オレ様鳥進化論者:教科書も論文も読まず、鳥の進化に関して独自の仮説を唱えるが、進化の理解に欠かせない進化理論を知らず、歴史の推定に必要な系統解析も知っていない。さながら熱力学とその苦闘の歴史を知らないのにオレ様の新型エンジンは理論上、既存のすべてのエンジンの性能を上回ると語るがごとし。無論、実物を建造したことはない。
創造論者:神が世界を作ったという仮説を守る人々。かつて科学者は神が世界を創造したという仮定に基づいて科学を建設したが、あまりにも整合しないデータがおおくなりすぎたためについにそれを放棄した。今の創造論者はそれを知らずむしろ退化している。彼らの世界観は19世紀というよりはむしろ18、7世紀と言えるくらいに後退している。なんという失望。
オレ様進化論者:大概な場合、種というカテゴリーがあると無意識に前提し、そのカテゴリーの枠組みを突破するためにいつも無茶な新機軸を導入するが、当然のごとく世界理解に役立たない。論文を書かず、書けず、業績を上げられず、進化理論を論であるとして自分の無知な世界の枠組みに押し込め、そして進化理論の業績を無視する。
しかし思うに
∧∧
( ‥)なんですか?
(‥ )あの人たちは一歩でも外に出たら敗北するって
実は気がついているんじゃないかな?
そう思うことがある。
教科書読まない、論文読まない、現時点における科学者の考え方を知らない、知ろうとしない。実際、知ったらおしまいだ。系統解析のなんたるかを知ったらオレ様鳥進化論は古今東西、どれもこれも単なるガラクタだってことが理解できてしまう(30年ぐらい前ならオッケーだったんじゃねーの?)。
集団遺伝学やネオダーウィニズム(単にダーウィンのアイデアにメンデル遺伝と統計学をくっつけただけなんだけど)を理解したらオレ様進化論は終わってしまう(あんたたちの言うそんな新機軸、導入する必要なんてそもそもなくね?)
科学が検証の連続であり、説明できるだけでも論理的なだけでも駄目であり、1つの反証ですべてが破壊されるわけもない。そうであると知ったら創造理論はおしまいだ(説明できてもそれだけじゃ意味ねーじゃんよ)。
( ‥)昔、創造論者の人と話した時に感じたんだが
∧∧
( ‥)ああ、ずいぶん昔のことですね。
自説に不利な証拠を耳にすると、あーーーー、、、という感じで答えも言葉もはぐらかせてしまう。その瞬間、眼の焦点があっていなかったようにも思えるし、あるいは自説と現実の間にまたひとつできたギャップを埋める仮説を必死で構築している最中かもしれない。
∧∧
( ‥)ああ、考えるのに脳の容量の大部分を
割いているのだと。
(‥ )だから一瞬、ぼーっとするのかとね。
そう思っただけなんだが。
彼が特別だったのかもしれないし、そうでないのかもしれない。
とはいえ思う。最節約に考えて現実と整合する仮説をチョイスすることを止めた時、あるいはひどく俗っぽい言い方をすれば、どうも研究者ってのは自分と違うことを考えていると分かった時、そうなったらそうねえ、意識的であろうが無意識的であろうが安全圏に留まるのは当然であるよね。
∧∧
( ‥)向こう側が危険地帯だと気がつくわけですか。
(‥ )なんとなくやばそうって
それはさすがに分かるんじゃねーの?
自分の仮説に誰も見向きもしないと分かった時、それは失望と怒りにつながるだろうけども、本当に恐ろしいのは自分の仮説が”なぜ見向きもされないのか”というwhy?を知ることであって
∧∧
( ‥)whyを知るにはHowを知らなきゃいけませんね。
(‥ )科学者が”どのようにして仮説をチョイスするのか”
そういうHowを知ったらどうなるだろう?
自分の仮説が破壊されてしまうその理由が理解できてしまう。それは恐怖だ。
( ‥)恐怖よりは失望と怒りの方を選ぶだろうな。
∧∧
( ‥)はあ、そんなもんですかね?
あの手の人たちの推論過程とか検証とかはまあ後の課題として置いておいて、彼らの心は、そうねえ、心はあまり考えたことがなかったなあ。
∧∧
( ‥)あなたに人の心が理解できるんですか?
(‥ )できるよ、当然。
すべての人間はある共通祖先を有する。それゆえ脳神経はかなりな部分共通であり、かなりな部分、類推が可能。
(‥ )ちなみにここで言う人間とはバブルス君よりも
- ジョージ・ブッシュjrに近いものを......
∧∧
( ‥)はいはい