中学の時に読んだその本にはこう書いてあった。画家というものは描くものをひたすら解体している。憎み愛しているのだと。
∧∧
( ‥)?
(‥ )こう翻訳すれば良い?
構造理解に執着している。その執着を愛と呼ぶのか、あるいは理解のために解体と再構成を繰り返すその行為を憎悪と呼ぶのか、それは認識の問題。あるいは認識の彼方。
( ‥)それ以来、いつもいつも悩む。
自分は人間を解体した
ことがない、果たして
人を愛しているのか、と
∧∧
( ‥)おーい
(‥ )ふと思った。人を解体し、
再構成したってストーリーは
あるものだろうか?
∧∧
( ‥)その人格理解のためにですか?
あってもおかしくないけども
知りませんねえ。
君を理解したいがために君をバラバラに解体し、しかる後に仮説に従って再結合を試みた。ああ、見よ、再現された君は以前の君の動作を再現している。私は君の理解に成功した。しかしこれがなお妥当であるか検証しなければならぬ。かくて理解は無限に前進し、解体は無限小にまで続き果てなく途切れることはない。確かに私は君を愛したぞ。全身全霊、愛したとも。しかし問題はだ、愛とは一体全体なんだ? フェロモンか、ホルモンか、神経の励起か? 解体につぐ解体、再構成につぐ再構成。理解せよ。愛は解体されて把握された機構へと姿を変える。見よ、私は愛を愛し尽くし何も残っていない。
ひるがえるに、例えばの話、フランケンシュタインは単に複数の死体をつなぎ合わせただけだった。なんのことはない、死者の復活、命の操作、神への挑戦であって、そこには理解も探索もない。
( ‥)だからホラーなんだよな、
-□ 言い換えるとだよ、
人間を解体し、再構成し、
その動作を確認することで
理解を検証した、それでは
ホラーにならんということか
∧∧
( ‥)言ってることが微妙におかしいよ?
(‥ )人を愛していないって
人としておかしいと
おもわんかね?
∧∧
( ‥)落ち着け、寝ろ。
私は人を愛したか?