自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2015年9月26日土曜日
論理人間は不幸そうな顔をしている
論理的な人間と言うのは、どいつもこいつも不幸そうで、文句ばっかり言っておる。
∧∧
(‥ )そんなもんですかね
\‐
(‥ )不幸というのは色々ある
貧乏な不幸とかな
でも論理をこねくりまわす
余裕があるってことは
そういう不幸じゃないよな
そして切羽詰まっている
わけでもない
切羽詰まっているのならまずは行動だ。理屈うんぬんなんて言わない。
∧∧
( ‥)つまり?
貧乏でもなく
切羽詰まっているでもない
そういう余裕ある立場で
なおかつ
不幸な人間が論理を
ふりかざすのだと?
(‥ )おそらく話は逆でな
論理を振りかざすから
不幸になっているのだと
思う
論理とは前提がもともと持っているものを引き出すことしかできない。つまり、論理を振りかざして不幸や主張を理路整然と申し述べる。それは彼が抱いているもともとの世界観が不満そのものだ、というだけの話。
∧∧
(‥ )この世界が気に入らないから
\‐ この世界が気に入らないと
言っているだけなのである
(‥ )彼自身は自分の訴える意見が
真理であり
誰もが受け入れるべき正統だと
考えておるのだがな
実際は彼個人の不満でしか
ないわけよ
当然、皆がみんな、彼の意見を受け入れる事は無い。当たり前である。人間は工業製品ではないのだ。
しかし、彼にとって自分の結論は論理的な真理である。公理から演繹された定理である。
もちろん、実際には自分の偏見を回りくどく出力させただけでしかないのだが、彼はそれが真理であると思い込んでいるのだ。
これは、論理こそ真理を導くという、プラトン的な錯誤でもある。しかし、残念ながら論理的に考えるとはこういうことだ。かくて論理は人の目を閉ざし、不幸へと追い立てる。
∧∧
( ‥)そして彼は世界を憎む
自分が見つけた真理を
受け入れない世界を恨む
だから恨み言と不満だらけ
( ‥)実際には自分の不満を
‐/ 自分で出力しただけだし
前提も間違いだらけ
なのだがな
例えば、自分が見つけた真理は他の誰もが結論するはずだ、論理人間はしばしばそう思い込む。しかし、そう思い込んでいること自体に病巣が見える。実際こういう発想は、人間は一律に鋳造された工業製品のようなものだ、という前提があって初めて成り立つ。
∧∧
(‥ )だが実際には違う
\‐ 人間は無数の変異が
離合集散するネットワークで
ひとつとして同じものがない
(‥ )しかし彼は人間を
工業製品だと
思っているのだ
そういう誤った前提から
スタートした彼は
人間をどう思うかな?
彼は次のように考えているだろう。自分は真理を発見した。自分は人間である。人間である自分はこの真理を受け入れた。そして人間は一律な存在である。だからすべての人間がこの真理を受け入れるはずだ。彼にとってこれは自明の理である。
∧∧
( ‥)でも実際には大間違い
(‥ )彼の発見は彼の不満を
出力しただけだし
人間はばらばらの個人だ
彼の発見や
ましてや彼の個人的な不満を
受け入れる義理はない
しかし、彼からすれば人間のこうした行為は裏切りに他ならない。なぜ多くの人は私が発見した真理を共有できないのか? そう思い込む。
∧∧
(‥ )ここで彼は
\‐ 世間の人間は馬鹿なんだ
教育が悪いのだ
民主的でないのだ
日本は民度がなっていないのだ
とかなんとか言い出すと
(‥ )まあこれも全部同じことを
言ってるだけなんだがな
ようするに
”なんで私の意見に
賛成してくれないの?”
それだけの話
しかし、彼の不幸はこれだけではすまないのである。彼はある日、テレビやネットで自分と同じような意見を持つ人を見て嬉しくなる。自分と同じ真理にたどり着いた人がいたんだ! 有頂天になった彼は活動に参加する。
しかし、すぐに失望する。なぜって、無数の色が渦巻く世界の中で比べたから似た色に見えただけで、中に入れば赤っぽいのやくすんだものや、ショッキングピンクやらなにやら混ざっているからだ。彼のその後の運命はありきたりだ。失望して離脱し、不平不満をぶつぶつこぼしながら生きていくか、仲間内でさらに分派を作って活動も考えも先鋭化していくか、そんなところだ。
∧∧
(‥ )これって不幸なんですかね
\‐
(‥ )間違った前提から
間違った結論を導きだして
世界が間違っている! と
わめきたてながら
人生を消耗するのだ
これを不幸と呼ばずに
なんと言おうか?
論理人間というのは、これゆえに不幸面だ。
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