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2013年10月31日木曜日

つまり思うに、人生と努力、それ自体が安すぎるのではないだろうか?

 
 hilihiliのhilihili: その努力と成功体験は虚構ではなかったか?の続き
 
 ∧∧
( ‥)努力は投資、
    投資がないと成果はない
    これは当然
 
  (‥ )でも、それは
      ”投資すれば成功”
      を意味するわけではない
 
 投資しました≠成功
 
 これは当たり前。
 
 黒の目に有り金すべてを賭けても、そこに当たりがこなければ成功はなく、投資はすべて泡と消える。
 
 ∧∧
(‥ )投資が力の集中でしか
\‐  ないように、
    努力も力の集中でしかない
 
  (‥ )しかも、集中する、とは
      何事かに集中するという
      才能であってだね
 
 すなわち、才能がない奴は努力もできない。
 
 ∧∧
( ‥)努力の才と成功の才は
    違うのだと
 
  ( ‥)投資を集中する
      投資を継続する
      これらのことと、
      ”成功しそうな場所に
      投資すること”
      これは全然違うよね
      明らかに同じ才能では
      ないだろうよ。
 
 有り金を全部つぎ込む無鉄砲さ、と、どこに突っ込めば成果が上がるかそれを見極める能力、この二つは違うだろう。
 
 ∧∧
(‥ )集中する才能しか持っていない
\‐  人もいますよね
 
  (‥ )無駄な努力をして
      一生を終えてしまう奴な
 
 
 何が足りないのか?
 
 ∧∧
( ‥)なんとみます?
 
  ( ‥)あれをしてみる
      失敗、
      これをしてみる
      失敗、
      ではこうしてみる
      やや成功、
      じゃあこうしてみよう
      そこそこ成功、
      成功には試行錯誤が
      必要じゃないのか?
 
 考えてみれば絵を描くこともそうだ。
 
 日がな一日、絵を描いている。
 
 ∧∧
( ‥)それは集中
 
  ( ‥)女の子を描く、
    ‐□ 機械を描く、
      都市を、人を、動物を
      動きを….
      なんでもいいけども
      そこには試行錯誤が必要だ
 
 あれを試す、これを試みる、あの線を、この線を、こうした表現を、そして次を考える
 
 ∧∧
( ‥)試行錯誤には何が必要か?
 
  (‥ )それにはグラフが必要だ
 
 どんなことをした時に、業績はどう上がったか? どんな効果が現れたか? その因果関係を見るためにはグラフが必要だ。
 
 ∧∧
( ‥)グラフを描けない人間は
    成功出来ないと
 
  ( ‥)グラフってのはそんな
      難しいものじゃなくて
      どこにもで、一日中、
      あるものなのだ。
 
 食べた 満足した
 加えてみた しょっぱーい
 こんな健康法を 翌日、痛いです
 付け加えてみた なんか、キャラの雰囲気が変わりました…なんで??
 
 ∧∧
( ‥)なんらかの基準があり、
    データを加えることで
    次々に答えを出し、
    検討して試みを行い、
    それが新しいデータとなって
    それを加え...
 
  (‥ )答えは次々に変わる
      変わる答えは真実ではない
      それは仮説なのだ
      仮説だから前に進めるのだ
      真実なら
      そこで終わりだからな
 
 グラフとは、データを説明する仮説に他ならず、グラフを描くとはデータを説明する仮説を発見することに他ならない
 
 ∧∧
( ‥)よくあるグラフなら
    データからグラフを描く時
    最小二乗法を使います
 
  ( ‥)イラストレーターなら
    ‐□ 己の感性と経験と理屈を
      使うのだ
 
 やってみたけど、なんか知らんが結果的にカッコイイ。お客からの受けもまあまあだった。
 
 これを持続できるなら伸びるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えると、この才が
    ないと、努力の才があっても
    意味がないと
 
  (‥ )この才がないと、
      試行錯誤がなくなる
      進歩も探索もなくなる
      理解は真実だけになる
  
 それは一体何か? それは死んだことと同じだ。これでいいのだ、これでいいはずなのだ。そこには自己肯定しかなくなるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )これでもいいけども、
\‐   もっとよくならないかな?
     こうしたらどうかな?
      うわっ、駄目だ
      これならどうかな?
      あっ、なんかいける
 
  (‥ )試行錯誤はデータから
      グラフを描く才能。
      データを説明する仮説を
      発見する才能だよね。
      仮説があるから見通しが
      見通しがあるから検討が
      検討があるから試行錯誤が
      試行錯誤があるから
      探索があるのだ
 
 これがないとどうなる?
 
 ∧∧
( ‥)努力の才能はあるけども
    試行錯誤がない
    
 
  ( ‥)努力の才とは集中と投資の才
      だが、試行錯誤がないとは
      検討がないのだ、
      つまり確信しかないのだな
 
 確信だけがあって、試行錯誤がない、しかし投資を集中して賭けてしまう才能はある。
 
 つまり
 
 ∧∧
( ‥)破滅だと
 
  (‥ )考えも無しに有り金を全部
      自分の人生まで
      賭けてしまう
      そんなギャンブラーが
      どうなるのか?
      それはあまりにも明白よ
      あっという間に
      すり切れてお仕舞いよな
 
 
 以前、自分の絵に絶対の自信を持つ漫画家志望屋がいたが、自信しかないので、いわゆる俺様理論屋だった。つまり自分の意見を吹聴するのだが、その考えは応用が効かず、独りよがりだった。その男には自分の絵を否定する他人は全員敵なはずだ、という安っぽいプライドしかなかった。自分の40年以上の人生を漫画の持ち込みにかけたが、そもそも絵がへたなんである。というか伸びないのだ。自分を肯定ばかりしているから伸びないのだ。自分が真実であり、そのはずであり、認識は肯定ばかりで疑問を抱かず、試行錯誤を拒否した人間だ。そんな自己満足野郎が描く技術を向上できるわけがない。そもそも持ち込み自体、真面目にやっていなかった。結局、逃げ場所として夢を選んだだけで時の経過と共に無駄に年を取り、新陳代謝は落ちてデブになり、肉体は崩れかけ、上京生活もできなくなって故郷に尻尾を巻いて逃げ帰った。それでもなお、blogなどでアニメや漫画の評論を続けているものの、他人の作品を見ている暇があるのなら絵を描くべきだ。せめて1年間にカラーイラストなら100枚描くべきところを、これまで描いた絵のすべてを合わせてもその数に満たず….
 
 
 ∧∧
(‥ )...集中力があった、というの
\‐  ですかね?
 
  (‥ )まあ、自分の人生を
      台無しにする程度にはね
 
 
 才能うんぬんもさることながら、多分、人生を賭ける、という言葉にも問題があるのだろう。あるいは”人生”という言葉が持つ金メッキに幻惑されてしまう、と言うべきか。
 
 夢のために人生を賭ける。
 
 かけがいのない人生と等価交換で実現できるものなれば、その夢はなんとすばらしいものだろう。
 
 だが、実は逆ではないのか?
 
 夢なんていう訳分からんものでさえ、人生をあっさりと摩耗させることができる。
 
 つまり本当はこうではないのか?
 
 夢が高貴なのではなく、人生が安っぽい代物なんじゃね? だって人間、うじゃうじゃいるし。こんなものに価値があるわけない。
 
 人生というものは、そもそも掛け金として安すぎる代物で、そんなものを賭けたところで、あやしげな夢をかなえることすらできない。そういうことではないのか?
 
 さもなければ、こんなくだらん夢ごときで、こうもあっさり人生が詰むわけないだろう。
 
 夢が高貴なのじゃない。人生が安すぎるのだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )自分の人生を素晴らしいと
\‐  過大評価しているから
    夢を手にするには
    人生を賭ければ良いだろう
    そう安易に思ってしまうと
 
  (‥ )賭場でベットする時、
      人生は掛け金としては
      あまりにも安すぎる、
      その可能性は
      念頭に入れておいた方が
      良いと思うけどもね。
 
 ∧∧
( ‥)少なくともあれですね
    人生を賭けただけでは駄目で
    集中する才能、
    試行錯誤する才能
    発見する才能
    計測する感性や感覚、
    そしてすべてを実行する体力
    これら全部が必要だ
 
  (‥ )だとするとさ、
      賭場のテーブルに
      人生だけをベットして
      ドヤ顔している連中が
      ばたばた倒れて
      フロア中が死屍累々に
      なっていくこの状況は…
      納得がいくよな。
 
 
 人生と努力ごときで道が開ける、というのは、あまりに過大評価で、あまりも無謀な賭けではないのか? 
 
 そうでないとこの有様は説明できないと思う。
      

 
 

火星・レグルスおよそ9度10分

 
 夕方、空は曇って西空低く輝く金星以外、星は見えなかった。
 
 一仕事終えて
 
 ∧∧
( ‥)もう寝るはずじゃ
    なかったっけ?
 
  ( ‥)イラストを作成して
    ‐□ テキストを手直しして
      それでイラストを
      直して…
      そしたらこんな時間に
      なってしまった
 
 朝の4時半を回り、外に出ると空は晴れ渡って、星が輝き、東の空に低く、登り始めた細い月が見えた。
 
 火星もちゃんと見えたし、しし座のレグルスだけではない、獅子の尻尾であるデネボラも見えたので観測。
 
 ∧∧
(‥ )レグルスと火星の角度は
\‐  あなたの直角定規を使った
    数字から計算すると
    本日、10月31日早朝
    この時点でおよそ9度10分
    ということになりますね
 
  (‥ )火星はレグルスを
      かすめるように移動した
      ほぼ直線的に遠ざかって
      いると考えてよさそうだし
      3日前の28日には
      7度21分だったんだ。
      直角定規と肉眼では
      誤差が生じるにしても、
      3日で1度と半分ぐらいは
      動いたことになるのだなあ
 
 
28日の観察=>hilihiliのhilihili: 火星・レグルスおよそ7度21分
 
 1度と半分ぐらい。腕を伸ばした時に見える人差し指の幅ぐらい、もちろん指といってもどこを見るかで幅も角度も変わってくるが、指先よりも指の付け根に近い位置、 そのぐらいの幅、
 
 ∧∧
( ‥)その角度分ぐらいを
    この3日間で動いたと
    現在、火星さんは
    しし座さんのお腹を
    なでるように運行中
 
  (‥ )速いねえ、そして
      火星は今、暗いんだ
 
 1等星レグルスと同じぐらいの明るさだけども、レグルスは、明るいことは明るいが、あまり明るい星ってわけでもない。秋の夜更けには東の空に上がり、明け方には南の空で燦然と輝く冬の星座たち、その明るい星々に比べれば色褪せてしまう。それが王者レグルス、獅子の心臓だ。
 
 ∧∧
(‥ )火星が明るくなるのは
\‐  地球に近づいた時、
    つまり、
    太陽、地球、火星
    この順番で天体が並ぶ時、
    すなわち、深夜に火星が
    南中する時である
 
  (‥ )でも、その時は動きが
      遅くなるばかりか、
      止まって、
      ついには逆行し始めるの
      だよね
 
 *逆行:地球が火星を追い抜くので、追い抜かれていく火星が見かけ上、星座の中を通常の運行で見られる東へ、ではなく、西へ移動し始めるように見える現象。
 
 惑星の明るい、暗い、は、古代と中世より、惑星が地上に近づく、遠ざかるとして”正しく”理解されていた。
 
 ∧∧
( ‥)考えてみればすごい不思議な
    話ですよね、
    遠い時は速いのに、
    近づくと遅くなる。
 
  (‥ )等速円運動でこれを
      説明するにはどうするか?
 
 古代人は周転円を考えた。軌道上を自ら回転しながら惑星を運ぶ円。
 
 ∧∧
( ‥)あれだと、
    遠くて速い、
    近くて遅い、
    これを説明できる
 
  ( ‥)ああ、こういうことだよね、
    ‐□ 多分そうだよな
 
 そうだよね、他の仮説では、少なくとも天動説体系では、あれがベストな解決案だ。そう見るべきなんだよな。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、その前提に立って
\‐   もう一度本を読み返して
     みますか
 
  (‥ )うーん、なんか色々と
      分かってきた気がするぞ
 
  
 

2013年10月30日水曜日

その努力と成功体験は虚構ではなかったか?

 
 成功するには努力が必要だ
 
 言い換えると
 
  (‥ )成功するには
      投資が必要です
 
 ∧∧
( ‥)...そんなアドバイスに
    なんの意味が?
 
 投資を成功させるにはどこにどう投資すれば良いか?
 
 そういう具体的な指示が大事。
 
 しかるに、成功するには投資が必要です、だけですませるとは、いかなることか?
 
 そんなことを言うのは詐欺師か
 
 
   (‥ )あるいは、
      増やして返すから
      お金貸してちょ
      投資は我々専門家に
      おまかせください。
      とらすとみー 
 ∧∧
( ‥)...言っちゃなんだが
    やっぱ詐欺師っぽくね?
 
 まあ、詐欺師と言っちゃいけないのだろう。確かにリクスという形で顧客の期待に答えられない場合もあるが、最初からトンズラするために金を集めたわけではないのだから。
 
 ともあれ
 
 本来、投資には具体的な支持や計画がなければいけない。そうでないなら詐欺師だ。
 
 あるいは、あなたの投資を買うから、運用は私にまかせてください、と具体的に提示しなければならない。
 
 そうでないなら口先だけの無計画、無責任、口先だけ野郎だ。
 
 ところが、ひるがえれば、努力せよ、努力すれば成功できる、という主張にはどうもこういう具体性が見当たらない。
 
 ∧∧
( ‥)なぜでしょうね?
 
  (‥ )詐欺師だって
      ことじゃねえか?
 
 あるいはこうかもしれない。
 
 右肩上がりの経済成長というエスカレーターに乗っている。エスカレーターの段を上り下りしている。そしたら二階についた。
 
 上り下りと努力した。
 
 そしたら成功した。
 
 つまり、私の努力と人生の成功は原因と結果である。
 
 ∧∧
( ‥)嘘じゃんよ
 
  (‥ )いやいや、
      何をおっしゃる。
      本気で言ってたら
      嘘じゃないべ
 
 あるいはこう? 彼らの確信は偽りの因果関係である。
 
 ∧∧
(‥ )ありもしない因果関係を
\‐  成功体験にして、
    そこから努力、努力と
    具体性のない言葉をつむぐ
 
  (‥ )努力という言葉が
      空っぽなスローガンに
      なっているのは
      ”努力したから成功した”
      この成功体験自体が
      虚構だからじゃないのか?
 
 
 元が空っぽなら、言葉自体がすっからかんになるのも当然ではないのか?
 
 

2013年10月29日火曜日

人生とは単なる牢獄 だが、馬鹿げているがこれを使うしか無い


 
 ∧∧
( ‥)まあ、例の攻殻機動隊の話を
    平たく言えばですよ
 
  (‥ )孤児を集めて機械を
      安く作って売る、
      そういう施設に
      公安が突入をかける世界が
      ”ディストピア”というなら
      ずいぶんぬるい
      ディストピアもあった
      ものだよな。
 
 hilihiliのhilihili: うろ覚えではあるが、少佐の話はそういう事ではないと思うの続き
 
 恵まれない人がいる。
 
 恵まれない人を食い物にする人がいる。
 
 食い物にする人を取り締まる人がいる。
 
 ∧∧
( ‥)でも、これらの人々、全員が
    悪いのは俺じゃない
    というでしょうね
 
  ( ‥)実際、そういう構造なのだ
 
 
 恵まれない人は言うだろう。買う人がいるので食い物にされるのです。
 
 食い物にする人は言うだろう。買う奴がいるんだよ。だからするのさ。
 
 取り締まる人は言うだろう。買う人がいるからね、これはなくならないね、取り締まりはいたちごっこなんだよね。
 
 
 買う人がいる。
 
 さて、悪いは誰だ?
 

 食い物にされる人か? 食い物にする人か? 取り締まる人か? 
 
 あるいは
 
 別の誰かか? そして別の誰かって、誰のことだろう?
 
 確かに食い物にした者は犯罪者である。しかし、それも”構造”があったからこそ、需要という構造があったからこそ、望みがあったからこそしたに過ぎない。
 
 この構造と需要を生み出したのは、どこの誰だ? それは、その人々は私たちが良く知っている人々ではないか?
 
 ∧∧
( ‥)まあ、単純にそれだけの
    話なんですよね
 
  ( ‥)我々は人食いだ、
    ‐□ そう言った奴がいてね
 
 なにか安い商品を買う場合、それは時として、いや、むしろしばしば、それはどこかの誰かの極貧の低賃金に依存している。いわば、安く買う代わりに、我々は相手に貧乏を売りつけたのだ。
 
 あるいは、貧乏が命を蝕むことを考えれば、我々が安さを喜ぶ時、それは人を食っているのだと言える。
 
 100円ショップでは誰に貧乏を押し付けた?
 
 携帯電話に使われている希少金属を掘り出した人々は今、何をしている?
 
