人間が馬鹿な判断をするということはありえない。人間は赤字になると死んでしまうし、だから絶えず正しい選択肢、つまり黒字を選び続けている。
つまり、生きているというだけで、それは黒字になる正しい判断をしてきたということだ。
∧∧
(‥ )プーチンさんも
\− 今回の件でもうろくした
とか
ボケたとか言われてるけど
実はあの人なりに
正しい判断をしたはずで
そこには根拠も
あったはずだよね
(‥ )しかも
どう見ても作戦失敗で
しかるに撤退せず
初動の失敗を
成功に塗り替えようと
全力で行動中だ
つまりやはり
なんらかの
信念と根拠があるのだ
そして流れて来たのは、キエフ占領後に勝利宣言としてプーチン大統領が読み上げるはずの原稿の草稿とその内容であった。本来は作戦成功後に読み上げるものとして書かれていたのだが、ロシアの国営放送が間違えて先に出してしまい、あわてて削除したのだが魚拓が残されてしまったという触れ込みのものである。
ネットの話だ、これも果たしてどこまで本当なのか? 自分だって原文を見たわけではないし、見たところでロシア語はわからない。とはいえ、一部ですでに大まかな内容が翻訳されて流れ始めている。
それは、開戦2日後の26日までにキエフを攻略し、現ウクライナ政府を打倒する予定であったこと(つまり本当に作戦は失敗だったのである)。そして、ロシア連邦のみならず、さらにベラルーシ、ウクライナといった”ロシア人たち”による統一国家、あるいは共同体を作りあげること。そうでないとロシアは英米に侵食されてしまうであろうこと、英米は敵ではあるが、大陸ヨーロッパとはできれば融和したいというものであった。
∧∧
(‥ )...なんだよ
\− これは大ロシア主義とか
汎スラブ主義ってやつだべ
ロシア系の民族がいる地域は
すべてロシアであって
皆で共同、統一して
ロシア人とスラブ民族による
生存圏を作ろうって考えだ
(‥ )なるほどなー
当然といえば当然な
発想であるね
スラブ系民族がいる地域に干渉してロシアの版図を拡大する。典型的には19〜20世紀初頭に、クリミア半島からさらに先、黒海の向こうにあるオスマントルコ帝国とオーストリア帝国の狭間にあるセルビアに干渉する際に見られたものだ。
∧∧
(‥ )それが
\− セルビア人独立過激派を生んで
オーストリア皇太子夫妻の暗殺
第一次世界大戦の引き金に
なったわけだけどな...
(‥ )100年前のWW1の時
ロシアは帝国だったけど
それからロマノフ王朝を失い
ロシア正教会を失い
宗教と皇室の代替品だった
マルクス主義を失い
こうして
汎スラブ主義だけが残った
そんな感じかねー
言い換えると、ロシアの政治哲学にはそれしか手元にないわけで、プーチン大統領が断固としてウクライナ全域を征服しようと考えたのは、当然と言えば当然ではあった。
∧∧
( - -)...まあいい考えだとは思うよ
ウクライナ人に
恨まれてるってことを
抜かせばな
(‥ )所詮はさあ
ロシアというか
モスクワは
いきった田舎の
成り上がり者だからな
本来は古都キエフの方が格上のはず。しかしキエフはモンゴル帝国に蹂躙され、一方、田舎町のモスクワはモンゴルの徴税官になって税収をピンハネすることで発展(金袋と揶揄されたイワン1世時代)。
その後は銃器と火砲の発達で騎馬民族よりも歩兵が有利になりつつある時代となり、その流れに乗って領土を拡大。
こうしてロシアは先行するウクライナや、かつての主人であった遊牧騎馬民族を支配する大帝国になったのである。
しかし、その支配領域の多くはここ300〜200年の間に切り従えたものであった。
ようするに日本でいうと江戸時代前半以後に、かつての先進地域や主人を支配下に置いたばかりなのである。これでは基盤がいかにも脆弱だし、おまけに正統性がない。
∧∧
(‥ )ウクライナからすれば
\− モスクワなんて
裏切りの成り上がり者だし
中央アジア諸国からすれば
主人である自分たちに
下克上した
下賤の民だしな
正統性なんかどこにもねー
(‥ )おまけにスターリン時代に
殺しまくったからなー
そりゃあ嫌われる
かように、ロシア帝国はその成立からして帝国臣民の支持を得られるような構造ではなかった。当然、支配下にある臣民にとっての共通価値になることもできなかった。要するにロシアはブランドを作ることに失敗したわけで、この失敗はロシアの貨幣ルーブルが結局は紙屑でしかないことによく現れている。
∧∧
(‥ )プーチンさんからすれば
\− 文句もいいたくなるかな
ピョートル大帝以後
皇帝を名乗り始めた
ロシア帝国300年の失政を
たった一人でなんとか
しなくちゃいけないわけだ
(‥ )マクロンと
5時間会談した時
プーチン大統領は
えんえんと歴史の話を
したとか言うけど
それも当然かもね
小言ぐらい
言いたくなるわさ
とはいえ、汎スラブ主義はダメだろう。いや、ダメというかちょっと楽観的すぎる。ロシアにはブランドがなく、ウクライナ人に嫌われている。この一点を見誤ったのはいささか致命的であった。
以下、本筋と関係のない追記
∧∧
(‥ )バイデン大統領
\− 本日、3月2日
さきほどの一般教書演説で
プーチンの戦車に
イランの人々は絶対に
負けない! と
言い間違いしてしまう
(‥ )おじいちゃん
ボケてたー!!
これなら確かにプーチンの方がずっと能力が上である。*作戦失敗はしたけども。
∧∧
(‥ )しかし、ルーブルは
\− 非情にも値崩れして
しまうのであった
(‥ )まあこれが
個人の資質頼りな
独裁制と
組織的な民主制の
違いであってな
それが信用に現れるから、ドルは無敵で、ルーブルは値を下げていく。
*とはいえルーブルも踏ん張ってはいて、1ドル83ルーブルから110まで値が下がった後、現在、101ルーブルにまで戻してはいた。