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2015年9月16日水曜日

小人のコートは撥水性

 
  ( ‥)そう言えば以前
      ナウシカは
      砂の惑星のぱくりだ
      という意見を見かけてな
 
 ∧∧
( ‥)はあ…
 
 まあ確かにうろ覚えではあるが、学生時代に買った宮崎駿監督のイメージボード集(20年以上前の時点でそれは古本屋で買ったものであった)には、マスクをつけたユパ様とおぼしき人物が砂塵が荒れ狂う砂の荒野を馬に乗って進み、その背後にサンドウォームと書かれた、でっかい虫が這い進んでいるものがあった。

 砂の惑星の舞台、惑星アラキスには巨大な動物がいる。それが砂虫、すなわちサンドウォーム。

 イメージボードに描かれた怪物は砂の惑星のサンドウォーム同様、長いミミズ状の体であった。そして目が多数存在し、細かな足が無数にあるように見えた。あれはオームの原型なんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもナウシカって
\−  森に支配される世界の物語で
    砂漠の話ではないよね
 
  (‥ )砂漠は登場するけど
      主題は森だよね
 
 
 これまたうろ覚えだが、何かで読んだことがある。日本では田畑が荒れても、白土三平が描くような西部劇にはならないと。
 
 ∧∧
( ‥)日本の気候だと
    森に戻るだけだからね
 
  (‥ )砂の惑星にヒントを
      もらったにしても
      腐海と森を出した時点で
      ナウシカは別物だよな
 
 さて、最近見かけたのは、ナウシカたちは小さな世界の住人で、アリエッティはその続編である、という解釈であった。
 
 ああ、確かにしばらく前、ナウシカの世界は巨神兵が人間サイズで、ナウシカたちは小さいのだ、という解釈をネットで見たことがある。

 おそらく、以上の解釈はその発展型なのだ。また聞きしている間におかしな解釈が団子つながりになること、これはうわさ話では普通に起こる。
 
 ∧∧
( ‥)でもナウシカが小人の世界って
    そんなわけないでしょ?

  (‥ )そりゃないだろうね
      トルメキアの王子たちが
      古典時代の音楽家たちは
      実在したんだ!! と
      感嘆してかき集める譜面は
      普通のサイズだったからな
      旧世界の都市群も
      ナウシカたちからみれば
      普通の建物だし
      トルメキアの首都が
      寄生する古代遺跡も
      普通のサイズだし
      聖都シュワへ向かう途中で
      遭遇する丘は
      高熱で溶けたビルだからね
      丘であって山じゃない
 
 そもそも、巨神兵の設定も変わっているせいか、原作の一話、一番最初に出てくる巨神兵は裁定者でもないし、生物兵器でもない。内部に梯子とハンドルがある遺棄された古代の巨大機械であった。そして梯子やハンドルのサイズは、巨神兵の内部を駆け上がるナウシカと同じなのである。
 
 とはいえ、ナウシカの映画が公開された時、オームがダンゴムシに似ているからナウシカたちが小さいのかと最初は思った、そう感じた人が自分の知り合いにもいた。そのことからするとナウシカ小人説は意外とありきたりな感覚なのだろう。
 
 だがしかし
 
 ∧∧
(‥ )もしもナウシカさんが
\−  小人だったら
    毛皮のコートを着ないと
    死んじゃうよね
 
  (‥ )小さな体だと
      体温が維持できないからな
      人間のような裸の哺乳類は
      地上ではあっという間に
      凍え死ぬか
      新陳代謝が速すぎて
      すぐに餓死するよね
 
 小人は毛皮のコートを着ていないといけない。もちろん、手袋も必要だ。顔もなるべくなら露出しない方がいい。
 
 ∧∧
( ‥)そうかと思うと
    炎天下に出たら今度は
    あっという間に熱死ですよ
  
  (‥ )体積小さいと
      すぐに熱が上がるからな
      
 
 つまり、小人は毛皮のコートを着て日陰で過ごさないといけない。森から出ないか、あるいは夜行性か、あるいは地下生活者でないといけない。実際、小さな哺乳類はそういうものである。小人の目は小さく退化しているだろう。
 
 ∧∧
(‥ )さもなければ
\−   トカゲみたいな変温動物に
     なるんだろうね
 
  (‥ )ひなたぼっこで
      体温を上げて
      数分間獲物を追跡して
      体がかじかみはじめたら
      またひなたぼっこを
      するんだろうなあ
      なんか
      ウルトラマンみたいだよね
 
 ∧∧
( ‥)ウルトラマン変温動物説
 
  (‥ )そう考えていた時期が
      俺にもありました
 
 ともあれこういうことを考えると
 
 ∧∧
(‥ )サイズが異なると
\−  世界も行動も全然変わってくる
    だけどそういうことは
    一般には知られていない
    そのことがナウシカ小人説から
    見えてくるのだと
 
  (‥ )そういうことだな

 
 小人の世界は我々巨大生物とはまったく違う。例えば彼らに高さの恐怖はほとんどないはずだ。体積に対して表面積がでかいから、落下しても体に影響を及ぼす速度にまで加速しない。
 
 ∧∧
(‥ )木登りも得意だろうね
\−
 
  (‥ )重量が小さいから
      位置エネルギーの消耗は
      無視できるからな
      上下移動は大変だという
      概念は小人には無いか
      希薄だよね
 
 
 ∧∧
( ‥)その一方で水は非常に
    危険であると
 
  (‥ )表面張力が強く
      効いてくるから
      体にべたっと水滴が
      張り付くし
      へたに口を塞がれたら
      溺死しちゃうよね
 
 小人が着る毛皮のコートは撥水性が望ましい。
 
 
 

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