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2013年8月2日金曜日

過去の栄光にすがる人

 
昨日からアパートの壁に張り付いていたキアゲハの幼虫は、いつのまにやら蛹になっていた。

 












 
 ∧∧
(‥ )さっき見た時はまだ
°    芋虫さんでしたよね
 
  (‥ )ちょっと眼を離していたら
      あっという間だな。
 
 さて
 
 「プルタークの英雄伝」岩波文庫版、第五巻、フィロポイメーン編
 
 アレクサンドロス大王が死んですでに100年が過ぎた時代、ギリシャ本土の人。紀元前223年で30歳だったらしい。
 
 ∧∧
(‥ )アカイア同盟の将軍で
\‐   軍隊を改革しているんですね
     短い槍から長い槍、
     長い盾から円く小さな盾へ
     武装を変えて、
     部隊編成も変えている、
     そういう記述ですね
 
  (‥ )文脈からすると、それまで
      漫然と並んでいたのを
      個々の部隊にまとめて
      それをさらに並べる、
      そう読めるかなあ
 
 ∧∧
( ‥)単純にいうと、これ、
    マケドニアのファランクスの
    ぱくりでしょ?
 
  (‥ )そう見えるね。
 
 しかし、ぱくるにしても、そのマケドニアに破れてから、この時点ですでに100年経ってる。
 
 ∧∧
(‥ )英雄伝の第十巻に出てくる
\‐  都市スパルタの王、
    クレオメネースさんも
    この頃の人ですよね
    というか、
    フィロポイメーンさんと
    戦っていると。
    そしてどうもやはり
    このスパルタ王も
    ファランクスの
    ぱくりをしているらしい
 
  (‥ )負けて100年経ってから
      ぱくるってどういう状況
      なのか理解しがたいものが
      あるけどな
 
 あるいは大王が死んでから、ずっとヘレニズムの諸列強が干渉してくるので、どうにもならなかったということなのか。
 
 ∧∧
( ‥)あるいは
 
  (‥ )あるいは単に過去の栄光に
      縛られて、そこから脱却
      できなかっただけなのか。
 
 フィロポイメーン編にはこんな場面がある。戦勝したフィロポイメーンが劇場に入ってきたところ、ちょうどその時、「ペルシャの人々」とかいうのが演じられていて、「ギリシャのために輝かしく偉大な自由の飾りを仕上げて」と歌いだしたところ。人々は戦勝した兵士と指揮官の姿を見て、歌われる時代に想いを馳せ、喜びのあまり拍手を送ったという。
 
 ∧∧
( ‥)でも、遠征してきた
    大ペルシャ帝国を
    打ち負かしたのって、
    この時代からすればもう
    250年は前の話ですよね?
 
  ( ‥)あれはギリシャが勝った、
      というよりはペルシャが
      ミスをして撤退した、
      という戦いなんだよね。
 
 ようするにまぐれ勝ちだ。
 
 しかもそれからさらに250年。歌われる栄光は凍り付いたままだが、現実世界においては戦争の技術が向上し、新たな軍隊が編成され、戦争で食っていくプロの傭兵たちが戦場を駆け回り、攻城戦に大規模な機械類が使われるようになった、そんな時代。
 
 ∧∧
( ‥)悲惨、であると
 
  (‥ )まぐれ勝ちした過去の
      栄光にとらわれたまま
      諸列強に対抗できず
      100年経ってから敵の
      技術をまねしはじめたが
      すでに絶望的に時代遅れ
      しかも西からは
      最強のローマが
      やってくる。
      これを悲惨と呼ばずに
      なんと言えばいい?
 
 
 

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