自己紹介

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2016年4月8日金曜日

お供の地縛霊は電気を食べる

 
  ( ‥)いかんよなあ
    ‐/ すぐ疲れて寝てしまう
 
 ∧∧
( ‥)春ということもさることながら
    やはり先の仕事が
    尾を引いているのでは?
 
  (‥ )本を一冊作る時に
      過剰に負荷をかけると
      2ヶ月ぐらい体が使い物に
      ならなくなるんだが
      この猛烈な眠たさは
      そのせいだろうなあ
 
 先の仕事は2月に終わっているから、多分、今月4月いっぱいは眠いままのはずだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )眠いのは体が必要を欲している
\‐  証拠だから寝るべきだね
 
 会社員なら許されない話かもしれないが、あいにく自分はフリーである。
 
 ∧∧
( ‥)フリーだったら
    仕事が遅れたらその分
    実入りが減るわけで
    なにをしてもその結果は
    自己責任自業自得ですから
    眠いから寝るってのは
    ありですな
 
  (‥ )すべては俺の勝手よ
      反対に会社員はその分の
      金もらってるからな
      眠かろうがなんだろうが
      仕事しないと嘘だね
 
 もっとも、最近は金を支払わずに社員に仕事しろと言う経営者が増えたようだから、必ずしもそうとは言い切れないだろう。
 
 ∧∧
(‥ )というかそもそも
\‐  眠くて眠くて
    たまらなくなるぐらい
    個人に負荷をかける
    組織や会社や経営者は
    駄目っぽでしょうなあ
 
  (‥ )世間の愚痴を聞く限り
      最近はそういう駄目な
      会社が増えたみたいだな
      嘆かわしい話よ
 
 
 さてもさても
 
 いかなるものにも擬態できる。これは非常においしい能力で、もしもそんなことができたら生活に困ることはない。
 
 ∧∧
(‥ )ゼラニイの小説
\‐ 「アイ・オブ・キャット」に
   登場するキャットは
   そういう生物でしたよね
   ほとんどあらゆるものに擬態して
   獲物にひそやかに接近できる
   異星の肉食知的生命体
 
  (‥ )自分がもしもこういう
      便利な能力を
      持っていたらと
      あこがれてしまう
      ものであったなあ
 
 もちろん、人が望む能力はその人の性格や性癖を反映したものだ。

 例えば、透明化できる能力を望む人がすることと言えば、それは例えば覗きである。
 
 どういうわけか、透明人間になるというと、連想されるのは覗きなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)透明化ではなく
    擬態を望むということは
    あなたの目的は覗きには
    重点が置かれていないと?
 
  (‥ )接近して悪さできるなら
      誰かをいつの間にか
      いないようにできる
      つまり
      身の回りの世界が少しだけ
      静かになる
      そちらに興味はないかね?
 
 例えば、レクター博士は小説「ハンニバル」の中で、腕の悪い音楽家を秘かに殺している。
 
 ∧∧
(‥ )指揮者だかなんだかだよね
\‐  オーケストラの音を悪くさせる
    張本人だって理由だけで
    どうも始末しちゃったらしい
 
  (‥ )博士は趣味がいいからな
      俺にそういう趣味は
      無いから
      腕の悪い音楽家を
      食べてしまうのは
      理解できない行動だけどね
 
 しかし分からないのは趣味が違う点だけで、やっていることは分かる。


 世界を静かにさせるとは、自分に興味を向ける相手を片っ端から始末することでもある。日陰でこそこそ生きるとはこういうことだ。
 
 ∧∧
( ‥)だからあなたはスライム勇者に
    執拗にこだわるわけだ
 
  (‥ )俺は単に静かに生活したい
      だが人間には
      好奇心というものがある
      その雑音が俺には
      我慢ならん
 
 雑音が無くなる、というのは素晴らしいことではないか。
 
 ∧∧
(‥ )スライム勇者は
\‐  雑音の無い世界で
    生きているんでしょうなあ
 
  (‥ )すると仲間も
      雑音が無い者であることが
      望ましいよね
 
 例えば、もう死んでいる地縛霊とか。
 
 ∧∧
( ‥)旅する勇者の仲間が
    地縛霊ってどういうことよ?
 
