自己紹介

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2017年7月7日金曜日

科学のすべてに歴史あり

 
 ∧∧
(‥ )翼竜は何年もかけて
\−  大人になる
    成長がまるで爬虫類
 
  (‥ )でも空を飛べるんだよな
      というか卵から
      孵化してすぐ飛べる
 
 そしてこの成長様式が翼竜の信じがたい巨大化を実現した鍵ではないかという考えもある。成長が何年も続くのなら、それを延長すれば延々と巨大化が可能だ。
 
 ∧∧
(‥ )後は超巨大種のあの巨体で
\−  本当に飛べたのか?
    という疑問ですか
 
  (‥ )翼があるからには
      飛べたはずだから
      これ現実問題というよりは
      計算すると飛べないはずだ
      と言ってる航空力学者の
      問題なのよね
 
 現実がそうなのだから、それを説明できないのは生物の問題ではない。現実を説明できない理論の問題だ。計算すると飛べないというのなら、それは理論面か前提に致命的な不備が隠れているということであり、それ以上のものではありえない。
 
 ∧∧
(‥ )...でも理論上は飛べないはずだ
\−  と大騒ぎする人多いよね
 
  (‥ )説明できない未知の事柄を
      前に立ち止まるのが
      科学であることを考えると
      科学者じゃない連中が
      多いってことだろ?
 
 ニュートン力学で水星の軌道を説明できなかった時、天文学者は水星が間違っているとは言わなかった。代わりに相対性理論が発明されるのである。
 
 では、これを踏まえた時、巨大翼竜は飛べなかったと結論する航空力学者とは一体何者であろうか?
 
 これは航空力学者が科学者でもなんでもない、という証明であろうか?

 航空力学者は天文学者よりもはるかに劣った存在でしかない、ということであろうか?
 
 あるいは歴史に埋もれただけで、水星の軌道が間違っていると言い続けた天文学者もいたのであろうか?
 
 確かに水星の軌道の説明のつかなさは水星よりも内側に未知の惑星が存在する証拠だと考えた人もいたし、その惑星を実際に”見つけた”ことすらあった。これを考えると水星に挑んだ天文学者も、巨大翼竜を前に途方にくれる航空力学者も同じということであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )どうなんでしょうねえ?
\−
 
  (‥ )見てれば分かるさ
 
 
 あるいは、説明のつかないものを前にすると人はとんでもない補助仮説を持ち込むこともある。例えば、飛べないことを説明するには地球の重力をいじってしまえば良いではないか、という発想だ。
 
 ∧∧
(‥ )翼竜が空を飛べたのは
\−  地球の時点が超高速で
    その遠心力で重力が
    相殺されたから
    という説はどうする?
 
  (‥ )それだと極に大陸が
      集中するから
      重力の高い地方にだけ
      陸上動物が存在することに
      なるわけで
      意味なくね? ですませる
 
 海底は動いているが、これは重さで駆動されている。引力に極端な勾配がある世界では引力の強い地方に海底が動く。大陸は海底の動きにひきずられるから、高速自転地球ではすべての大陸が重力の高い極へ移動することになり、遠心力で重みを軽減しようという試みはすべて水の泡。
 
 そもそも高速自転すると地球は極端に扁平な回転楕円体になるから緯度が高くなると急激に太陽の高度が低くなる。つまり高速自転地球は赤道以外がすべて凍結した惑星になっているだろう。あるいは赤道が膨らんでいるので歳差が極端に大きくなる可能性もある。例えば居住可能半球がごく短い時間で南、北と交代するかもしれず、多分、高速自転地球に地上生物は存在しない。
 
 さて、翼竜の問題の次はディノニクスの狩りだ。
 
 ディノニクスは集団で狩りをしたと言われている恐竜である。なぜかというに中型サイズの植物食恐竜と複数のディノニクスが一緒に発見されたからである。狩りに失敗し、獲物と相打ちになったという解釈だ。
 
 ∧∧
(‥ )でもディノニクスが狩りをした
\−  という説は今では
    疑う人が多いのだね
 
  (‥ )ディノニクスの
      獲物にしては
      相手がでかすぎるんだよな
      現在の動物でも
      あんな体格差で挑む例は
      そうそうない
      というかそもそも解釈に
      無茶があるんだよ
 

 一緒に産出したらその化石たちに生前の関係性があるとは、相当に無理な発想だ。化石は死んだ遺骸が色々な過程をへて出来るものである。実際、ほとんどの古生物学者は普通こんな発想をしない。恐竜の人は僕らがしない解釈をするよねえ…、という苦言は時にこぼれてくるものである。
 
 とはいえ、ディノニクスが狩りをしたという説は、恐竜学の普及には大きな役割を果たしたのであった。それまで恐竜は劣った爬虫類で、研究するに値しない、みたいな扱いであったから。
 
 しかしこうした宣伝で興隆した恐竜学が今度はディノニクスが群れで狩りをした説をだんだんと捨てようとしている。非常に悪く言うと宣伝に必要だったほら話は、必要なくなれば捨て去られる。それだけの話だとも言える。そもそもあの説、20年ぐらい前から本当かよ? 言われていたものだし、そろそろ潮時だってことなんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )恐竜学にも歴史あり
\−  ですなあ
 
  (‥ )翼竜の飛行
      ディノニクスの狩り
      片方は現在進行形で
      片方はそろそろ終わり
      いずれも
      歴史の一コマだって
      ことだな
      

 

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