 ∧∧
(‥ )まあ、普通こんなことは
\‐  気にしてられませんからね
 
  (‥ )いちいち気にしてなど
      いられないからね。
      どーでもいい話よ
 
 正直、こんなこと、どうでも良い話なんである。
 
 ∧∧
( ‥)でも、これは人類の歴史上
    確固とした連綿と続く
    事実でもある
 
 (‥ )ローマの奴隷制に支えられた
     大規模農場経営から始まり
     近代のアフリカでの奴隷狩り
     移民を使った低賃金労働
     中国人を拉致したクーリー
     さらに現代のもろもろに
     いたるまで
     何も変わっちゃおらんのだ
 
 それでもかなりましになったはずなんである。すし詰めの奴隷船はまあ、その意味において現在では存在していないし、機械やロボットという、文字通り、新たな奴隷を作ることにも成功した。
 
 ∧∧
( ‥)それでもなお、基本構造は
    変わらない。
 
  ( ‥)個人個人の安さを求める
    ‐□ 欲望は変わらないし、
      安くするにはコストカット
      コストカットするには
      こうするしかないからね
 
 未来においても、なお、それは同じだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも、以上のもろもろを
\‐  踏まえて漫画を描写したのに、
    義務をはたさず、
    福祉を使う気か?
    新興国を犠牲にして?
    という台詞だけを見て、
    そこだけを切り出して
    烈火のごとく怒る人が
    いるのだと
 
  (‥ )まあ、あれよね、
      おいらだってうろ覚えで
      漫画を説明しているわけよ
      いずれ確認するにしても、
      本来は一次文献である
      漫画をきちんと
      読み直さないとだめだ
      *2013.11.01に読み直して
      追記済み
 
 それを考えれば、切り出された、たった一言から”理解という憶測”を膨らませる、というのは、そりゃあ当然なんだとも言える。
 
 別に悪いことじゃない。
 
 間違ってはいるが。
 
 ∧∧
( ‥)ありがちですしね
 
  ( ‥)それに、僕らは
    ‐□ 世界の有様を
      ほとんど知らない。
 
 例えばここに一人の会社員がいる。だが、彼は自分の会社の何を知っているのか?
 
 経理を知っているか? あるいは経理なら営業を知っているか? あるいは営業なら現場の作成作業を知っているか? あるいは現場なら社長の決断と会社の借金を知っているか? あるいは社長や役員ならばプログラムとパソコンを知っているか?
 
 ∧∧
( ‥)みんな断片的な知識を
    知っているだけなのだと
 
  (‥ )それでも新入社員から
      おっさんになって
      自分は経験を経た、
      そう思うと、
      誰でも無駄な全能観に
      浸食されるわけよ
      小さな、小さな世界
      そのはずなのに、
      理解は雄大なのだ。
 
 俺は知っている。俺は理解している。俺の通りにすれば人生はうまくいくはずだ。
 
 ∧∧
( ‥)そんなことはない
 
  ( ‥)もちろん、そんなことは
      ありえない。
 
 人生に価値があり、正解がほぼ単一なら、人間は単なるクローンで良いはずだ。だがそうではない。
 
 これは単一のクローン、同じ人生観、ある完成された世界観が、その時、その場所でしか通じないこと、同じことを継続するといずれ破滅が起きること。それゆえ、必然的に人間はひとつの型にはまることなく、ばらばらで多様となることを示している。
 
 ∧∧
( ‥)この世界に確固たる解はない
 
  (‥ )だがそれでもなお、
      世界を動かすほど
      巨大で基本的な要因は
      限られている。
      そうでないなら、
      人の基本的な性質は
      維持されないからね。
 
 どんな解答もどんな人生も時と場所によって同じ成功をもたらすのなら、どんな人生もありうる。端的に言うと多様性が無限に増大するはずで、人間というまとまりそれ自体が維持されなくなる。例えば食べないで生活できるのなら、食べない人間と人生がありうるが、実際にはそんな人間はいない。
 
 肉体には制限がある。この制限が人間という枠組みを設定する。
 
 そして肉体はあまりに巨大な負荷には耐えられない。人生はあまりに大きな支払いには耐えられない。
 
 コストカットをしなければならぬ。
 
 コストカットするためには、コストを誰かに押しつけなければならぬ。
  
 ∧∧
( ‥)負荷を低減させるには
    負荷を誰かに押しつけねば
    ならない
 
  ( ‥)誰に押しつけるか?
 
 新入社員か? 就職できない若者か?
 
 次世代を担うはずの若者に支払う金を切ることか?
 
 あるいは

 不正を働いているに違いない。いやそのはずだ。自分がそう信じている官僚か?
 
 ずるいことをして儲けたに違いない。そうに決まっている。そう自分が信じている政治家か?
 
 あるいは
 
 あるいは遠くの誰とも知れない興味もわかない極貧の人々か?
 
 後進国というからには怠け者でいい加減で愚かで、我々のような人間とは違う人種だ、だから搾取も当然だ。そう自分が無邪気に信じている、見た事もない人々か?
 
 ∧∧
(‥ )でも、これに無自覚な人は
\‐  多いのだと
 
  (‥ )そりゃ、人間の自覚なんて
      脳が行っている計算の
      影のようなものだもの。
      ただの上っ面、
      自覚なんて間抜けなものよ
  
 人が、無自覚のまま打算から、残忍なことを平気でするのは当然。そうでなければ人間ではない。
 
 
 ∧∧
( ‥)でも結果的にはあまり
    賢い行為ではないのだと
 
  (‥ )賢くないって言うか、
      自分の人生から得た
      教訓以外何も無い、
      そういうことだろ。
      それは当然のこと
      なんだけども。
 
 生活保護を叩く貧乏人は、自分が生活に窮した時のことを考えているのか? 自分たちが一番そういう状況になりやすいはずだのに、生活保護を叩くなんて、なんて愚かなのだろう?
 
 ∧∧
( ‥)この意見、どう思います?
 
  (‥ )金が無いと
      他人に一円だって
      使いたくないからな。
      貧乏人だとするなら
      そりゃあ視線が厳しく
      なるでしょう。
      言い換えれば、発言者は
      それが分からないという
      わけよな。

 つまり、注目すべきは
 
 ∧∧
(‥ )自分が生活に窮した時の
\‐   保険をなぜ叩くのか?
     ひるがえれば、
     なぜ叩くのか? が
     分からない。
     注目すべきはここですか
 
  (‥ )この発言には
      発言者は
      金に余裕があること、
      主語からして自分は
      貧乏でない、
      そういう実感を
      持っていること、
      それを示している。
      そうではないか?
 
 高給取りで、なおかつ生活も雇用も収入も安定しており、考える余裕がある程度に仕事は激務ではない、そういうことが見て取れる。たぶん、経済的に危機的な状況を経験したことがないのではないか? 実感がともなわない、とはそういうことではないか?
 
 ∧∧
( ‥)ようするに以上の諭しは
    彼の人生の局地解って
    ことですかね?
 
  ( ‥)人生は牢獄だ。
    ‐□
 
 貧乏人は、余裕がないゆえに生活保護を敵視する、というのが事実なら
 
 自分が金持ちであるという自覚のない金持ちは、金持ちであるがゆえに、困窮時における思考を推し量る余裕も余力も想像力すら持たない
 
 というのはありそうな話である。
 
 ∧∧
( ‥)人間は自分の人生から
    一歩たりとも出れないと
 
  (‥ )人生は牢獄だ、
      そんな狭い牢獄で考えた
      ”分かった”なんて
      たいした意味はない、
      そういうことだろうな。
 
 しかし、何が一番馬鹿げているかって、たいした意味はない、と分かっていても、その”たいした意味がないはずの分かった”を使い続けるしかない、という点にある。
 
 人生は馬鹿げていて無意味で、理解に何の意味もないのにそれを使い続けるしかない。
 
 ∧∧
( ‥)まさに牢獄
 
  ( ‥)でも、この牢獄から
    ‐□ 解き放たれると、
      死んじゃうんだよね。
      困ったもんだよね
      
 
 

鍋の中の虫と語る

 
 夢を見た。ひどい夢だ。
 
 道に迷っていた。いつものように夢の中で道に迷っていた。しかし、いつものような道ではなかった。風景と道は家の周辺を思わせたが、居並ぶ建物は全然違っていて、中に入って昇降機を使おうと乗り込むと、こじゃれた外見と裏腹にエレベーターというよりもむしろ貨物リフトを思わせるものだった。しかも動くと同時に突然暗転し、えっと思う間もなく、ゴミみたいに土もろとも放り出され、気がつくと坂の脇に半ば埋もれていた。
 
 確かに昇降はさせてもらえたようだがひどい有様だ。周囲の土に埋もれるゴミは、幸いなことに何か古着のようなものや、あるいはぬいぐるみだった。一体全体どうしてこんなことに? 土から這い出るように立ち上がると、右手に何か握っていた。どうも無我夢中のうちにつかんでいたらしい。
 
 なんだろう、でっかい人形なんだが、ずいぶんぞんざいな作りだ。時々あるチープだけど手作り感のある、手足は紐で、ディフォルメされたような、そういう人形。
 
 ただ、大きさが等身大だ。おかげで異様な迫力があり、そして髪は大変なボリュームで、そこだけは丁寧によく出来ていた。
 
 赤いワンピース、そして金髪のツインテール。顔は...、顔はまるで分からなかった。どうも自分の脳が顔まで描写するのは面倒くさいと言わんばかりに、髪の毛は分かるが、顔が分からない。というか認識できない。首をひねっていると自動車が目の前に停止した。えらく車高の低いオープンカーで、というかこれは本当に自動車なのか? 四輪ではあるし座席もあるが、誰も乗っていない。代わりに、左の座席の前に鍋のようなものがあって、それが、ぱかっと開くと黒い虫たちがうごめいていた。
 
 そのうちの一匹がしゃべった。いや、しゃべったように見えた。そのお人形をゆずっていただけませんか? 私、人形の収集家なのですが訳あって人前には出られません。そこで虫たちを乗せて遠隔操作で車を使い、人形を..

 
 理屈が分からん。だが、望みは分かった。ああ、これは私のものではないのです..そう説明しようとすると、わあ、虫がしゃべってる〜と通りがかりの親子連れが寄って来た。
 
 途端、虫は黙り、おかしいなあ、しゃべらないや、とやいのやいの言う親子に、ああ、そりゃあ虫ですからしゃべりませんよ。虫はしゃべったりしません。そう自分が言うと彼らは立ち去っていった。
 
 いきましたよ、いきましたか、そう話を続けようとすると、親子連れはぴたっと立ち止まって振り返り、やっぱりしゃべってるー、と
 
 うざい親子だ。
 
 引き返してきたこの連中をどうしようか、と思っていると、途端、フライパンのような容器の虫たちがもがきだし、まるで火をかけられた鍋の上ででもあるかのように暴れて、そして動かなくなり、興味の失せた親子もいなくなった。
 
 一人残され、どうしようと思っていると、動かなくなった虫たちの脇にある小さなブザーのようなものが音を立てた。まるで電話の呼び出し音のように。手に取ると、それは確かに受話器のようにはずれた
 
 もしもし?
 
 ああ、私、先ほどの虫を代理にしている....

 やはり訳が分からない。しかしなにより深刻なのは彼の説明の内容がちっとも本題に入らないことだ。
 
 突然、自分にはもう時間がないのだ、ということに気がついた。
 
 待って! まだ話が...、相手も気づいたらしい。だがすでに遅いのは明らかだった。どうやってどこに送ればいいんです? この車にこの人形を入れればいいんですか? ああ、でも、もう駄目だ、
 
 待って、もう少し...と相手の声は聞こえたが何もかも手遅れだった。認識ではなく自覚が脳を駆け巡るのと同時に、目の前の風景は急激に色褪せてコントラストが不鮮明になり、あっという間に細切れになるとすべてが真っ白となって....
 
 眼を開けると、そこは自分の部屋
 
 ∧∧
( ‥)何? このおかしな夢
 
  (‥ )知らんよ、
      こんなの初めて見た
 
 ちなみに、
 
 ちなみに虫はどう見てもユキシリアゲムシだった
 
 =>ユキシリアゲムシ
 
 
 

2013年10月28日月曜日

飛行機を作ることの出来ぬ夢見る人

 
 人間は本当に戦争をする動物なのか? 一部の戦争を好む部族の例を普遍化しただけではないのか? 平和を維持するための工夫を持った部族もいるではないか。
 
 ∧∧
( ‥)WW2以後、先進諸国の間で
    総力戦は
    70年起きていません
 
  (‥ )はい、平和的部族うんぬん
      なんてことを
      持ち出すまでもないですね
 
 我々自身が”平和”を維持する工夫を全力展開、実行真っ最中ではないか。
 
 戦争は必然ではないのだ。そう主張するのなら、なぜこの”国際社会の平和”から学ばない?
 
 
 ∧∧
(‥ )日本は平和な国ですよね
\‐   内乱もないし、
     暴動もないし、
     犯罪発生率も非常に低い
 
  (‥ )はい、この平和な世界、
      平和を維持する工夫が
      全力全開なこの世界で
      何が起きているか、
      皆さん、よくご存知だよね
 
 ”平和を維持する工夫を持っている部族”の話を持ち出すまでもない。我々自身が圧倒的に平和を愛好しているし、その平和を維持するために”何をしているか”、その平和の影で何が起きているか、それに対して皆がどのような”不満”を抱いているか、それを押さえるためにどのような力が必要か、そんなこと全員が十分に分かっていることではないのか?
 
 ∧∧
(‥ )人間は戦争をする動物だ、
\‐  と仮定するのは
    戦争肯定であり、
    平和を不可能にするのでは
    ないだろうか
 
  (‥ )”子供は自制心がない、
      という理論があるから
      子供は自制することなく
      ゲームを続けるのだ”
      これはそういう理屈だよね
      でも、そんな理解では
      うまくいかねえよな

 
 
 そもそも、理論は現実を説明するだけで、”現実を肯定する”わけではない。
 
 ∧∧
( ‥)航空力学があるから
    人間は空を飛べないの
    だろうか
 
  ( ‥)航空力学を使って
    ‐□ 空を飛ぶのだけどね
 
 かつてよく行われた事、鳥の翼をつけてばたばた羽ばたいても飛べない。
 
 それは航空力学とか、そういう理論が悪いのか?
 
 ∧∧
( ‥)計算するとこの翼の面積
    この形ならば
    人間でも滑空はできるよ
 
  (‥ )制限があるのは現実だ
      現実に制限があって
      現実の制限を記述できる
      そういう理論だからこそ
      制限の抜け道を
      見つけられるのだ。
 
 人が曰く。科学は人の自由のためにあるはずだのに、なぜ制限を与えるのか? なぜ理論的にありえない、と否定するのか?
 
 なぜアインシュタインの制限にそって光速以上の速度を出してはいけないのか?
 
