自己紹介

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2013年10月29日火曜日

人生とは単なる牢獄 だが、馬鹿げているがこれを使うしか無い


 
 ∧∧
( ‥)まあ、例の攻殻機動隊の話を
    平たく言えばですよ
 
  (‥ )孤児を集めて機械を
      安く作って売る、
      そういう施設に
      公安が突入をかける世界が
      ”ディストピア”というなら
      ずいぶんぬるい
      ディストピアもあった
      ものだよな。
 
 hilihiliのhilihili: うろ覚えではあるが、少佐の話はそういう事ではないと思うの続き
 
 恵まれない人がいる。
 
 恵まれない人を食い物にする人がいる。
 
 食い物にする人を取り締まる人がいる。
 
 ∧∧
( ‥)でも、これらの人々、全員が
    悪いのは俺じゃない
    というでしょうね
 
  ( ‥)実際、そういう構造なのだ
 
 
 恵まれない人は言うだろう。買う人がいるので食い物にされるのです。
 
 食い物にする人は言うだろう。買う奴がいるんだよ。だからするのさ。
 
 取り締まる人は言うだろう。買う人がいるからね、これはなくならないね、取り締まりはいたちごっこなんだよね。
 
 
 買う人がいる。
 
 さて、悪いは誰だ?
 

 食い物にされる人か? 食い物にする人か? 取り締まる人か? 
 
 あるいは
 
 別の誰かか? そして別の誰かって、誰のことだろう?
 
 確かに食い物にした者は犯罪者である。しかし、それも”構造”があったからこそ、需要という構造があったからこそ、望みがあったからこそしたに過ぎない。
 
 この構造と需要を生み出したのは、どこの誰だ? それは、その人々は私たちが良く知っている人々ではないか?
 
 ∧∧
( ‥)まあ、単純にそれだけの
    話なんですよね
 
  ( ‥)我々は人食いだ、
    ‐□ そう言った奴がいてね
 
 なにか安い商品を買う場合、それは時として、いや、むしろしばしば、それはどこかの誰かの極貧の低賃金に依存している。いわば、安く買う代わりに、我々は相手に貧乏を売りつけたのだ。
 
 あるいは、貧乏が命を蝕むことを考えれば、我々が安さを喜ぶ時、それは人を食っているのだと言える。
 
 100円ショップでは誰に貧乏を押し付けた?
 
 携帯電話に使われている希少金属を掘り出した人々は今、何をしている?
 
 ∧∧
(‥ )まあ、普通こんなことは
\‐  気にしてられませんからね
 
  (‥ )いちいち気にしてなど
      いられないからね。
      どーでもいい話よ
 
 正直、こんなこと、どうでも良い話なんである。
 
 ∧∧
( ‥)でも、これは人類の歴史上
    確固とした連綿と続く
    事実でもある
 
 (‥ )ローマの奴隷制に支えられた
     大規模農場経営から始まり
     近代のアフリカでの奴隷狩り
     移民を使った低賃金労働
     中国人を拉致したクーリー
     さらに現代のもろもろに
     いたるまで
     何も変わっちゃおらんのだ
 
 それでもかなりましになったはずなんである。すし詰めの奴隷船はまあ、その意味において現在では存在していないし、機械やロボットという、文字通り、新たな奴隷を作ることにも成功した。
 
 ∧∧
( ‥)それでもなお、基本構造は
    変わらない。
 
  ( ‥)個人個人の安さを求める
    ‐□ 欲望は変わらないし、
      安くするにはコストカット
      コストカットするには
      こうするしかないからね
 
 未来においても、なお、それは同じだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも、以上のもろもろを
\‐  踏まえて漫画を描写したのに、
    義務をはたさず、
    福祉を使う気か?
    新興国を犠牲にして?
    という台詞だけを見て、
    そこだけを切り出して
    烈火のごとく怒る人が
    いるのだと
 
  (‥ )まあ、あれよね、
      おいらだってうろ覚えで
      漫画を説明しているわけよ
      いずれ確認するにしても、
      本来は一次文献である
      漫画をきちんと
      読み直さないとだめだ
      *2013.11.01に読み直して
      追記済み
 
 それを考えれば、切り出された、たった一言から”理解という憶測”を膨らませる、というのは、そりゃあ当然なんだとも言える。
 
 別に悪いことじゃない。
 
 間違ってはいるが。
 
 ∧∧
( ‥)ありがちですしね
 
  ( ‥)それに、僕らは
    ‐□ 世界の有様を
      ほとんど知らない。
 
 例えばここに一人の会社員がいる。だが、彼は自分の会社の何を知っているのか?
 
 経理を知っているか? あるいは経理なら営業を知っているか? あるいは営業なら現場の作成作業を知っているか? あるいは現場なら社長の決断と会社の借金を知っているか? あるいは社長や役員ならばプログラムとパソコンを知っているか?
 
