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2013年5月9日木曜日

タコの貝殻

 

 ∧∧
( ‥)どうよ?
 
  ( ‥)んー、だいたい把握できた
    −□ と思う。
 
 馬の鞍型よりも馬の蹄鉄型の方が原始的。
 
 ∧∧
( ‥)タコさんの貝殻の話ね
 
  (‥ )タコが貝殻を持っていると
      言うと、面食らう人、
      多いだろうけどね。
 
 ※カイダコなどの話ではない。タコ全般に見られる”貝殻”の話。
 
 常識的にはタコは貝殻を持たない。
 
 常識。
 
 しかし常識には落とし穴がある。
 
 例えばの話、巨大隕石が地球に衝突して地殻を剥ぎ取れば、マグマがぼこぼこ、というのは理屈がおかしい、と書いたら。この人、間違ったこと書いてる! 間違ったこと書いてる! とはやしたてた馬鹿がいたけども、それをネタにすれば、
 
 ∧∧
( ‥)マントルが溶けている
    というのは世間的には
    ”常識”ですからね。
    地殻が剥ぎ取られれば
    火山噴火が起きる、というのが
    世間的には常識なんでしょう。
 
  (‥ )世間的に言うとタコは
      貝殻を持っていないことに
      なっているけども。
      それをふまえれば、
      ”タコの貝殻”、と書けば
      間違ったこと書いてる!
      間違ったこと書いてる!
      とかはやしたてる奴も
      いるのかね?
 
 ∧∧
( ‥)常識は危険?
 
  (‥ )常識という言葉が
      何を指すか次第だろうね
 
 そんなのお前、常識だろ? というのが
 
 観察するに人間の大半はそうするだろう
 
 観察するにこの現象はこのような振る舞いを見せる場合が多い
 
 ∧∧
( ‥)という内容ならば
 
  (‥ )それは考慮すべきこと
      だろうなあ。
 
 だけどもこれが、
 
 皆が信じている知識A、俺様も信じている知識Aは無条件に正しい
 
 ∧∧
( ‥)では危険であると
 
  ( ‥)妙な話ではあるんだよね
    −□ 昔、始祖鳥とかが
      見つかった時、
      歯を持つ鳥なんておかしい
      という強固な反対意見が
      出たと聞くけども。
 
 つまり19世紀には、鳥は歯を持たないものであり、ゆえに始祖鳥は非常識な存在であり、受け入れがたいものであった。
 
 ∧∧
( ‥)でも今では
    始祖鳥は歯がある鳥である。
    それがむしろ常識ですか
 
  (‥ )経験的に考えれば鳥の
      顕著な特徴のひとつは
      くちばしを持つこと、
      歯をもたないことだから
      ”歯がある始祖鳥は
      鳥ではない”
      こちらの方がむしろ
      正しい反応なんだがな。
 
 歯を持つ鳥。進化論的な考えに基づけばこの”おかしな事実”を説明できる。ゆえに進化論は妥当だろう、そういう論証に基づいて眺めたその時、初めて”歯を持つ始祖鳥”は十分な理解の俎上に登り、支障なく理解できる現実となる。
 
 はず、なのだが
 
 ∧∧
( ‥)...おかしくね?
    世間の人は”自然選択説”を
    理解していないでしょうよ。
 
  ( ‥)自然選択説を理解して
      いなくても、進化、
      つまり”生物の変貌”
      だけを信じていれば
      始祖鳥は受け入れられる
      そういうことかもしれん
 
 だけども、この解釈でも説明できないことがある。
 
 ∧∧
( ‥)以前、話をした人には、
    生物は進化する、という
    ことは知っていたけど、
    ”始祖鳥は歯を持つ”という
    知識を聞いて。素直に
    驚いていた人がいましたよね
 
  (‥ )つまり、進化という理論を
      知っているだけでは
      ただちにintermediateを
      理解し、受け入れられる
      わけではない、そういう
      ことが分かるよね。
 
 ※intermediate:インターメディエイト まま訳せば中間種。ただし、この言葉は1と3の中間は2である、という意味ではない。”1と3の中間が2であるとは限らない。別の姿でありうる”この意味におけるインターメディエイトはダーウィンによる理論の中核をなす概念の一つであるけども、世間的には非常に誤解されているものの一つ。
 
 そして、以上のことはむしろ次のことを示唆しているように見える。
 
 始祖鳥は歯を持つ、これを別に不思議に思わない私たちは、実は知識を鵜呑みにしているだけで、鳥の特徴を理解しているわけではない。
 
 ∧∧
( ‥)つまり子供の時か、いつか
    そういう知識を鵜呑みにして
    そのままなのだと。
 
  ( ‥)話を戻せば地下は
      マグマでどろどろだ、
      この”常識”の由来は何か?
      実のところ、
      そういう描写は子供向けの
      ロボットアニメとかで
      よく見た気がするよ。
 
 うろ覚えだが、例えば宇宙戦艦ヤマトでは遊星爆弾の落下で富士山が噴火する場面がなかったろうか?
 
 ∧∧
( ‥)まあ、マグマだまりの上を
    どんぴしゃりで剥ぎ取れば
    噴火自体は起こりそう
    ですけどね
 
  (‥ )そりゃあ溶けてる場所を
      えぐるのだから当然。
      しかしそれは特別な
      場合だよね
      普通はそんなことは
      起こらん。
 
 地球上における火山の分布を見てみるがいい。恐ろしく偏っている。そういう、”地下にマグマがあらかじめある場所”以外、他の場所に隕石を落としてもどうこうなるもんじゃない。その場の地殻を全部剥ぎ取っても高温のカンラン岩が露出して、それで終わりである

 ※減圧溶融という手はあるが、それを実現するには地殻を剥ぎ取りました、では駄目で、もう一工夫必要。調べたい人はそれなりな検索ワードを使うか、教科書を見よ。三手ぐらいは数時間から数日で思いつくか行き当たるので、それから個々の手が妥当かどうか、検討すると良い。
 
 ∧∧
( ‥)それを考えると、
    地殻を剥ぎ取ればマグマが
    ぼこぼこ、とか、
    マントルは溶けているとか、
    あれは漫画やアニメの
    影響ですかね?
 
 ( ‥)影響というか...
     地学は必須科目でないから
     間違った知識が是正されない
     だから当然、作り手も
     地下は溶けている。
     そういう思い込みで演出する
     それが知識として
     連綿と伝わってきた
     単純にそういう話
     なんだろう
 
 
 ああ、そういう点ではドラえもんは違うよなあ。確か、地底探検車で地球の奥深く潜っていくとき、
 
 ∧∧
( ‥)記憶ですけど、
    マントルは固体として
    描写されてませんでしたっけ?
 
  (‥ )コアに突っ込んだ時、
      液体の描写になるんだよね
      少なくとも探検車が
      外部コアにぬるーーっと
      突っ込んでいくんだ。
      あれを見たときには、
      さすがF先生。違うわ、と
      思ったものだけど。
 
 
 僕らは単純に子供の頃の思い込みや、鵜呑みにした知識だけで物事を判断しているかもしれない。
 
 考えても正しい解答を導けない人にとって、正しい知識を鵜呑みにする、というのは体にも頭にも世間体で考えても良い話ではある。
 
 だが、当然、鵜呑みは致命的にもなりうる。
 
 そして最初の話、タコの貝殻に戻る。
 
 ∧∧
(‥ )すると? シルテンシスさんが
 □−  原始的?
 
  (‥ )単純に考えるとそうだね
      逆転の可能性もあるけど
      素直に考えればそうだ。
 
 
 
 
 

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