 ∧∧
( ‥)別に理論が禁止している
    わけではないし、
    ”理論が禁止している”という
    言い方も、
    あれは言葉のあやですからね
 
  (‥ )そして、現実の制限を
      組み込んだ、
      ”現実から不自由な理論”
      だからこそ、
      現実の中で出来ることを
      指し示すことができる。
 
 例えば、ラム推進の宇宙船が本当に実現可能なら、宇宙船は光速を突破できないが、光速に可能な限り近づくことができる。
 
 ∧∧
( ‥)相対性理論の示す
    ところに従って
    宇宙が終焉する大未来に
    生きているうちに
    到達できる
 
  (‥ )それが可能性って
      ものよな
 
 人間が理論的に作れる一番速い宇宙船でも、隣の恒星まで20年とか、それぐらいかかる。だけどもラム推進で光速に可能な限り近づけるのなら、船内時間では人の一生の間に宇宙の終わりまでいける。調整すれば観測できるおぼろなほど遠くの銀河にまで生きているうちに到着することもできるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)故郷である地球も太陽も
    旅の途中で消滅して
    消えてしまい、
    人類もとっくの昔に
    絶滅している
    未来ですけどね
 
  ( ‥)でもこれが理論が
      示す可能性ってことよ
 
 それを考えると、戦争を許す理論とは何事か? これはいかれたたわ言で、現実逃避でしかないのだ。さながら、人が飛ぶことを禁ずる航空力学とは何事か? と言う人が決して飛行機を作ることができず、生涯、飛ぶことが出来ないように。
     
  
 
 *ラム推進の宇宙船。大気圏内のラムジェットと原理はある意味同じ。恒星間にあるわずかな水素をかき集めて、核融合反応を起こして進む。燃料を持つ必要がなく、無限に加速できる。ただ、光速に近づけば近づくほど加速が難しくなること、そもそも宇宙がこのまま拡大をひたすら続けると、前方にある燃料たる水素も希薄化するので、かき集められる燃料が減る。するとどうも、無限には加速できないっぽい(要検討)。とはいえ、光速に近づくと外部から見れば船内の時間は遅くなるので、すべての星が燃え尽き、核融合が絶え、銀河が消滅した大未来、宇宙の終わりまでいけるだろう、唯一の手段。
 

火星・レグルスおよそ7度21分

 
 散歩へ出ると、空は曇りだった
 
   
 ∧∧ 所々、晴れ間はありますが
(‥ )
 ‐( ‥)やれやれだな、星も
      月もよく見えない。
 
 公園までいってぼーっとしていると、西空から流れる雲に比較的大きな隙間があることに気がつく
 
 
 ∧∧ おや急いでご帰宅ですか
( ‥)
 ‐( ‥)さっき、ちらっと
      レグルスと火星が
      見えたからね
 
 帰り着いてしばらくするとうまい具合に星が見えた
 
 ∧∧
( ‥)先日買った、50センチの
    直角定規
 
  ( ‥)曇りばかりでやっと
    ‐「 出番がきましたよ
 
 レグルスと火星は直角定規で見ると520と67
 
 ∧∧
(‥ )計算するとおよそ0.1288
\‐   タンジェントで考えると
     だいたい7度21分ですか
     
  (‥ )2週間前の14日には
      火星とレグルスはほぼ
      1度の角度にあった
 
 14日の話=>hilihiliのhilihili: 火星・レグレス、角度1度あまり
 
 火星はレグルスの上をかすめる形でそのまま東へ移動したので、この14日の間に7度ばかし動いた、そう考えて良いらしい。
 
 ∧∧
(‥ )あなたの記録だと
\‐  ふたご座ポルックスと
    火星の角度は
    この2週間で
    35度42分から
    43度25分ぐらいまで
    動いたと
 
  (‥ )やはり7度〜8度、
      火星の動きはそういう
      状況なわけだ
 
 そういえば、9月28日から10月12日までの火星の動きも、2週間で7度ぐらいだった=>hilihiliのhilihili: 直角定規と火星
 
 ∧∧
( ‥)9月の終わりから10月の
    終わりである今日まで
    この一ヶ月の間に
    火星の速度は
    あまり変わっていない、
    そういうことですか
 
  ( ‥)まあ、直角定規で見る、
    ‐□ というレベルだと
      速度の変化が見えてこない
      そういうことだね。
      観測回数も少ないし
      星図に位置を記録して
      いるわけでもないからね。
      いずれにせよ
      火星はまだまだ
      動きが速い状況に
      あるわけだな。
 
 ところで、考えてみれば太陽は平均して1日におよそ1度動くのである(太陽は1年で天空360度を一周すること、1年が365日であることを考えよ)。
 
 ∧∧
(‥ )つまり2週間あれば太陽は
\‐  およそ14度動く事になる
    火星の速度は現在
    その半分あまりだと
 
  (‥ )火星は2週間で星座の中を
      約7度移動する一方で、
      太陽に7度あまり
      差をつけられているのか
 
 2週間に7度。誤差はあれど、腕を伸ばした時に見える指四本分ぐらいの幅。現状、これが太陽と火星の相対的な動きを実感できる角度。
 
 
 

2013年10月27日日曜日

無知はぬかるみ 混沌は事態を急変させうる 

 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  (‥ )そうねえ、考えてみれば
      日本と韓国は近いうちに
      必ず激突する運命だって
      ことになる。
 
 少なくとも歴史的に伝統的な状況、半島は中国の勢力下にある、この図式が本来あるべき姿で、それこそが均衡状態と考えるのならば、半島は遅かれ早かれ、それが10年後なのか半世紀後なのかはともかく、中国の勢力下に入ることになる。
 
 ∧∧
( ‥)だが海洋国家である
    日本とアメリカは彼らが
    海に出てくることを
    許すわけがない。
 
  (‥ )そうなると尖閣諸島と同様
      竹島が問題になるわけだ
 
 竹島が韓国の実行支配にあるまま中国の勢力下に収まることは
 
 ∧∧
( ‥)おそらく、日本とアメリカは
    それを絶対に許さない
    だろうと
 
  ( ‥)竹島の戦略的価値は
    ‐□ どれほどか?
       という問題はあれども
       この図式に従うと
       日本と韓国は竹島を
       めぐって激突するし、
       日本はどうあっても
       相手国の実行支配を
       終わらせねばならない
       そういうことになる。
 
 ∧∧
( ‥)穏便に交渉で終わるのか
    あるいは局地戦という衝突で
    行われるのかは
    ともかくとして
 
  ( ‥)まあ、そうなる運命なの
    ‐□ だろうねえ
 
 でもって
 
 ∧∧
( ‥)でも、この予測から
    あなたは何を引き出します?
 
  (‥ )さてねえ、
      軍事ライターなら
      いざしらず、
      おいちゃんの仕事には
      直接は関係ないからね
 
 確かに、物事を支配する要因は複雑にからんでいる。例えるならネットのリンクのように。リンクを何度か辿るとかなり違うジャンルが時として顔を出すように、物事を支配する原因、要因にもそういう意外な側面が必ず隠れている。
 
 というか、人為的に作られたネットよりも現実ははるかに得体の知れない部分があって

 
 ∧∧
(‥ )確かに、2、3回リンクを
\‐  踏むと、あなたのジャンルにも
    ひっかかってくるのですよね
 
  (‥ )まあ、問題はそれに
      不確定な部分があること
      なんだよな。
      きっかけになるのか、
      あるいは混乱の次に起きて
      状況をアクセルするのか
      どっちなのか分からん
 
 分からん、というとアメリカもどうする気なんだか。
 
 ∧∧
(‥ )シリアの毒ガス問題も
\‐   演説では勇ましかったけど
     結局、軍事行動は
     無しですしね
 
  (‥ )裏で恫喝したり
      船を動かしてみせたり、
      色々あるにしても
      アメリカは、
      もう、自分たちのことで
      精一杯という印象だよな
 
 実際には軍隊を世界中に展開、駐留させているわけだけども、リーマンショックもさることながら、噂に聞く、国内の深刻な格差が問題で、それをとにかくどうにかしたい、そういう風に見える。最近のアメリカは、悪く言うと、行き当たりばったりで雑、という印象。
 
 ∧∧
( ‥)それ自体はオバマさんの
    姿勢であって、
    アメリカ政府や軍隊の
    姿勢であるとは限らないの
    ですけどもね
 
  ( ‥)アメリカは直接選挙な
    ‐□ せいか、
      行動が馬鹿げてるとも
      言えるし、
      決定が衆愚政治的だとも
      言えるし、
      民意をくんできちんと
      民主主義をしているとも
      言える。
 
 イラクとその周辺諸国が持つ複雑さを無視して、というか、最初から知らないし知ろうともしない傲慢な素人ぶりを発揮して、湾岸戦争は勝ちを奪われた、今度こそ正義の力を見せるのだ、とブッシュJrにゴーサインを出してイラク戦争に突入。そして国を挙げての大失敗。戦費の増大、出費の増大、追い打ちをかけるリーマンショック。
 
 ∧∧
( ‥)そして今度は世界のことなんか
    どうでもいいから
    オバマさん助けてー!
    へるぷみー!
    軍隊撤収、引きこもり
 
  (‥ )民意をちゃんと
      くんでるけども
      やってることが
      まるで馬鹿。
  
 とてもじゃないが、こんな国、信用できたもんではない。
 
 ∧∧
(‥ )でも史上最強の軍事国家
\‐  なんだよね
 
  (‥ )それを左右するのが
      世間知らずな素人有権者で
      そしてそれを煽る
      世界のことを
      なーんにも知らない
      政治家とマスコミだろ。
      基本、あの国は
      村が点在する島国で、
      田舎政治家の群れで
      日本と実は同じなんよな
      迷惑な話よ。
 
 そうでもなければ、イラクに攻め込もう、なんて途方も無いことを言わないはずだ。平和が大事だからイラクに攻め込むのは反対だとか、そんな抽象論の反戦運動をしないはずだ。
 
 そうではなく、イラクの複雑な状況は地雷原も同然だから勝つのは容易だけど、無駄死にが出るから反対、と言うはずだ。だがそうしなかった。以上からして世間知らずの田舎者集団であること、まず確実。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは欧米のマスコミも
    信用しませんよね
    日本のマスコミとどっこい
    どっこいのくるくるぱーだと
    思っている。
 
  ( ‥)日本が絶好調の80年代
    ‐□ 実は人件費が安いだけ
      なんだけども、
      その時、アメリカの
      メディアでこんなことを
      言った記事があったの
      だよね
 
 日本人が優秀なのは、ひらがな、カタカナ、漢字と、子供の頃から複雑な文字体系を覚えて頭が鍛えられるからです。
 
 ∧∧
( ‥)...まあ、三流だね
 
  ( ‥)どこの国も、
    ‐□ 新聞記者とかライターとか
      頭うんでるんだよ
      というかな、
      取材したという慢心
      理解したという傲慢
      〆切という切迫、
      これらが重なると
      人間は容易に気が狂う
 
 さてもさてもしかし、こうした混沌があれども、世界を左右する要素はさほど多くない。というか、要素の多くが混沌なので世界を動かす原因と要因はごく限られてくるというべきか。
 
 ∧∧
( ‥)でも、混沌や無知や無理解も
    世界を動かす要因ですよね
 
  (‥ )あるいは潤滑剤と
      言うべきかもな。
 
 イラク戦争だって、シーア派、スンニ派、クルド人、”民族という定義の恣意性”、そういう”意思決定には理解必須な要因”を、めんどくさいとばかりに無視して、悪い独裁者を倒せばみんながハッピーだ、そういう甘ったるいジャンクフードに手を伸ばした人々、彼らこそが事態を大きく滑らせたとも言える。
 
 ∧∧
( ‥)泥のぬかるみで車が
    滑ってしまうようにね
 
  ( ‥)しばしば混沌は向きを
      持たないと解釈されるが
      だからといって物事を
      どこにも進めない
      わけじゃない
 
 ある日、突然、ずるっと滑り出すこともあるのだ。
 
  
 
      

柿の木の話

 
 柿の木から落ちると死んじゃうんですって。
 
 公園で本を読んでいると、そういう声が聞こえた。見ると中高年の男女が歩いてきた。
 
 柿の枝はしならないで、ぱきーんと折れちゃうから、落っこちると死んじゃうのですって。
 
 おばさんがおじさんにそう説明していた。
 

   確かに、柿の木は折れやすい 
 ∧∧ とは聞きますよね 
(‥ )
 ‐(‥ )しならないかは知らないけど
   ‐□  折れやすいから
      柿の木には登るな、危ない
      とは聞くな。
 
 実際に折ったり、テストしたことがないから分からないけども、ふと思い出した。
 
 ずいぶん前の話である。病院から帰ってきた人が次のように言った。診察待ちをしていたら、おじいさんが救急車で運び込まれてきたよ。聞こえますか? 名前分かりますか? 救急隊員に声をかけられて、うん、うん...と返事はしているのだが、いかにも危ない様子で慌ただしく運ばれていった。なんでも柿の木から落ちたらしい。昔から言うけども柿の木は危ない。折れやすいからね。
 
 翌日の新聞を何気に見ると、木から落ちた○○さん、死亡、と小さく書かれていた。
    
 
 
 

韓非子以前の泥沼を這いずり回る

 
 起きたら朝だった。
 
   (;‥)NOー!
     ‐□
 
 ∧∧
(‥ )外はよく晴れてるよ
 
 
 いや、そんな。寝たのは何時だったか。あまりに眠いので仮眠のつもりで、22時か、あるいはそれ以前に寝ただけのはずなんだが。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、22時に寝たとしても
    8時間眠れば朝だからね
 
  ( ‥)火星見逃しちゃったな
      まあ、しょうがない。
 
 ∧∧
( ‥)お疲れモードですかね?
 
  (‥ )なんだろうね、
      まだ眠いな。
      なんか色々限界かね?
 
 さて
 
 100回叩けば道が開けるのに、99回で止める人が多いのです。
 
 ∧∧
( ‥)それを真に受けて、
    110回叩いたけども
    道は開けませんでしたとさ
 
  (‥ )なにかやって成功した奴は
      そういう意味では病気だよ
      この言い方がいやなら
      何かに固執する傾向が
      非常に強いってことだな
 
 良く言えば集中力があるが、悪く言うと非常に思い込みが激しい、ということでもあるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )ましてやそこまで叩くからには
\‐   人生のかなりの労力を
     賭けているわけですから
     引くに引けないかもですね
 
  (‥ )社長とかな、
      起業家とかな、
      財産と人生を賭けて
      何かに取り組む。
      いかれた連中だよ。
 
 思い込みが激しい上に財産を大量に賭けて熱中する。賭場にいるギャンブラーとしてはかなりの困ったちゃん。
 
 ∧∧
( ‥)それを考えますとね
 
  ( ‥)なんかさ、経営者向けに
    ‐□ ロジカルシンキングだの
      論理思考だの
      ああいうたわ言が
      流行るのは当たり前だよな
 
 根拠もない裏付けが欲しいんだろう? そして根拠もない裏付けといったら、そりゃあ論理だからね。
 
 ∧∧
(‥ )便宜的な概念を
\‐  矛盾無く配置する
 
  (‥ )論理ってそれだけの
      ことだからな。
      いくらでも恣意的なことを
      話せるし、信じられる。
 
 人生をベットしてしまった経営者や起業家や夢に燃えて進もうとするいかれた連中には、それが是非とも必要だろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも、それって信仰には
    なるけども、
    なんの保証にもならないの
    ですよね
 
  (‥ )いくら信じたって
      天国が無いなら
      天国へはいけない、
      それだけの話でな。
 
 いくら信念を論理で武装して社員を叱咤激励しても、会社の業績が下向く時は下向くし、つぶれる時はつぶれるのだ。
 
 論理は現実そのものではない。論理的とは単に、
 
 「最低限、文脈は正しいですよ、でも結果は実際に確かめてみないと分からないですね」
 
 そう述べているだけだ。
 
 ∧∧
(‥ )論理さんは別に悪い事を
\‐  しているわけじゃ
    ないんですけどね
 
  (‥ )人間の中には論理さんを
      神様に祭り上げて
      論理さんは
      なんでも保証してくれる
      そう思い込む連中が
      いるのが問題なのだ
 
 それにしても、昔から、論理はそれだけでは意味がない、とは知られていた話であった。例えば春秋戦国時代末期の人物、韓非子は、理屈からするとこれこれだからこうするべき、そう主張する知識人の言う通りに作られた弓は、しかし折れてしまい、家は壊れてしまった、そういう話を述べている。
 
 ∧∧
( ‥)韓非子さんって、
    白馬は馬ではない、
    という主張は間違っている
    あるいは盾と矛の矛盾、
    そういう論理的な間違いを
    取り上げ
    論理を整備する一方で、
    論理だけじゃ駄目だよとも
    述べているのですよね
 
  (‥ )いくら論理的でも現実を
      記述できないのでは
      意味ないでしょう、
      重要な指摘だよな。
 
 韓非子が2000年以上前の人物であることを考えると、2000年以上の間、経営者や起業家や知識人は韓非子以前の段階でのろのろ這いずり回っているのだとも言える。
 
 
 *白馬は馬ではない。自分の乗る白馬は馬ではないから税金を払う必要はない、という主張が通らなかった話。「”白い馬=馬”ではない、白い馬≠馬である」これは正しいが、「馬という概念は白い馬という概念を包含する」。だから「馬に関して払われるべき税金は”馬に包含される白馬”にも適用されます」という役人の主張は正しい。
 
 

2013年10月26日土曜日

うろ覚えではあるが、少佐の話はそういう事ではないと思う

 
 小学生の時、スピーチで校長が曰く、ドラえもんには死んでしまったイヌを生き返らせる話があります。でも漫画と違って現実で死んだものは生き返りません。命は大事なもので...

 
 ∧∧
( ‥)それ、しずかちゃんの
    飼っていたワンちゃんが
    ”死んだ”という回で、
    タイムマシンで時間を
    遡って、
    あらかじめ
    病気を治療した
    という話じゃなかった
    でしたっけ?
 
  (‥ )ようするにそもそも
      死んでないんだよね
 
 ”死亡”した前夜に戻ってシロに薬を呑ませる。死んだようになる、しずかちゃんが死んだと思い込む。”死んだ”から生き返らせてくれ、と、ドラえもんに頼む。
 
 つまりこれ、”死んだ”という事象自体が実は誤謬なのだ。だから病気の治療はしたが、そもそも死亡していない。だから治療したにも関わらず”生き返らせてはいない”。いわば死んだ者を生き返らせる、という最大のタブーをタイムパラドックスで回避した、そういう秀逸なストーリーではなかったか?
 
 ∧∧
(‥ )本当は要確認ですが、
\‐  少なくとも子供のあなたは、
    校長先生は
    いい加減なことを
    言ってるなあー
    そう思ったのだと
 
  (‥ )うろ覚えだが、
      そうだね。
 
 うろ覚えは要確認だけども、うろ覚えで書けば以上のように。
 
 ∧∧
( ‥)でも、なぜにこんな話を?
 
