自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年8月24日土曜日
さあ、受け取れ、君を肯定する偽りの理論を
日付も変わり、散歩に出たのはいいけども、こんなに降ったっけ? と違和感を持つほどに雨上がりの道はびしょ濡れで、冷えた分、大気は猛烈な湿度で渦巻き、森に入れば、通り雨のごとく水滴が始終垂れてくる有様。
∧∧ てっしゅー
( ‥)
‐( ‐ ‐)うおー
さて
以前、こんな人がいた。
彼は家が嫌いだった。彼に言わせると彼の父親は暴君であり、母親はエゴの怪物だった。
∧∧
( ‥)でも実家住まいだと
( ‥)なぜ家を出なかったの
‐□ だろうな?
何も出来ないくせに制作の現場に一枚噛みたい人は驚くほどいる。
これはネットで見かけた言葉だけども、これを見て読んで、真っ先に思い出したのは彼だった。
∧∧
(‥ )絵も文章もいまいちで
\‐ 僕なんかがやっても、と
言って具体的な仕事を
避ける割には
企画の口出しは積極的に
するんですよね
(‥ )ご本人は参謀のつもり
なんだけど、
提案は理想論だけでな
主張はもっともだから
最初は聞いているけども
だんだんみんなの目が
険しくなるのよね
彼は、マルクス主義者でもあった。いや、こう言うと不正確かもしれない。資本論を読んだ事はないが、マルクス主義が語る理想論に傾倒していた...
∧∧
( ‥)とっ、言うよりも
(‥ )単にね、
彼は社会が
憎かったのだよね
もしかしたら、もっと単純な話で、家庭が、親が憎かっただけなのかもしれない。でも行き着く先は同じだったのだろう。こんな性格、姿勢で社会を切り抜いていく事などできやしない。そうなれば彼が自分の家と家族を越えて、社会を憎むのは必然。
∧∧
( ‥)彼にとってマルクス主義は
憎い現実世界にとって変わる
ユートピアを与えるもので
あったのだと?
( ‥)アメリカは親父の
‐□ ようだから嫌いだ、
と言っていたし
彼にとって資本主義は
競争どころか
自立を強制する
悪魔の手先に
見えたみたいだよ。
彼の資本主義嫌いはなんのこっちゃない。現実がいやだ、というだけの話だったのだ。
∧∧
( ‥)金が無いなら無いなりに
金がないなら金集めを
時間が無いなら無いなりに
時が無いなら時を集めよう
( ‥)しかし彼はそれが
‐□ 出来なかった。
現実を制御できない彼は
必然、恨みと挫折と
怒りと不満と、
そしてマルクス主義が
保証する、かなわぬ
夢に成り果てたのさね
そうねえ、そういう意味では、現実に不満があるなら自分を変えろ、という主張はまったく正しい。
∧∧
( ‥)そういうことを言うと
現実の欠点を変えねばならない
はずだのに、自分を変えては
現実の問題は永久に
解決できないではないか!
そう怒る人がいますよね?
(‥ )それは現実を変える方法を
すでに手にしている、
そのことが前提になって
いるよね。
だが、そうでなかったら、どうする?
いや、なお悪いことがある。
現実を変える方法、とは、現実を妥当に記述している理論、ということなのだけども...
∧∧
( ‥)現実を記述する理論
それ自体が
自分が望む変化と道を
許していない場合がある
この時、どうするか?
