昔、ほんの一時、科学雑誌ブームが起こった。それはすぐに終わって90年代には今も現役のNewtonと、もう1つだけが残った。
( ‥)その雑誌で何度か記事を書いたんだ。
∧∧
( ‥)それこそ、あなたが駆け出しの時
の話ですね。
しかし、その雑誌もついに休刊ということになった。
*雑誌は事実上の廃刊でも、もろもろの事情で休刊という体裁をとる:出版コードとか雑誌コードといったキーワードで検索してみると良い。
事実上の廃刊。全国の研究者から廃刊するな、という声や手紙が届いたらしい。実際、寄せられた声や言葉の数々を見せてもらった。雑誌に掲載もされた。
「知り合いの研究者の方にも声をかけてみましょうか?」
「いやあ、いいよ、もう終わるし。僕も大阪へ転勤することになったし」
(‥ )ああ、こいつらやる気もする気も
意義も何も感じないで金もらっている
それだけなんだ、そう思ったな。
∧∧
( ‥)給料以上のお仕事を要求するのは
横暴と言えば横暴ですけどね。
雑誌に掲載された研究者の言葉と声があれほどむなしく見えたことはない。編集部は声が来たからしょうがなく掲載しただけだ。
「ライターさんたち困っているらしいんだ」
「ああ、僕は困らないですよ、どうとでもなりますから」
∧∧
( ‥)あなたはそもそも仕事が
なかったですからね。
( ‥)1が0になるのは死活問題だが
痛くはないんだ。
100が10になった人は絶望的。困った人もいたんだろうなあ。
(‥ )給料取りは逃げることができる。
- ライターやイラストレーターは
そうではない。
∧∧
( ‥)まあ、あなたみたいに組織に入って
いないことを良いことに
「つまんねーからやーめた」とか
平気でやめちゃう人もいます
けどもね。
会社は朝日新聞社だった。後で別の人に聞いたら、研究者にインタビューにいくと「あんたのところ科学雑誌つぶしたろ!?」と言われて辛い、と述べていた。
∧∧
( ‥)でも、みなさん生活の方が大事ですからね。
( ‥)オーストラリアの研究者にこの
話をしたら。編集部が独立して
会社を作ったら良かったんじゃないの?
と言ってな。
実績があれば銀行もお金貸してくれるんじゃないの? という意見。開口一番で出てきた。
∧∧
( ‥)可能かどうかは分かりかねますが。
(‥ )問題はそういう気質も気概も
発想もあがきもこだわりも
何一つとして編集部には
無かったってことだな。
まあ、ジャーナリズムってのはそんなもんなんだろう。巨大で安定している企業の弱点で、リスクを避けて新しいことは何もしない。問題は先送りされて、自身が金食い虫になって自己崩壊しかかっている。
∧∧
( ‥)ともあれ。
( ‥)科学ジャーナリズムだあ?
笑える冗談だ。
何一つとしてできやしないよ。やれると言うならやってみればいい。状況が悪くなったら、どうせさっさと逃げるだろ。所詮はただの普通の人間だ。
まあ、口先だけでも良いからせいぜい頑張れ。そして幸せな人生を掴めば良い、まともな人間だったら、そんなことをしても君らを責めやしない。
まともな人間ならな。