  ( ‥)ほら、攻殻機動隊って
    ‐□ あるだろ。
 
 漫画家の士郎正宗氏が執筆したコミック。
 
 第一話で、部長にいわば騙される形で、”働かせてもらえる孤児院”みたいな施設に主人公たちが突入をかける場面がある。
 
 僕らを助けにきてくれたんですね??
 
 と泣いて喜ぶ子供に、
 
 義務をまかずに福祉を食べる事か? 
 
 そう答える少佐。
 
 まあ、ようするに、そんなの自分でなんとかしろよ、そういう台詞を投げかけて、主人公である少佐は立ち去る。
 
 ∧∧
(‥ )ネットだと少佐の台詞は、
\‐   福祉にたからず、
     自分で生きろ、
     単にそういう意味だと
     解釈されて
     賛否両論ですよね。
     まあ、そういう意味
     ではあるのですけどね。
 
  (‥ )福祉にたかるナマポは死ね
      少佐の台詞に賛成ー
      その反対に、
      福祉を否定するとは
      なんてひどい登場人物
      なんだろう?
      あるいは曰く、
      この世界ってディストピア
      なんだろ? 
      とかね
 
 ディストピアもなにも、あの世界はひどい世界でしょうよ。核戦争があって、日本だけを見ても関東は完全に破壊されたままだし、沖縄は中国の核攻撃によって事実上、消失。それだけで終わらずに世界はまた再び大戦を行って、生物兵器、細菌兵器、毒ガス、あらゆる武器が使用された世界。それでも復興はとげて、とてつもなく巨大なビルが立ち並ぶ都市群、はるかに進んだ技術。生活は再び豊かになった。しかし人口は減ったままで、日本では色々な巨大企業が強大な力を持ち、後に続くアップルシードになると大日本技研、改め、企業連合ポセイドンが日本を牛耳り、かつての二大超大国、アメリカ、ロシアの後継国家が現在と同様に紛争へ介入すると、ポセイドンが見境無く武器を売りさばく。こんな世界でも福祉はあるし、しかし、福祉はあるが、それでもこういう世界だ。
 
 *ナマポ:生活保護の略、生保を読んだスラングらしい。ようするに”ずるがしこい不正な生活保護受給”を裏切り行為と見なした蔑称。あるいは不正受給者に対する蔑称として最近しばしば使われる。
 
 ∧∧
( ‥)攻殻機動隊の
    第一話だって、
    孤児を保護するといいつつ、
    その施設がしていることは
    孤児を低賃金でこきつかって
    電脳に接続して洗脳し、
    必要な設備を作らせている
    そういう実態であり、
    そこに突入する話ですしね
 
  (‥ )働きが悪い子には電撃の
      懲罰があるんだよな。
      施設突入前に、
      カメラ越しにそれを見た
      少佐が、うわあ、痛そう、
      って顔をしかめるのよね
 
 なんでこんなことをして問題にならないのかしら? と言うオペレーターに、この施設で作られる装置は必需品だからね、世間は残酷よ、と少佐が答える。
 
 *2013.11.01追記:以上の正確な台詞は
 
 なぜ人権擁護局が騒がないのかしら?
 
 ここで作っている浄水器は人権より重要だからね…. 大衆は残酷よ
 
 
 この後にあった台詞が、以上の、義務をまかずに福祉を食べる気か? であって
 
 そして物語はこれで終わらない。
 
 ∧∧
(‥ )確か、一コマ
\‐  後日談があって、
    少佐たちの突入以後、
    子供たち自身で施設を
    運営しているらしいことが
    示されるのですよね
    多分もう電撃もないし、
    洗脳もない、
    改善されているのですよ
 
  (‥ )でもどうにもならない
      みたいなんだよね。
      少佐に例の台詞を言われて
      「そんなー」って
      言ってた彼が、
      施設の経理かなんか
      やっていてな、
      今度は経理で頭抱えて
      これじゃ必要なものが
      何も買えないよー
      って嘆いてて、
      その脇では
      就業時間が終わったから
      あ、俺もう帰るわ、と
      言ってる子供がいる
 
 *2013.11.01追記 以上の一こまの正確なやり取りは、
 A:肉もエアコンも買えないよう もっと働いてくれよう
 B:あっ もう休憩の時間だ(おそらく昼食なのだろうけども、12時にはまだ至っていない)
 C:オヤツでないのはズルイ奴がいるからだな
 
 
 こういう描写も、今時だと、色々な評価をされるんだろう。
 
 社畜肯定だ、あるいは反対に、先に帰る奴は本当、裏切り者だよ、とか、あるいは、こんな労働環境しか許されない社会は間違ってる、そういう色々な立場、見解が沸いてくるんだろう。
 
 とはいえ、現実にはグローバル化ってのはこういうことでもある。
 
 ∧∧
( ‥)子供たちが作る機具は
    安いのでしょうね
 
  (‥ )必需品だけども売り上げが
      あまり良くない。
      それは利潤が少ないわけで
      つまり安いってことだし
      安くなければ
      子供をこき使う意味なんか
      そもそもないからな。
 
 
 状況は是正されたけども、それだけでどうこうなるわけがない。そしてそこまで面倒を見るのは、確かに主人公たち公安の役目でもない。
 
 現実を決定するのは低賃金で働く子供でもないし、命を張って突入する公安でもない。
 
 決定するのは、世間の”これが安いから買うわ”なのだ。
 
 ∧∧
(‥ )グローバル化って
\‐  極端に言えば、
    地球全体の格差が
    満遍なくすべての国で
    実現するってことですからね
 
  (‥ )例えば日本において
      時給10万の奴と
      時給10円の奴が
      同居する
      それがグローバル化
      なんだよねえ。
 
 実際、意地悪な言い方をすれば、100円ショップで物を買う人間や、国産の米は高いからベトナムの安い米が入ってきたら嬉しい、と言っている人間が、低賃金労働が悪だ、などと言って良いはずがない。それを買う、ということ自体が、他国の人間に極貧と恐ろしいまでの低賃金を押し付けている行為だからだ。
 
 あるいは”低賃金が悪だ”と言うのではなく、正直に、あるいはより正確に、次のように言い換えるべきなのだろう。
 
 俺が低賃金であること。それは許されざる悪だ。他は知らん。
 
 
 ∧∧
( ‥)まあ、その言い方だと
    問題ないですね
 
  ( ‥)それだと
    ‐□ 100円ショップで物を
      買ってもモーマンタイ
      あるいは
      メイウエンティーよ
 
 *モーマンタイ 無問題 (広東語)
  メイウェンティー 無問題 (北京語)
  どちらも”問題ないです”の意味。
      
 
 ともあれ、
 
 ∧∧
(‥ )ともあれ、あれですね
\‐   攻殻機動隊のあの台詞って
     やるせない話の
     一部でしかないんですよね
 
  (‥ )話はあっけらかんと
      しているし、
      登場人物は無駄なくらい
      前向きに生きているの
      だけどね、
      描写がろくなもんじゃ
      ないし、
      そのろくでなしさって
      ほぼ現実なのよな
 
 まあ、いくら現実に近くても、漫画は漫画、と言うことは出来る。冒頭で述べた校長のようにだ。それは事実であるし、しかし事実の全部でもない。
 
 ∧∧
(‥ )ともあれ、皆さん、安いものを
\‐   買いたがりますし、
     それ自体は当然ですよね
 
  (‥ )安いものを買って得したい
      福祉に金を払いたくない
      もっと賃金を上げてほしい
      支出を減らしたい
      矛盾して見えて、
      実際にはすべてが表裏一体
      むごいことよな。

 
 *2013.11.01以下追記
 
 ∧∧
( ‥)「攻殻機動隊」、
    見当たらないから
    買ったのね
 
  ( ‥)Amazonから本日到着だ
    ‐□ 初版を買ってたはずだが
      初版は1991年、
      もう22年前なんだな。
      色々うろ覚えだったから
      上の方では
      実際の台詞のやり取りを
      追記で引用しておいた
 
 大戦後に発生した戦災孤児を救済する福祉施設(作中での名称は「聖庶民救済センター」)、そのひとつ。後に部長が語るところでは私欲に走ったので、他の施設へのみせしめとして、突入の指示が出たことになっている。
 
 ∧∧
( ‥)漫画の世界に限らず、
    僕らの世界は
    皆が安いものを求め
    安く買う代わりに
    貧乏を誰かに押しつけている
    それが現実
 
  ( ‥)攻殻機動隊は現実の
    ‐□ パロディーなんだよな
 
 貧乏は、間抜けに押しつけられることもあるが、しばしば運の悪い人々に押しつけられることもある。彼らが食い物にされるのだ。作品の中で食い物にされたのは戦災孤児。
 
 食い物にされた子供は、必需品の浄水器を作っているはずなのに状況が改善しない、という現実に最後、直面する
 
 食い物にした施設の要員は、公安?? 馬鹿な? 公安部ごときに何ができる? 何も変わらんぞ?? と少佐に問う。
 
 食い物にした人々を逮捕した少佐は、「大衆は残酷だから施設の実態に目をつぶっている」、という事実をオペレーターには告げたが、子供には、義務をまかずに福祉を食べる気か? 後進国を犠牲にする気か? と言う。
 
 ∧∧
( ‥)でもそれだけではない
 
  (‥ )電脳にもアクセスできる
      じゃないか、
      未来を作れ、と言う。
      つまり、
      公安の仕事は犯罪の摘発で
      福祉の仕事でも
      就業の斡旋でもないし、
      これ以上は何もできない
      後は自分でやりなさい、
      少なくとも、
      電脳を持っている時点で
      それなりに優位なのだから
      まあ、そういう発言だよね
 
 確かに、先進国に産まれただけでも、これは相当に有利なことなんである(もちろん、先進国内部ではそれだけでは全員が同じスタートラインなので、その有利さはまったく実感できないし、その意味においては無意味に思えるのだけども)。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると、
\‐  攻殻機動隊って相当に
    手厳しいパロディーだ、
    とも言えますかね。
 
  (‥ )食い物にされた人、
      食い物にした人、
      それをとりしまった人、
      でも、
      その構造を作り出した
      大衆だけが、
      この物語では
      登場しないのだ
 
 なお、ぱらぱらと読み直したら、連載第2話、単行本では第3話に出てくるゴミ収集車の清掃員が、この「聖庶民救済センター」の出身であったこと、それが描かれていたことに気づき、思い出した。
 
 ∧∧
(‥ )センターにいた時の方がまだ
\‐  楽だった、そうぼやいてますね
 
  (‥ )子供たちを搾取していた
      施設とはまた別の施設の
      出身なのだろうけども
      やっぱやるせない話よな
      搾取される施設から出ても
      結局、大衆から貧乏を
      押しつけられる立場な
      わけだね。
 
 ちなみに、攻殻機動隊は映画化されたけども、確か、この「ぼやいていた彼」は映画に出てくる。洗脳されて自分は離婚調停中だと信じ込まされて、ハッカーに利用されていた男性として。
 
 ∧∧
( ‥)それ自体は、原作の通り
    なんですけどもね
 
  ( ‥)映画はねえ、
    ‐□ 自己の存在や証明
      そういう哲学的な
      側面が強調されて
      こういう社会構造や
      大衆の無自覚な残忍さは
      割愛されちゃったからね
 
 *なお、原作にはないが映画にあるのが、自分以外に誰も写っていない写真を家族写真だと彼が思っていた、その事実を知ってこの「ぼやいていた彼」が愕然とする、という描写だ。これはかなり有名な場面ではあるが、攻殻機動隊、本来のテーマとは全然関係ない場面だとも言える。
 
 **ついでに言うと、原作はもっとちゃらけた部分がある。ぼやいていた彼も、同僚に、「えー? 離婚問題の悩みが消えた?? なんで?」と問われて、ゴミ収集をしながら、消えたのー、真夏の悪夢って感じで、と答える場面がある。また、単行本化時に追加、加筆された部分ではいわゆるオカルトちっくな要素や神秘思想、超能力などといった要素も入っている。
 
 とはいえ、元の作品はこういう話なわけで、義務をまかずに福祉を食べる気か? という部分だけを取り出して非難するのは、いかがなものか
 
 ∧∧
( ‥)そういう受け取り方こそが
    まさにこの漫画で描かれ
    そして登場することが
    なかった大衆...ですかね?
 
  (‥ )構造と仕組みを把握せず
      言葉と困窮という事実
      これらのみを取り上げ
      非難をするが
      状況の根本原因である
      自分たち自身の
      改善には失敗する。
      そういう意味では
      そういうことかな
 
 以上のような解釈を、”漫画ごときを深読みし過ぎ”、”うがちすぎ”、と評することもできるが、たぶん、その評価は間違っているだろう。例えば単行本第10話には、「消費優先の生活こそが貧民国に対する暴力だわ」、という少佐の台詞が出てくる。こういう台詞は以上のような理解、つまり、
 
 ”私たちが安さを喜ぶ時、それは誰かに貧乏を売りつけていることである。それが搾取される者を作り出す”
 
 これがなければ出てこない。
 
 そうなのだ、安さを喜び消費生活をする人こそが、貧困を作り出すのである。そうである以上、そうした生活をする人々がいくら社会正義を唱えても、それはただの言葉でしかなく、当然、問題は解決できない。そしてそう考えないと少佐のもろもろの台詞は分からないし、説明もできないだろう。何よりそのままでは、他人の人生と命を食べる人食いのままで終わるのだ。
 
 
 追記した2013.11.01の部分よりは時間的には前になるけども、次へ続く=>hilihiliのhilihili: 人生とは単なる牢獄 だが、馬鹿げているがこれを使うしか無い
 
 
 *後、少佐が「興進国を犠牲にして」と原作で言っているのだけど、これは「後進国」の誤植だろうか? 意外と漫画は版を重ねても誤植がそのままであることが多く、以前見た「かってに改蔵」も新装版だというのに妙な誤植があった。
 
 ∧∧
(‥ )意外と漫画は誤植を
\‐  直さないのですかね?
 
  (‥ )まあ、おいらも
      誤植を見逃したことは
      あるんだけども。
 
 
 
   
 

君が吹聴する成功体験は黄鉄鉱ではないのか?

 
 この歳になりました。もう、僕の夢がかなうことはないでしょう。
 
 そんなことはない。俺はその年齢で夢をかなえたぞ!
 
 ∧∧
( ‥)これは、
    私の成功体験は
    みんなの成功体験に
    当てはまる、
    そういう主張ですね
 
  (‥ )実際にはだ、
      ”実現した俺の夢”とは、
      人々が持っている
      たくさんの夢の中の
      たったひとつでしか
      ないんだけどね。
      部分のひとつだ。
      
 
 言ってしまえばこうである
 
 一部を全体に拡張できる、そう彼は言う。
 
 だが、”実現した俺の夢”とやらを、一体全体、どう拡張したら他のみんなが持つ夢の成功につなげられると言うのだ?
 
 ∧∧
( ‥)ようするにですよ
 
  ( ‥)この手の主張はねえ、
    ‐□ 雑なんだよね。
      絶望的に雑だよね。
 
 一部は全体ではない。
 
 ということは、一部が全体を無条件に体現するわけがない。
 
 つまり一部の成功はみんなの成功を意味しない。
 
 にもかかわらず、
 
 私の成功体験は皆さんの成功になるはずです。これはあからさまに狂った理屈だ。
 
 ∧∧
( ‥)でも、あなたはこういう
    雑な、
    あるいは狂った理屈を
    吹聴すること
    それは否定しないと
 
  (‥ )商売になるだろ?
 
 
 あからさまに狂った理屈でも、露骨に破綻した吹聴でも、これはすばらしい、その言葉を聞きたかった、そういう人が一定数いれば、需要と供給が成立し、それは商売になりうる。
 
 それに、たとえ狂った理屈でも
 
 ∧∧
(‥ )次のようにも言えますね
\‐  私は箱の中から青玉を
    引き当てました。
    だとすれば皆さんも青玉を
    引き当てられる可能性がある
    そういう内容はある
 
  (‥ )最低限、赤玉だけじゃない
      青玉もある、
      そういうことは
      保証してくれるわけだ。
 
 この部分、これが商売の可能性につながる。
 
 ∧∧
( ‥)私はこうして青玉を
    引き当て、そしてこのような
    成功を納めたのです。
 
  (‥ )よし、その本を買おう、
      その情報、買ったー!
      ...というのりでだな
      商売になるわけよな。
 
 もちろん、実際にはこんなもの、買うほどの情報ではない。
 
 青玉があります。
 
 その情報はそれ以上でもそれ以下でもないし、青玉があるということを知っても、青玉を引き当てる可能性、それ自体が上がるわけでもない。ただのゴミくずだ。
 
 ∧∧
(‥ )もちろん、成功体験は
\‐   青玉引き当てたとは
     違って、
     成功した時の状況を
     もう少し具体的に教えて
     くれるはずですから、
     手がかりは青玉引き当てより
     多いはずなんですけどね
 
  (‥ )だけどもねえ、
      それで成功するんだったら
      全員成功してるはず
      なんだよねえ。
  
 成功していない人の方が圧倒的に多数な時点で、”俺の成功体験”だの、”私はこうして夢をかなえた”だの、熱心に吹聴される私の主張とやらが、実際にはほとんど無意味な情報であること。これは明白。
 
 ∧∧
( ‥)あなたとしては
    その手の成功体験を
    具体的にどう見ます?
 
