簡単だ。問題は、限りなく水に近づけることはできるが、限りなく水に近づくと、カルピスとしてのアイデンティティが失われてしまう。水に近づいたカルピスはカルピスではないのだ。それと同じように
 
 ∧∧
(‥ )無茶な要請を実行すると
\‐  本のアイデンティティが
    失われてしまう
 
  (‥ )だがそれでもなお
      実行しなければならんのだ
      そうでないと出版社に
      未来はないのだよ

 
 思い出すに、授業の合間と休み時間、あるいは放課後に本を読んでいる人間が一体どれだけいたか?
 
 せいぜい、1パーセントぐらいではないのか?
 
 出版社が売り上げを伸ばさんとする時、開拓すべきはこれ以外の人々であるのは明白。
 
 本を読まない人々が自発的に手に取るような本。それは可能な限り楽で魅力的なものでなければならない。
 
 ∧∧
( ‥)本としてのアイデンティティが
    崩壊するぎりぎりの本
    
  ( ‥)そういう売り上げが
    ‐□ あるからこそ
      もっと複雑な本を
      出す事に金を使える
      わけでね
 
 あれを否定することはできない。これは現実なのだ。そしてこれは、本のレベルが下がったわけではない。実は読者のレベルが下がっているわけでもない。それゆえにそんなことを騒ぐ必要もない。
 
 そもそも
 
 ∧∧
(‥ )レベル下がったとか言うなら
\‐  レベル高い本を読めよ
    そんな感じですかね
 
  (‥ )まあそうだね
      もっともこの場合の
      レベルが高い本って
      どんな本なのか
      よく分からんけどな

 例えば高尚な恋愛と言われても、それはネッシーやツチノコのようなものではないかと思われる。
 
 *それにそもそも水に近いカルピスは確かに問題だが、原液で飲むのもちょっと困るのだ。何事も適正であるべきで、暑い時に濃いカルピスを飲みたいか、というとそれは怪しいのである。氷が入った薄いカルピスにも需要があり、それがぴったりくる季節があるのだ。薄いと言って全否定するわけにはいかぬ。
  
 
 **ちなみにこんなことがある。本のために原稿を書くと、校正という作業がある。誤字脱字がないか探して手直しする作業だが、出版社だけでなく外部校正に出す場合もある。校正作業を専門にしている人にも校正してもらうのだ。つまり二重チェックである。
 
 だが、理系の本を校正したことがない人の場合、科学用語が分からないことがしばしばある。
 
 先日あったのが
 
 ∧∧
(‥ )同位体とは何ぞや?
\‐  という校正さんの
    走り書きがありましたね
 
  (‥ )同位体は一応、
      学校で習っているはず
      なんだけどね
 
 というか、一応、本文でも説明はしているのだ。元素の中には化学的性質は同じだが重さの違うものがある、と。
 
 ではそれ以上の説明を望むか?

 同位体の説明は....結局省いた。例えばやや詳しく書くと
 
 原子は原子核とそれをめぐる電子から構成されている。原子核には陽子と中性子が含まれている(水素は例外)。電子と陽子は電気的な釣り合いをとって数は同じである。中性子はプラスやマイナスといった電気は持たない。元素の化学的性質は電子が担っているので、電子の数が同じである原子は、化学的に同じ性質を示す。これが元素である。この場合、電子と電気的な釣り合いをとる以上、陽子も数は同じである。つまり同じ元素は電子の数が同じであり、陽子の数も同じである。しかし、電気的に中性である中性子の数はその限りではない。つまり同じ数の電子を持つ一方で、中性子の数が違う元素がありうる。これが同位体である。電子の数と配置が同じである以上、化学的な性質は同じだ。しかし中性子の数が違うのだから質量が...
 
 ∧∧
( ‥)こんな説明、
    余計分からなくなると
 
  ( ‥)だからやめたのさ
    ‐□ だいたい長いしな
 
 化学的性質は同じだが、元素には重いものと軽いものがある。それが分かれば話は十分なのだ。同位体のあり方から絶滅動物が何を食べたのかを知ることができる。書くべきはここから先の知見であって、同位体の説明ではない。

 ∧∧
(‥ )このように省略した
\‐  あなたの本をレベルが
    低いと言うことも
    可能だよね
 
  (‥ )それに対する答えは
      そう思った瞬間に
      教科書と論文を
      読まなきゃ駄目でしょ
      あんた何してるの? だな

 
 これは別に理系の本に限った話ではない。ラノベでも同じである。レベルが低いと言うのなら、だったら高いものを読めば良いではないか。実に簡単な話である。
 
 ∧∧
( ‥)文句を言うってことは
    それが出来なかった
    そういうことであると
 
  (‥ )そしてそれはだな
      感心出来る話では
      ないのだよね
 
 つまり、下ばかり見ていて、上を見ておらんということだ。前を向いているのかさえも怪しいものだ。そんなことを自分から大声で言う事はないではないか。
 
 
     

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