Omosudis この属名はどうも一般的には”肩の魚”という意味であるとされているらしい。
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(‥ )omoがギリシャ語の肩で、sudisがラテン語、、ですか
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(‥ )という理屈らしいのだよね。
手元のラテン語の辞書ではsudisは
尖ったという意味になるんだが。
ギリシャ語とラテン語の複合された属名ですか。それにしても肩の魚ねえ、、、意味が分からないのだけど、肩帯が特殊なのかどうなのか。確かに比較的近縁なボウエンギョは肩帯が珍妙だけども外見上はそうは見えないし、肩に棘があるわけでももちろんない。
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( ‥)ギリシャ語のomoはようするにωμοςのことですけど
-□ 同じつづりの単語で残忍な、の意味を持つものが
ありますね。
(‥ )意味としては残忍な魚の方が通じると
思えるけど、どうなんだろうねえ。
残忍な針でも通じるかもしれないけども、どうだろう。文法的にはどうなのだろう。
記載が19世紀なので記載論文にたどり着けるとは思えないし、そもそも名前の由来は、まあこれまでの経験からすると書いてなさそう。さてねえ。困ったもんだ。
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( ‥)でも一番の問題はあれでしょ?
学名の由来探しになんの意味があるんだ?
ってことですよね
( ‥)トリビアのネタにはいいけど、
分からないとネタにもならんからなあ。
分かりやすい学名ならいいけども、さっぱり分からんものもある。使っている辞書が悪いのかもしれないし、まあそもそもこちらが文法とかギリシャ語がラテン語化する時に何が起きるのかよく分かっていないとか、そんなことがあるんだろう。例えば
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( ‥)ギリシャ語の手を意味するχειρはラテン語化すると
chir ですね。複合語を作るさいに
接続母音がつけばchiro-ですか。
( ‥)χがchになるのはいいとして
なんでχειρ(cheir)がchirなのか?
ああ、ギリシャ語のeiが二重母音だから、ラテン語化する時にiへ変わるのか。とかそういうのは分かりやすいにしても、Myxineがどうもやっぱりわからない。ギリシャ語の粘液を意味する単語 μυξα、つまりmu(y)ksaに由来するのだろうとは分かるけども。
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( ‥)なぜ語尾がine?
(‥ )さあ?
そういえば学名とその由来と文法を述べた本の中でその著者が、学名や命名、造語法はとっつきにくいと言われているけども、これは科学にとって必要なんですから、皆さんもっとちゃんと学ぶべきです!! と力説していたよなあ。
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( ‥)まあ必要であるのは確かなんですけどもね。
(‥ )どんな意味で必要とされているのかが問題だね。
データを処理するためによく調整されたプログラム。色々な経験から導き出した公式や方程式。その公式や方程式の意味をちゃんと理解する数学的な素養や哲学的な背景を理解する知識。その目的のために制作された観測器や分析装置。その扱いやマニュアル。適切なデータをとるための機器の扱い方とそのテクニック。これまで受け継がれてきたもろもろの伝統的な方法論。研究に必要な事務処理や手続き。今日の作業に必要な食事。
困ったことに学名とか命名とか造語法は以上のどれでもない。いや、強いて言うと事務処理のひとつというべきか。
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( ‥)でも学名がついていない生き物でも研究はできる
わけでしょ?
(‥ )あれをこうしました。ああ、あれね。
発言者と聞き手の共通理解がぶれていなければ
ニックネームでも俗名でも問題ないんだよな。
というか先日までしていたのはまさにそういう事例の論文を読むことで。誰が見ても新種でしょ? という動物がいまだに記載されず、学名もつかず、しかし研究だけはちゃくちゃくと進んでいるという即物的な事実。
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( ‥)先の本の作者はとっつくにくいと言わずに
生物学の基礎だから学ぶべき、と
主張していたんだけども、、、、。
( ‥)たぶん、みんなそうは思っていない
のだと思うよ。
いつかは必要だが、誰かやれ、学名がなくても取りあえず仕事はできる。どうも研究者の皆さんはそういう風に考えているように見えるかなあ。
我々自身、例えば契約書では最初こそ個人名が出てくるが、そうして個体を指定してしまえば、後は甲乙で代名してしまう。個人名という形以外のやり方で個体を指定できるのなら、その個人名さえいらないだろう。指定が正しければそれでいいわけで、固有名詞をつけることは便利ではあるが、その必要はかならずしもない。
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( ‥)学名もその造語法も、一部の人が積極的にその必要性を
主張するほどには
(‥ )みんな緊急性は感じていないってことだろうな。