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2016年6月4日土曜日

ローウェル的な運河は模様そのものではない仮説

 

 新緑というほどでもないが、緑の中で本を読む
















 
 ∧∧
(‥ )古い火星観測の本だね
\−
 
  (‥ )火星の運河って
      なんだったんだろうなあ
 
 もちろん、先に述べたように、運河、と呼ばれる模様、それ自体は存在する。
 
 というか自分で描いた火星のスケッチにもインダス運河と呼ばれるものが、どうも描かれている。
 
 ∧∧
(‥ )あなたの望遠鏡で
\−  このインダス運河は
    本当に見えるもの
    なんですか?
 
  (‥ )俺は見たままを描いた
      だけなんだが
      どうなんだろうね?
      まあ
      観測しながら
      確かめれば良い話さ
 
 ともあれ、インダス運河自体はどうも実在するようである。あるいはそう考えても良い。南半球のマルガリータ湾と北半球のアキダリウムの海をつなげる細く黒い筋だ。実際には途切れた模様なんだが、遠くから見れば連続して見えるだろう。
 
 もちろん、こういう模様は地形そのものというよりは、地質や岩石の相違を示しているようである。例えば玄武岩がある地域は黒いとか、そういうものだ。
 
 だが、この意味において模様自体は存在すると言って良い。つまり火星に運河自体は実在する。あくまで模様の名称という意味で。
 
 ∧∧
( ‥)問題は夢想家で実業家の
    ローウェルさんや
    イタリアの天文学者
    スキアパレリさんの言った
    細い運河とは一体
    なんだったのか?
    そこですね
 
  ( ‥)そもそも彼らの言う運河は
    −/ 振る舞いも大きさも
       天体望遠鏡の解像度を
       越える細さだったから
       本当に見えたのか?
       と当時から疑問を
       もたれたみたいだけどね
 
 
 今、読んでいる古い本は日本の人が自らの観測に基づいて書いたものなんだが、それによると解像度を越える細さでも、あるかないかは分かる、と述べている。
 
 確かにそれは正しいのだろう。解像度を越えていても、例えば光っていれば存在は分かる、ということはあるから。
 
 でもそれ以上に興味深いのは
 
 ∧∧
(‥ )この人は
\−  ローウェルの言うような
    人工運河説には一応
    距離を置いているけども
    ローウェル的な細い運河を
    見たことがあるし
    スケッチにも描いている
    これはなんだろうね?
 
  (‥ )スキアパレリが
      運河を見たのは
      模様そのものではなく
      色と濃淡の境界線だ
      という説があるみたいで
 
 それを踏まえると興味深い点がある。
 
 今、読んでいる日本の人の火星スケッチと、現在の火星写真を比べると、

 うんんんん?

 と思わせるのだ。

 つまり、スケッチは今の写真と比べても十分に正確だ。ただしかなり細い運河を描いている。

 そしてこの運河、どうも写真と比べる限り実在するようである。

 ただしそれは、ほんのわずかな濃淡の差がある地域で、しかもその境界線だけを描いている状態だ。

 まるで下描きの線だけを描いて、濃淡の差を鉛筆で仕上げることを忘れたかのように見える。
 
 ∧∧
( ‥)濃淡のかすかなコントラストが
    線に見えたということですか
 
  (‥ )ローウェル的な運河は
      望遠鏡と視力の解像度の
      限界に挑む話だろ?
      視神経や網膜や人間の
      脳と認識に影響される
      領域の話じゃないかね?
      
 
 つまりローウェルやスキアパレリの運河は、模様そのものではない、という可能性。
 
 
 ローウェルの運河は血管じゃねえの? という問題もあるのだがそれに関しては先に書いたこれで=>hilihiliのhilihili: 火星の最接近は気流悪し
 
 
 

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