自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2019年10月28日月曜日
パンチョ・ビリャ セラヤの戦い
征服事業の半ばにあったアステカ帝国が、突如襲来したスペイン人に滅ぼされた16世紀始め。ここからメキシコは白人や白人の血を引くものが支配し、先住民は奴隷化されるという事態に陥った。
この搾取の矛盾は400年後に吹き出す。それがメキシコ革命。
きっかけは、当時、独裁政権を続けてきたディアス大統領に対する再選反対運動だったが、これが内乱に発展し、幾人もの群雄が割拠して、最後は全員死んだ。
このメキシコ革命の最中、1915年4月6日、セラヤの町で起きた戦い。これは群雄の有力者パンチョ・ビリャとオブレゴン、この両雄の間で行われた。
得意の騎兵による突撃で挑むビリャに対し、オブレゴンは当時進行中だったWW1の戦術を採用。鉄条網と塹壕、機関銃によって騎兵の突撃をはばみ、そして勝利した。
∧∧
(‥ )日本の長篠の戦いや
\− オスマントルコと
サファビー朝ペルシャによる
チャルディラーンの戦いを
彷彿させるものだね
=>http://hilihili.blogspot.com/2019/10/blog-post.html
(‥ )戦争の歴史には詳しくないが
これ多分
近代最後の
騎兵隊の突撃だよな
騎兵による突撃はこれ以降にもあったはずだけども、大規模な会戦で有名なものというと、多分、これが最後だろう。
これ以後、騎兵というものは時代遅れの愚かしい産物として、必要以上にあざけられるようになる。
しかしである。当時はまだ20世紀初頭、ようやくガソリンエンジンが出現するような時代。こんな時代では、いまだに馬は有力な移動手段であった。そして機関銃に突撃することは騎兵だけでなく、歩兵でも無理な話。さらに、携帯火器の射程距離が原則的に同じであることを考えれば、これは騎兵の一方的な不利にならないはず。
∧∧
( ‥)攻撃武器の到達範囲が
同じであれば
動ける方が有利だべ
(‥ )射程が同じってことは
同じ長さの剣や槍で
勝負することと
同じだからな
ではどうしてビリャは負けた?
とりあえず、手に入れられる本、朝日選書の「メキシコ革命物語 英雄パンチョ・ビリャの生涯」というものを読んでみたけども
∧∧
(‥ )ビリャさんは
\− 突撃を得意としたけど
1914年の
サカテカス攻略作戦では
偵察と大砲を効果的に使い
突撃して敵を撃破
逃げていく敵の進路に
機関銃を配置して
殲滅してるんだよね
配下にはメキシコ国軍の
エリート軍人アンヘレスが
参謀として参加してる
(‥ )でもそのアンヘレスは
1915年の
セラヤの戦いには
怪我のために
参加していなかったって
言うんだよな
さらにビリャはこの時、本拠地から遠く離れて南進し、敵の拠点までわざわざ進軍して決戦するほど、積極的だったという。
∧∧
(‥ )いつも以上に積極的に
\− 動いたところで
その突撃を
塹壕と鉄条網で阻止されて
しまいましたか
(‥ )積極的なこと自体は
悪いことじゃないよな
こんな評論があった。本能寺の変の後、豊臣秀吉が中国大返しで怒涛の進撃を開始した時、明智光秀は秀吉を誘い込む布陣を作ろうと、東奔西走した。
∧∧
( ‥)慎重で正しい行動なんだけど
側から見ると
明智さんが
右往左往しているように見える
悪く言うと優柔不断
(‥ )だから中国大返しで
攻め込んでくる
秀吉の勢いを見て
周囲は全部
秀吉についちゃったって
言うんだよな
∧∧
(‥ )それを考えると
\− ビリャさんの積極策を
一概に否定するわけにも
いきませんなあ
(‥ )それに突撃だけでは
ないんだよね
一ヶ月半後に行われた
レオンの戦いでは
最終的には負けたけど
ビリャは
敵軍の背後に回って
浮き立たせるところまで
いったって言うな
そしてこの敗戦、それまでもっていたビリャの神通力。常勝将軍という彼の名声がセラヤの大敗で失われた後のことであった。名声が失われると、勝てる戦いも勝てないだろう。しかし逆なら勝てることになる。
∧∧
( ‥)それを考えると
セラヤの戦いの時
最初から
敵軍の背後に迂回
強襲していたら
機関銃があろうが
なんだろうが
ビリャさん
勝ってたんじゃね?
(‥ )射程距離が同じなら
過去の戦争と同じく
騎兵で迂回
背後から敵陣を
強襲すれば
それがいかに強固な
歩兵相手でも
陣形崩せて
勝てるからな
そしてこれはやはり次のことを示している。石油が尽きた未来、地球を支配するのは小銃で武装した遊牧騎馬民族の帝国であると。
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