(‥ )二つしかね、
道がないんだよ。
:理論が禁じている以上、自分を変えて理論が許す選択肢で打って出るしかない
:現実を記述する理論ではなく、自分にとって都合の良い偽りの理論を採用し、間違っているのは現実であると世間を呪いながら夢にすがる。つまるところ文句と口先だけで何もしない。
∧∧
(‥ )彼が選んだのは二番目の道
\‐ でしたか
(‥ )そしてそのまま業界から
消えたけどもね。
まあ、そんなに悪い人生ではないだろう。親が死ねば遺産を手に出来るし、家も手に入る。実際、もうひとつの道を選んでがむしゃらに走り続け、社会を切り抜き続けても、疲れる時は疲れるし、死ぬ時は死ぬのだ。
彼は確実な幸せを選んだ。世の理不尽を嘆くことで悦に至る道を選んだ。それだけの話で悪いことではない。
そして思うに、そんな連中はいっぱいいるんである、特に、頭が良いと自画自賛、自負するが、本当の意味でのエリート、つまり国家官僚になれなかった連中。学歴はご立派だが実際には落ちこぼれである連中の中には、これがいっぱいいるのだ。
∧∧
(‥ )...あまり言いたくないですけど
\‐ あの人、韓国とか中国に
強い親近感を持ってましたよね
(‥ )単純にあの文化のここが
好きだ、とかなら
いいんだけどね。
中国はおもろい国だし。
だけどさ、
そうじゃないんだよな。
彼は家が憎かった。社会が憎かった。自分をほめてくれない日本が嫌いだった。
だから社会と日本を否定する人がいる。これだけでも、ずいぶんと救われていたのだと思う。少なくとも、反日を語る彼の表情と言葉はそんな風だった。思うに、自分の独りよがりの復讐のため、反日に大喜びする人間はこれまたいっぱいいるんだろう。ただ、それは現実からの個人的な逃げでしかなかった、それだけの話であった。
さあ、だから受け取れ、君を肯定してくれる偽りの理論を。さすれば幸せの世界に羽ばたける白き大きな翼を授からん。
∧∧
( ‥)つまりやるべきは
(‥ )この世の幸せ、
そのことごとく
すべて滅ぼすべし。
夢を殺し尽くさねば世界は破滅するだろう。
ブログ アーカイブ
-
▼
2013
(712)
-
▼
8月
(61)
- 雨の海のリング
- 月と地形と相対年代と
- 自分たちが超能力者である自覚が足りない、たぶん
- 月とプラトン、レギオモンタヌス
- 宗教を持つに至った猿の飛躍した理屈ではないのか?
- そして、冬のダイヤモンド
- 主人公は誰の使徒?
- 追加の釘バット
- 精神論は物書きのごまかし
- 滅びゆく世界 放棄された帝国
- さあ、受け取れ、君を肯定する偽りの理論を
- 雲の血管
- 遺伝子本質論、テラワロス
- もう空母は持てないって未来も
- 実在するという定義を殺せ
- 攻撃の右手を左手がつかんだ時、事態は膠着状態に陥る
- 何も無い世界
- 大日本帝国の終焉
- 化粧に舞い上がるか、素顔に絶望するか
- 別にラノベを読んでいても問題なかろう
- imperfectゆえにperfect
- 論理をご本尊にしてはいけない
- 宇宙に目的があったらその過程は理不尽
- パパの総力戦
- 8月16日早朝の木星、すばる、アルデバラン
- 言うだけ言って金を出さない貧乏人
- 仏教徒もまた啓典の民
- 理想主義者は有害
- お茶濁しに人工衛星を
- 美しいなんてのは後の話だ
- その理論は人生の言い訳ではなかったか?
- 曇りで流星群極大は見られず
- 東から降る夕暮れ
- 自然数と科学史は、無理数と歴史は
- 私たちは自然数主義者でした
- 自然数の比というイデアはどうすれば良いのか
- 神奈川中央40度
- それは子供向けの廉価版なので
- 8月11日の温度と湿度
- 十分の一でした
- 逃げた騎兵をみんなでボコる
- 長い夢だった
- なんか知らんけど2色変えれば良い
- 選んだ人と選ばれた人
- 町内会のバンド演奏はしばしば痛い
- ビバっ! バカンス
- 首相は夢とみなされず、弾丸の放物線の最後は垂直落下に終わる
- それは理解というよりも、むしろファンタジーではないか?
- サブユニット軍団
- 射程と被弾帯
- 設計すれば設計士になれるわけではないよね
- 足下を駆けゆく流星
- クロスする人工衛星とISSとフクロウと
- 闇のスペクトル
- ただ無意味に生きて無意味に死ぬ
- 隊伍を組むゾンビは脅威ではない
- では冬が来る前にこの夏を満喫しよう
- 黒砂糖トラップと木星と冬の星座と
- ゾンビは健脚、賢者は残骸
- ゾンビ民主制
- 過去の栄光にすがる人
-
▼
8月
(61)