自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2016年4月28日木曜日
最後の異世界へ
昔は、井戸の底から異世界へいけた。
=>hilihiliのhilihili: 昔は井戸の底からいけたのです
∧∧
(‥ )でも今や実在する唯一の異世界
\− 太陽系外惑星は何光年も
先にあって人類では
手が届かない
(‥ )今の人類では文明の存続の
放棄と引き換えに
ようやく実行できる規模の
計画で
しかも何十年もかかる
事業だな
過去の太陽エネルギーの濃縮である石油を湯水のごとく使う。このつかの間の恩恵にあずかれる現在こそが多分、人類の黄金期であろう。つまるところ、現代の世界で不可能な大事業は、人類が滅亡するその日までやはり不可能だってことだ。
∧∧
(‥ )それを考えると宇宙人が
\− まったく見つからないし
痕跡もないのは当然だね
(‥ )機械文明は
1000年もたないし
その程度の文明では
電波通信がやっとで
恒星間の移動は無理
そういうことだろうね
しかし、それでもなお冒険したいのなら、どうする?
∧∧
( ‥)どうする?
(‥ )古典的には世代船だろ?
どうあがいても、人類では恒星間の旅は数十年はかかる。この長時間の移動をストレス最小限で成し遂げるには、社会を丸ごと移動させる世代船しかありえないだろう。つまり大きな宇宙船内で、多くの人々が生活し、産み、育て、そうして何世代も存続する、というものだ。
社会が丸ごと動くのなら、社会から切り離されるストレスはおおいに軽減される。
もちろん、世代船がでかすぎると、今度は宇宙船を動かすのが大変、という問題が生じるが。
∧∧
(‥ )でも世代船なら
\− 町や村ぐるみの移動だから
宇宙にも日常を
持ち込めるよね
アポロ計画などが持つ
お堅い
国家プロジェクトのような
感じはなくせる
(‥ )国家プロジェクトになると
どうしても物語が
土木工事になるからな
端的に言うと、ハードSFとやらがげんなりさせられるのは、結局のところこれは土木工事小説だろ? という感があるせいかもしれぬ。
もちろん例えば、黒部ダムがどう作られたのかで映画を一本作ることもできるし、事実、作られてはいる。だが、だからといって皆がそんなものを求めているわけでないこと明白だ。むしろ多くはそうでないだろう
∧∧
( ‥)近年、世代船のアイデアで
成功したのは
シドニアの騎士でしょうなあ
(‥ )和風の文化を持つ
人工数十万の町ごと
宇宙を移動してるから
日本の日常と巨大ロボと
宇宙戦闘が同時に描ける
画期的な物語
とはいえ、あの物語も、架空の無尽蔵のエネルギーを動力源にするから成立する話であって。
∧∧
(‥ )自立した宇宙船の
\− 唯一の現実的な燃料が
反物質であることを
考えれば
実際にはもっと小規模に
ならざるをえないでしょうね
(‥ )だからあれだ大きさは
100メートル程度
反物質で氷を吹き飛ばして
推進し
恒星系に到達したら
太陽の近くで光発電して
反物質を製造備蓄し
次の恒星系へ向かう
そういう地味で
ちんたらした感じに
なるかなあ
しかも、部品交換するための工場を持てない大きさである。それでいて反物質炉だの光発電機、粒子加速器だのを何世紀も維持するとなれば
∧∧
( ‥)どうします?
(‥ )もう生物ですよ生物
それしか考えられませんよ
一体どんな構造なのか予想もできないが、地球生物の細胞を応用することで、反物質炉も太陽電池も常温超伝導器官と器官コイルまで作ってしまう。そういう力技。
∧∧
(‥ )生物の宇宙船に乗って
\− 旅をするわけだ
(‥ )これなら
自己修復できるからな
問題があるとしたら、細胞で作られた宇宙船なんて、ガンが必ず発生するということだろうか?
∧∧
( ‥)人間の仕事はガンを見つける
作業になるか
あるいは新たな恒星系に
到着するたびに
宇宙船を世代交代させるか
ですかね
(‥ )宇宙船を一から栽培するの
大変だろうな
多分、何十年もかかるの
だろうな
いやもう、いっそのこと宇宙船そのものが主人公でいいんじゃね? とも思えてくるような状況である。
∧∧
( ‥)100メートルの巨人が
反物質炉を持ち
宇宙を旅しては
恒星の光を浴びて翅を広げ
次の旅の準備を整えるのですか
(‥ )なんかほとんど巨神兵だな
*ナウシカ原作版の巨神兵は、生物であるにもかかわらず、空間をねじ曲げて空を超高速で移動するというトンデモ未来技術の集積なので。
∧∧
(‥ )燃料や体を再生産している時
\− どうするんです?
(‥ )寝ていればいいんじゃね?
余計な間は意識を切っておけば、経験は編集され、長い旅も主観時間ではごく短くなる。
∧∧
( ‥)でもここまで超絶的な
肉体を持つ存在なら
大冒険は可能でしょうね
(‥ )起きるたびに毎回
別の世界だ
1000年の旅も
主観時間では10年
そして、ありうべからざることとしか思えないが、その巨体のまま赤色矮星をめぐる惑星に降下し、その永久の昼間を歩いたり、あるいはスーパーアースを覆う超臨界状態の海へ飛び込むのである。
あるいは、主星にあまりに近いため、地表の半分が永遠に融解したマグマの海になっている惑星も訪れることができよう。トワイライトゾーンに降り立てば世界の終わりまで続く夕暮れと、果てしない地平線の彼方まで輝くマグマの海。それを覆う、蒸発した岩石の雲を眺めることもできよう。そして、そこから舞い降りる砂の雪と嵐を見ることになるだろう。
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