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2016年11月4日金曜日

必要な理論装備が無いことを十分に理解しているか?

 
 家庭の主婦は切り詰めて節約すればお金がたまると思っている。
 
 年金生活者もそうである。
 
 彼らの世界において、お金は自動的に振り込まれるものであり、稼ぐという概念が無い。あるにしても希薄であり、無いに近似だ。
 
 ∧∧
(‥ )将来のために貯蓄するには
\−  まず稼ぐ必要がある
 
  (‥ )そこを理解している人は
      少ないな
      まあこれはいつもの話だが
 
 注目すべきは、切り詰めて節約すればお金がたまる、という世界観には、お金は自動的に振り込まれるものである、という前提があることだ。
 
 ∧∧
( ‥)そしてこの世界観は
    実のところ”経験”で
    裏打ちされたものなのである
 
  (‥ )つまりは実体験に基づいた
      手堅い世界観というわけ
      なのだが
      それは同時に
      破綻してもいるのだ
 
 少なくとも、この世界観は、ある日突然、年金や給料の支払いが打ち切られたら、途端に破綻してしまう。
 
 もちろん、彼らはその時のための貯蓄だ、と言うであろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも前提が破綻した時
\−  それまでの経験則が
    すべて破綻してしまうという
    側面には注目しないのである
 
  (‥ )それまでの経験則が
      通じなくなる
      そこまで分かっている人は
      いるんだけど
      問題はむしろそこから
      先にあることに
      気がついておらん
 
 これまでの経験則が通じなくなる。
 
 それは自分にはこの先、切り抜けるための道具がない、ということだ。
 
 ∧∧
( ‥)これが分かっているようで
    分かっていないのだと
 
  (‥ )道路を歩いていたら
      ある日突然
      道路が途切れた
      そこから先
      密林を歩くのは大変だ
      だから貯蓄するんだ
      そう言うといかにも
      先を見据えているようだが
      実は密林を切り開くナタを
      持っていない
      ここが致命的だし
      これに気づいていない
 
 人間は経験則に頼り過ぎで、用意をしない。というか用意の必要性を認識しない。
 
 そもそも経験則は現実を十分記述していない、ということに無自覚なのだ。
 
 もしも十分に現実を記述した経験則なり理論であったら、需要と供給と価格と必要経費と純益と単位時間あたりの収入という概念があるであろう。
 
 だがそれが無い。
 
 我々が持っている理解は非常に中途半端で、一見役立っているし、事実として役立っているのだが、実際にはほとんど虚構の理解なのだ。
 
 ∧∧
(‥ )天動説みたいなもんですな
\−  天体の運行を記述し
    予測も予報もできているのに
    正しくないという
 
  (‥ )役立っているから
      正しいのだと人は
      思いたがるけどな
      残念ながら
      そうではないのだ
 
 これは主婦や年金生活者やサラリーマンに限ったことではない。イラストレーターのような自営業者ですら同じである。
 
 事実、イラストレーターの年収が100万にいかないということが話題になった時、出てきた言葉の大半は空虚なものであった。
 
 もし、経済や収入の必要条件を把握していたのであれば、収益とか単位時間あたりの作業量と収益と、そこから配分される稼ぎとか、そういう言葉が出てくるはずだがそれがないのである。
 
 あるいはこうだ。
 
 イラストの単価は下げてはいけない。交渉するべきだ。僕は困ったことはないよ。そう豪語するイラストレーターもいた。
 
 しかし調べてみると、彼の仕事は単行本の表紙だけだった、という事例も見た。
 
 もしも可愛い女の子のイラストであれば、彼の主張にも幾分かは利があろう。
 
 なぜなら、ラノベなどはよく揶揄されるであろう? ラノベなんて、表紙の女の子で売り上げが決まるんだよ、と。
 
 ∧∧
(‥ )可愛い女の子目当てに
\−  売れるのが事実であれば
    女の子の表紙を描いて
    収入を確保している
    イラストレーターの豪語は
    正当でありうる
    本の売り上げの何割りかは
    彼の実力であろう
    *実際には売り上げの
    ほとんどは内容のはずだが
    それはここでは省略する
 
  (‥ )ところがさ
      先の主張の人のイラストは
      単なるデザインなんだよな
 
 確かに落ちついた良い表紙ではあるが、この表紙目当てに客が本を買っているわけではないでしょう。それは明白だった。
 
 明白なのだ。
 
 客にこう問えばいい。あなたはこの表紙に本代の700円を出しましたか? それともこの本の内容に700円を出しましたか?
 
