自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2016年12月22日木曜日
ほんの近くにこんな世界
一昨日は地層を見るために出かけた。帰り際に今の仕事で描くべきメタセコイアを見つけたのだが、その前、地層の上の丘に登った時、つる植物をスケッチしていたのだけども
下校の小学生が
こんにちわーと
∧∧ 声をかけてきましたぞ
(‥ )
−( ‥)ん? ああ
−□ 怪しまれているんだろ?
この丘は町のどんづまり。この先には何も無い。この道を使うのはこの丘の上にあるごく小さな集落の人だけだろう。しかも浄水施設の脇をまわる小道である。知る人ぞ知るって道だろう。
よそ者だって
∧∧ ばれたか?
( ‥)
−( ‥)そりゃ確実に
−□ ばれてるよね
ここの人は全員
顔見知りか
それに近似だろ
そういえば小学生が来る前には犬をつれた若い女性も通りがかった。
リュックをおろしてたたずむこちらを見て、あからさまにぎょっとした風だったが。
おい私は怪しくないぞ
というアピールを
∧∧ するのだ
(‥ )
−( ‥)はは、可愛いわんちゃん
−□ ですね〜〜 とか言ったら
マジびびりするかもな
∧∧ …絶対するなよ
( ‥)
−( ‥)あの犬
−□ ミニチュアピンシャー
だよな?
ちょっと
頼りないかもね
スケッチブックを取り出し、目の前のつる植物(後でミツバアケビと理解する)をつまんで観察する。何してるんだか理解はできないだろうが、敵意も関心もないということは伝わるだろう。
とっ、これが一昨日の話。
昨日は玄武岩を見るために遠出をしたのだが、その時も、どうにも怪しまれた。
玄武岩の柱状節理をスケッチしていると、道行く車がこっちに関心を持っていることがあからさまなのだ。
こんな山道を歩いてる
人間がそもそもいないし
岩壁をスケッチするなんて
∧∧ 予測できないだろうし
(‥ )
−( ‥)音を聞いてるだけで
−□ わかるよな
車の速度を落として
それからアクセルふかして
過ぎ去っていきよる
怪しまれとる
∧∧ 怪しまれとるがな
( ‥)
−( ‥)やむなしやむなし
−□ ここも小さな集落だ
よそ者なんてすぐに
分かっちまうでよ
そもそも歩いている時点で
おかしいわけだし
ここでは数十万年前から山々が隆起し、隆起に対抗して山を削った川が深い谷を刻み、上から覗くと奈落のよう。何気ない住まいの近くにこんな地形があるとは想像もしなかった。
もちろん世界の辺境に比べれば大したことは無い。ヒマラヤとかでは落差数千メートル、ガードレールもない断崖の道を人や自動車やバスが行き来すると聞く。
それに比べれば、ガードレールに守られた落差200メートル未満の斜面など、なんてことはないはずだ。
∧∧ それでも怖えーぞ
(‥ )
−( ‥)さすがに
死ぬからなあ
なんだかんだ言って
怖いよなあ
隆起と浸食が生み出した、そんな地形が今いる場所のすぐ近くにある。舗装道路の道沿いから覗き込むと目がくらむようだ。
しかしそこを離れてもっと山奥に入れば、むしろ斜面はゆるやかで、そうした数百メートル四方、あるいは1キロ四方前後の広さのそこには水田が開かれ、果樹園が作られ、集落が点々と出来上がる。山向こう、ほんの少し先にこんな世界があるとは知らなんだ。
ここの小学生は
何キロもあるいて
∧∧ 通うのですかな?
(‥ )
−( ‥)そうみたいだな
通学路だろうという
小道が車道を突っ切って
丘や山に入ったり
してるからなあ
注意書きやらなにやら
色々あるしね
集落が作られる程度に傾斜がゆるやかといっても、高低差は100メートルはある。標高もそれなりにあるから気温も市街地よりずいぶん低いはずだ。実際、雪なんてしばらく降っていないのに日陰にはわずかな残雪や氷の塊があったりするわけで。
ほんの近くに
∧∧ こんな世界
( ‥)
−( ‥)盆地の地方都市に育った
俺もなんだかんだいって
平原住まいの都会っ子なのな
さて、今度はいつ、どんなルートでいこうか?
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