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2014年1月27日月曜日

携帯電話がない世界とタプリジオットコンタクト

 
 攻殻機動隊の世界には携帯電話が無い。
 
 ∧∧
( ‥)荒巻部長さんはiPhoneサイズの
    無線機らしきものを
    持っているけどね
 
  ( ‥)荒巻部長は電脳化して
    ‐□ いないのかなあ?
      コードが
      接続している描写が
      彼が登場する最初の
      コマにあるんだけどね

 *注:これは連載時の話で、単行本では第2話の二コマ目がこれに該当する。
 
 ∧∧
(‥ )他の皆さんは電脳化で
\‐   無線でもおしゃべりを
     するんだよね
     だから携帯電話がいらない
     だけど携帯電話がない
 
  (‥ )第3話だと公衆電話から
      ハッキングをかける話が
      あるくらいだからな
      携帯電話がないって
      ことだよね
 
 もちろん、現在と同様、携帯電話が普及しても公衆電話自体が残っているように、電脳化で直におしゃべりするようになっても、公衆電話が存続することはあるのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも、実際には話は単純で
    漫画の連載当時は
    まだ携帯電話が
    普及していなかったからだと
 
  ( ‥)携帯電話が
    ‐□ 普及し始めたのは
      90年代の中頃だ
      攻殻機動隊の単行本は
      91年に発行
      連載はもっと前だよね
 
 これ、同じ士郎正宗さんの作品、アップルシードだともっとはっきりしている。
 
 ”人類を理想的な種族に改良しましょう。そうでないとこの狭い地球で人類は絶滅の道を歩む” 
 
 この提案がなされた時、オリュンポスを管理するコンピューターであるガイアはこれを人類に対する”災害”と見なして、提案と討論を阻止すべく行動を開始する。ガイアのコントロール下に置かれた戦車が攻撃を始める中、人々は連絡をとろうと、公衆電話に列を作るのだ。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、明らかに
    携帯電話が存在しない世界
 
  (‥ )自立機械、調整された人間
      サイボーグ、
      パワードスーツ、電脳
      これらを予測して描いても
      携帯電話の普及は
      予想できなかった
      そういうことでもあるね
 
 もちろん、災害時なんで電波が通じないのです、と説明することは可能だけども、よりシンプルな解釈は、携帯電話がない、というものだろう。
 
 携帯電話がない未来であるにも関わらず、攻殻機動隊に違和感を覚えないとすれば、それは電脳で直に無線しているからに他ならない。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えれば携帯電話は
    現在世界における
    予想外かつ、驚愕の
    発明品であるのだと
 
  ( ‥)携帯電話やネットを描いた
    ‐□ SFは幾つかはあるそうだよ
 
 だが、携帯電話は予測できても、その結果がこんな世界だとは誰も思っていなかった。これはテレパシーが普及したのと同じことなので、へたなことを言うと炎上して失職する場合もある。こんな世界はまったくの予想外だ。
 
 ∧∧
(‥ )あなたとしてはこの手の
\‐  予言と的中の是非って
    どう思います?
 
  (‥ )どうでも良いよね、
      話は面白ければ良いのさ
      そして現実を越えるには
      狂気にコンタクトする
      必要がある
      そういう感じかな
 
 例えば砂の惑星を書いた作者ハーバードは小説「鞭打たれる星」を書いた。
 
 *原題[Whipping Star] 1970年の作品。
 
 ずっと未来。人類も含めて数多くの知的生物が連合を築いた世界。幾つかの種族は妙な力を持っている。それらは原理こそ不明なれども、どれも基本は同じらしい。時間と空間を越えてなんらかのコンタクトや接続、操作を行えるのだ。光年単位の距離をものともせずに空間を接続し、長距離移動を可能ならしめるカレバン。五体で一つの自我を共有しており、いざとなればそれをやりとりできるパンスペッチ。肉体を元の状態に接続、復元できるらしきビューティーバーバーズ。
 
 ∧∧
( ‥)そして心と心の直結と
    通信を可能ならしめる
    タプリジオット
 
  (‥ )タプリジオットたちが
      提供するサービス
      それは思い描けば
      その望む相手が
      どこにいても自在に
      着信して通信できる
      タプリジオットコンタクト
 
 
 だが、問題がひとつある。銀河ですら横断できるテレパシーと言えば聞こえは良いが、このタプリジオットコンタクト、着信した人間はトランス状態になってしまって体はがくがく痙攣して白目をむいてもごもご言い始めてしまうという困った代物。おまけに着信拒否が出来ない!
 
 ∧∧
( ‥)ようするに着信したら最後
    人間が
    バイブレーター機能付きの
    携帯電話に強制的に
    させられちゃうサービス
    なんだよね
 
  ( ‥)ハーバード、
    ‐□ いかれてるよな
 
 こういういかれた発想こそが予想外の未来を切り開くやり方でもあるのだろう。しかもこれ、笑うに笑えない話なんである。やってきた現実が少しこれと似たところがあるからだ。
 
 ∧∧
(‥ )それにしてもハーバードさん、
\‐  どっからこんな発想を
    得たのだろうね?
 
  (‥ )なんかタプリジオットから
      秘密を聞いたと
      書いてたけどな
 
 
 
 
 *予言が的中するか否か、というのは関係ない、話は話で見るべきだ。それはこちらの話hilihiliのhilihili: うろ覚えではあるが、少佐の話はそういう事ではないと思うに関連することでもある。
 
 **攻殻機動隊のアニメに関してはこれを論じない。
 
 
  

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