自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2010年2月3日水曜日

順調だったのに途端に土石流


 生物、特に絶滅した古生物を運動や機能を数式や公式やらなにやらで再現しようとする。

 ∧∧
( ‥)いわゆる機能形態ってやつですか?

    (‥ )そういう単語でくくるにしては機能形態って分野は
         あまりにも幅が広いように思えるけどねえ。

 ああ、この論文すげーーーってものもあれば、全然だめじゃないですかこれってのもある。

 ∧∧
( ‥)純粋に古生物の運動とかに限るとどうなでしょうね?

    (‥ )さあねえ。でもあれじゃない? ざっくりしたもの
        と細々としたものとがあるけども。

 例えば恐竜の運動能力はどのくらいだろう? 色々な公式を持ち出したり、あるいは自分で発明したりして論ずる論文もあるけども、ざーーっくりと動物の大きさと歩く/走るスピードをプロットしてそこからざっくりグラフを出して、それから論ずる人もいる。

 ∧∧
( ‥)どっちを採用?

    (‥ )グラフでざっくりかなあ。

 動物を色々見てみたところこうでした。恐竜も動物なんだからこのグラフに従うんじゃね? というのは面白みのかけらもないかもしれないけども、当たり前と言えばしごく当たり前な意見なので、これは採用していいんじゃねーの、という感じ。

 ∧∧
( ‥)細かい論文は?

    ( ‥)その論文の妥当性をどう判断したらいいのか?
       が問題になるかねえ。

 例えばの話、こんな例。ある大型肉食恐竜の走る最高速度を導き出す公式を発明しました。それはこれこれです。この公式に従うと大型肉食恐竜はマックス40キロ毎時だかなんだかで走れます。

 ∧∧
( ‥)でもあの論文は、、、

    (‥ )それに必要な筋力の問題を結局のところ
        解決していないんだよな。

 そこまでは(一応、たぶん)理路整然と展開していた論文が、最後の最後に土石流。

 あるいは例えばこんな話。というかこの例は結構多い。計算したら超大型の翼竜は飛べません。論理的に考えて昔の地球は重力が低いか、あるいは大気圧がめちゃくちゃ高いかのいずれかです。

 ∧∧
( ‥)はあ、まあ、時々出てくる意見ですよねえ

    ( ‥)でっ、無視されるわけなんだが。

 世の中には自分の公式よりも自然界の重力定数とか環境を疑う人がいる。おかしなもんでこの手の人たちは環境を変えた時に必然的に起きる化学的変化とか、物理的な変化とかもろもろの結果をまったく考慮にいれていない。とはいえ、まあ考えてみれば必然だとも言える。

 ∧∧
( ‥)なんで?

    (‥ )自分の方程式は正しい。だとしたら
        間違っているのは自分とその方程式以外の何か
        だってことに論理的にはなるからじゃない?

 論理的にはそうだろうねえ。ただ、最初の、”自分の方程式は正しい”が根拠不明だってだけで。

 そういえばいたよなあ、自分の方程式では現在の大型の鳥が飛行生物の最大サイズであることが示された。ゆえに、大型翼竜は飛べないって言った人。

 ∧∧
( ‥)ちょっと飛躍してますよね。

    (‥ )ここまで説明できるから、そこから先のものも
        説明できるだろう、飛躍だね。

 帰納としてはありだと思いますよ、そりゃあ。A〜Zまでそうだった。だったらイ〜ンも説明できるだろう、というのは。

 ∧∧
( ‥)でもあれですよね、彼が言っていることは
    A〜Zまで説明できた、イ〜ンまでは(否定的に)説明できた
    だからイ〜ンを肯定的に説明するには重力定数とか
    気圧という要素をいじるべきである、という
    主張なわけですよね。

    (‥ )最初の部分は、より正確にはこうだよね。

 A〜Zまで説明できた、ゆえにイ〜ンまでも(否定的に)説明できる”はずだろう”

 ∧∧
( ‥)飛躍してますね。観測した事実から観測していない
    事実を推論しているわけですから。

    (‥ )してるね、まあ飛躍自体はいいんだよな。
        問題はその次ぎに”だから他の要素をいじるべきである”と
        自分の方程式の優位性をうたっていることなんだろうね。

 A〜Zまでそうだった、だったらイ〜ンまで説明できるだろう、という(論理では正当化できない)飛躍した推論と発想の世界に足を踏み入れた時点で、演繹だ、論理だ、だからオレ様は無敵だ、ではなく、ちゃんとデータの数や質、整合性で考えるべきでないんかね?

 ∧∧
( ‥)データの数でいったら重力定数をいじるとか
    気圧を変えるとか、そういう調整案は破綻しちゃうでしょ?

    (‥ )破綻するねえ。

 山のように押し寄せるデータがみんなでこう言うのです。

:俺たち変えるよりもさ、お前のそのご大層な方程式とやらを作り替えた方がよくね?

 ∧∧
( ‥)なんでこんなことになるんでしょうね?

    (‥ )論理や演繹が中途半端なんじゃないの?

 論理的なのだから正しい。そう言っている分には勝手に何を言っていてもかまわない世界なんだけども、”現在の鳥は説明できる、ゆえに翼竜も説明できるはずだ”と言った時点でその世界からもう飛び出している。そのくせ、結論を下す段階では”自分は論理的なのだから他が論理的に間違っているに違いない”と再び論理の世界に戻っている(少なくともこういう論法でないと、この場合、自分の優位性は主張できないでしょ)。

 ∧∧
( ‥)立ち位置をころころ変えている?

    (‥ )そういう風に見えるけどねえ。


 順調に見えていたのに、最後に土石流。

 

ブログ アーカイブ