自己紹介
- 北村雄一(北村@)
- イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック
2013年10月17日木曜日
電子の世界では距離を詰めるのはたやすく、魚釣りは容易である
貧乏人は米が高くて食べられない。しかし、輸入が自由化されたら安い米が入ってくる。コメ農家という既得権益者たちに税金が使われる時代は終わり、僕らはもっと自由になる。
西欧諸国は例えばアフリカの旧植民地で安い主食を生産させればいいのに、それをしない。これは国防を理由とするからであり、日本も主食は守らなければいけない、と主張する人がいるが、片腹痛い。アフリカはどんどん砂漠化しているし、あそこの連中に倫理観や労働意欲なんてない。アフリカで穀物生産など無理である。だから国防の理由がうんぬんで食料は自給すべしという、こうした理論武装は無視して良い。
∧∧
( ‥)あなたは、これらの意見は
たわ言で馬鹿げていると
見るけども、
”こういう言説を売る”こと、
それ自体は正当だと。
(‥ )商売とはそういうものよ
求めがある。求めに応じることが出来る。この時、商売が生じる。
∧∧
( ‥)ビジネスチャーンス
( ‥)たわ言でも間違いでも
‐□ なんでもいいのさ、
売れればいいんだよ
さもなければUFOの本や新聞というものはこの世に存在しなかっただろう。
∧∧
(‥ )でもネット全盛の今時、
\‐ こういう商売が流行る
ものでしょうか?
(‥ )パイが小さくなっている
ことは確かだな。
新聞やテレビ、出版界も
ネットに根元を切り崩され
縮小しておる。
とはいえ、しかし、新聞もテレビも出版界も、生きていく事自体はこの先ずっと可能なのだ。
∧∧
( ‥)単純に全盛期に太りすぎて
縮小する家計で生活できない
というだけでね
(‥ )収入が減ったのに生活水準を
落とせなくて借金するデブ、
そう思えば良い。
ありがちな話よ。
それを踏まえると、冒頭の言説も十分に商売として成立することになる。
∧∧
(‥ )それにしても、こういう内容が
\‐ ネットでまかり通るのは
なんだかなーとも
思えますけども。
(‥ )ネットよりも本の方が
高級だ、というと
反発する人は多いよね。
例えば、本の方が質は良い、そうは言うけどもさ、最近の新書はネットの記事からコピペで作ったようなしろものじゃんよ。という意見。
∧∧
( ‥)それは事実でしょう?
(‥ )まったくの事実だよ。
当たり前じゃないか。
問題は、”ネットの記事からコピペで簡単に作られた”、これがいかにも、ネットの技術が出版界を浸食した、かのように読める、あるいは発言者自身がそう思っているだろう、という点に多分ある。
∧∧
( ‥)実際には、ネットではなくて
パソコンという機械が、
コピー&ペーストを可能にした
だけなんですけどね。
(‥ )これはさ、むしろ
出版界の底辺が
ネットを浸食したと
見るべきなんだよな。
もちろん、どっちがどっちを浸食した、というのはあまり意味のない議論なんだろう。赤と青の染料の境界線で紫が生じれば、それは赤が青を、青が赤を、いずれも互いに浸食したと主張することが出来る。
∧∧
( ‥)無料になった、という点では
ネットが出版界を浸食した
わけですよ
(‥ )一方、程度の低い、
てきとーな文筆業が
浸透してきた、
という意味では
出版界の底辺が
ネットにどろどろと
流れ込んできたとも言える
どう見るのかは、どこにどう注目するか、どういう切り口で理解するか次第かもしれない。とはいえ、互いの世界の重複する部分が互いに浸透した部分であり、そしてそれは、
∧∧
( ‥)程度の低い部分である
(‥ )程度が低い
ジャンクフードな部分を
食われたから
出版界は今、
苦戦しているわけでね。
それはテレビや
新聞でも同様だろう。
程度の低い部分、というのは商売では極めて重要だ。とても大きな領域を占めている。実際、例えば、この世界からジャンクフードや”程度の低い料理”を追放したら、さて世界はどうなってしまうだろうか?
∧∧
( ‥)破滅するんじゃね?
(‥ )ポテチもコーラも
マックも回転寿司も
ラーメンもない世界だ
消費も物流も企業も
雇用も大崩壊だろ。
多分、ネットのすばらしさを理論武装する人は、活字万能論者や頭のいかれた知識人が唱える言いがかりを、真に受けすぎているのではないか?
活字万能論者やいかれた知識人は本の素晴らしさを説くが、実際のところそれは無駄に難解で自己満足大爆発の小説であり、随筆であり、哲学の仮面をかぶった思い込みであり、たわ言であり、役立たずであり、
∧∧
( ‥)そして実は商売の根幹ではない
(‥ )あんな連中、出版界という
氷山の、海面に浮き出た
一部にすぎんよ。
本当の大部分は海面の下、暗い、暗い世界にある。そもそもそこを切り崩されたから水没しているわけで、水没しているから氷山の上でお高くとまっていた連中が騒ぎだすわけで、そんな奴らのたわ言を真面目に聞いていては現状を見誤るだろう。
∧∧
( ‥)というか、見誤っていると
( ‥)冒頭の言葉とそれを買う人
‐□ あれらはそういうもの
だろうし、
そして悲しいかな、
それが出版界の底辺なのだ
というか、本来だったら出版界の暗い場所にあるべき領域が溶けてネットに流れ込んできて、その打ち寄せる流れに呑まれたのだと言える。
実際、例えば冒頭の言葉を考えてみよう、アフリカの砂漠化は別にアフリカ全土の問題ではないし、仮に現地の人の生産効率が欧米や日本の農民の10分の1であっても、人件費がそれを帳消しに出来るほど安ければ問題ないし、実際に農場もあるし、あるいは反対に自給出来ないような、食えもしない商業作物を作るプランテーションに特化させてしまった歴史的経緯などなどもある。植民地経営ってのはろくなもんじゃない。それを考えれば、先の言説は学校で習った地理や歴史を忘れているのではないか、と思わせる。
*それにどうも、冒頭の言説を読んでいると、アフリカがなぜ発展できないか、それを説明する都市伝説的なネット上のやり取りを鵜呑みにしているようなふしがある。
∧∧
( ‥)つまり、底辺じゃね? と
( ‥)昔は、ああいう言説は
‐□ パルプな雑誌で、
エロいお姉ちゃんの
グラビアの脇につらつらと
書いてあったものなんだが
今じゃ、溶けて、ネットに流れ込んであちこちに水たまりを作ってる。
∧∧
( ‥)でも? 出版界から溶けて
流れてきたはずなのに、
今でもこういう言葉は
出版界の商売になるのだと?
(‥ )流れて溶けて水たまりに
なってもだな、
竿を伸ばして釣り糸を
垂れれば、
魚が釣れるって案配よ
出版界から遠く逃げたからといって、そうは簡単に逃がさぬ。なんといっても電子の世界だ。距離を詰めるはいともたやすい。
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