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2022年3月19日土曜日

この一大イベントを120の部署と20名の部長で遂行せよ! とは無理難題

  
 ロシア軍は、戦車、歩兵、ミサイル、自走砲、これらを扱う各種部隊をひとまとめにした単位、戦術大隊(BGT)で行動する。
 
 ∧∧
(‥ )問題はこの戦術大隊が
\−  機動性を重視した
    小ぶりな部隊であり
    戦車は10両程度
    このため3両の戦車を
    破壊されると力を失い
    敵陣を突破できなくなるし
    歩兵も少ないために
    戦車に接近する敵兵を
    阻止するのが難しい
 
  (‥ )これゆえに
      対戦車ロケット兵器を
      持って接近する
      ウクライナ歩兵に
      苦戦を強いられ
      進軍することができない
 
 小ぶりで機動力があって、戦車で進軍し、大量のミサイルと大砲で敵陣を破壊する。アフガニスタン、チェチェン、シリア、東ウクライナでの紛争。こういう小規模の戦闘に対応して編み出された編成のようだけども、今回のような大きな独立国相手を制圧する、となると相性が悪かった。そういうことらしい。
 
 ∧∧
(‥ )それのみならず
\−  今回の戦で動員された
    120の戦術大隊が
    直接クレムリンから
    指揮されてるって話が
    出てきてるね
    少なくとも
    複数の戦術大隊を統括する
    師団や旅団というものの
    存在が確認できないと
 
  (‥ )中間管理職がいない
      という地獄な状況
 
 ...そういえば、開戦から3日後の2月27日に、ウクライナが戦車大隊長、さらには旅団長を捕虜にしたと発表してはいる。

 しかしこの時も戦車大隊長の身分証明証は画像として出たが、旅団長の画像はなかった。
 
 これはつまり、この男は旅団長?! と思ったら、そうではなかった。そういうことではあるまいか?
 
 ∧∧
(‥ )んー...しかしこれを
\−  どうみるか
    戦車大隊長はいたし
    その肩書きからすると
    複数の戦術大隊を
    統括する人に聞こえるし
    今回の戦争で露軍は
    20名の少将を
    送り込んでいるというよね
    *4名はすでに戦死
    120の戦術大隊に
    20名の少将なら
    旅団長はいなくとも
    この少将たちが
    それぞれ6つの戦術大隊を
    指揮しているように
    解釈できるけど
 
  (‥ )でもなあ
      肩書きと組織図が
      厳密に一致するとは
      限らないからな
 
 実際、今のロシア軍は動員をかけられただけで、侵攻のための組織の再編成とかはしていないだろう(そういう話は出てこないし、していたにしても、時間がなさすぎに思われる)。
 
 もちろん、組織図なんてものはロシア軍の内部の話で、外部の者から見ると真の状況はよくわからない。

 とはいえだ、120の戦術大隊。その指揮をクレムリンがほとんど直接しているという話を、仮に受け入れて考えてみよう。
 
 ∧∧
( ‥)そんなの大混乱だろ
 
  (‥ )会社で例えれば
      120の部署を
      社長や重役会議が
      指揮しますと
      言ってるような
      ものだからな
 
 これこれの備品が足りませんから補充してください。

 120の部署から上がる、そういうご要望をいちいち処理、発注、対応するだけでも社長と重役会議が発狂すること間違い無い。
 
 ∧∧
(‥ )おまけにこの部署
\−  移動するんだよな
    配送先も逐一把握してね
 
  (‥ )地獄やがな
 
 ∧∧
( ‥)そして社員が次々に
    いなくなるんだわー
    人員配置を
    考えてくださーい  
 
  (- - )わー
      聞きたくねー
 
 そもそもこのたびの戦でウクライナに動員されたロシア軍は、連邦全体、東部、中央、西部、南部、それぞれの軍管区からやってきている。
 
 ∧∧
(‥ )単純に考えて
\−  横の連携なんか
    あるわけないし
    各部隊や
    少将が率いる軍団も
    こういうために
    作られた組織では
    ないはずだよね
 
  (‥ )各地での防衛を
      担当するのが仕事で
      一箇所に集まって
      四方から進軍するための
      組織ではないからね
 
 つまるところ、部長にあたる少将が20名いたところで、それが一体何になるであろうか? 

