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2015年7月24日金曜日

着ている服ではなく、肉体を見なければならぬ

 
 パパブッシュが湾岸戦争に向けて準備を整えていた時、確かこんなことがあったと思う。彼の演説中にプラカードか何かが掲げられた。それは、石油のために戦争をするな! というものだった。あるいはそういうやじであったか、意見であったか。

 これに対してブッシュ大統領は答えた。これは自由のための戦いなのだ。
 
 ∧∧
(‥ )うろ覚えだけど
\‐  そういう記憶?
 
  (‥ )うろ覚えだけどね
 
 もちろん、自由と民主主義の戦いなどでないこと、多くの人の目には明らかだった。

 クウェートを占領し、イラクとクウェートの石油を掌握する。こうしたフセイン大統領の利権掌握を、既得権益者は望んでいない。これを許すわけにはいかない。戦争は石油のために行なうのである。
 
 ∧∧
( ‥)皮肉な言い方をすれば
    だからアメリカは勝てたのだ
    とも言えるよね
 
  (‥ )占領されたクウェートから
      イラク軍をたたき出す
      それで十分だからな
 
 
 これで十分であったはずだ。だが、今度は国民が調子に乗った。この間までベトナムの二の舞になるのではないか? と不安げだった表情が、まるで嘘のようだった。フセイン大統領を倒さない限り戦争は終わらない、イラクを独裁者から解放し、民主主義にするのだ! 戦争の建前を今度は大衆が本気で受け取った。
 
 ∧∧
(‥ )それが
\‐  イラク戦争へ続き
    統治の失敗
    民主主義の無能さの露呈
    犠牲者を出しての撤退
    ISISの成立と
    拡大する紛争という
    今日の事態をまねいた
 
  (‥ )戦争は石油のために
      するべきだ
      正義のために
      行なうものではない
      そういうことだなあ
 
 戦争は金のために行なうものであって、正義や正しさを追求して戦争を行なってはならない、そう言うべきか。
 
 ∧∧
( ‥)でも理念や信念や
    精神論で戦争を語る人は
    多いですよね
 
  ( ‥)日本軍が負けたのは
    ‐/ 精神論に頼ったからだ
       日本社会の悪いくせだ!
       と力説する人は
       たくさんいるけども
       それ自体が精神論だよね
 
 負けたのは単に工業力がなかっただけだ。日本は精神論に頼る! とかいうが、以上のようにアメリカは民主主義を金科玉条、宗教のように奉じてあの有り様である。

 まとっている服が違うだけで、中身は同じってことだ。
 
 ∧∧
(‥ )ただアメリカは
\‐  資源、工業力、人口が
    多いから
    なかなか死なないだけである
 
  (‥ )服ではなく中身
      裸の肉体が差を作る
      体力さえあれば
      馬鹿でも阿呆でも
      宗教でも精神論でも
      問題ない
      そういう見本だね
      もっとも最近はさすがに
      青色吐息になってきた
      みたいだがな
 
 未来の歴史家はアメリカは馬鹿だ愚かだ、精神論に頼って国家を疲弊させ滅ぼしてしまった、というだろう。
 
 ∧∧
(‥ )人間はなにをまとうか
\‐  ではなく
    むしろ裸の体力の方が
    問題なのである
 
  (‥ )防寒具の差が生死を分ける
      そういう事例もあるが
      それは極端な場合だしね
      体力が差を作るのだ
 
 それを考えると、安易に、日本が、精神論が、特攻が、アメリカが、というのは考えものだろう。
 
 例えば、なんぞ最近は東芝の粉飾決算が話題である。
 
 ∧∧
(‥ )これも日本の精神論が...
\‐   と言っている人も
     いるみたいですね
 
  (‥ )精神論じゃないなあ
      だって
      赤字じゃなければ
      粉飾する必要が
      そもそも
      ないわけだからね
      体力が無いから
      粉飾するんだろ?
      精神ではなく
      体力を見るべき
 
 そういえば、以前、困った顔をして追いつめられている社長さんに、粉飾決算したら? と言ってみたことがあった。即座に、それは出来ません、と答えが返ってきたが。
 
 ∧∧
( ‥)冗談でもあなた
    めちゃくちゃなことを
    言い出しますね
 
  ( ‥)その社長さん
    ‐/ なんとかしたらしいよ
       幾つかの
       成果を取り付けて
       ちゃんと帳尻を
       合わせたんだ
 
 彼にはそれが出来た。
 
 反対にこんな事例もある。知り合いがいた会社なんだが、ある日、銀行がやってきて、そして某大企業に買収された。なんでも2代目だか3代目だかの社長が、最後の数年間、ずーっと粉飾決算をしていたそうだ。それがばれて...いや、むしろそれでも業績悪化が是正できずに、とうとう銀行が介入してきた、そういうことらしい。買収された後、社長は若くして亡くなった。自殺ってわけではない。燃え尽きたというわけでもない。喪失したという感じなんだろう。会社はまったくの別物になり人員も整理されたと聞く。元の部分なんか残っちゃいまい。
 
 ∧∧
(‥ )同じ社長さんでも
\‐  ずいぶん違いますね
 
  (‥ )でもまあ気持ちは
      分かるよね
      苦し紛れに
      粉飾したくもならーな
      会社の命運を左右する
      こんな重圧は
      普通の人間では
      耐えられない
      誘惑も多かろうよ
 
 しかし誘惑がある中でも、しない人とする人がいる。というか、しない道を見つける人と、みつけられない人がいる。この差はどうして起きるのか? この時、これを精神論で語っては、差の原因は見えてこないだろう。
 
 精神論は服だ。そして服は正否を分けない。そうである以上、着ている服ではなく、肉体を見なければならぬ。服を論評するのは逃げだ。
 
 
 そういえば、切り抜けた社長さんは高身長で肩幅がありかっぷくも良かったな。だが、喪失した社長はやせていたよねえ。
 
 ∧∧
( ‥)それが差を生みましたか?
 
  (‥ )さて?
      どうだろうねえ
 

 
       
 

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