自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年10月3日木曜日
愛国、突撃、大逆転
例えばこういう意見。
宇宙戦艦ヤマトに熱狂する日本
∧∧
(‥ )こういうアニメに熱狂する
\‐ 国を見たら戦いたく
なくなるのじゃないか?
そういう意見もある
見たいですね
(‥ )補給も技術も無視で
勝利だけを追求した
作品だから、
これ見て喜ぶ国なら
楽勝WWWと
思われるんじゃね?
そもそも、元になった戦艦大和自体が技術も資源も人口も足りず、それでも戦わざるをえず、負けて多くの人を失った大日本帝国、そしてその敗北の象徴のような存在だ。それをあえて空に飛ばして、さらにただ一隻で大帝国に勝つ。実は根本的な問題解決を放置したままで勝利する。それが宇宙戦艦ヤマト。これは日本人にしか作れないアニメである、と述べた人がいたけども、それはその通りなのだろう(*作り手だってこうしたストーリー上の無茶ぶりは、百も承知である、ということでもある)。
∧∧
(‥ )さりとて、補給や兵站にも
\‐ 注目した作品、
例えば「銀河英雄伝説」は
一般受けしないかもですね
(‥ )非常に売れた作品だけども
テレビ放送でブームを
巻き起こせるか、
と言ったらどうかなあ
理屈っぽい、と
思われるかもしれない。
あるいは、焦土戦術をやられて、絶対の自信があった補給と兵站があっという間に崩壊していく過程と、担当者の憔悴ぶり、そもそも侵攻したこと自体が間違いなのに敗北によりその責任を取らされて左遷される姿。あれをもう少し掘り下げたら世のお父さんたちの共感を得るのかもしれないけども。
∧∧
( ‥)あの物語は
正義の帝国が悪の共和国を
最後まで圧倒する
トンデモない話
そう評した人がいましたけども
( ‥)まあ、そういう内容だよね
‐□ 強権を発動できる
独裁制の方が、
民主制よりも効率的では
あるしね。
貴族がいる帝国、いわば冗長な部分がある大国家の、その冗長な部分を抹殺して財産を放出すれば、国家は潤うんだろう。アレクサンドロス、というかアレキサンダー大王がペルシアを倒した時も、膨大な貴金属が流通したと聞く。
それにそもそも銀河帝国は共和国よりも人口が多い。新たな最高指導者が軍事に優れた人物でさらに動員をかけたのなら、共和国に勝ち目がないは必然。
*しかも、物語のほぼ冒頭における侵攻の大失敗で、共和国側は参加人員の七割が戦死、将軍クラスの軍人が事実上、二人しか生き残らなかったという大打撃。これではもう...
∧∧
(‥ )帝国の新しい指導者、
\‐ ラインハルトさんは
フランス革命後のナポレオン
ペルシア帝国を下した
アレキサンダー大王、
両方混ざってますかね?
(‥ )大帝国の貴族を滅ぼす、
民主制国家を制圧する、
そういうところは
アレキサンダーだよな
その一方で
民衆を総動員する、
2倍の敵が三方向から
我を包囲しようと
向かってくる時に、
ああ、じゃあ個々の敵は
自分たちよりも少ないよね
それならそれぞれ撃破だ、
そうやって速度で勝つ所は
ナポレオンだよね
一方、現実世界において、民主国家は独裁制よりも総動員に向いている。
また、そもそも総動員された数で相手を押し切る、とはアマチュアがプロを押し切れるわけで、そこにはアマチュアでもそれを持てばプロと戦える道具がある、ということを示している。
∧∧
( ‥)それを考えると
愛国的な熱狂に包まれて
いるとはいえ、
帝国が総動員をかけて
あるいは志願兵がぞろぞろ
現れて、自発的な大軍で
共和国に攻め込んでくる、
宇宙戦争で高度な技術が
必要そうであるのに
アマチュアでもプロと
戦える、この設定は
奇妙と言えば奇妙だし
でもそれを成立させる条件を
満足させていると言えば
満足させてるように見えますね
( ‥)戦争を説明するモデルの
‐□ 違いもあるのだろうな
突撃すれば勝てる
補給と兵站を整えないと突撃しても勝てません、というか戦わなくても餓死します
総動員すれば人口が多い方が勝つよ
総動員とか、それができるかどうかはむしろ社会の仕組みとか、みんなの常識とか意気込みとか、その時の技術がどんなものなのか、どういう扱いをすれば動く機械なのか、その動作が簡単なのか、あるいはそうでないか、そういうことが関わってくるでしょう
∧∧
(‥ )なんか後半になればなるほど
\‐ 地味で理屈っぽくなって
きますね
(‥ )それを考えると、
創作をして物語をつむぐ
クリエーターって
大変だよな
軍事行動を盛んに展開して、実際に死者まで出てるアメリカでも、映画における戦いの描写がしばしば愛国、突撃、大逆転であることを考えると、多分、このあたりが、一般人の理解できる戦争の精一杯だ、ということらしい。
必然的に戦いの物語はこの域を出ず、ここから出たいと願ったものはテレビのような広いが軽薄な媒体ではなく、ゲームとか小説とか、そういう世界に潜るのだろう。
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