 答えは明らかであろう?
 
 要するにである、

 小説の表紙を描いている僕はイラストを高値で売っているし、交渉もしている!! だから生活に困ったことはない!!

 という彼の主張は、嘘っぱちだということだ。
 
 ∧∧
( ‥)生活できているのは
    確かだけど
    それは実のところ
    小説の売り上げに寄生して
    いただけなのである
    彼の経験則は空疎な虚構
 
  (‥ )でも彼は自分の生活は
      自分の実力であると
      勘違いしたのだ
 
 では? もしも出版不況のあおりが臨界点を越えて彼のイラスト単価にまで押し寄せ、年収が下がり始めたり、あるいはどうせどの表紙でも本の売り上げは同じだから高い彼ではなく安い彼に、となりはじめたら?
 
 ∧∧
(‥ )彼の経験則と成功の方程式は
\−  途端に意味をなくしてしまう
 
  (‥ )より正確に言えば
      彼の経験則と成功の
      方程式に
      意味などなかったことが
      ばれてしまう
      そう言った方が正しいな
 
 状況が変わる時、これまでの経験則と成功の方程式が役立たなくなる。
 
 というかむしろ、役立っていなかったことがばれる、これを自覚した上で自分のこれからの生き様と方向性を点検しないとならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)それを踏まえますと
 
  ( ‥)AKB商法と課金ガチャは
    −/ 実に素晴らしい
       先見の明があるよね
 
 AKBは、あこぎなビジネス48の略だ、なんて揶揄されたりするし、握手権やら投票権やら目的で大量購入されたCDの投棄や不法投棄が問題視されたりもする。課金ガチャはもう言うまでもないであろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも経済は回ってるよね
\−  なにより売れている
 
  (‥ )ネットの時代で
      金回りが悪くなった状況に
      うまく対応できた事例だよ
      実に良い
 
 握手権やらなにやら目当ての購買を武器にAKBがレコード大賞を取った時、これが日本の音楽業界の現状です、と評されたことがある。
 
 まあ確かに単純に聞きたいから買いました、というこれまでの集計とはまるで異質の集計なので、苦言を呈するのは当然だろう。
 
 ∧∧
(‥ )とはいえネットと電子化で
\−  どんな娯楽も無料だー
    という勘違いが蔓延した昨今
    この状況下で金回りを
    実現した方法論であるには
    違いない
 
  (‥ )課金ガチャもそうだが
      実に良い
      実に良いアイデアだ
 
 これまでと世界の動態が違うのだ。なれば違う方法論と理論が渇望され、古い方法論と理論は破綻が明らかになるであろう。
 
 古い価値観にも価値があろう。
 
 しかし、古い理論に拘泥すること自体は愚かでもあろう。
 
 以上もまた、おそらくはそういう事例なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)問題はAKB商法も課金ガチャも
    あなたの分野にはぜんぜん
    応用が効かないって
    ことですなあ
 
  ( ‥)握手権の本なんて
    −/ 意味ないし
      課金本も
      初版は豪華得点とか
      そんな程度にしか
      応用は効かないし
      効果がさほどないことも
      実証済みだしな
 
 なにかもっと別なものを自力で見つけなければならぬ。
 
 ∧∧
(‥ )そうしないと
\−  ここから先
    生き延びられませんからな
    貯蓄だ貯金だいっても
    稼ぎがないと無理ですからな
 
 
  (‥ )そして稼ぐには
      新しい理解が必要だ
      世界が変わったことは
      皆もう分かっている
      これまでの経験則が
      役立たないことも
      分かっている
 
 だが、稼ぐために必要な理論装備が無いことを十分に理解しているか?
 
 
 
 
   

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