自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2016年11月18日金曜日

自分の設問の悪さを子供に押し付けちゃいけねえよ

 
 ここは盆地だ。周囲は山々に囲まれていて、山々である以上、山から山へと向かう道がある。
 
 11月の、しかもここは亜寒帯だ。山はすでに紅葉と落葉の季節である。
 





 
 






すでに日付が変わった昨日17日は、このいつも登っているG山から隣のO山へ向かったのであった
 

   以前間違えて下りちゃった
 ∧∧ 道だよね
( ‥)
 −( ‥)G山の山頂に向かう時
     山頂に向かう道が見えず
     地図の読み方を間違えて
     下りちゃったの
     だよなあ
 
 それがこの道。下ったところで振り返ったもの。















 写真ではよく分からないが、これ結構、急なのである。階段のように見えるのは人々の往来で露出したアカマツの根っこだ。
 
 二つの山の間にある谷間を走る道は暗く、そして湿っていた。他では見ないようなイノデのような大きなシダやジャゴケのようなコケが生えている。

 そうして山を再び登る














 
 これまた画像では分かりにくいが意外と急なのだ。ぜーはーぜーはー言いながら登る。それにしてもおかしいな、確か話によるとこの道はO山の山頂へ向かう道に途中で合流するはずなのだが、いつまでたっても合流しない。薄暗い陰鬱な森を、おかしいな、おかしいな、そう思って登っていく。途中で下ってくる人に、G山へいくにはこの道で良いのですか? と聞かれたから、O山に通じているのは間違いない。
  
   あんたぜーはーぜーはー
 ∧∧ 言いながら答えるんだもん 
( ‥)
 −(;- -)ここを下ってぜーはー
      右へ曲がってはー
      しばらくいくとぜーはー
      目印はないけどはー
      左へ登る道がぜーはー
      あるからそこをー
      という感じでな
 
 おかしいな、おかしいな、と思っていると山頂についてしまった。
 
   ...下りて最初に合流した
   谷間の道が
   すでにO山へ向かう
 ∧∧ 遊歩道だったと??
(‥ )
 −(;- -)配布されてる絵地図
   −□ なんか現実と全然違うー

 もちろん、実際に歩いた経験に基づいて、これはこう読むんだよ、と地図を改めて見直せば、そう読める内容ではあるのだが
 
 ∧∧
(‥ )絵地図ってのは
\−  縮尺や比率が現実と違うし
    皆に分かりやすく描いた
    心理的な地図とも違うよね
    名所や景勝地を紹介するから
    詰め込み状態になっている
 
  (‥ )200メートル程度の
      下りの道のりが
      600メートル程度の
      上り道と同じ長さで
      描かれちょる
      これちょっと知らんと
      読めんぞ
 
 下り道は楽なので短く感じる。上り道はそりゃあ大変なので長く感じる。体感比率は100メートルと2キロぐらい。この地図はこのままでは読み取れない。もちろん、それが絵地図ってものなんだが。
 
 ∧∧
( ‥)内容を理解するには
    それが絵であれ文章であれ
    なにかしら大前提が
    必要なのである
 
  ( ‥)それを考えるとさ
    −/ 昨日話題にした
       テストをしたら
       小学生の5割りが
       問題文を理解していない
       これは大変だ!!
       という主張は
       非常に問題があるよね
 
 例えば、その記事=>AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース
 
 ここで取り上げられている

 白玉6個、赤玉3個が入っている袋から玉を同時に4個取り出した、という設問文に対し、

 ア:取り出したのは白玉3個であった

 という選択肢がある。

 これは○であろうか×であろうか?
 