 こういう時は、部長職よりも上の、本部長とか、上級特別本部長とか、本部長統括とか、そういう新たな中間管理職が必要であろう。それも複数。
 
 ∧∧
( ‥)でもよ
    そういう人事は
    いきなりできんだろ
 
  ( ‥)やれやれ
    −/ 動員が始まった
       去年の11月から
       考えれば
       4ヶ月あったけど
       そんな短期間じゃ
       無理だよねえ
 
 人事は、皆が納得するものでないと、反抗やサボタージュ、足の引っ張り合いを引き起こす。それを踏まえれば、機動力を上げて小柄になった部隊を120集めて、いきなり包囲、進軍せよ! とは、言うは簡単だが、いかにも無茶振りだ。

 120の部署に部長を20名。この大軍団があれば大仕事のひとつやふたつ、どうとでもできる! そう思ったら大間違い。

 こういう風に考えると、ロシア軍がうまく行動できていないことは非常に理解しやすい。
 
 ∧∧
(‥ )これはプーチンさん
\−  大失態だね
 
  (‥ )んー 考えてみれば
      あの人
      言っちゃなんだけど
      こじんまりした仕事を
      してきた人だからな
      初めて大仕事で
      失敗したのだな
      まあ、ありがちだけどね
 
 さて? ここから立て直せるか? 立て直せたとしてもキエフを市街戦で攻略できるか? さあどうする?
 
 
 正直な話、いまだに200万人が残るキエフを攻略するというのは、いかにも無茶で無謀な自殺行為に思われた。
 
 
 
 
 
 *以下追記
 
 3月15日にロシア軍少将、4人目が戦死、という報が流れたが、本日19日の先ほど、ロシア軍南部軍管区第8軍司令官アンドレイ・モルドヴィチェフ中将戦死のニュース。
 
 ∧∧
(‥ )んー?
\−  明け方に中尉戦死として
    一報が流れたやつだよね
    この人、中将だったの?
    ...まあ軍団司令官ともなれば
    中尉ではなくて中将か
 
  (‥ )あらー 偉い人が
      戦死したね
 
 話が入り乱れているが、ヘルソン(ケルソン)国際空港で作戦会議中にミサイルを撃ち込まれたとか、なんとか。
 
 
 ∧∧
(‥ )ヘルソン国際空港なら
\−  占領した後でロシア軍が
    戦闘ヘリを
    配置させていたら
    16日に
    ウクライナに攻撃されて
    数機の戦闘ヘリを
    喪失した場所だけど
 
 
  (‥ )そんな危険な最前線で
      会議して
      位置がばれて
      ミサイル攻撃って
      ことなのか?
      やられちまったなー

 
 **本文で述べたように、将官クラスの戦死者はこれまで4人の少将であったが、モルドヴィチェフ中将で5人目。そして中将であるから戦死としては最高階級。
 
 そしてこれで部長はまた1人減って、残り15名。果たして、この一大イベントの成否やいかに?
 
 
 
 **さらに2022.03.20 師団長について以下追記
 
 ∧∧
(‥ )実際の師団長というと
\−  15日に戦死した
    オレグ・ミティアエフ少将が
    それに該当するんだね
    第150自動車化狙撃兵師団の
    師団長であった
 
  (‥ )自動車化狙撃兵とは
      要するに徒歩ではなく
      自動車で移動して
      ライフルで武装した
      歩兵たちのことで
      つまりは歩兵部隊
 
 ただし、当然、戦車や装甲車を持っている。
 
 ∧∧
(‥ )...という大部隊なんだけど
\−  この師団長という肩書きは
    あくまで
    これまでのものだよね
    今回の作戦で
    つくられた役職ではないし
    仮にそのまま横滑りして
    新たな役職を務めていても
    統率は難しいだろうね
 
  (‥ )ロシアの捕虜が
      階級が上のものまで
      これは演習だと思ってた
      とか言ってるからな
      侵攻するための
      大部隊として編成された
      組織や階級
      あるいは役職ではないよな
 
 つまり、師団長(少将)自体はいても、複数の師団なりなんなりを統括するような人はやはりいないらしい。
 
 ∧∧
(‥ )120の部署を20名の
\−  部長で統括する
    かなり混乱する状態で
    あるらしいことは
    変わりないのだろうね
 
  (‥ )各軍管区の部隊を
      司令官ごと集めて
      それを統制すれば
      動かせると思った
      そしたら実際には
      大混乱に陥った
      そんな感じかな
 
 
 もちろん、実際の様子や組織の問題は部外者にはわからない。続報で確認する必要がある。
 
 
      
    
      
 

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