自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2014年6月13日金曜日

これは凶兆

 
 
 ∧∧
(‥ )なんかね
\‐  雑誌の執筆6ページで
    2万という事例もあり
    執筆業はもはや...
    という話が
 
  (‥ )んー....
 
 これを単純に200ページの本で考えると200÷6およそ33、これに×2万で..
 
 ∧∧
( ‥)200ページの雑誌を
    まるまる一人で書いたら
    もらえる原稿料は66万
    税金で一割を引かれると
    60万を切る感じだね
 
  ( ‥)これ自体は単行本を
    ‐□ 執筆した時と
      同じ支払いだと
      考えて良いね
 
 そういえば以前、ネットで「おれ、ラノベ作家だけど何か質問ある?」というスレがあって、
 
 ひとつの作品を出してもらえるお金は幾らぐらい?
 
 60〜50万だよ
 
 嘘つけ! お前は俺みたいにラノベ作家を目指す奴の夢を壊すために安く言っているんだ
 
 とまあ、おおむねこんなやり取りがあったけども。
 
 ∧∧
(‥ )残念、これが
\‐  ライター業の現実です
 
  (‥ )さらにここから
      生活費だけではない
      資料や取材、備品などの
      必要経費も捻出するのでな
      手取りはもっと低いと
      考えるべき
 
 一ヶ月で本を出せば額面60〜50万だが、実際にはそんなことは無理だ。本の制作にはどうしても3ヶ月ぐらいかかる。つまり60万÷3で、月収20万を切る。
 
 ∧∧
( ‥)そして週刊連載漫画や
    仕事の速いラノベ作家さんの
    仕事量を考えると
    この速度、
    3ヶ月に1冊の本が
    人の限界であると
 
  ( ‥)だから単純に考えると
    ‐□ 物書きや作家の年収は
      60万×4=240万
      あるいはそれ以下になるよ
      というのは
      基本的な話なんだが
 
 まあ、これ自体はただの現実だ。目新しい話でもなんでもない。単なる基礎である。
 
 この基礎を踏まえて冒頭の話に戻ると
 
 ∧∧
(‥ )冒頭の話における
\‐  窮状とは
    単行本を書いている
    作家からすれば
    当たり前の話である
 
  (‥ )ここで、努力信者なら
     なにを甘えているんだ!
     俺はもっと苦労しているぞ
     雑誌も単行本と
     同じ土俵に立つべきだ!
     と叫ぶところだが
     注目したいのは
     そこではないな

 
 つまり冒頭の嘆きをそのまま受け取ると、それは次のことを示しているように見える。
 
 それまで雑誌はそうではなかった
 
 だが今やそうではない
 
 
 ∧∧
( ‥)単純に解釈すれば
    これまで雑誌は単行本よりも
    圧倒的に売れていた
    だから潤沢な資金があった
    だから原稿料も高かった
    そういうことだよね
 
  ( ‥)だが、それが崩れた
    ‐□ 雑誌は潤沢な資金を失い
      単行本レベルにまで
      規模を縮小している
      そういうことに
      見えるよねえ
 
 一つの嘆きから業界全体を論ずるは、まるでコーヒー占いのごとく、コーヒーの残りから世界を論ずるがごとし。
 
 しかし、確かに確かに、雑誌は本の中では一番ネットと競合する場所であろうこともまた事実。だいたい、作家とかライター自身がblogを書いたり記事を書いたり、思いのたけをぶちまけたり、twitterでリアルタイムに発言する時代である。雑誌がネットに食われやすいのは当然。
 
 ∧∧
(‥ )何年か前から雑誌の
\‐  先行きに危機感を持つ人が
    いたけども
    いよいよ限界にきた
    という感じ
    なんですかね?
 
  (‥ )雑誌作成の予算が
      単行本レベルにまで
      縮小したとする
      この場合、
      おそらくこの支払いは
      本作りの限界に近い
      はずなんだよね
      実際、これでは
      生活ができないと
      言っているわけだからな
      
 
 ∧∧
( ‥)一方の雑誌は雑誌で
    経費削減で生き残りをはかり
    あちこちを削ったけども
    もう限界...そういう感じ
    ですかね
 
  ( ‥)だとしたら雑誌の廃刊
    ‐□ 消滅がいよいよ出てくる
      そういう感じかなあ
 
 もちろん、これまでも雑誌は次々に刊行され、次々に廃刊されてきたのである。だから廃刊自体は珍しいことではない。だが、この均衡が崩れるということはありうる。つまり雑誌の廃刊が創刊を上回る、という事態。

 もちろん、どんな業界にも複雑な側面がある。収入より支出が上回ったからといって、それが即、”赤字”になるとは限らない場合がある。だから事はそんな単純には進行しないはずだけども。
 
 ∧∧
( ‥)とはいえ、出版界
    いよいよ状況が悪化して
    きましたか
 
  (‥ )工夫して
      生き残りを模索する時点で
      相当な苦境だからな
 
 
 考えてみれば思い当たる節がある。ライター業をしていたがそれでは食っていけないので雑誌の編集(フリー)に転職した人や、会社を辞めた編集さんがフリーの編集として雑誌作りに携わる、そういう場面を幾つか見たことがある。
 
 ∧∧
( ‥)人が収入を考慮して
    生きる場所を探す以上
    選択肢が収束する場所こそ
    お金のある場所である
 
  (‥ )だから雑誌が良い場所で
      あったこと
      これはおそらく確かだ
 
 だが、どうもすでに過去形になっているらしい。海辺に広がる広々とした美しく豊かな農村地帯へ移住したのは良いが、水位が上がるとそこが水没し始めた、そんな感じだろうか。
 
 ∧∧
(‥ )他人事ではないよね
\‐  あなたも状況が良くなっては
    いないからね
 
  (‥ )これは凶兆
 
 
  
 

ブログ アーカイブ