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2010年12月28日火曜日

あきらめの世界

 
 海外のどこだかで有害図書として上げられる本のなかにジョージ・オーウェルの「1984年」があるという話、

 ∧∧
(‥ )を、伝え聞いただけですが
\-
     (‥ )なんか冗談みたいだよな。

 というか「1984年」という小説は

 ∧∧
( ‥)あなたに言わせればギャグ漫画なんですよね

     (‥ )抱腹絶倒、笑えるよ。

 もう何年も前に書いたコンテンツはこちら→*

 ギャグ漫画を有害図書だとか言い立てて規制しようとするのは、覇気が衰え、安楽椅子にどっぷりとつかることしか考えられない老人のやることで

 漫画を規制するようでは、例えばの話、

     ( ‥)老いたな都知事
 ∧∧
( ‥)はあ

 「1984年」ネットでのぞいてみたらずいぶん真面目な書評が多かった。

 ∧∧
( ‥)自由のない管理社会、だそうです
  -/

     (‥ )というか、あれは「ごっこの世界」だけどね。

 自分たちは無限大に勝利を収め続けることができるのだ、そんな夢を語り続けるために、夢から一歩たりとも出ることを許さない世界。

 ∧∧
( ‥)....なんか、過保護で頭がおかしいお母さんみたいですね

     (‥ )PTAとはそういうものだ。

 戦争を無限継続しようと取り決めたことで敵による征服と言う脅威が消滅した世界

 ∧∧
( ‥)平和省が戦争を司っているのですよね

     (‥ )そういえばネットで、「平和を語って戦争するなんて
         自衛隊みたいですね」って言っていた人がいたっけなあ

 いや、それは違う。オセアニア国の中にあるたった4つの省庁。豊富省は飢餓を、愛情省は拷問を、真理省は虚偽を司るが

 ∧∧
( ‥)平和省だけは

     (‥ )平和省だけは本当に平和を司っている。

 戦争の無限継続による絶対平和。

 戦争が恐ろしいのは恐ろしいからだけじゃない。終わるからだ。

 終わりは甚大な損害を出しての勝利か、あるいは敗北による抹殺を意味する。

 しかし、戦争に終わりがないのなら、戦争はもはや脅威ではない。

 ∧∧
( ‥)外敵がいないから夢を語り、自由を捨ててもよい世界

     (‥ )夢を語るためには自由を捨てねばならぬ。
         そのために外敵をなくした世界。

 外敵の恐怖に怯え、征服される悪夢から逃れるように大量動員を実現させ、技術の発展、科学と民主主義をひたすらアクセルさせてきたヨーロッパ人、その一員であるオーウェルが書くから「1984年」は周到で、しかし、深刻なギャグになる。

 ∧∧
( ‥)外敵がいれば、夢なんていうたわ言は
    語っていられない。

     (‥ )敵がいるからこそ、夢をかなぐり捨てて
         自由の見返りに大量動員、工業化を押し進める。

 夢にとって科学や技術や民主主義や自由は敵だ。そして夢にとって平和こそが必要悪である。安楽椅子に座る崩れかけた老人のように。

  
 ∧∧
( ‥)1984年の世界は無限大の闘争をする、
    永遠の凱歌を歌う世界だとオブライエンは言いますが

     (‥ )嘘だよ。あれはあきらめの世界だ。

 勝利をあきらめ、征服をあきらめ、闘争をあきらめ、何もかもあきらめて居心地の良い世界に引きこもって、ようやく手にした「ごっこの世界」

 ごっこだから無限に勝利できるとうそぶける。

 本も論文も読まないオレ様理論屋のように、教科書も読まないスローガンだけの自然保護団体のように、効き目があると宣伝だけして検定しないホメオパシーたちのように

 あれはあきらめの世界。だから夢の国。

     ( ‥)か細く、ひ弱で、取り澄ました世界
         まさにユートピア。1984年は実は
          真の意味でユートピアなのだ。
 ∧∧
( ‥)ゆえに?


 ゆえに現実世界はそれと反対。地獄にならねばならぬ。

 夢を踏みにじり、疲れ衰え膝をついた者も無理矢理立たせ、武器を無くし徒手空拳の者に鉄パイプを与え、ただひたすらに進撃する世界にならねばならぬ。

    

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