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2022年3月28日月曜日

マリウポリ3月27日 T-72B 市街地北部砲撃

  
 激戦続く南部の港町マリウポリ(Mariupol)
 
 さて、昨日2022年3月27日、投稿された動画はロシア軍の戦車T-72Bが、市街地に向けて砲撃する場面であった。


  
 砲撃するために住宅街の丁字路に向かうT-72 見ての通り、家々の向こうは侵食されて低くなった河原であり、対岸に市街地。そして河原は手前を横に伸び、画面左で奥へと曲がる。ロシア軍が砲撃に選んだのはそんな場所であった。

 googleで調べるとこの場所、マリウポリの中心からやや北方、そこを東西に流れるカリクチ川の近く。

 動画では発砲する場面があるが、その射線を地図上で見ると、カリクチ川の対岸にあるマリウポリ、北の市街地を狙って撃っている。
 
 

 
 ∧∧
(‥ )とっ言うことはだ
\−  カリクチ川の北岸には
    まだウクライナ軍が
    立てこもっているのだな
 
  (‥ )この動画の投稿日や
      撮影日時が
      現実と大幅にずれて
      いなければ
      そういうことだね
      マリウポリ市の北には
      ウクライナ軍がまだ
      踏ん張ってる
 
 そして当然だけれども、ウクライナ軍がいるのは北部だけではなかった。

 ウクライナ軍はマリウポリ市の中心街やその南部でまだ抵抗している。なぜかというに以上の動画が投降された27日ごろ、ロシア軍は、我々はウクライナ軍を分断することに成功した! と述べていたし、そしてこの日はマリウポリ市の中心街がロシア軍に占拠された日でもあったから。
 
 ∧∧
( ‥)まあその前の25日には
    市庁舎を占拠した! と
    チェチェンの
    カディロフ部隊が
    誇らしげに
    言ってたんだけどね
 
  (‥ )たださー
      カディロフ部隊って
      評判と信用が
      悪くてな...
 
 かつて独立を目指してロシアと戦ったチェチェン人だったが、今ではプーチン大統領に投降してその軍門に降ったカディロフ一族が支配権を持っている。そのカディロフ一族の親衛隊であるカディロフ部隊は誘拐や拷問、人身売買などで悪名高いのであるが...
 
 ∧∧
(‥ )それもさることながら
\−  味方の軍隊からも
    評判悪いみたいなのよね
    曰く、最前線に出ない
    曰く、いつも後ろにいる
    曰く、動きが素人
    曰く、役に立たない
    今回のマリウポリでも
    ロシア軍や同盟の
    ドネツク部隊から
    文句が出ているみたいね
 
  (‥ )でもよ
      逆言うとさ
      カディロフ部隊が
      出てきたところは
      彼らにとっては
      安全な場所で
      つまりは
      ロシア軍がほぼ確実に
      制圧した場所ってことだ
 
 つまりカディロフが動画投稿した場所を正確に特定できると、ああ、ここは確かにロシア軍が制圧したのだなと分かる。
 
 *ただし、マリウポリはgoogleの街頭画像がないので、同定、特定は難しい。
 
 **一応、書いておくとカディロフ部隊がかなり本当に交戦している動画もあることはある。とはいえ他の多く。例えば、銃撃の途中でいきなり彼らの主人であるカディロフ大統領の肖像旗を持って歩き出すとか、よく分からない銃撃をした後でいきなり立ち上がり、テレビ番組の進行役であるかのごとくカメラに向かって話を始めるとか、そういう、うさんくさい動画が多いことは事実だ。
 
 ともあれ、25日に、市役所を占拠した! とカディロフ隊が宣言し、実際の動画が出てきたのは27日ぐらい。


 
 ∧∧
(‥ )これおそらく
\−  市役所の北側にある
    駐車場で撮影したのだね
    そして
    この場所とこの向きは
    安全なのである
 
  (‥ )言い換えればだ
      この建物よりも
      南側はまだ危ない
      つまりはウクライナ軍が
      いるってことだよ
 
 実際、動画を見ると最後の方で建物の端から南側を覗き込んでいる兵士がいるからそうなのだろう。
 
 *それと動画の最初の方では、画面中央で誇らしげに占拠を宣言する隊長たちの後ろ。市庁舎の裏口の隣で座っている兵士の挙動は興味深い。この兵士は撮影されていると気づくと、慌てるかのように立ち上がり、それから最後の方で銃を構えて北側を警戒するかのような動作を初めて取るのだった。つまり、市庁舎から北側、目の届く範囲に脅威はほぼほぼないってことだ。
 
 つまり現状、マリウポリはだいたいこんな感じらしい。




 
 ∧∧
(‥ )マリウポリ市は中心街が
\−  南にあって
    そこから
    北へ伸びる大通りがあり
    橋を通って北の市街地へ入る
    その通り沿いには
    壁になりそうな建物群が
    並んでいる
 
  (‥ )多分、こういう
      要塞化しやすい場所に
      ウクライナ軍が
      南北に沿っている
      感じなのだろうね
 
 そして市街中心部をロシア軍にほぼほぼ抜かれて、市内のウクライナ軍は南北に部隊が途切れた、あるいはそれに準じる状態であるらしい。
 
 ∧∧
(‥ )さあどうなりますかな?
\−  戦いを無限に延長すれば
    いつかは陥落するに
    違いないけど
    市街戦を決するのは
    容易ではない
    その前に状況が変われば
    包囲するロシア軍が
    逆包囲されて全滅することも
    ありうるからね
 
 
  (‥ )クリミアの付け根にある
      東の要地
      ヘルソンにウクライナ軍が
      迫ってるからね
      ヘルソンのロシア軍が
      どのぐらい踏ん張れるか
      それ次第という人も
      いるよな
      

 
 *ちなみに動画のスクショ画像にうっすら見えるWar gonzoのマーク。これはロシアのプロパガンダyoutuberのこと。動画内容を評価する際にはこのことも考慮に入れる必要がある。また、個人の才能で作業しているせいか、ロシアのプロパガンダ映像としては非常に画質や編集がきれいなことも特徴的。
 
 ∧∧
(‥ )とはいえさ
\−  画像に薬莢が大量に
    写っていることを
    考えれば
    演出や創作ではなく
    作戦行動の一部を
    きれいに撮影したもの
    なのだろうね
 
  (‥ )それでさ
      撮影場所は
      ロシア軍にとっては
      かなり安全な場所だ
      ということもわかるね
 
 反対に言うと、それ以上はウクライナ軍のいる場所に近づけない、ということでもあろう。
 
 
 
  

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