  ( ‥)そういう吹聴を
    ‐□ 見た限りでは、そうねえ
 
 ネットでもなんでも、例えば35、40過ぎたら、夢は諦めなさい、という宣告に対して、烈火のごとく反論する人間はいるし、私はその年齢を過ぎてもこうして成功した! と言う人はいるけども。
 
 見た限りでは
 
1:元々ギャンブル性が強くて、成功は必然的にたまたま
2:長い間勤務してコネを作り、独立した
3:そもそも非常に長い時間をかけないと身に付かない技能
4:体力が必要ないので年齢を経ても実行できる
5:経済右肩上がり成長時代にためたお金を使ったセカンドライフ
6:実は趣味
7:出世しました
 
 ∧∧
( ‥)こんな感じだと
 
   (‥ )端的に言うとだな、
       どうでもいい
       情報なんだよね
 
 思うに、私はこうして40を過ぎても夢を実現した! という主張は、一部を全体に普遍する雑な議論であるばかりか、どうでもよい無価値な情報なのだろう。
 
 そもそも、成功した僕を見て、と吹聴する人が幾人もいるのに、”成功する人”それ自体が増えない時点で、それはおそらく
 
 ∧∧
( ‥)成功体験自体に意味がない
 
   (‥ )そうとでも考えないと
       この状況の説明は
       難しかろう。
 
 ”成功というレアな事例を普遍化しようと吹聴する”、この時点で気づくべきなのだ。根本的にどうしようもなく内容が矛盾であり破綻していると。
 
 だがしかし、こうした主張は、見た目だけはとてもきらびやかで金をメッキしたかのように光り輝いている。ご本人たちがご満悦で全能観を全開放射しているせいだろうか、その輝きたるや、それはもう大変なものだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも、所詮は金メッキだと
 
  (‥ )黄鉄鉱みたいなもんだろ?
      美しい金色に輝き、
      見る人を幻惑するが
      実際には金ではなく
      硫黄と鉄の化合物だ
 
 ∧∧
(‥ )まあ、黄鉄鉱もきれいな
\‐   結晶は価値があるのです
     けどもね
 
  (‥ )立方体の黄鉄鉱とか
      すばらしいからね。
      でもみんなが欲しいのは
      残念、金なんだ。
      立方体の黄鉄鉱でもなく
      黄鉄鉱ですらない。
      望みは金なのだ。
      高望みではあるが
      そうなのだ。
 
 確かに、時々、砂金がある。以上で取り上げたような、どうでも良い、そんな道だったら誰でもあちこちで普通に歩んでいる、とか、そういうゴミくずみたいな情報ではない、本当の希少価値がある成功体験。
 
 ∧∧
( ‥)問題は、そういう事例って
    今度は個別すぎて
    応用が効かないのですよね
 
  (‥ )異次元にいけたって!?
      どうやって? 
      どんな魔法と手順を
      使うの? と聞いたら
      「腕力」と答えられた
      ようなもんでな。
 
 この世界にはどうにもならないことがある。
 
 
 ちなみに、以下、立方体の黄鉄鉱

=>黄鉄鉱
      


 
 

27号フランシスコ

 
 
 ∧∧
(‥ )ずっと雨だね
 
  (‥ )もう10月も終わりなのに
      台風だものな。
 
 ∧∧
(‥ )22日から本日26日までの
\‐   台風27号フランシスコの
     気象衛星画像を
     気象庁から引用
 
  (‥ )上から
      22日11時30分
      24日 1時30分
      25日18時30分
      26日 1時30分
 















 
 ∧∧
(‥ )お隣、東にある台風28号
\‐  レキマーさんは今だに
    健在ですけども
    27号さんは、もうだいぶ
    形が崩れてきましたね
 
  (‥ )形が崩れたから
      もう大丈夫でしょー、
      なんてことはないわけ
      だけども、
      *台風情報要確認
      =>気象庁 | 台風情報
      とはいえ、見た目だけで
      言うならば、
      4日前と比べると
      27号は
      ずいぶん形が小さく
      なったなあ。
 
 しかし、ここ神奈川県は台風から伸びる雲がかかり、24日から雨で、昨日も雨で、そして今日も場所によっては明け方、激しい雨の予報。先日の26号に引き続く27号。そのため、秋晴れはずいぶん長く見ていない。
 
 *一日中空を見上げていたわけではないが、16日の、一時の抜けるような青空以来、ここ10日間はほぼ曇りだった印象=>hilihiliのhilihili: 台風26号の後ろ
 
 ∧∧
(‥ )気象庁のコンテンツを見ると
\‐   関東に上陸した、
     今までで一番遅い台風は
     1961年10月10日
     千葉県上陸のものなんですね
 
=>気象庁 | 上陸日時
 
  (‥ )台風は季節が遅くなるに
      つれて移動のカーブが
      きつくなるみたいだけど
      日本上陸の一番遅い記録は
      11月30日に和歌山県に
      やってきたやつなんだな。
 
 記録は1990年。
 
 ∧∧
(‥ )先日の26号は通過扱いですか
\‐  
 
  (‥ )現状、2013年10月に
      ”日本に上陸した台風”が
      カウントされていないこと
      からすれば
      そうなんだろうね
 
=>気象庁 | 台風の上陸数
 
 *2013年10月26日現在、本年、日本に上陸した台風は9月の2件というカウント。
 
 ∧∧
(‥ )雨、早く止んでほしいですね
 
  (‥ )火星もずーっと
      見ていないしなあ。
  
 火星は今頃、どこまで動いたか。
 
 前回見たのは14日の早朝であった=>hilihiliのhilihili: 火星・レグレス、角度1度あまり
 
 16日にレグルスと火星が最接近するはずだったのだが、14日以後、曇りで空は眺められず。
 
 
 
 *2:55に追記
 
 ∧∧
(‥ )少し、雷が鳴ってるね
 
  ( ‥)神奈川の一部に雷雲が
    ‐/ あるみたいだな。
       明け方、場所により
       雷を従い激しく降る、
       予報の通りか。
 
 
 *16:50に追記
 
 昼にはここ神奈川県でも雨は上がり、気象庁、15時の実況では、台風27号フランシスコは温帯低気圧に変わった模様。以下の気象庁公開の衛星写真は16時30分のもの。










 
 ∧∧
(‥ )フランシスコさんは
\‐   台風としての存在を
     停止しました。
     形もすっかり崩れて
     いますね。
 
  (‥ )現状、曇天の空だけども、
      県内、近隣、
      あたりに雨が降る地域は
      ほとんど無いらしい。
      明日は、ひさしぶりに
      青空を拝めるかな?
 

 

2013年10月25日金曜日

分析力が論理とは極めて混乱的

 
 
 なんで世の中の人はこんなことも理解できないんだ。だから世の中は悪いままで....
 
 ∧∧
( ‥)自分より馬鹿だと思っている
    その相手を
    コントロールすることすら
    出来ない人の絶望
 
  (‥ )さてー?
      絶望的に頭が悪いのは
      どっちかなー?
 
 論理は、分析力と構成力よりなる。そういう主張を見た。
 
 ∧∧
( ‥)論理って分析なの??
 
  (‥ )いやあ、違うんじゃね?
 
 三角形を分析すること。それは何らかの証明になるのだろうか?
 
 ∧∧
(‥ )分析した結果、証明を
\‐   導きだす事は出来るの
     でしょうけどね
 
  (‥ )円がある。
      円の中心を通る直線がある
      その直線を一辺とし、
      円に内接する三角形を描く
      
 中心を通る直線を底辺とした時、円周に内接している頂点とでもいうか、その角は、何やら直角に見えるのだけども....、これってどうよ?
 
 ∧∧
( ‥)仮に直角だとして話を進める
 
  (‥ )どうしようかなー
      何気に円の中心から
      頂点にまで補助線を引く
      なんかピンと来たような
      こないような...
 
 補助線を引いた時に二つの三角形が出来る。これはどちらも二等辺三角形だろう。
 
 ∧∧
( ‥)少なくとも、円は中心から
    等距離にある線、あるいは
    点の集合だ、というのなら
    そうでしょうね
    そうでないなら
    二等辺三角形にはなりえない
 
  (‥ )ああ、じゃあ
      そう定義しようか
 
 円はある点から等距離にある点の集合だ。
 
 だから中心から円周のいかなる任意の一点に直線を引いても、それはすべて半径、つまり等しい長さになる。
 
 すると...、線は点の集合だってことにすればいい。
 
 だから以上の話題で補助線を引いてできた二つの三角形は、それぞれ二等辺三角形である。
 
 ∧∧
( ‥)色々考えて設定して調整すれば
    円の直径を辺として
    円に内接する三角形の頂点は
    すべからく直角である。
    そう理路整然と述べることが
    出来る。
 
  (‥ )そうして最後に出来た証明
      それ自体は
      論理的に述べられて
      いるよね。
 
 だがしかし、ここまでに至る過程、なんとなく三角形に補助線を引いたり、円はある点から等距離にある点の集合だとか、その設定なり定義なりを導いた以上のような過程、これは論理的か?
 
 ∧∧
( ‥)違うでしょうね
 
  ( ‥)大きさの無い点を
      集合させると線が出来る
      数学の授業において
      そこで、はあ? と
      疑問符を抱く人は多い。
 
 考えてみれば当たり前だ。大きさの無いものを集めればそれが”ある大きさ”を持つようになるって、なんだよそりゃあ? という話。
 
 真面目に考えれば意味不明だ。だが、以上のように恣意的なものだ、と考えれば、ああそうした方がいいでしょう、という話になる。
 
 ∧∧
( ‥)点から等距離にある点の集合を
    円とする、だって
    怪しさ大爆発でしょう
 
  (‥ )多分、留め具と糸と
      そして筆記用具があれば
      円を描けるとか、
      そういう経験的な類推から
      きているのだろうけどね。
 
 でも、厳密に考えれば、そうして描いた”円”が一点から等距離に描かれるわけがないんである。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、一点から等距離に
    描かれた円というのは
    理想化であるし、
    この世にはないイデアを
    想定しているとも言える
 
  (‥ )そんなもの、
      どこが論理だよ、
 
 
 これを踏まえるに、分析力が論理です、というのは極めて混乱的な言及だろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも、そういう主張をする人は
\‐  多いみたいですねえ。
    しかも、どうやら起業家とか
     経営者とか何かの指導者に
     多いようだと
 
  (‥ )人間は理路整然とした
      論拠に弱いのだ。
      だから理論武装するし、
      経営者は武装が必要だ。
      さもないと連中、
      走れないからな。
      だけど理論武装が
      てきとー
      激しく、てきとー 
 
 分析力が論理って、これはあれだろ? 自分の望む結果論から都合が良い定義を作り出して、それを恣意的に配置して、これは論理的でございます、だからほら、俺の言ってること正しいの、だからお前ら俺の言う事を聞け、そういう雑な主張だべ。

 ∧∧
(‥ )人間の思考は論理だけじゃなく
\‐   むしろハチャメチャだし、
     ハチャメチャだから
     有意義なんですけどね
  
  (‥ )それは良いが
      ハチャメチャと論理を
      区別するどころか、
      ハチャメチャそのものを
      恣意的に論理に見せかけて
      論理、論理ー、と
      振り回すってのは、
      凶器を振り回すのと
      同じだろ。
 
 だからなのだろうけども、この手の論理を振りかざす経営者とか指導者とかと話すと、雑でげんなりする。
 
 
 
 
 

判断も決断もするが、肯定だの否定だの知らん

 
 ∧∧
( ‥)一応、終わった?
 
  ( ‥)取りあえず種類の選定を
    ‐/ 終えたよ、
       今、送信したところ
 
 まったく関係ないけども、昔、「メタルダー」、という特撮番組があった。
 
 ∧∧
( ‥)半身赤と青のキカイダー的な
    主人公が悪と戦うという
    図式でしたよね?
    あなた、美術部の面々の中では
    ほとんど見てない方だったじゃ
    ないですか
 
  ( ‥)特撮に興味のある人間、
    ‐□ 面白がるけどもそこまで
      熱心でない人間、
      色々あるさね
 
 ともあれ、第一話で妙に覚えている場面がある。巨大企業桐原コンツェルン、そのトップである桐原総帥、彼の裏の顔、それは悪の組織ネロス帝国の指導者、帝王ゴッドネロスであった。
 
 ∧∧
( ‥)部下の怪人やらロボやらの
    皆さんを使って、
    色々な施設を破壊したり
    流通を不安定化させて
    武器売ったり、資材を高く
    売りつけたりしてたの
    でしたっけ?
 
  (‥ )なんかうろ覚えだけどさ
      株価はうなぎのぼり〜〜
      と皇帝陛下が
      おっしゃっておられてな
 
 メタルダーが放送されたのは1987〜1988年であった。つまりバブル経済の崩壊まで後、数年。そういう状況。
 
 ∧∧
( ‥)株価がうなぎ上り〜〜
 
  ( ‥)バブル崩壊の時、
    ‐□ ああ、ネロス帝国も
      崩壊したんだろうな、
      そう思ったものよ。
 
 そのせいで、メタルダーというと、どうしても帝王ゴッドネロスが紙切れになった株券やらなにやらの前でひざをがっくりと折っている様を連想してしまう。
 
 ∧∧
( ‥)絵に描いたような
    巨大軍産複合体だから
    そこまで脆弱じゃないん
    じゃね?
 
  (‥ )だが現実は非情で、
      山一証券瓦解の時のように
      部下は悪くありませんから
      と帝王猊下が涙をだな...
 
 ああ、山一証券の破綻は1997年、そうか、メタルダーとネロス帝国の10年後だったのか....
 
 メタルダーを思い出すと、なんか少し鬱になるのよね。
 
 ∧∧
( ‥)そういう話じゃないし、
    あなた一話以外、
    ほとんど見てないじゃんよ
 
 ( ‥)昨日、なんかゴッドネロスを
   ‐□ 思い出してしまってさ、
     おれ、疲れてるのかな?
 
 鬱って言うと、あれだよね、「耳をすませば」のあのエンディングとか。
 
 ∧∧
( ‥)結婚しよう! って
    叫んで抱き合って
    いるだけじゃないですか
 
  (‥ )ああ、そして半年後に
      この二人、別れるのか
      そう思うと気分が
      ブルーに...
      あれ、ものすごく
      黒歴史っぽくね?
 
 ∧∧
( ‥)そんな後日談はねえ
 
  ( ‥)でも若き日の恋愛って
    ‐□ 大概はそういうオチ
      じゃんよ。
 
 見える、見えるぞ、未来がありありと見える。こんな未来は見たくなかった。ああ、ブルーだ...
 
 ∧∧
( ‥)疲れてるんじゃねーか?
 
  ( ‥)さっきすっげー
    ‐□ ニュースがあったことを
       知ったよ。
 
 ナショジオとかで流れてたやつ。もう数ヶ月前の話だけど知らなかった。
 
 ∧∧
(‥ )本当だったらすごい話だよね
\‐   ...でも論文になってないね
 
  (‥ )うさんくせー
      本当だったらなんで
      論文にならねーんだよ?
 
 ∧∧
( ‥)...暇だったら、洗い直してみる?
    プロジェクトの参加者とか
    参加者がどんな論文を
    書いているか、
    どんな業績があるのか
    どんな履歴があるか
 
  ( ‥)今は暇じゃないが
    ‐□ あれな、
      以前、人が言うのだ
 
 なんであなたは否定ばっかりするの?
 
