自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2016年12月12日月曜日
一番重要な事柄が秘密であり秘匿されている
日付がかわり、12時を過ぎて散歩に出ると外の気温はマイナス2度であった。
前いた場所なら1月2月
∧∧ 真冬の気温だね
( ‥)
−( ‥)まあそれでも東北
北海道に比べたら
こんなものなんてことは
ないんだが
寒いもんは寒いな
丘の上から眺める町の灯は冷たい空気と町の暖気がせめぎあうせいか、ひどく瞬いていた。日本海側から流れ込んできた雪に覆われた山は月明かりで白くぼんやりと闇夜にそびえている。
帰り際、妙なものを見た。なにやら道路の脇で反射テープを身につけた人物がかがんでなにかしている。怪しげな奴だと思ったら警官で、それも二人だった。角の家にバックで駐車した自動車のボンネットを懐中電灯で照らして調べ、何か話し合っている。
具体的な会話は分からないが、なんだろうこれは? というような、怪訝そうな、思案する声だ。
明かりで照らされた黒い車体に浮かび上がるのは、ボンネットの正中線に描かれた丸く明るいマークと、その上になぞられたハートのようなもの。それが霜と凍りついた雪できらきらと光っていた。
∧∧ なにあれ?
(‥ )
−( ‥)いたずら描きかな?
でもペンキには
見えなかったな?
パテのような質感
に思えたが...
確かに、なんだろうこれは? である。
ちらっと目を走らせた時に被害者で通報者であろうか、やせた男性と小柄の女性の姿を見た。何があったのかなんとも理解に苦しむ。
さてもさても
今から10年以上前、多分、20年は前になるか。その人はいった
芸大に入った時、先輩に好きな画家は誰か? と問われた。ダリだと答えると、先輩は、「ああダリは素人受けするからね」と言われた。その時はむっとしたが、今にして思えばそうだったよ。
∧∧
( ‥)という話を
あの人から聞いた時
その時のあなたも
むっとしたのだよね
(‥ )いやはやな
あの時は
俺も若かったよ
今の自分なら、
素人受けする! 実に素晴らしい!
それが生活する上で重要なことなのだ!
なんだ? お前らはそれが分からないのか?
はははっ 出直してこいひよっこ共め!
というだろう。
∧∧
(‥ )あの時、それが言えなかったし
\− 思いつきさえしなかった
あなたもひよっこでしたな
(‥ )まったくだなあ
あの時のオレはまさに
駆け出しだったからな
ああ、しかし、あの時の自分に先の思い出をこぼした彼の人はどうだったか?
∧∧
( ‥)あなたより年上だ
今のあなたよりは若いが
もう社会人だった人だ
(‥ )自営業じゃなくて
悪い意味で給料取りに
なっていたからな
生産して売って収入を
確保せねば死ぬ
という世界観を持たぬまま
理解もできぬまま
経験もせぬままに
大人になっちまってたのさ
おかしなもんだな
今になってそれに
気がついたよ
今にして気がついた。しかし、これはどうにも秘匿された秘密なのである。
実際、かつて存在した画家たちが収入の確保にどう対応したのか? という資料はあまりよく見えてこない。
画家とは高尚でも偉大な存在でもなく、漫画家や農家やイラストレーターと同じであって、原価と必要経費と単位時間当たりの生産と販売、収入を考慮しないと死ぬ。
パトロンを手に入れよう、とかそういう単純抽象的な考えでは解決できない問題なのだ。ここには計算が必要なのである。
画家とは単純に自営業であり労働者であるはずなのだが、なにかこう伝説のベールで覆われてしまっているのだ。
∧∧
(‥ )というか皆がそういうベールを
\− べたべた貼付けちゃうのだよね
(‥ )困ったことにそういう
皆が貼付けるベール自体が
付加価値になるから
画家もそれを
積極的に使いよるから
事態が余計見えにくくなる
ピカソなんかがそういう例であることは明白だろう。古典芸術を先陣切って打倒した、という破壊者のベールをまとい、それによって彼は価値を得た。
それにしても良くわからん。
確かに駆け出しのピカソは貧乏で絵の具をそろえられず、青をやたら使った作品を発表する青の時代があっただの、ミロが抽象芸術へ至る契機になった作品は、飯が足りず、飢えで頭がもうろうとした時に見た幻覚を描いたものだっただの、そういう話はあるけども。
例えばミロの作品、アルルカンの謝肉祭=>miro le carnaval d'arlequin - Google 検索
∧∧
( ‥)でもこれって
この人もこんなに
貧乏したんだ!
それでも成り上がれたんだ!
というだけの話で
いわゆる貧乏ポルノだよね
( ‥)だからさ具体的なことが
−/ さっぱりわからん
なにもかも良くわからないのである。
一時盛り上がった野獣派を率いたマティスは晩年小さな教会のステンドグラスをてがけたり、色紙を切ってはった作品を作ったけども
=>https://www.google.co.jp/search?q=matisse+later+works&biw=856&bih=657&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjmp6P25uzQAhWMnpQKHaicDR4Q_AUIBigB
∧∧
(‥ )マティスさんの晩年の収入って
\− どんなだったのだろうね?
ちょっと調べただけじゃ
良くわからないね
色紙の切り貼りは
売れたんですかね?
名声は使えたのですか?
(‥ )美術史に残った人だ
そんな困窮しているという
印象ではないし
そうは見えない
でも具体的なことが
さっぱり分からんのよ
どうもこうも、何かあれだ、みんな、画家は農業と同じで極めて不安定だということが分かっていない。あるいは、農産物のような必需品ではないから世間の潮流に翻弄されるということが分かっていない。
というか意図的に無視しているように見える。
そうしてどうでもいい美談や華やかな創作活動という伝説だけがごちゃごちゃと、ごまかしのように積み上げられて、収入の確保とその計算という一番肝心な部分が秘匿されてしまっている。
∧∧
( ‥)そればかりかあれでしょ?
シュルレアリスム運動の
リーダーである詩人の
アンドレ・ブルトンが
したように
商業的成功をおさめていく
ダリをドル亡者と呼んで
批判することさえ
行われるわけだよね?
(‥ )Salvador Daliの綴りを
置き換えて
Avida Dollars
ドル亡者に変えて
皮肉ったというやつな
かくて物事の一番肝心な部分は隠され、そうしてその落とし穴に次から次へと人間がはまっていくわけである。
これには必然の理由があろう。皆、手の内を明かしたがらない。それは企業秘密であり、あるいは恥だからだ。あるいは、私はこれだけ貧乏でも絵を描けるのですという貧乏自慢という面があろう。
しかし、必然の理由が大挙して押し寄せた結果、一番重要な生活の計算という事柄が秘匿されてしまい、世の中はどうに解せぬものとなった。
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