自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年2月21日木曜日
無矛盾で正しい≠妥当である
hilihiliのhilihili: 認識という拘束具の続き
∧∧
( ‥)認識とカテゴライズは情報処理
つまり心理学の範疇で、
人間の外界に存在する自然を
科学することではない。
( ‥)SFの定義という不毛さは
–□ スターウォーズが
SFかどうかをめぐる話で
実感したかなあ。
∧∧
( ‥)スターウォーズってまぎれも
なくSFじゃね?
(‥ )魔法使うからSFじゃない。
黒魔術 VS 白魔術だから
SFじゃない。
サイエンスのフィクション
ではないのだ。
そういう意見あり。
∧∧
( ‥)...魔法ってフォースのことね
まあ、魔法だろうね。
もっともそれを言ったら
∧∧
(‥ )砂の惑星もSFではなくなる
\– のではないですかね?
(‥ )砂の惑星も善と悪の戦いだし
スパイスと育種で引き出された
予知能力が話の鍵になるしね
むしろ機械描写という点では
スターウォーズの方がSFだ
そう言うこともできるの
だよね。
スターウォーズではバイクや自動車に相当するものが出てくるが、砂の惑星には出てこない。羽ばたき飛行機(オーニーソプター)や反重力装置(サスペンサー)は出てくるが、砂の惑星における移動の描写は大概は徒歩である。
そもそもスターウォーズは砂の惑星をぱくったではないか、という話、見解、意見、考察はここでは省くにしても
∧∧
( ‥)砂の惑星はSFで
スターウォーズはSFじゃない
というのは妙ですよね。
( ‥)日本のゲームには宇宙を
–□ 舞台にしているだけで
基本はドラゴンクエストの
ようなファンタジーRPGを
模したものがあるらしくて
そのゲーム内では
魔法や剣を使って戦う
そうだよ
これも人によってはSFじゃない、になるのだろうけども
∧∧
( ‥)砂の惑星なんて、剣どころか
ナイフを使った超接近戦
じゃないですか
(‥ )こういうことを言い出せば
きりないんだ。例えば
1984年はSFだろうか?
∧∧
( ‥)普通はSFとは認識されて
いないですよね。
でも出版当時の時代、
WW2直後から見れば
未来である
1984年を舞台にした
ファンタジー小説でもある
(‥ )WW2から戦争の体系が
変化して戦場では戦闘ヘリが、
海では戦艦の代わりに
浮遊要塞が主力兵器に
なっている
そういう描写もあるんだよね。
基本、1984年は戦時下の大英帝国と左翼知識人の二枚舌(作者であるオーウェル自身は左派であるがスターリン体制下のロシアと左翼知識人の露骨な二枚舌に手ひどく裏切られた経験がある)を扱ったパロディー漫画のようなものだけども、舞台設定それ自体は未来なのでそういう描写もある。
だいたい、技術や科学的な裏付けがない、という点では
∧∧
( ‥)地球幼年期の終わりは
超能力が話の中核になってるし
オーバーロードたちの
航行システムも原理不明だし
そういう意味では技術や
科学的裏付けがないわけだから
SFじゃないと主張できますよね
(‥ )同じアーサー C クラークの
銀河帝国の興亡だってそうだな
超光速推進の仕組みも
いかなる摩耗や衝撃にも
耐久力を持つ素材の理屈も
説明されていないしね
それを言い出したらウェルズのタイムマシンだってそうだ。19世紀の技術で作られたタイムマシン。スタ−クエイクだって、チーラーが使ったカーリングは一体全体どうやって安定化させたか分からない。
∧∧
( ‥)結局、SFって神話以来続く
あらゆる物語の系譜における
なにか、ですよね?
(‥ )系譜は変化し、進化する
だのに、変化する系譜を
ある特徴でもって定義する
それ自体がナンセンスなんだ
こんなことは系統学をやっているとよくわかることである。テトラポードというと四本足の動物という意味だけども、テトラポードにはヘビのように足を無くした系譜がある。陸上脊椎動物はエラ呼吸をやめて肺で呼吸すると言うが、生涯エラ呼吸をする系統もあれば、肺を二次的に喪失した種族もいる。甲殻類はノープリウス幼生を経る節足動物と言うことができるが、その過程を経ないで誕生する系統もある。
興味深いことにSFはかくあるべし、かくのごとき定義できる、そう主張していた前掲のその人は生物分類学も特徴で定義できると信じ込んでいた。彼は種は実在すると考えていたし、分類階級は存在すると思っていたし、
∧∧
( ‥)そして彼はダーウィニズムが
理解できず、メンデル遺伝を
理解できす、今西進化論を
信じていたのだと。
(‥ )言ってみれば考え方が
還元的でないんだ。
彼にとって生物は遺伝子の
集合ではなく、あくまでも
個体であり、個体は種という
カテゴリーに従属するもの
だったのだ。
物事を仕組みではなく、
荒っぽい文章でしか
把握できないんだよ。
単語としてカテゴリーを定義する。そのカテゴリーに属性を与える。その属性は進化するという属性だ。
∧∧
( ‥)それ、自動車に自走するという
属性を与えたから
エンジンの仕組みを理解して
いなくても
自動車の動きを説明できる、
と言っているのと
同じですよね。
(‥ )文章としては無矛盾なのだ
うわべはきれいなのだよ。
しかし、てきとーに設定した粗っぽい単語に都合の良い属性を与えただけでなので、文章自体は無矛盾ではあるが、説明になっていないのである。
*ここでの説明というのは、無矛盾に文章が出来ている=記述できている、という理解ではなく、実際に自然を見た場合、整合していると言えるのか? という経験的な意味合いで使用。
∧∧
( ‥)この文章は無矛盾だ
これは
その言明が物事を正しく
説明できている、ではない
( ‥)無矛盾=理論として妥当
と考えているのだな。
これが彼の不幸よ。
定義して文章を組立てればそれは正しい、そう思い込んでいる人は意外に多い。しかし、それは現実を説明できる、ではない。
∧∧
( ‥)そして振り返るに
(‥ )なんでもそうだけども
定義出来る、
定義を組み上げれば
世界を記述できる。
これは不幸な理解だね
もちろん、これは、前掲の人を思い出して言うに、SFの定義はうんぬんという不毛な議論にも当てはまることなんだろう。少なくとも、どれそれがSFであるか否か、と言い出した時点で不幸と理解と認識の泥沼だったのだ。今西進化論が泥沼でしかなかったように。
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