 ∧∧
( ‥)あなたはそれが俺の仕事だ
    そう返したのですよ
 
  (‥ )より正確に言えばあれな
      否定も肯定もどっちも
      同じだろ、ということ
      なんだけどね。
 
 否定しようが肯定しようが、それは判断でしかない。自分の判断は現実そのものじゃない。否定しようが肯定しようが、それ自体はどうでもいいことだ。
 
 現実はただそこにいるだけだ。
 
 ∧∧
(‥ )問題は妥当性の検討、
\‐   妥当性そのものの検討
     根拠そのものの検討
     検討そのものの検討
 
  (‥ )否定だの肯定だのと、
      そこにこだわる。
      なるほど、みなさん、
      判断が欲しいというわけか
 
 ∧∧
( ‥)遅れた判断は間違った結論と
    同じぐらい危険だと言います
 
  ( ‥)決断はするよ
    ‐□ 判断もしようじゃないか
      遅れた結論は危険だからね
 
 だが、判断は正しかった。判断は正しくあらねばならないから否定するな、というのは馬鹿げている。
 
 肯定しようが、否定しようが、現実はこっちを殺す。
      
 
 
  

2013年10月24日木曜日

生きるとは、成功体験です。さあ、明日を見据えて微笑みましょう。

 
 人間は必ず経験で物を考える。
 
 それはいわば成功体験に裏付けられたものだとも言える。
 
 だが、成功体験とは、AをすればBという成功が得られた、というだけの話で、
 
 行為Aと成果Bが実際に原因と結果であるのかまったく保証してくれていない。
 
 例えば、我慢すれば高収入になった。これは成功体験ではあるが、高収入になったことは経済が右肩上がりだったからで、我慢した結果ではないのかもしれない。
 
 成功体験、それ自体は成功についてまったくなにも全然保証してくれていない。
 
 しかしひるがえって考えてみれば、今、自分が生きているとは最高の成功体験に他ならない。少なくとも死んでいない。
 
 つまり、生きていること、それ自体が根拠不明な成功体験になる。あるいはそう思い込む。
 
 しかし実際には、これまでの人生、何一つとして意味あることを語ってはくれない。
 
 それにも関わらず、いや、それだからこそ、人は自分の人生からありもしない因果関係を導きだし、でっちあげ、私が生きている以上は、これが人生の秘訣であり成功体験であると吹聴して、他人にそれを押し付ける。
 
 ∧∧
( ‥)つまり何の保証もないのに
    生きているだけで
    成功した気分になって
    自分の人生と成功体験を
    語るようになる。
    だがそれは無内容。
    少なくとも、
    その内容保証されない
 
  (‥ )なんだ、生きるって
      ようするに自殺だな
 
 
 生きれば生きるほど馬鹿になり、凍り付いた笑顔が張り付いて、人生がますます無意味になっていく。人の終着点にあるのは果てしない無意味。

 
 
 
 
 
 

タヌキ遭遇

 
 ふらふらと散歩にいく
 
 ∧∧ お疲れモードですね
( ‥)
 ‐( ‐ ‐)あーどうしたんだろ
 
 台風27号の影響で、ここ数日、空には雲がかかり、時々、小雨がぱらつく天気。
 
 帰り際、街灯の下にもそもそっと動く何者かを見る
 
 ∧∧ タヌキさんだよ
( ‥)
 ‐( ‥)あー、なんかひさしぶりに
      見たなあ。
 
 やや小ぶりの体つき、まだ若者なんだろうか? ひくひくと鼻を動かしながら顔を左右にゆするようにあたりの様子をさぐっている。10メートルぐらいの距離だけども、あっちは灯りの下、こっちは暗がりなのでこちらが見えていないのかもしれず、気づいた様子はない。ぱあっ、と車のヘッドライトの光が差すと、ぱっと身をひるがえしてやぶに消え、タクシーが走り去った。
 
 時々、遠くをゆくタヌキらしい影は見るけども、体毛とか色合いまではっきりと見たのはずいぶん久しぶり。
 

   前は、冬の枯れた野原で
 ∧∧ 寝ていたら出くわしました
(‥ )
 ‐( ‥)まさかこんなところで
      人が寝ているなんて
      思わなかったのだろうな
      枯れ草の向こうから出てきて
      ひなたぼっこで寝ている
      こちらに気がつくなり、
      ぎょっとして逃げていってね
 
 冬の太陽に照らされてキラキラと輝く体毛が美しかった。しかし、追ってこないと分かったせいか、10メートル以上離れるともう気にしない様子で、むしろ丘の上にある公園の道路と、その工事の様子を興味深げに見上げていた横顔が印象的。
 
 もう数年は前のことだけども、ある程度は世代を経ているのだろうか。
 
 
 

2013年10月23日水曜日

弓とファランクスだけを比べるのは無意味

 
 hilihiliのhilihili: 弓とファランクスの続き
 
 ∧∧
( ‥)単純にまとめると
 
  (‥ )ギリシャの重装歩兵が
      弓矢とかをあまり
      意識してない戦闘方法
      だったのは多分、
      事実なんだよね。
 
 さもなければ対戦したペルシア軍が、弓兵も騎兵も無しに突っ込んでくるなんて正気じゃない、なんて言わないだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもそれじゃやっていけなく
\‐   なっちゃうんですよね
 
  (‥ )ペルシャ戦争の次の
      スパルタとアテナイの
      戦いでは、もう軽装歩兵や
      弓兵が出てくるのよな
 
 例えば孫引きだけども「戦争の起源」186〜187ページを参考のこと。散兵の使用で、重装歩兵はなす術無し。かつてテルモピュレイで玉砕をとげたスパルタ市民軍、撤退するギリシャ連合軍のしんがりを友軍と共に勤め、最後の一人まで大ペルシャ帝国と戦って全滅したスパルタの重装歩兵が、あろうことか降伏するという事件が生じた。
 
 重装歩兵だけでは勝てなくなり、さらに市民軍と重装歩兵に頼ったスパルタやアテナイは、自らがそういう新しい兵種を用い始めたのにも関わらず、凋落していくことになる。アリストテレスの文章にもアテナイは若者に投げ槍、カタパルトの使い方などを教えるようにするなど、時代に即した対応が記されている。だが凋落を止められない。
 
 *先の書き込みで取り上げた、古代の弓は弱い、というのはこの意味でも実は正しくない。古代には合成弓があったし、そればかりか、機械式の、より圧倒的に強い投射兵器カタパルト、つまり弩が使われるようになっていた。これを発明したのはそもそもこの時代のギリシャ人たちだ。
 
 ∧∧
( ‥)そこで出てきたのが
    マケドニア王国の
    分業されたファランクス
    騎兵、散兵ですよ
 
  ( ‥)散兵は弓兵や投石兵
    ‐□ だったみたいね
 
 重装歩兵が弓矢のような武器にあまり対応していない、というのは多分、正しい理解なんだろう。しかしファランクスが弓矢に対応していない、というのはこの意味においてまったく正しくない。
 
 ∧∧
( ‥)弓を含めた色々な兵種で
    戦争をする時の
    ひとつの分業として
    槍ぶすまに特化した
    重装歩兵軍団ファランクスが
    あるのだと
 
  (‥ )戦争を行うひとつの要素
      として色々な兵種がある
      そこからファランクス
      だけを取り出して、
      弓と比べて性能や
      強さがどうの、というのは
      空母と戦闘ヘリと
      攻撃機と潜水艦と護衛艦と
     この中で一番強いのはどれ?
      と問うているような
      ものかもしれんな。


 
 たぶん、日本の戦国大名とアレクサンダー、あるいはナポレオンの軍団を比較するのはまだ意味があるんだろう。これらは異なる兵種を組み合わせた軍団だ。だが、要素のひとつでしかないファランクスと弓を比べてどうしたこうした、というのは間違った比較なのだろう。そして古代の弓は威力が無い、というのもおそらくは怪しい。
 
 
 
    
 

弓とファランクス

 
 例えば曰く、こういう話。
 
 アレクサンダー大王が率いた軍団と戦国時代の日本の武将が率いる軍団はどちらが強いのか?
 
 ある人、答えて曰く。
 
 アレクサンダーが率いたファランクスは正面からでは無敵というが、平地以外ではばらけるから、正面からでも無敵ではない。倒せたはず。
 
 あるいは別の人が曰く、
 
 古代の弓は威力が弱い。だから歩兵の白兵戦になる。だが、中世になると長弓のように鎧を貫通するものも出てくる。中世の日本の弓も同様。だからファランクスでは中世の日本には勝てないはず。一方的に射倒せる。
 
 ∧∧
( ‥)どう思います?
 
  (‥ )そうねえ、まず、
      地形の起伏があると
      ファランクス特有の
      密集隊形が
      保ちきれなくなる
      というのは事実だよね
 
 ローマの執政官、アエミリウス・パウルスはそれで勝ったわけだし(*例えば「プルターク英雄伝」岩波文庫 第四巻 pp72)。
 
 ∧∧
(‥ )でも、正面からは
\‐   破っていないみたい
     ですよね。
     しかも敵のマケドニア国王
     ペルセウスさんは騎兵の
     投入を失敗しているらしい
 
  (‥ )大王の後継である
      マケドニアを下した
      ローマも、正面から
      ファランクスを破ったこと
      ないんじゃないかな?
 
 どうもローマの勝ちを見ていると、マケドニア側による騎兵の投入が不十分でファランクス本来の活躍ができない間に、分離攻撃可能なローマのレギオンを分離。
 
 そうして敵、ファランクスの列の隙間へ攻め込んで、あるいは背面を襲って勝利したらしい。
 
 *ファランクスは槍をずらっと並べた重装歩兵の密集陣形で、前からはほぼ無敵。ただし側面と後ろは弱い。本来は彼ら自身のみで勝ちを納めるのではなく、相手を釘付けにして、陣形両翼の騎兵がとどめを刺す、そんな役割を担っていた。だから騎兵が十分でない、というのは痛い。だが、それでも正面から破られたわけではない。
 
 ∧∧
( ‥)というと、正面からでも
    ファランクスは弱い、
    というのは
    間違いであると
 
  (‥ )というかね、
      中世後期のヨーロッパで
      マスケット銃兵を
      守る槍兵たちの装備って
      ほとんどマケドニアの
      ファランクスと
      同じなんだよね
 
 以前、聞いた話だけども、日本の戦国時代後期の足軽たちが作る槍ぶすまも似たようなもんだとか。何メートルのある長い竹の先だかに穂先をつけ、足軽は農民だから怖くないように下を向いてもらって、
 
 ∧∧
( ‥)じゃあ太鼓の音に合わせて
    槍をぶーん、ぶーん、と
    上下にしならせてください
 
  ( ‥)/ ういーす
  
 こんなだったのだとか。
 
 ∧∧
( ‥)なんか阿呆っぽいけど
 
  (‥ )でもさ、何メートルもある
      竹の先に穂先がついてて
      ぶんぶん動いてたら
      絶対防御だろ。
 
 あれを破ってきてー、と言われたら
 
 ∧∧
( ‥)あれを破ってきてー
 
  (‥ )やだ、死ぬ。
 
 穂先で頭をかち割られること必定。
 
 これは、中世後期西欧の槍兵だろうが、古代世界最強と言われたアレクサンドロス大王のファランクスでも同じだろう。そして、ローマもファランクスを正面から破っていない。
 
 だとしたら、やっぱ正面からは破れないんじゃね?
 
 では、弓の話はどうなるのか?
 
 ∧∧
( ‥)これが少しやっかいだと
 
  ( ‥)弓兵どころか、
    ‐□ マスケット銃兵を
      守るために槍兵がいた
      その装備はファランクスと
      似たり寄ったり。
      その時点で
      銃器があっても槍兵の
      密集陣形は有効って
      ことになる。
 
 
 このことから考えると、古代世界では弓が弱小だったから歩兵中心の戦闘だ、だから密集歩兵陣が成立した、というのは正しくないだろう。
 
 例えば、描写がよく分からないけども、ペルシャ戦争におけるマラトンの戦いでは、迫り来るギリシャ軍の中央をペルシャ軍が突破した話が出てくる(例えば「ヘロドトス 歴史」岩波文庫 中 pp265)。
 
 ∧∧
(‥ )「戦争の起源」河出書房新社
\‐   だと、ペルシャ歩兵の
     武装は槍、短剣、
     そして弓であると
     そして鎧は軽装備
 
  (‥ )そのペルシャ人は、
      重装備で迫り来る
      ギリシャ人を見て
      弓兵も騎兵の援護もなくて
      馬鹿じゃないの??
      と驚いているのだよね
 
 弓兵の援護は必要だろう。ペルシャ人はそう思った。
 
 そして軽装備で弓を持つペルシャ軍は、ギリシャ軍の中央を突破した。
 
 これ、槍も使うだろうけど、弓も使ってるよね?
 
 それに、ペルシャ軍がマラトンで使ったという保証はないが、合成弓が紀元前2000年あまり前からあったのはまず間違いない。
 
 *合成弓:composite bow 動物の角、腱、木材を組み合わせた弓で、小さいが強力なもの。モンゴル帝国とか、遊牧騎馬民族が用いたことで有名だけども、古代メソポタミアや古代エジプトの時代から使われていた。マラトンで使用したかはともかく、ペルシャ軍自体がこの武器を持っていたことは確か。
 
 ∧∧
( ‥)合成弓って...
    弓の中でも最強種でしょ
    古代世界の弓が弱いって
    嘘じゃね?
 
  ( ‥)合成弓の出現は、そもそも
    ‐□ 青銅の鎧を貫通するため
       じゃないか、それを
       示唆する人もいる。
 
 だがその一方で、合成弓では青銅の鎧を貫通できない。という話もある。
 
 ∧∧
( ‥)青銅って今でいうと
    10円玉でしょ?
    貫通できないんだ。
 
  (‥ )それがさ、一方では
      ある程度できるよ、
      そういう意見もある。
      射程距離は他の弓より
      長いが、その距離では
      鎧を着てないか、
      2ミリ以下の鎧しか
      貫通できないよ、
      という記述があってだな
      文献確認中。
 
 ∧∧
(‥ )....10円玉の厚さが
\‐   2ミリじゃんよ
     十分脅威でしょ。
 
  (‥ )まあ、あれよなあ、
      放たれた矢の貫通力は
      矢の重さや
      やじりの素材、
      弓を引いた時の力とか
      色々な要素があるでな
      鎧だって造りによるし
      よく分からんのよ。
 
 よく分からん、と言うと、
 
 中世の弓は古代の弓よりも強い。長弓なんかは金属製の鎧も貫ける。だから青銅の鎧を身につけたファランクスなんか一方的にいちころ、
 
 という意見のおそらく根拠になった、その長弓
 
 ∧∧
( ‥)1346年、
    フランス対イギリス
    クレッシーの戦い、
    battle of crecy
    の話が念頭にあるのでは?
 
  (‥ )金が無くなって騎士を
      雇えなくなった
      イギリス王が、
      わずかな騎士を馬から
      おろし、さらに
      1.8メートルもある長弓を
      使う長弓兵と共に
      戦わせて大勝利を
      おさめた戦いだね。
 
 長弓が強固な防御力を誇る騎士たちを圧倒した、と喧伝される話でもある。
 
 ∧∧
(‥ )長弓を引くには鍛錬が必要で
\‐   それに必要な力は60キロ
     あるいは90キロ
     鍛錬は一生もので....
 
  (‥ )とっ、言われているが、
      実際には40キロ以下、
      30〜36キロぐらいです
      そういう情報もあってだな
      確かにこれだけでも
      重労働だけど、
      普通の弓と比べても
      その2倍以下の範疇だ。
 
 一般に信じられているような、弓を引くのに60キロ、90キロ必要です、なんていう夢物語みたいなものではないらしい。
 
 はたして、古代世界から存在し猛威を振るった合成弓と比べて、イギリスの長弓は特筆すべき能力を持っていたのか? そもそもクレッシーの戦いにおける長弓兵の働きは具体的にはどのようなものであったのか?
 
 ∧∧
( ‥)迫り来る騎士たちの
    板金鎧を次々に射抜いて
    ばったばったと
    撃ち倒す...
 
  (‥ )という痛快な
      ものだったのか?
      あるいはもっと地味で、
      しかし効果的なもので
      あったのか?
      そもそも何だったのか?
      そこが問われるよね。
 
 
 いずれにせよ、長弓兵によるイギリス軍の優位は火器の出現により、50年程度で終了したらしい。長弓兵の代わりにやってきたのは、それはより強い弓兵...、ではなく槍兵であり、彼らに守られるマスケット銃兵だった。西欧世界では合成弓は最後まで使われなかったらしい。そしてマスケット銃は、弓矢よりも弱かった。密集した槍兵とマスケット銃兵の組み合わせは、やがて銃剣をつけた銃歩兵たちの横隊へと変わっていく。
 
 ∧∧
(‥ )でも、ナポレオンの時代に
\‐  おいてさえも、まだ、
    銃は合成弓にはかなわないとか
 
  (‥ )銃が一番すぐれているのは
      腕力がなくても誰でも
      使えるってところに
      あるんだよな。
      弓の優位性があっても
      数がそろわなくちゃ
      意味がないわけだしね
 
 それを考えると、長弓兵がたった50年程度で消えた、というのもそういうことなのかもしれぬ。実際、90キロなんて、あれ嘘、片手で40キロぐらい動かせたらそれで良いです、と言われても、普通は嬉しくないし、訓練が必要なことに変わりはない。当然、そうしたら兵隊の数がそろわない。それなら銃の方がいいだろう。
 
 ∧∧
( ‥)そして、よく分からない点は
    あるけども、ファランクスは
    弓矢では倒せないだろうと
 
  (‥ )弓兵の数さえそろえれば
      倒せることは倒せる
      はずだよね、
      でも、合成弓がある
      古代世界どころか、
      火器が大々的に使われる
      中世後期になっても
      槍兵がいた
      そのことを考えると、
      弓どころか、
      銃がファランクスを
      一掃出来るようになる
      ことさえまだまだ先だ、
      そう考えるべきだろうな
 
 つまり、アレクサンダーと日本の戦国武将が戦ったら、というのは色々な意味で無意味な仮定なんだろうけども、実際には...
 
