自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年4月6日土曜日
本の動態
∧∧
( ‥)昔話、ですか
( ‥)そのライターさんはね
–□ ガイア仮説が嫌いでね
ガイア仮説。地球と生物が相互作用することによって環境を維持している、そういう仮説、とでも言えばいいか。
∧∧
( ‥)ガイア仮説というと、しばしば
地球さんが生物に色々便宜を
はかってくれる、そういう仮説
として受け取られることが
ありますけどね
(‥ )地球は世話焼きお母さんだ
そういう受け取りだな
これはたぶん、人類は地球の調和を破壊する悪しき存在、というセンチメンタルな発想と対になっている。
∧∧
( ‥)そのライターさんはそうした
センチメンタルな発想が
嫌いだったと
(‥ )センチメンタル以前に
馬鹿げてるからな
それだけではないにせよ、だからなんだろう。彼は地球では2600万年ごとに大量絶滅が起きているという仮説、さらには地球自身が周期的に大変動を起こして生物を絶滅へ追いやる、という仮説に飛びついた
∧∧
( ‥)センチメンタルなバラ色の
夢をふっとばしてくれる
仮説だから?
(‥ )それだけではなかったが
こういう動機はあったと
思うよ。
地球自体が生物を滅ぼすという仮説
地球は2600万年ごとにマントル深部から巨大なプリュームを沸き起こし、それが大陸をどっかーん、とふっとばして大量絶滅を引き起こすのだと
∧∧
( ‥)そんな仮説、誰も支持して
いませんけどね
( ‥)マントルプリュームが
–□ 周期的にうんぬんも
さることながら、
周期絶滅説自体が
支持されてないからな
*注:マントルの下の熱い部分がわき上がってくる、というマントルプリューム自体は現象としてある。それが地殻の下の溶けやすい部分を溶かして大規模な火山活動の引き金になることもありうる。だが、先のライターさんが飛びついた仮説はそういう現象をもっと複雑怪奇かつ、ご都合主義化したものだと思えば良い。
**単語が指し示す現象自体は存在しても、その単語から成り立った文章自体が正しいことにはならない。
どっちにしろ、彼はそれを本で書いた。何度も。子供向けの本でも書いた。何度も。
∧∧
( ‥)ある編集者さんは言いました
そういうことをされては
もう僕らではチェックできない
(‥ )この話がやっかいなのは
書いてる本人は嘘や間違いを
書いている気が全然無い、
そういうことなんだよね。
本は、一部の原発煽りの本もそうだが、UFO本のように、書く方も編集する方も、嘘だと分かっているものがある。
∧∧
( ‥)書き手は本当だと思い込んで
いるけども、編集者さんは
信じていない場合もある
(‥ )でもつまるところ、
編集者の仕事は
編集作業であってね、
本の内容はともかく、
仮説の妥当性を査読する
ことではないのだよ。
∧∧
( ‥)学術誌の例を考えれば
当然ですけども、
査読は高度に専門的な
知識を求められるから、
査読自体でさえ
限界ありますからね
( ‥)そういうことをされては
–□ もう僕らではチェック
できないレベルだ。
それはそうなんだよね
確かにチェック自体はできなくもないのである。そのジャンルの研究者に聞けばいい。
∧∧
( ‥)でも、それは本来、
ライターの仕事だよね
(‥ )研究者に聞かなくちゃ
いけないなら、
編集者は最初から
研究者に聞いてるからな
出版社によって、そのジャンルに特化して、他の追随を許さない、という会社があるのはそもそもそのためだ。ああいうのは、編集者自体が特化しているので、誰に聞けば、というか、誰に書いてもらえばよいか知っているから出来るんである。
*注:この場合、編集者はサイエンスライターなんぞにそもそも執筆を依頼しない。研究者、それも信頼出来る研究者に頼めば良いのだから。
∧∧
( ‥)そうでないもっと広い
ジャンルを扱う会社の場合、
編集者さんはもっと色々な
ものを扱いますから
(‥ )怪談の本とロボットの本と
自己啓発の本を同時に
扱うことだってあるだろう
からね。
こういうことを念頭に入れておけば、書店に並ぶ本がどうしてそういう内容なのか、それがもっと理解しやすいだろう。
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