自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年8月30日金曜日
月と地形と相対年代と
今朝の月は、空がかすんでいたせいか、あまりクリアではなかった。
∧∧
( ‥)それでもまあ、気流の
状態は良いものでした
( ‥)ちゃちゃっと
‐□ スケッチしたけど、
昨日とは
打って変わって
明暗境界線の
クレーターの名前は
知らん人名ばかりだな
コペルニクスとチコはともかく、他の人は誰だか知らない。まあ、そのうちに本を読めば出会うだろう。
∧∧
(‥ )それにしても、こういう1枚の
\‐ スケッチでも月の地質と
相対的な年代を
読み取ることができますと
(‥ )おおまかにいえば
例えば南のように
クレーターが
多い地域がある
ということはクレーターの原因になった隕石衝突の頻度が、時間的に非常に偏っていたことが分かる。
∧∧
( ‥)まんべんに偏り無く衝突が
起きたら、月全体が
クレーターだらけになる
からね
( ‥)北に見える虹の入り江が
‐□ なかば”海”に沈んでいる
ということは
虹の入り江が出来てから
溶岩が出てきたことが
分かるよね。
*月の海。つまり暗いうさぎさんマークは月の内部から滲み出た溶岩が広がったものなので。
**虹の入り江:スケッチ上に見えている半円形をした入り江状の地形のこと。見た目からしてクレーターで、溶岩に半分埋まることで入り江状になっている。
∧∧
( ‥)コペルニクスクレーターが
海にあるということは、
海が出来てから
衝突が起きたことは
明らか。
(‥ )だけども海は全体的に
クレーターが非常に少ない
つまり
隕石の重爆撃時代=>溶岩が拡大して低地を埋める=>隕石衝突の頻度ががたっと減る=>コペルニクスを生成した衝突が起こる=>最近、月は静かです
∧∧
(‥ )まあこれは非常に
\‐ 荒っぽい推論ですけども
(‥ )これだけの手がかりでは
隕石衝突の頻度が
ずーっと同じで、
海が最近になって
急激にできた、
でもいいわけだからね
もちろん、月の地質学にはもっと色々な根拠があるのだ。
ともあれ、最低限、前後関係は明らかだ。
つまりこのスケッチだと例えば南にあるクレーターだらけの場所が一番古くて、海がより新しく、それより新しく出来たのがコペルニクスクレーターということになる。
∧∧
(‥ )ともあれ、こんな観察でも
\‐ 地質学的に色々と
考察できるのは確かですね
(‥ )地球の地質学を知って
いるとさらに色々な
ことが見えてくる
だろうな
例えば、誤解している人もいるけども、地球の内部はマグマではない。マントルはカンラン岩で出来ているし、溶けた鉄である核(厳密には内核を抜かした外核の部分)を抜かせば地球は体積のほとんどが固体だ。固体地球物理という名称は伊達ではない。
*地球の内核では晶出した鉄の雪が降っているという。
とはいえ、固体も流れる。地球のマントルは実際に流れてしまう。だから月の大型クレーターのような構造物が地球にあったら、それを支えられない。だけども月にはクレーターがそのまんま残っている。見れば分かる。つまり、
∧∧
( ‥)月は地球よりずっと
固い事がここから分かる
( ‥)その一方では溶岩は
‐□ 地球よりずっと柔らかい
海が溶岩だというなら
ぺたーっとしてるし
月に地球のような火山は
ほぼまったく見当たらない
わけだしね。
どう考えても月の溶岩は地球のものよりサラサラしてるんだろう。実際、月のどこを見ても富士山みたいな山は見当たらない。
∧∧
(‥ )見れば見るほど不思議な
\‐ 天体ですよねえ
(‥ )スケッチもさ、
満ち欠けの明暗境界線を
連続して描けば
一枚の絵になるかなー
とか以前は思っていたの
だけどもねえ。
もちろん、月には秤動(ひょうどう)がある、ということは知っていたのだけども
∧∧
( ‥)連続して描いてみたらね
日時が変わると、
地形の相対的な位置が
まるで違ってきてしまってね
( ‥)秤動は知っていたけども
‐□ よもやあそこまで
スケッチに深刻な影響を
与えるとは思わなかった
からねえ。
*秤動:地球から見た場合、見かけ上、月がぐらぐら揺れているように見えること。
**月は球体なので、ぐらぐら揺れて見えても、見た目は円盤状で変化はない。
**上で言っている、スケッチへの影響とは、日時ごとのスケッチをつなげようとしても、クレーターや海のような地形は月という球面上にあるので、見かけの位置がずれると、日時によって相対的な配置や間隔や形が歪んだり、変化して見える。ゆえにスケッチのつなげようがない、ということ。
∧∧
(‥ )まあ、やったから
\‐ 実感したわけで、
何事もやってみるものですね
(‥ )まずは、地形全体の
把握だな
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