生きるということはエントロピー増大の法則に反する行為なので、非常に大量のエネルギーを必要とする。これゆえに生は苦痛の信号に溢れる結果となった。
∧∧
( ‥)そうである以上
あなたは
科学で問題が解決する
ことを認めない
(‥ )科学が現実を操作できる
あるいはそれに
類似の基準で
発達したから
操作自体は
できるんだけどね
しかし、今の科学が強大な力を発揮できるのは、実のところ石油あってこそ。その膨大なエネルギーがあってこそであった。
∧∧
(‥ )つまり科学で問題を
\− 解決できるわけではない
(‥ )今のコロナ対策だって
石油が生み出す
膨大なエネルギー
あってこその成果だからな
ワクチンの開発も、その輸送も、全ては石油あってこその成果。
何一つとして問題は解決されておらず、石油が尽きた時に全ては終わるのだ。
いや、石油があってもどうにもならないことすらあった。
∧∧
( ‥)例えばあなたが描いている
科学史漫画の主人公は
ニネヴェ図書館だけども
(‥ )彼女の故郷って
今のイラクなんだよな
イラクは石油産油国であるが、しかし、どうにもならなかった。ありあまる石油で国土を緑化するとか、膨大な農業生産を誇るとか、輸出するとか、そんなことはなかったし、かつてのアッシリアの首都ニネヴェ(現モスール)はISISとイラク軍の争奪戦で廃墟になった。
∧∧
(‥ )アッシリア自体
\− どうにもならなかったよね
バビロンのような
宗教センターにはなれず
気候は悪化して
国を維持するために
略奪戦争を
行い続けざるをえず
戦争に特化するために
独裁制に移行する過程で
かつての市民軍も
同郷市民という紐帯も
放棄せざるをえなかった
(‥ )まさに
天の時、地の利、人の和
このすべてが無い状態で
力づくで存立して
覇王になって
滅びた国であり首都だよね
それを踏まえれば、科学で問題を解決しようなど無理な話であることは確かだった。石油と科学と政治、この全てがそろって、それでもなお、世界を制御することはほとんど無理なのである。
科学で問題を解決するなんていう物語を描けるわけがない。
∧∧
( ‥)でも反対に言えば
諦めの物語を描くことは
できるよね
(‥ )まあ一般人の趣向には
合わないけどな
水戸黄門を見ればわかるが、人間は安易な解決策を喜ぶし、そもそも安易に解決できると考えているものだ。人は存在が不自然であるがゆえに、その趣向は虚偽になってしまった。だから虚偽を喜び、尊ぶ。
しかし、自分にはそういう物語は描けない。そして人は描けるものを描くしかないのである。