 答えは×だというのだが
 
 ∧∧
(‥ )どうも設問者は
\−  取り出したのは4個だから
    白玉3個は4個でないので
    間違いである
    と前提しているみたいね
 
  (‥ )これねえ物書きとして
      言うとだな
      設問者の助詞の使い方が
      良くないね
 
 白玉3個であった。

 これ、主語である白玉の後に続くべき、助詞が抜けてるよねえ? これでは取り出したのは、

 白玉が3個だけ
 
 とも受け取れるし
 
 白玉は3個であった

 とも受け取れる。

 本来主語に続いてあるべき助詞がないうえに、だけ、のように限定を示す言葉がないから、どちらの意味であるのか、それが解釈次第なのだ。
 
 ∧∧
(‥ )その後の設問がいずれも合計
\−  4個であるから
    白玉3個というのは
    明らかに間違いなんですよ
    それを読み取ってください
    という主旨なんだろうけどね
 
  (‥ )あのな
      そういうのは
      僕のつたない文章の
      意図を
      僕が考えたように
      正確に汲み取ってください
      助詞とかおかしいけど
      それも配慮して
      くみとってね
      間違えたらお前の責任!
      という主張で
      あってだな
      無能がやることだぞ?
 
 もちろん、こういう主旨のすれ違いは日常でも歴史上でもある。歴史に残されたたった一文をめぐって色々な議論が巻き起こるのは日常茶飯事ではないか。
 
 ∧∧
( ‥)もちろん、絶えず正確に
    しなければいけない
    というわけではないのですよね
 
  (‥ )問題はな
      自分の文章が悪いのに
      自分の文章が読み取れない
      責任を全部
      子供に押し付けて
      しかも利権を作ろうと
      している点だなあ
 
 だって、リーディングスキルテストとか無駄に横文字を使って、単なる読解力テストを大々的に普及しようとしているであろう? これ、意図があろうがなかろうが、予算がついたら利権になっちまうだろ。
 
 ∧∧
(‥ )しかもAIの普及で
\−  AI以下の読解力しかない
    子供は失業するぞー!
    という不安を
    AI研究者が煽るという
    構図になってしまっている
 
  (‥ )これ壮大な
      マッチポンプ利権
      なんだよな
      多分、将来大きな問題に
      なるぜ
 
 
 そしてもうひとつ致命的な問題がある。それは人工知能研究者がやっていることは単なる天動説だってことだ。
 
 人間はいまだに人間自身の回路の動きを理解も解明もしていない。その状態で人間の外見上の動作を模倣するとは、外見を模倣しているだけで中身を再現していない理論を作ってしまう、ということである。
 
 まさに天動説だろう?
 
 天動説と言われると馬鹿にするなと怒る連中は多いが、この手の連中はプトレマイオスの天動説体系をまったく知らないままに無邪気に叫んでいるだけだ。あれは非常に高度なもので、天動説は地動説と同様に天体の運行を説明できる
 
 天動説でも役に立つ。天動説でも予報はできる。
 
 それと同様、人工知能は経済と社会に大きな影響をもたらすだろう。
 
 だがしかし、いかに高度でも、天動説の中身は天体の再現ではない。
 
 いかに人間を模倣しても人工知能は人間の再現ではない。
 

 ∧∧
(‥ )つまり今のAI研究者が
\−  やっていることは
    壮大な
    天動説作りだろう
 
  (‥ )しかもそれで子供の
      読解力をとか言い出したら
      天動説に基づいて
      ロケットを飛ばそうって
      話になっちまうぜ?
      これ絶対失敗する
 
 弱ったことに、失敗しても利権は成立してしまう。ここが最大の問題だ。
 
 問題文が狂っていれば読解力の無い子供がいくらでも製造できてしまう。
 
 天動説でロケットを飛ばすような狂ったことをすれば、いつまでたっても読解力問題は解決できないので、読解力向上をはからねばならないと、いつまでも主張できてしまう。
 
 ∧∧
( ‥)これはいかれてると
 
  ( ‥)自分の文章の欠陥を
    −/ 金儲けの道具にしちゃあ
       いけねえってことさね
 
 別に文章は100%完全である必要はない。
 
 別に意思の疎通が完璧である必要もない。
 
 それが人間というものだ。別にそれは問わない。
 
 だが、自分の設問の欠陥を相手におしつけて、これは是正しなければならぬと不安を煽り、マッチポンプを始めるとなったら、そりゃいかん。
 
  
 
 

ブログ アーカイブ