自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2015年10月3日土曜日

小説とはただの檻である

 
 ∧∧
(‥ )ロシアがシリアのアサド政権を
\−  支援するために政権の敵を空爆
    ロシアはISISだけでなく
    反アサド勢力を広く
    空爆していると
    アメリカ、オバマ大統領は批判
 
 (‥ )アサド政権はアラウィー派
     アリーをあがめる点では
     シーア派と似てるかなあ…
     そして
     シーア派の大国イランは
     アサド政権を支えてる
 
 
 アラウィー派は実際にはイスラームとは言えない。もはや別の宗教。
 
 しかしそれを言えばシーア派だって同じようなもの。あれは、いつか再臨されるササン朝ペルシャの代理として現世を統治する、そういう世界観だと考えるべきであろうし。
 
 ロシアがアサド政権を支えるのも、伝統的な南下政策と考えれば特に目新しいものでもない。ロシアの南下先は黒海の先のトルコであったり、地中海であったり、あるいはイランであったり、アフガニスタンであったり、極東の満州であったり日本の千島列島であったりするわけで。
 
 ∧∧
(‥ )イランは反米政権だし
\−  今のところは反ロシアには
    ならないし
    アサド政権を地中海への
    足がかりにしたい点では
    イランもロシアも利害は
    一致するだろう
 
  (‥ )結局さ
      イラク戦争前にあらかじめ
      言われていた問題の
      延長なんだよな
 
 イラクを支配するフセイン政権はここでは少数のスンニ派。イラク国民で多いのはシーア派。そして反米政権のイランはシーア派。フセイン政権を倒したら、反米勢力が勢力を拡大するはず。なぜにアメリカは自ら自分の敵を増やすようなことをわざわざするのか?
 
 ∧∧
(‥ )そういう意見を無視ぶっこいて
\−  攻め込んで
    尻尾巻いて逃げ出して
    シーア派とロシアは
    影響力を拡大し
    スンニ派からは
    反欧米の過激派ISISが出現し
    今やアメリカになすすべなし
 
  (‥ )民主主義を宗教とする
      国家の大失政よな
      絵に描いた馬鹿とは
      まさにこのこと
 
 民主国家にできるのは破壊と虐殺、先住民の奴隷化のみ。民主国家に帝国統治は無理と知るべし。
 
 ∧∧
( ‥)でもそうは思わなかったから
    ああいうことを
    やっちゃったわけだよね
 
  (‥ )人間ってさ
      自分の信念という
      既存の枠組みから
      外れることが
      出来ないんだ
      
 
 例えば冷戦が終わった時、これでスパイ小説は終わりだ、と言った人がいた。なぜなら二つの超大国の対立が消滅したからである。
 
 ∧∧
(‥ )現実にはKGB上がりの
\−  プーチン大統領が
    弁護士上がりのオバマ大統領を
    翻弄してますけどね
 
  (‥ )超大国が消滅すれば
      かつてのような
      列強諸国の対立に戻る
      スパイ活動は
      冷戦時代よりも
      複雑になるはずなんだがな
      だがそうは
      思わなかったわけだよ
      なぜだと思う?
 
 それは単純に、冷戦、という枠組みだけで思考や論理や論法や理解や表現を作り上げていたからだろう。
 
 ∧∧
( ‥)冷戦という枠組みが
    壊れれば
    そのすべてが瓦解して
    途方に暮れてしまう
    現実は冷酷に次の相へ
    移行していくのに
    作家はそれについていけない
    アメリカも冷戦後の世界に
    ついていけなかったようにね
 
  ( ‥)本を読むと自由になるとか
    −/ 言うけどさ
       そんなの嘘だよね
       作家は枠組みの中でしか
       歩き回れない
       飼いならされた
       存在なのだ
       作品を読むとは
       作家がすんでいる檻に
       入ることと同じこと
 
 そして、作家は檻が破壊されると途方に暮れるのである。かごから出された鳥が空を飛べないようなもの。
 
 そういえば先日、人とこんな話になった。
 
 その人曰く、創竜伝は完結させて欲しいよね。
 
 ∧∧
(‥ )ああ銀河英雄伝説を書いた
\−  作家さんの小説だよね
    竜の血脈の兄弟が
    舌鋒鋭く現在を批判するという
 
  (‥ )でもあれ
      冷戦時代の小説であり
      冷戦時代の批判なんだよな
 
 それは冷戦時代の舌鋒鋭いでもあった。
 
 冷戦時代の政権批判、日米批判というのは、アメリカと日本の政治家によってあてがわれた、平和という檻に閉じ込められた引きこもりの理想論でしかない。
 
 そして冷戦が終わると、列強の時代が戻ってきた。
 
 自分を養ってくれる口うるさい親を理想論で批判できた時代は終わったのだ。引きこもりは部屋から出て、アルバイトをしなければいけない。
 
 さて、では、冷戦終了後の世界で、創竜伝はどうなるであろうか? 当時、そんな話を知り合いとした時に出た意見が
 
 ∧∧
( ‥)ギャグに走る
 
  (‥ )良い手だろ?
      現実逃避するには
      笑いに走るべきだ
 
 小説は虚構でしかないが、小説は世界でもある。その世界から自由になりたくば、走るが良い、ギャグの世界へ。

 そんなことを話していた後に出た続編で、甲冑をまとって高笑いするおばちゃんの登場を見た時、予測は確信となった。
 
 そうだ、それで良いのだ。部屋から出るすべが無いのなら、笑いに走るのが正解。
 
 ∧∧
(‥ )すべては予測のままに
\−  ですか
 
  (‥ )そうだすべては
      予測から一歩も外へ出ない
      小説で自由になるなんて
      ただの嘘っぱちだよ
      小説は檻さ
 
 
 しかし、本には無数の種類がございます。つまり無数の檻があるのです。皆様が望む檻はどれでしょうか? 人間には自分の檻を選ぶ自由がございます。
      
 ∧∧
( ‥)そして現実の前に
    自分の信念の檻が壊れても
    その檻から出ない自由が
    人にはあるのだと
 
  (‥ )それが笑いだよ
 
 これを思うに、押し寄せる現実に押しつぶされそうなオバマ大統領がやるべきは明瞭ではなかろうか?
 
 彼がやるべきは乾坤一擲、渾身、捨て身のギャグ。
 
 
 
    

ブログ アーカイブ