 ∧∧
( ‥)みんな断片的な知識を
    知っているだけなのだと
 
  (‥ )それでも新入社員から
      おっさんになって
      自分は経験を経た、
      そう思うと、
      誰でも無駄な全能観に
      浸食されるわけよ
      小さな、小さな世界
      そのはずなのに、
      理解は雄大なのだ。
 
 俺は知っている。俺は理解している。俺の通りにすれば人生はうまくいくはずだ。
 
 ∧∧
( ‥)そんなことはない
 
  ( ‥)もちろん、そんなことは
      ありえない。
 
 人生に価値があり、正解がほぼ単一なら、人間は単なるクローンで良いはずだ。だがそうではない。
 
 これは単一のクローン、同じ人生観、ある完成された世界観が、その時、その場所でしか通じないこと、同じことを継続するといずれ破滅が起きること。それゆえ、必然的に人間はひとつの型にはまることなく、ばらばらで多様となることを示している。
 
 ∧∧
( ‥)この世界に確固たる解はない
 
  (‥ )だがそれでもなお、
      世界を動かすほど
      巨大で基本的な要因は
      限られている。
      そうでないなら、
      人の基本的な性質は
      維持されないからね。
 
 どんな解答もどんな人生も時と場所によって同じ成功をもたらすのなら、どんな人生もありうる。端的に言うと多様性が無限に増大するはずで、人間というまとまりそれ自体が維持されなくなる。例えば食べないで生活できるのなら、食べない人間と人生がありうるが、実際にはそんな人間はいない。
 
 肉体には制限がある。この制限が人間という枠組みを設定する。
 
 そして肉体はあまりに巨大な負荷には耐えられない。人生はあまりに大きな支払いには耐えられない。
 
 コストカットをしなければならぬ。
 
 コストカットするためには、コストを誰かに押しつけなければならぬ。
  
 ∧∧
( ‥)負荷を低減させるには
    負荷を誰かに押しつけねば
    ならない
 
  ( ‥)誰に押しつけるか?
 
 新入社員か? 就職できない若者か?
 
 次世代を担うはずの若者に支払う金を切ることか?
 
 あるいは

 不正を働いているに違いない。いやそのはずだ。自分がそう信じている官僚か?
 
 ずるいことをして儲けたに違いない。そうに決まっている。そう自分が信じている政治家か?
 
 あるいは
 
 あるいは遠くの誰とも知れない興味もわかない極貧の人々か?
 
 後進国というからには怠け者でいい加減で愚かで、我々のような人間とは違う人種だ、だから搾取も当然だ。そう自分が無邪気に信じている、見た事もない人々か?
 
 ∧∧
(‥ )でも、これに無自覚な人は
\‐  多いのだと
 
  (‥ )そりゃ、人間の自覚なんて
      脳が行っている計算の
      影のようなものだもの。
      ただの上っ面、
      自覚なんて間抜けなものよ
  
 人が、無自覚のまま打算から、残忍なことを平気でするのは当然。そうでなければ人間ではない。
 
 
 ∧∧
( ‥)でも結果的にはあまり
    賢い行為ではないのだと
 
  (‥ )賢くないって言うか、
      自分の人生から得た
      教訓以外何も無い、
      そういうことだろ。
      それは当然のこと
      なんだけども。
 
 生活保護を叩く貧乏人は、自分が生活に窮した時のことを考えているのか? 自分たちが一番そういう状況になりやすいはずだのに、生活保護を叩くなんて、なんて愚かなのだろう?
 
 ∧∧
( ‥)この意見、どう思います?
 
  (‥ )金が無いと
      他人に一円だって
      使いたくないからな。
      貧乏人だとするなら
      そりゃあ視線が厳しく
      なるでしょう。
      言い換えれば、発言者は
      それが分からないという
      わけよな。

 つまり、注目すべきは
 
 ∧∧
(‥ )自分が生活に窮した時の
\‐   保険をなぜ叩くのか?
     ひるがえれば、
     なぜ叩くのか? が
     分からない。
     注目すべきはここですか
 
  (‥ )この発言には
      発言者は
      金に余裕があること、
      主語からして自分は
      貧乏でない、
      そういう実感を
      持っていること、
      それを示している。
      そうではないか?
 
 高給取りで、なおかつ生活も雇用も収入も安定しており、考える余裕がある程度に仕事は激務ではない、そういうことが見て取れる。たぶん、経済的に危機的な状況を経験したことがないのではないか? 実感がともなわない、とはそういうことではないか?
 
 ∧∧
( ‥)ようするに以上の諭しは
    彼の人生の局地解って
    ことですかね?
 
  ( ‥)人生は牢獄だ。
    ‐□
 
 貧乏人は、余裕がないゆえに生活保護を敵視する、というのが事実なら
 
 自分が金持ちであるという自覚のない金持ちは、金持ちであるがゆえに、困窮時における思考を推し量る余裕も余力も想像力すら持たない
 
 というのはありそうな話である。
 
 ∧∧
( ‥)人間は自分の人生から
    一歩たりとも出れないと
 
  (‥ )人生は牢獄だ、
      そんな狭い牢獄で考えた
      ”分かった”なんて
      たいした意味はない、
      そういうことだろうな。
 
 しかし、何が一番馬鹿げているかって、たいした意味はない、と分かっていても、その”たいした意味がないはずの分かった”を使い続けるしかない、という点にある。
 
 人生は馬鹿げていて無意味で、理解に何の意味もないのにそれを使い続けるしかない。
 
 ∧∧
( ‥)まさに牢獄
 
  ( ‥)でも、この牢獄から
    ‐□ 解き放たれると、
      死んじゃうんだよね。
      困ったもんだよね
      
 
 

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