 ∧∧
( ‥)いい勝負?
 
  (‥ )かもね
 
 少なくとも、騎兵や槍兵や色々な兵士を組み合わせた複雑で高度な軍団である、という点ではどちらも見るべきものがある。それはアレクサンダーも中世後期の西欧の軍団も戦国末期の日本の武将も同じだったのだろう、そう考えるべきやもしれぬ。
 
 世界史に残った征服王とためを張れるとしたら、それはすごいことなのだ。
 
 
 
 ∧∧
(‥ )「戦争の起源」を書いた
\‐   フェリルさんは、
     中世どころか、
     ワーテルローの
     ナポレオンと
     アレキサンダーを
     比較してますけどね
 
 (‥ )マスケット銃は
     90メートルでは役に立たず
     45メートルで威力を
     発揮しはじめる。
     マスケット銃の射撃の中、
     最後の突撃でフランス軍は
     イギリス軍まであと
     18メートルまで迫った。
     もしもそこいるのが、
     銃剣を持ったフランス兵
     ではなくて、
     3メートルの槍をずらりと
     並べ、甲冑で身を固めた
     重装歩兵だったら?
     それを言われるとねえ、
     確かに考えてしまうよな
 
 もちろん、こんな比較は作者が述べているように、現実的には無意味なんだろう。実際、ワーテルローでナポレオンが戦うのは別にイギリス軍だけじゃない。前日に後退したプロイセン軍がじりじりと迫ってきている中での戦いだ。それに、カタパルトを使い、初めて見る象とも戦って勝利したアレキサンダーと彼の軍団も、さすがに火薬は知らない。
 
 ∧∧
( ‥)とはいえ、2000年の時を
    越えて、
    実は意外と似た感じの
    方々でもあるのだと
 
  ( ‥)技術の進歩は何か?
    ‐□ 勝負の趨勢に影響を
      与えるのは何か?
      興味深い問題だね
 
 *そもそも「戦争の起源」という本のテーマがこれ、”アレクサンダーの軍団は非常に洗練されており、ナポレオン時代の西欧軍に匹敵するほどだ”、にある。
 
 そして、弓とは何か?
 
 ∧∧
( ‥)それも調べてみようと
 
  (‥ )さっき本を発注したよ
      仕事にも多少は
      関わることだからね
   
 
 *次へ続く=>hilihiliのhilihili: 弓とファランクスだけを比べるのは無意味
 
  
      
  

2013年10月22日火曜日

あなたの怒りがビジネスチャーンス

 
 
 例えば曰く、原発の核燃料をまとめて冷やすプールの水がなくなると大爆発が起こると。
 
 ∧∧
( ‥)水がない状態で臨界する
    っていう発想ですか?
    減速材も無しに?
 
  (‥ )まあ、たぶん、そんな
 
 というか、原発の核燃料と核兵器の区別がついていないらしい。
 
 *崩壊熱で高温になった燃料棒から放射性物質が揮発する危険性や、水に触れて割れるとかはじけるとか、化学反応を起こすとか、そういう危険性の話はここでは省略する。少なくとも大爆発という表現はそのような危険性を論じているわけではないだろう。
 
 
 ∧∧
(‥ )そういえば東海村の
\‐   臨界事故の時に
     テレビの向こうで、
     これは核爆発と同じだ
     同じだって連呼する
     人がいましたよね
 
  (‥ )臨界という共通点を
      取り上げて二つを
      同じものとしてくくる。
      その理屈なら
      オクロの天然原子炉は
      核爆発の痕ってことになる
      =>オクロ天然原子炉
      恣意的な発言だよね。
      この人は業績が無いのに
      その手の煽りで
      昔から有名でねえ
 
 彼が連呼したのはフジテレビなど民放で、NHKにはでなかった。
 
 確かにあの事故の時、NHKは一番速く状況を把握していたらしい。中性子が放射されていること、それがパルス状に出ていること、状況からして容器内で臨界が起きており、はじけては臨界が止まり、まとまっては臨界が起きる。これが連続していることを把握していた。多分、現場となんらかの形でパイプがあって、なおかつ技術者や科学者などの説明を聞いて理解できる人材がいたらしい。
 
 なぜ民放にこのような把握がまったく出来なかったのかは分からない。これが学力の差なのか学閥の差なのか、
 
 あるいは、
 
 煽った方が面白いべ、という単純にそれだけの理由だったのか。


 いずれにせよ、煽り文句をテレビとか公共機関でぺらぺらしゃべってくれる人は、マスコミからすれば重宝する人材である。そういうわけで先の彼はこの手の話題の時には必ず顔を出すのだ。プルトニウムを積んだ惑星探査器が外惑星に向けて加速するため地球に接近すれば、もしこれが地球に落下すれば、全人類が被爆です!(まあ、確かにそうだろうな)と叫んだりしていたが、いかんせん煽りがマニアックであまりメジャーではなかった。
 
 彼が時の人になったのは臨界事故から12年後の、2011年に原発がぱーんした時、以後のことである。世間はこれまでまったく無視していたのに、今度は原発の危険性を誰よりも教えてくれる救世主のように受け止め、あるいは煽られた。本もばんばん出た。
 
 ∧∧
(‥ )でも、出版界の原発バブルも
\‐  2012年の後半には
    終息しましたよね
 
  (‥ )あのじいさんもずいぶん
      本を出してたみたいだけど
      さて、これからどうやって
      食っていくのかな?
      それとも、もう十分かな
      ブランドも確立できたしね
      時々、本を出せば
      食ってけるだろう。
 
 他人の命は10円。自分の命は700円。
 
 ∧∧
( ‥)あなたの持論ですね
 
  ( ‥)10円のためなら
    ‐□ 遠い異国で
      極貧の低賃金で
      働く人々が死んでも
      誰も気にしない
 
 原発で軒並み図書館の薄っぺらい本は借りられても、肝心の放射性医学の本は残っている。
 
 ∧∧
(‥ )命の危険が! と
\‐  皆が不安に思って
    口にしていても

 
  (‥ )売れるのは結局、
      どーでもいいような
      内容の、
      700円ぐらいの本でな
 
 つまり自分の命は700円。安いようだが、赤の他人の命の70人分だと考えればなかな良いレートだ、とも言える。
 
 ∧∧
( ‥)馬鹿にするな! と
    怒るでしょう
 
  (‥ )馬鹿にするな、か。
      それはそいつの眼が
      節穴なんだよ。
      700円なら自分の
      安心を買う人が大勢いる
      しかも中身ぺらぺら
      原価超安いでOK
      これは
      ビジネスチャンスだべ
      そういうところに
      眼を向けないから、
      底辺這いずるんだべさ
 
 原発がぱーんした瞬間に、ああっ! どうなっちゃうんだ、と思っている人々がいる一方で、

 ビジネスチャーンス!
 
 と走り出した連中が大勢いる。太陽光発電だってそうだ。成功するわけないのに、高く、高く電気を売りつけることが出来たらみつけもんだ。
 
 ∧∧
( ‥)あなたの知ってる人でも
    いたからね
 
  ( ‥)ビジネスってのは
    ‐□ そういうもんさ
 
 なんでこんなに人々は放射能や放射線に対して無知蒙昧なの?
 
 あきれる声も上がるが
 
 馬鹿にするな! 水俣病の時だってそうだったじゃないか。メチル水銀の影響を否定した人がいたじゃないか! 専門家の言う事など信用できるか!
 
 という怒りの反論もしばしば聞く話。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、あなたに言わせれば
    放射線と水俣病を
    同列に扱うのは混乱的
    なのでしょうけどね
 
  (‥ )水俣病はまず原因が
      分からなかった。
      しかし特異な症例に
      特異な化学物質、
      特異なものが二つ
      しかも同時にある。
      この両者に因果関係が
      あるのではないか?
      そこが議論の始まり。
      これは因果関係の選定の
      話だよね。
      未知の事例なので
      まずどれが因果関係
      なのか、という話だ。
 
 つまり、メチル水銀が原因であることはありえない、たとえそう発言したとしても、問われるべきはそこではない。結果的に原因を否定したとしても、問われるべきはそこではない。二つの特異な事例が同時にある時に、それらの因果関係をあらかじめ否定できるとはいかなる理由か? そこが問われる。
 
 一方、放射線の量と影響うんぬんは、すでに関係性が分かっている。あるいは多くの場合知られている。ここにあるのは”どれが因果関係なのか?”というものではない。原因となるものはすでに明らかだ、ではこの線量の場合、どのぐらいの結果が出るのか? それが議案となる。
 
 問題は、統計的に見えてくるほどの影響があるのか、ないか? そこにあるんだろう、これが多分、混乱を引き起こす。
 
 以上の二つは同列には扱えない。似ているようでいて、実は全然違う。
 
 しかし、人によるとこうではないか? 統計的、というものの考えをごまかしと受け取るではないか?
 
 ∧∧
(‥ )まあ、確かにこの症状は
\‐   放射能が原因だ、と
     本人が確信している時に
     統計的に支持されない、と
     言われたら
     納得はしないでしょうね
 
  (‥ )それが因果関係の否定に
      見える、
      それが、
      原因それ自体の否定
      に見える、
      そこで以上の二つを
      ごっちゃにするの
      だろうな


 統計的な考えが因果関係の否定のように見えるから以上の二つを混同して、混乱しているのではないか? 
 
 だが、混乱は所詮は混乱だ。いくら怒っても、混乱状態である以上、それは正しくはない。
 
 そもそも、例えばメチル水銀の影響を否定した研究者も当初いたではないか、だから研究者は信用できない。という主張は、実のところ論理の混乱でもある。部分は全体のサンプルにはなりうるが、部分は全体を無条件に代表しているわけじゃない。箱の中からボールを出して、それが青だったら、では残りのボールは全部青か? そうじゃあないよねえ。ましてや人間は大量生産された工業製品ではない
 
 それにその理屈でいくと
 
 ∧∧
( ‥)放射能で死ぬー、と
    言っている人の中には
    詐欺師がいるよ
 
  (‥ )じゃあ、放射線で死ぬー
      と言っている人は全員
      詐欺師だよ、
      ということになる
      同じ理屈を使えば
      相手だけでなく自分の
      根拠も壊される。
      理屈の自殺だよ。
 
 
 ∧∧
( ‥)まあ、あなたにしてみれば
    こんな議論もどうでもいい
    ことなんですよね
 
  ( ‥)真面目に真剣に、
    ‐□ おびえて不安にくれる
      人たちのところにだな
      ビジネスマンが
      やってくるのだよ。
 
 なぜならそれは”ビジネスチャンス”だからだ。原発がぱーんしたあの瞬間に、これは金になる! と思って動きだした連中が山ほどいる、これを忘れてはならない。
 
 ∧∧
(‥ )それを聞いたら怒り狂う人も
\‐  いるでしょうね
 
  (‥ )そりゃあ怒るに決まってる
      だけどもね、
      ビジネスマンたちは
      そこをこそ突いてくるぞ。
 
 怒りと不安は商売のタネになる。これはいつだってそうだったではないか。
 
 
     
 

2013年10月21日月曜日

勘違い錬金術師

 
 大部分の人は論文を読まない。
 
 だから論文に書いていない嘘を売りつけることは容易だ。
 
 ∧∧
( ‥)でも困ってしまう事に
 
  (‥ )じゃあ、そもそも
      論文にない嘘をつく
      必要もないじゃん、
      そういうことに
      なってしまう。
 
 論文にはこう書いてある。
 
 教科書にはこう書いてある。
 
 複数の論文と教科書を突き合わせると、現在の議論はこのような形になっている。
 
 客である一般人、大部分の人が以上のようなことをしないのなら、いちいち”論文に書いていない嘘”をつく必要もない。
 
 ∧∧
( ‥)自分で勝手に考えた
    嘘を売ればいい
 
  (‥ )というか、自分の
      分かったを売ればいい。
 
 教科書や複数の論文を見て見えてくるのは現在の”理解”の動向であって。
 
 ∧∧
( ‥)それを仮に答えとすれば
    論文を読まない、とは
    答え合わせをしない状態
 
  ( ‥)学校では次のようなことが
    ‐□ 時々あるんだよな
 
 この答えが分からない
 その答え分かった! こうだよ!
 本当?? じゃあ写させて
 
 ∧∧
( ‥)でも、答え合わせをしたら
    間違いでした
 
  (‥ )でも、答え合わせが
      なかったら、
      その間違いは
      ”正しい解答”のまま
      なんだよね。
 
 しかも需要と供給がある。つまり、答え合わせがない状況では、勘違いな答えを売る、それが商売となりうる。
 
 世の中に色々な俺様理論屋がいるが、彼らは小学校の時、得意満面に間違った答えを吹聴し、教えていた、勘違い早とちりな連中の成れの果てなんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも商売になる
 
   (‥ )少なくとも、
       そこそこ文章がうまくて
       みんなが受け入れやすい
       勘違いを製造できること
       さらに
       健康、恋愛、金儲け
       これらに関わる分野で
       あること。
       こうした条件で
       勘違いを錬成できる人は
       商売人としてデビュー
       できるよ。
 
 
 

そんなことを言ってると、商売人が笑顔でやってくるよ

 
 例えば曰く、
 
 英語の論文も読まないなんてww と馬鹿にするのではなく、それを訳して皆に見せるのがインテリの役割ではないのか?
 
 という意見
 
 ∧∧
( ‥)仮にそういうインテリが
    いたとする
 
  (‥ )翻訳で何らかの成果が
      得られたら、
      彼はそれを
      続けるだろうな
 
 だが最初の言葉を述べた人はこう言っている、それがインテリの役割ではないのか? と。それはつまり、そんな人間はいない、ということだ。
 
 ∧∧
( ‥)少なくとも最初の発言者は
    そういう人を見ていない
    だから嘆き、
    そして泣いている。
 
  (‥ )人はいるのに
      現れない。
      あるいは現れてもすぐに
      やめて消えてしまう。
      ようするに、
      翻訳したって無駄だから
      翻訳しないわけよ。
      これが世界の動態さね。
 
 例えばの話こうである。
 
 英語で書いてあるからこの論文わからなーい。
 
 日本語に訳したよ。
 
 キャー素敵、ありがとう、これで分かるー♡ もっとやってー
 
 ∧∧
( ‥)なんてことは起きないのだと
 
  ( ‥)英語の論文を読まない奴は
    ‐□ 日本語の論文も読まない
      日本語の論文を読まない
      奴は英語の論文も読まない
      それだけの話だろうね。
 
 翻訳したって読むわけない。
 
 もちろん確かに、日本語の論文を読まない人=英語の論文も読まない人、では必ずしもないが、
 
 ∧∧
( ‥)でもやっても無駄である
    それは世界の事実であると
 
  (‥ )やって対価が得られたら、
      それが金なのか、
      あるいは名誉なのか、
      あるいは後継者なのか、
      いずれにせよ、
      もし対価が得られたら
      やる人はやり続けていた
      だろうからね。
 
 だが、そうではない。
 
 この世界はそうではない。
 
 それは、英語の論文を訳すのがインテリの勤めではないのか? というご要望に応じても、なんだ、インテリの勤めとか言ってるけど、結局のところこんな意見、ただの嘘っぱちじゃないか...、応じた人がそう思ってしまうような世界だ。そういうことを示している。
 
 ∧∧
(‥ )もちろん、最初の発言者
\‐   自身はまじめに、
     そう願っているのかも
     しれないけども
 
  (‥ )対価を得るには、
      効果を引き出すには
      大きな母集団が
      必要になるのだ
      そうである以上、
      個人の意見、それ自体は
      それが真摯であれ、
      本気であれ、意味がない。
 
 自分でやらない奴に何を教えたって無駄だよ。教えたってどうせ何もしないし、いくら教えても伸びやしないよ。
 
 こういう失望と諦めの声は良く聞くし、これを言う人々は、それなりに試みて、がっかりして去っていっただけなのだ。
 
 たまに、学生をにこにこ笑顔で親切に教える人もいるけども、実のところ、彼は最初っから期待を欠片も抱いていないので、だから学生に苦言も何も言わないのであったりする。
 
 彼にとって学生はどーでもいいゴミくずのような存在でしかなかった。だから失望しない。失望というのは望みがあるからついえるのであって、望みを抱いていない人に失望など存在しない。だから怒りもないし笑顔だ。
 
 まあ、
 
 こんな話はどうでもいいことで。
 
 ∧∧
( ‥)これは商売のネタでもある
 
   ( ‥)人間はなあ、
     ‐□ 論文を読まないんだ。
       だとすると、論文を
       読んだ人間は
       情報の供給源を
       掌握できるというわけよ
 
 論文を翻訳したって、どうせ誰も読まないよ。英語の論文を読まない奴は日本語の論文だって読めやしない。絶望的にやる気がないのさ。
 
 この意見が世界を完璧に記述できる理論である必要はない。ある程度まで事実である。それで十分だ。この時、論文に眼を通す人は、皆が欲するが、めんどくさくて取りにいけないものを客に売りつけることができる。
 
 ∧∧
(‥ )でも、困ったことにですよ
\‐   論文を読まないお客さんは
     嘘を売りつけられても、
     自分では区別できない、
     そういうことでも
     あるのですよね
 
  (‥ )英語の論文を
      読まない人間は
      日本語の論文も読まない、
      日本語の論文も
      読まない人間は
      教科書だって読まない
 
 これがある程度でも成り立つのなら、嘘をいくらでも売りつけることが出来る。論文も教科書も読まない人間は、自分自身では正誤の確認が出来ないのだから、これは当然。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、
    誰か僕のために
    英語の論文を訳してください、
    とは
 
  (‥ )カモだな。
 
 研究者は、冒頭のような言葉を聞いたら絶望するだろう。賢しいインテリは下賎のやから、と高慢ちきな鼻っ柱を光らせながら、冷笑の笑みを浮かべて吐き捨てるだろう。
 
 だが、商売人は笑顔で近づいて嘘を売る。
 
 
 
 

2013年10月20日日曜日

秋のターヘルアナトミア

 
 
 軽空母の村にオークが攻め込んで..
 