  (‥ )...えーとそのなんだ
     例えばあれだ
 
 例えば、あれだ。勇者が道に擬態しているところで、その子が死んでしまった。とか?
 
 ∧∧
(‥ )道に擬態するって..
\‐  側溝に潜り込んで
    スカートの中を
    下から覗いていた人と
    同じじゃね?
 
  (‥ )じゃあ道祖神にするか?
 
 ∧∧
( ‥)死んで異世界に転生して
    スライムになった勇者が
    道祖神に擬態していたところ
    そこで人が死んだって
    どんな世界だよ?
 
  (‥ )そういう世界なんだよ
      心を広くもって
      受け入れてくれ
      アミーゴ   
 
 なんでその子が死んだのかは知らないが。それ以来、ずーっと主人公の地縛霊になってついている。
 
 ∧∧
(‥ )地縛霊って
\‐  何食べるのかね?
 
  (‥ )何も食べないか...
      あるいは
      小説でよくあるのが
      死んでいく生物を
      ”食う”とかかなあ?
 
 ヴァン・ヴォクトの小説「宇宙船ビーグル号」で登場したガス生物アナビスは死んでいく生物の神経から電気を受け取ってその身を成長させる。
 
 ∧∧
(‥ )似たようなアイデアは
\‐  「ガス状生物ギズモ」とか
    「見えない生物バイトン」
    とかでもあったけど
    あれ、なんですかね?
 
  (‥ )生物の神経が持つ電気が
      静電気となって物体に
      帯びることで成長する生物
      そういう世界観じゃね?
 
 
 もちろん、この世界観、珍妙なものであるに違いない。生物の神経が持つ電気はイオンの電位差であるし、イオンと静電気じゃずいぶん違う。生物の神経が生み出す電気でガスが帯電するってことがあるだろうか? 
 
 ありうるかありえないか。そういう科学の疑問以前に、これは単純に黒魔術と考えるべきだろう。

 心の正体は電気である。

 物体は静電気を帯びることができる。

 だとすると、心を食べることで成長する電気的な存在がいても良い。

 つまり、科学というよりも連想に基づいた世界観。
 
 ∧∧
( ‥)連想に基づいた世界観で
    現実を説明する
    だとすると
    連想に基づいて現実を
    操作できるはずである
    こういう考えは
    典型的な黒魔術であるな
 
  (‥ )言い換えれば
      物語の根拠なんて
      そんな内容で
      いいってことさ
 
 
 実際、以上のいずれも小説として成立していたのだ。アナビスはより多くの死に逝く生物を求めんと、銀河系に侵攻を企てる。ガス状生物ギズモはその糧を得るために生物と人間の殺戮を始めるし、バイトンは心を食べることに感づいた人類と戦争を開始する。
 
 こうして物語は動き出す。見えぬ侵略者と戦う戦士たちの物語。
 
 かように、設定の根拠が黒魔術であっても良いのだ。むしろ黒魔術であるからこそ、人の魂に訴えかけることが可能であろう。
 
 なればこうである。スライム勇者にくっついている地縛霊の子は、生物を殺すことで自己を維持することが正当化されるのであると。
 
 ∧∧
( ‥)なに? RPGゲームで言えば
    出会ったモンスターの首を
    ひねったり
    水戸黄門的に言えば
    悪代官の部下の心臓を
    麻痺させて
    その時に放出される電気を
    食べているのか
 
  (‥ )地縛霊子ちゃんが
      捕らえたモンスターの
      首をごきっとひねると
      ぱりぱりっと
      地縛霊子に電気が
      走って
      一仕事終えた後の
      ビールみたいに
      ぷはーっ!!
      と声を上げるのだ
 
 
 伝統的な連想に基づく世界観において、これは十分に許容される内容であろう。
 
 
 
 

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