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2016年8月14日日曜日

生きるとはあまりにも面倒くさい

 
 ∧∧
( ‥)でっ?
 
  (‥ )そうだな
      端的に言うとだな
      30万の仕事が
      連続してきたんだ
 
 普通、一冊の本を作ると60万ぐらいはもらえる。税金で一割りを引かれるから54万とかそのぐらいになってしまうが、まあそのぐらいはもらえる。
 
 ∧∧
(‥ )一冊の本を作るのに
\−  三ヶ月はかかるから
    60万だと仮定すると
    月給は20万だね
  
  (‥ )週刊連載漫画の単行本が
      三ヶ月に一冊であるように
      完全書き下ろしの本は
      三ヶ月より早くすることは
      まあ無理だ
      漫画でもラノベでも
      科学の本でもそれは同じと
      見て良い
 
 1年は12ヶ月。つまり年間に4冊の本を書くのが限界だ。だとすると物書きの年収はフル稼働で60万×4=240万円、ということになる。
 
 もちろん、ヒット作を作ればそれが何回も版を重ねる。そのたびに印税が入るからこの数値を突破するであろう。
 
 ∧∧
(‥ )人気のラノベ作家さんは
\−  新刊を出して最初のひと月で
    あなたの年収を越えるよね
 
  (‥ )一ヶ月どころか一週間で
      越えてるんじゃねえか?
      金の振込はそんなに
      早くはないけど
      あの売れ行きは
      ただ事じゃないね
 
 しかしこういうヒット作はまず無い。

 世の中には、
 
 俺様は売れてるラノベのあんな馬鹿な文章よりもっと良いのが書けるから、俺様がラノベ作家になれば余裕でうはうはだ! 

 と有頂天に勘違いする人間がいるし、そういう人間にこういう現実を告げると、嘘だ! 俺たちに夢を諦めさせようとしているんだ!! とか怒りだすものだが。
 
 ∧∧
( ‥)でもこれが現実なんだよね
    物書きの年収は300万に
    到達できません
    ラノベ作家だろうが
    なんだろうが
    240万程度が限界で
    普通はそれより低いです
 
  ( ‥)まあそんなことも
    −/ どうでも良いのだ
 
 
 問題はである。一冊につき30万の仕事が立て続けに入ってきた、ということにある。
 
 理由のひとつは単純だ。

 真面目な本を作りたいな。でもこういう本は売れないな。じゃあ安く作ろう。
 
 ∧∧
(‥ )研究者や医者に専門書の
\−  執筆を頼む会社って
    そういうことをするよね
 
  (‥ )彼らは給料取りだからな
      だからまあ問題ない
      でも俺は物書きなので
      30万は困るのよなあ
      月収10万はちょいと
      困るだがよ
 
 まあしかし、これ自体も真面目な本を作ることの弊害だと言えばいいだろう。
 
 ∧∧
( ‥)ようするにあなた
    良く言えば真面目な本を
    書く人だと思われてるけど
    悪く言うと
    売れない本を書く人だと
    思われているわけだ
 
  ( ‥)そこは是正しないと
    −/ いけないんだけどね
       俺の真骨頂は
       グロキモコワのはず
       なんだけどなあ
 
 だが、なによりどうにも不穏なのはもうひとつの可能性である。
 
 出版業界が小さくなってしまったので、真面目な本、不真面目な本うんぬんに関係なく、そもそも金を払えなくなっているんじゃないのか? という可能性だ。
 
 ∧∧
(‥ )これ自体も前から
\−  指摘されていることだよね
    この文章を読む人の中には
    そんなことは俺が何年も
    前から声を大にして
    言ってきたことダー!
    と叫ぶ方もいるでしょう
 
  (‥ )まあそうだろうね
 
 
 ともあれ、先日、知り合いの編集者が会社を辞めた。
 
 理由は、物書きに払う金をいかに減らすか、そういう方針と要求を上司が打ち出してきたことにあるという。
 
 ∧∧
( ‥)その上司
    コンサルタント上がりだった
    そうじゃないですか
 
  (‥ )金のやりくりと
      数字しか見ないから
      物書きの生活とか
      生み出される文章の質とか
      品質の保証とか
      そういうのを
      全然見ないそうだな
 
 編集者も、守りに入っている会社と部署ではつまらん、と辞めていったのである。
 
 ともあれこれは示唆的だ。
 
 ∧∧
(‥ )これからは1冊30万の
\−  仕事が真面目不真面目関係なく
    ガンガン来るかも
    知れないぞと
 
  (‥ )要するにさ
     年収240万ではなく
     MAX状態で年収120万を
     想定して物書きは生活せよ
     ということだよ
 
 ∧∧
( ‥)?? どうする?
    家賃が安い場所へ
    引っ越すか?
    何も無い生活をするか?
 
  (‥ )まあそれはひとつの手だね
      当然そうするさ
      とはいえしかし
      それだけじゃ
      ダメだろうな

 ∧∧
( ‥)だからいかに売るかを
    ずっと考えているのだと
 
  (‥ )だから売ることを諦めて
      売れないのは
      世間が悪いと言い続ける
      連中を見るとだな
      恵まれてるね
      死んでるね
      よかったね
      と声をかけたくなる
      わけだよ
      ああ、そうだな
      俺はリベラルの連中が
      うらやましいのだな
 
 そうとも、私はリベラルがうらやましいのだ。実際、生きながら死ぬのは良いことだぞ、リベラルの諸君。もう生きるなんて不自然なことをする必要もなく、安定状態へ崩壊できるのだからな。永々と反復する責任転嫁と自己満足な世界でゆっくりと朽ちていくがいい。それが幸せというものなのだから。
 
 つまりこれはhilihiliのhilihili: リベラルは後ろ向きに最低状態へ崩壊するの続き
 
 ∧∧
(‥ )しかし生きながら死ぬとは
\−  恵まれていないとできぬ技
    そうでない立場であれば
    いかにこの120万状態から
    逃げるのかが課題となる
 
  (‥ )逃げる時だけは
     前へ前へ
     上へ上へと逃げるのだ
     後ろへ下へ逃げると
     位置エネルギー最低状態の
     谷間に落ち込んで
     脱出不可能になる
 
 ∧∧
( ‥)まあしかし
    これは面倒くさいというか
    しんどいというか
 
  ( ‥)生きるってのは不自然
    −/ 無茶ぶりだからな
      どうしてもめんどくさく
      なるものよ
       
 ああ、面倒くさい。生きるというのはまったくもって度し難いことだ。
 
 

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