種の起源を読む。そしてこういう書評を書く人は多い。
:中間種の問題はクリアーできていない
:地層記録が不完全って言い訳がましくない?
:獲得形質の方がいい
:自然が主体になっただけで、創造論と同じでは?
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( ‥)ありがちですね
(‥ )ありがち、というかうじゃうじゃいるけどな。
”中間種が見つかっていないという解釈”が抱えている問題は先にも書いた通り。
中間種とは半順序のintermediateであること(つまるところ中間種を問題視する人は中間種を理解も推論も出来ていない)
中間種と進化理論は、断片的なデータから連続した過程を推論することなのであって、それを否定するのは致命的な間違いであること(中間種の問題がクリアーできていないと主張するその人自身の連続性が保証できなくなる)。
∧∧
( ‥)化石記録の不完全性は身近な地層を見れば
-□ 分かることですしね。
(‥ )三浦半島へいけば深海の堆積物の上に火山灰からできた
赤土が積もっているしな。
河川堆積物の上に赤土、浅い海の堆積物の上に赤土。地層の不整合なんてあっちこっちで見ることができる。よもやと思うが、不整合って言葉すら知らずに「化石記録の不完全性は詭弁」とか思っているんじゃあるまいな?
獲得形質に関していっても
∧∧
( ‥)僕らネコの品種はあれですかね、努力したから
色々な形質を獲得したってことですか?
(‥ )長毛種は長い毛を努力や経験で獲得したってか?
∧∧
( ‥)寒いところにいて毛がのびたとか、そういう理屈?
じゃあ、暑い日本にいる長毛種はどうして毛が短く
獲得できないのですかね?
(‥ )スコティッシュフォールドの折れた耳は
どう経験するんだろうねえ?
マンチカンの短い足は歩かなかったせいかね?
いや、違うよね?
あるいあれだ、ハツカダイコンの品種は、肥料かなんかのせいで丸くなったり、細長く伸びたりして、それが固定されたのかね?(ハツカダイコンは品種によって長かったり丸かったりする)
∧∧
( ‥)ハツカダイコンの赤や紫、黄色は
何を経験したんですか?
( ‥)獲得形質って簡単に言うけどさあ。
あれを平気で言う人たちって
世界をどう見ているんだろうな?
身近でも色々な形質を見ることができる。あれらはいかなる経験から獲得した形質なのか? パグやミニチュアダックスフントを見て考えたことはないか? 何をどう経験するとあんな形質が獲得できるというのかね?
∧∧
( ‥)自然が主体になっているだけで、宗教だ
というのもねえ
(‥ )観測できる事実だけから組み上げるのか、あるいは
神でもインテリジェンスでも宇宙人でも不思議な法則でも
そういう仮想存在を組み込んで説明するのか。
その違いを無視して、神を自然に置き換えただけだというのなら
∧∧
( ‥)因果関係を組み込んだものが
すべて神様になっちゃいますよね
(‥ )神様理論を即物的な事実だけから組み上げる、そういう点では
神を自然に置き換えた、という理解自体はたぶん正しいの
だよね。
しかし、だから神様理論も進化理論もどっちも同じ宗教ではないか、と言ったら
∧∧
( ‥)天気予報も宗教になります。
(‥ )天候という現象を、観測できる事実だけで
置き換えている。でも因果関係を組み込んだ
理論であるからな。
思うに、書評というのは恐ろしい。あれは得意げに他人を論評しているようでいて、自分の脳の出来を広く人々に開示していることに他ならない。
∧∧
( ‥)怖いですよねえ。
(‥ )クジャクのオスが尾羽を広げて誇示するのだけど、
模様がひん曲がっているようなもんでな。
それを見て、わー、おっしゃる通りですよねえ、すごいですねー、と言ってくれる人もいるけども
∧∧
(‥ )うわっ!! ださっ!! ゆがんでる。
何があった、どうした!! 寄生虫か??
栄養不足か?? なんじゃあこりゃあ
(‥ )という評価もあるわけでさ。
自分の脳の出来を開示するが書評であれば、相手の脳の出来を評価することで自分の脳の出来を開示するのもまた必然。
∧∧
( ‥)怖い世界ですよねえ・・・
(‥ )怖いよねえ。
というわけで、書評をする時は
「作者はこのように考えているらしい。この仮説Aに基づいて読み進めたところ、この仮説Aを支持する記述が以下のように見つかった。ゆえに仮説Aは妥当であると考え、ここに提示します」
∧∧
( ‥)ずいぶんと素朴な確からしさ表示ですが・・・
( ‥)でも現状はこれが精一杯だと思うよ
-□
やらないよりはましかと思います。
*ちなみにクジャクの尾羽は正確には尾羽ではないのだけども、この呼称は分かりやすいものとして使用。
∧∧
( ‥)性淘汰の典型的な事例として使用
( ‥)クジャクの尾羽には難しい話があるのだけどもさ
-□