こんな話。例え幽霊が現れても、物理的に浮かぶことは不可能だ。そのことを相手に説けば、相手は落ちてしまう。
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( ‥)幽霊ってのは浮いているものだっていう
前提付きですね?
(‥ )まあ、超上のものは常識はずれであり、
常識はずれなものは超上のものであるってことかね。
たしかに惑星の大気中で何らかの動力もなく、静電気だの磁力だのも使用せず、それでもぷかぷか浮いているのは周囲の大気よりも密度が低い/軽いか、さもなきゃ万有引力に抗しているわけでありまして
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(‥ )もしもし、そこのあなた万有引力に反して
浮いていますよ・・と言えばいいの?
(‥ )万有引力でいいかどうかは知らんが、まあ
そういうことじゃない?
これを逆手にとったのがSF銀河ヒッチハイクガイドシリーズにおける飛行術。すなわち落ち損なう。
∧∧
( ‥)引力を完全に失念するんですよね。
(‥ )そうすると引力から自由になって
自在に飛翔できるという技ね。
まあ、引力を忘れるだけで法則から自由になれたらそりゃあ落ちんよね。
と、こんな話はともかくとして。
もしもまじめに考えれば最初の提言。空中に浮かぶ幽霊に物理法則を説けば落ちる/存在を否定されて消滅する、というのは、実のところあまりいい考え方とは思えない。
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( ‥)なんで?
(‥ )法則に反する事例に法則を説けばその事例が解消する
もしもそうだとしたらだよ、
もしもそうだとしたら万有引力に反しているから水星くん、君の公転周期はおかしいでしょ? と言えば水星の近日点の移動は解消されるのか? ということでありまして。
∧∧
( ‥)ああ、ようするに法則とは現象を説明するために人間が
作ったものであって、例外の事例はむしろより良い仮説を
発見する手がかりになりうるということですね。
(‥ )だから例外の現象をすべからく無視するのは
よくはないよね。まあ、例外の現象ってのは大抵の場合
しょうもないものなんだけどさ。
実際、例えば自分の部屋の中に身も知らない、しかもいるはずのない人間がいて、それが半透明だったりぷかぷか浮いていたりしたら、それはまず自分の脳内で起きている現象で、ただの幻覚だと思った方がいい。
とはいえ
( ‥)もしもジョークの域を越えて、幽霊も既存の
物理法則に”絶対的”に従うものである、と考えているとしたら
それは地位や立場によっては致命的だろうね。
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( ‥)例えば?
研究者であるとかライターであるとしたらまずいんじゃない? 幽霊ってのはほとんど論外な例え話、つまり幽霊が実在すると考える必然性は最節約にはまったくないのであるから、だからこの場合ではそれでもいいけど、もしも
”これから遭遇するいかなる例外的な事例も既存の法則の枠内で説明できる”
とちょっとでも思ってるとしたら、そりゃあまずかろう。
まあどうでもいいような業績しか上げられないか、あるいはパラダイムシフトって呼ばれる現象が起きた時にぼろが出る。
∧∧
( ‥)サイエンスライターも例外ではないと。
(‥ )破滅するね。まず間違いなく。