 ∧∧
(‥ )WW2の軍艦擬人化ゲーム、
\‐   艦隊これくしょん
     ここに出てくる
    ”軽空母”の女の子たちを
     オークで陵辱しようという
     アイデア...ですかね?
 
  (‥ )オークというとエロい
      同人誌とかゲームでは
      性欲の具現化、
      読者の代弁者みたいな
      位置づけみたいだけど
 
 
 女の子の体からわんさか飛び立った艦載機たちに次々に、ただ一方的に倒される中世装備のオークたち。
 
 ∧∧
( ‥)一部を生きたまま
    鹵獲に成功しました
 
  (‥ )よし、改造だ。
 
 頭蓋をノコギリでこじ開け、自由意志を司る前頭葉をえぐり出し、電極をしかるべき場所に...

 
 ∧∧
(‥ )しかるべき場所が分かりません
\‐
 
   (‥ )では実験だ。
 
 何頭かのオークの頭部を、あるいは体を消毒の後、無菌室で適切にスライスし、電極を差し込み、刺激を与え、反応を見る。話せるなら会話をおこない、反応を引き出し、必要であれば新たな個体を鹵獲する。死体でも、それが新鮮ならばかまわないことが判明し、探求は加速的に進む。脳の深部に針を、あるいは脳の表面に針を、あるいは脊髄、延髄、あるいは筋肉の、あるいは内臓の末梢神経...。
 
 いかに深部の組織とて、反応を得た後に薬品で固定し、薄くスライスすればどこに針が届いたのか判明し、刺激と反応と場所と座標が確定し、因果関係が立証され、理解が深まり、それは応用への道を開く。
 
 埋め尽くされる写真、メモ、標本、記録、そして論文
 
   ( ‥)すごいねえ、
     ‐□ この体はどうなっている
       のかね?
       なんと言う単純で、
       しかし効率的で
       頑健な造り
       なかなか死なない!
       すばらしい!
 ∧∧
( ‥)データがそろったら、
    完全なる我が軍の機体として
    運用スタート開始進行
 
 勝てば勝つほど軍隊が増えていく。すなわち進撃をはばむものは、彼らの絶滅のみだ。
 
 
 まあ、冗談はさておき
 
 
   ( ‥)実際、腹を裂いても
     ‐□ 裂いても、例の件は
       よく分からないのだよな
       今度はバッタでも
       試してみよう。
 
 ∧∧
( ‥)薬品で筋肉だけが溶かせないか
    調べます?
 
 確かそういうやり方があったと思ったのだけども、実際にやってみれば、それは分かることなのだ。
 
 それにしても、秋の長雨と台風の接近が呪わしい。
 
 
      

う○こ、この成り上がり者はどこまで進む

 
 クソワラタwww
 クソカッコイイ
 クソカワイイ
 
 ∧∧
(‥ )...この”くそ”って
\‐  くそつまらないの
    ”くそ”ですよね?
 
  (‥ )くそ、糞、つまり
     ”うんこ”のことだよな?
 
 ∧∧
( ‥)すると? 冒頭の言葉は
    直訳すると
    うんこ笑った
    うんこかっこいい
    うんこ可愛い
    ですか?
 
  (‥ )言葉は派生すると
      元の意味から乖離する
      からね。
 
 例えば、ついに倒された悪の魔王。自分が想定していなかった勇者の策略にはまっていたことに、今際の際になって気がつき、悪態をついた。
 
魔王:くそったれ...
勇者:いやいや、私、うんこを漏らしたことなど、一度もございませんよ。我が人生に脱糞ナッシング
魔王:お前は何を言ってい....
 
 ∧∧
(‥ )まあ、くそくらえだ、
\‐  という慣用句も、
   ”お前はうんこ食べなさーい♡”
    という意味ですからね
 
  (‥ )くそつまらない、だと
      直訳すると
      ”うんこのような出来だ”
      という意味になるが、
      すごくつまらない、
      ということだよね
 
 ∧∧
( ‥)うんこ、というか、糞が
    嫌悪すべきものであるから
    そこから転じて
    bad:バッド:悪い
    とか
    worse:ワース:より悪い
    とか
    worst:ワースト:
    めちゃくちゃ悪い
    とか
    そういう意味になっている
    はずなんですけども。
 
 
  ( ‥)だけど、日本語だと
    ‐□ 強調の意味で
      使われているのだ
      すごく悪い、とか
      すごく良い、とか、
      ”すごく”の意味で
      ”くそ”を使って
      いるんだよね。
      あくまでも
      形容詞の強調であって
      否定的な形容詞そのものの
      比較級とか最上級では
      ないわけだね
 
 
 こういう区別は、つい失念しやすいだろう。
 
 だからいつの間にか、否定的な意味であるはずの”くそ”が
 ”すごく”になって、
 これが
 ”とても”になって、
 
 ∧∧
( ‥)ついには”うんこ”が
    肯定の強調として
    使われるようになった、
    そういうことですか?
    ”くそかわいい”、も
    意味は
    すごく可愛い
    ですよね。
 
  (‥ )そもそもさ、
      ”すごく”、も
      漢字で書けば
      ”凄く”であって
      本来は悪い意味
      なんだよね。
 
 辞書で引くと、恐ろしくてぞっとする様子だ、という意味がまず第一に出てくる。
 
 ∧∧
(‥ )確か、昔は”凄く怖い”のように
\‐  否定的な意味を強調する
    言葉としてのみ使われたの
    でしたっけ
 
  (‥ )古い世代はすごくきれい、
      とは言わないというな
      少なくとも辞書的な
      意味合いを理解している
      人たちはそうだという。
      だから、
      すごくかわいい、も
      スラングオッケーな
      書籍ではともかく、
      真面目な本では
      ちょっと使えないのだよね
 
 こういう風に意味合いが変わってしまった例は他にもある。最近では、”全然”がそうだ。
 
 ∧∧
( ‥)本来。”全然”は否定を
    強調する単語ですから
 
  (‥ )辞書でも、まったく、
   □‐  まるで、非常に、
      という意味で出てくる
 
 まったく、まるで、明らかに否定を強調する言葉だ。しかし、非常に、という意味が出てくるところで怪し気な部分がある。
 
 ∧∧
(‥ )80年代後半か90年代
\‐  でしたっけかね?
    あのあたりから
    ”全然”の意味が否定の
    強調だけではなく、
    肯定の強調にまで使われる
    ようになったようだと。
 
  (‥ )とんねるずあたり
      だったかな、
      全然いい、という言葉を
      テレビで使い始めて、
      ある日、自動車のCMで
      ”全然いいねえ”という
      言葉が出てきて、
      それ以後だと
      記憶しているが。
 
 ”全然いいねえ”とは、CMだから明らかにプロの仕業なんだろう。あれを聞いた時は愕然としたものだった。
 
 ともあれ、日本語の特徴なのかどうなのか、それは知らないけども、否定の強調がいつのまにか強調という意味合いになり、ついには肯定の強調にされてしまう。これはしばしば起こるらしい。
 
 ∧∧
( ‥)くそもそうだと?
 
  (‥ )さすがに音が
      ”糞”のままだから
      スラング以上になるのは
      難しそうだけども、
      うんこがグッドや
      ベターやベストのように
      使われるとは、
      排泄物からスタートして
      ずいぶんと成り上がった
      ものよなあ。
      
 
 

黄昏の惑星

 
 映画プロメテウスなるものがあったという。
 
 ∧∧
(‥ )映画「エイリアン」の
\‐  前日談みたいな感じで、
    エイリアンが生物兵器みたいな
    位置づけだとかなんとか
 
  (‥ )あらなんか残念ね
 
 人間のような異星の生物にまで寄生するような生き物だもの、おまけに猛烈な速度で繁殖する。
 
 ∧∧
( ‥)ということは
 
  (‥ )エイリアンとは、
      環境が非常に厳しくて
      良好な条件が出来たら
      ただちに繁殖しないと
      生き延びられない惑星の
      出身だと思っていたんだが
 
 繁殖するエイリアンたちのコロニーを見つけ出し、兵隊たちの攻撃もまるで意に介さず、一方的にもしゃもしゃ食べるでっかいアリクイのような動物が闊歩する恐るべき世界。
 
 ∧∧
(‥ )そういえば蟻さんも
\‐   蟻酸を防御に使ってるのに
    人間は料理に使うし、
    アリクイさんはぼりぼり
    食べちゃいますからね
 
 *ツムギアリは東南アジアでは料理にも使われます。
 
  (‥ )エイリアンが持つ防御用の
      強酸の体液、
      宇宙船の設備も溶かすって
      なんだよそれ、なんだけど
      それに耐える素材を
      エイリアン自身が
      実現しているのなら、
      同じ惑星の同じ系統群なら
      やはり実現できるからね
 
 巨大な突起で外装を破壊し、でっかいべたべたの舌で、べろんべろんとコロニーを舐めとり、きゃーっと悲鳴を上げて逃げ惑い、卵を守ろうとするエイリアンたちを片っ端から取っ捕まえて、ぼりぼり、がりがり、ぺちゃくちゃ、ぴちゃぴちゃ。強酸の体液ぐびぐび。
 
 ∧∧
( ‥)エイリアンさんの宿主も
    色々いるんでしょうね
 
  (‥ )ばかでかいイモムシや
      人間のような姿だけど
      それなりな防御手段を
      持っていてな。
      猛烈な匂いのする劇薬や
      音波兵器を持つ猿。
      針金サイズの刺胞を
      持つ牛のような
      イモムシたちが徘徊して
      いてだな。
 
 年老いた太陽は核融合反応の終末を迎えてすでに赤く膨らみ、赤色巨星になりかけて空を覆う。たそがれ、長い進化の歴史を経た暑い惑星は、巨大な樹木のような、あるいは珊瑚礁のような生物構造に包まれ、数百メートルに達する光と闇が織りなす世界。森と木々の間を旋回する、鷲よりも巨大な狩り蜂。カラスのようにつきまとう寄生バエのような翼竜。あらゆる箇所に罠を張り巡らせる、クモを思わせる脊椎動物たち。巨大な体躯で待ち伏せしながら、自らと比べればはるかに小さなエイリアンたちをちまちま襲う、ヒキガエルを思わせる山のような甲殻類。はるか頭上の枝と茂みから、長駆をひるがえして襲ってくる大蛇のような多足類。岩のように見える甲羅と、その隙間から猛烈な勢いで首を伸ばして獲物を呑み込もうとするライオンのようなカタツムリ。擬態し、あるいはその柔らかな体であらゆる隙間にひそみ、獲物を狙う沼のようなコウガイビル。超硬質の皮膚を持ち、長い足を持って三次元を自在に駆け回る草食獣としてのヤスデ。そして彼らを追いかけ回す、ヒョウのような脊椎性の昆虫。エイリアンでさえも容易にまっぷたつにしてしまう巨大な顎をかしかしと開閉させ、獲物を探し、得体の知れない感覚器官をぐりぐりと蠢かす。
 
 ∧∧
(‥ )そういう話じゃないみたいよ
\‐
 
  (‥ )残念。望むものは
      自分で作りなさい。
      そういうことか。
 
 
 

2013年10月19日土曜日

知的生物一期一会

 
 hilihiliのhilihili: 人類滅亡後のスチームパンクの続き
 
 そもそもそのスレは、人類滅亡後、どの動物が知的生物に進化するのか? というものだった。
 
 ∧∧
(‥ )でも、進化観があれですね
\‐   中世的な存在の梯子だったり
     階段だったりする
     みたいですね
 
  (‥ )そもそも
      ”人類が絶滅して、
      別の生物が進化の階段を
      昇り”
      という表現からしても、
      そうだろうなあ。
 
 *中世ヨーロッパではこの世の存在には段階があると考えた。鉱物から菌類、そして植物、昆虫や両生類、爬虫類、そして鳥、哺乳類、人類、天使、神。これを存在の梯子とか階段とか呼んだりする。
 
 ∧∧
( ‥)原典は分からないけども、
    人類が天使に進化したら
    猿が人類になる、という
    考えもあったみたいですよね
 
  (‥ )ダーウィンより少し前、
     まあ、100年とか
     そのぐらい前だったっけ
     かね
 
 人間が天使になる、というと大笑いする人もいるが、そう笑っている人だって、”宗教や神や天使は非科学的で存在しない”という根拠不明か不十分な大前提を信じているだけでしかない。だから笑っているが、実際にはこういう世界観から一歩も抜け出ていないものだ。
 
 事実、スレの内容からするに....
 
 ∧∧
(‥ )虫は食物連鎖の下方だし
\‐  進化段階から考えて哺乳類
    ゴキブリは完全体
    人類と鳥は生物の最新型
    鳥は進化の段階ではトップ
    昆虫は数では天下とってる
    などなど
 
  (‥ )進化には段階がある
      階段状に上下に配列できる
      変化しない生物は
      完全だからだ、
      知能は進化の終着点
      食物連鎖の頂点と
      存在の梯子の区別が曖昧
      そういう考えが
      見て取れるね
 
 そういえば次の仕事では人類の進化を少しだけ紹介するのだった。なぜならば
 
 ∧∧
( ‥)一般的には
    猿人>原人>旧人>新人
    という具合に、
    人類の進化は一直線に進んだ
    そう思われているから
    それを説明してくれないと
    読者が勘違いする、という
    要望があってね
 
  ( ‥)確かにさ、
    ‐□ ネアンデルタール人から
      現代人が進化したと
      覚えている人もいるからな
 
 実際には、共通祖先から枝分かれした別系統の人類だ。
 
 ∧∧
( ‥)でも別系統の人類、と言うと
    それはそれで誤解を
    招きますよね
 
  (‥ )別系統、というと、
      じゃあ、別の人類なのか?
      と思い込む人がいるからね
 
 *鈴木一郎さんと次郎さんは兄弟だが、すでに結婚し、遠く離れた町でお互いに別々の家庭を作っている。彼らはこれから別々の系図を作っていくだろうし、すでに作っている。その意味において一郎さんと次郎さん、そして彼らの子供たちは別系統だ。
 
 と言うと、
 
 ああ、一郎さんと次郎さんは、名字は鈴木だけどもまったく赤の他人なんだ、兄弟じゃないんだ。
 
 と勘違いする人がいる、という意味。
 
 **ここでは現代人(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)が交配した可能性については論じない。
 
 ∧∧
(‥ )それにしても、
\‐  次の知的生物にはカラスを
    押す人が多いみたいですね
 
  (‥ )頭いいからな
      種類によると道具も使うし
 
 とはいえ、これも進化に関する誤解であるのだろう。進化が段階的な向上、と考える人は、しばしば、”段階が向上すると知能が高くなる”、そう考えているものだ。
 
 ∧∧
( ‥)ある意味、存在の梯子って
    ”トコロテン仮説”ですよね
 
  (‥ )すぽんっと後ろから
      押し出される。
      人類がいなくなると
      ぽんっと後ろから
      次がくる、
      そういう世界観だよね
 
 実際のところそんなことはない。それに、脳の増加と知能の発達が進化的に有利か、というとそれは非常に怪しい。事実、人類に近縁のチンパンジーやゴリラは、確かに脳は大きいが、人類のような進化はとげなかった。単純に脳が大きければ良い、というのならこんなことにはならない。
 
 ∧∧
(‥ )あなたたち人類は進化が
\‐   非常に速かったですからね
 
  (‥ )えらい勢いで脳が大きく
      なっていってな。
  
 だが他の系統のものたちはそうではなかった。これはつまり、脳が大きくなる、という進化が実のところかなり不自然であること、”脳が大きくなると賢くなるから大きい方が良いに決まっている”、という考えでは説明できないことを示唆している。
 
 ∧∧
( ‥)脳はエネルギーを消耗しますし
    それを考えますとね、
    通常の進化、つまり
    有利不利とか、
    経済的な損得からすれば
    脳の極端な増加は起きにくい
    そういうことですよね。
 
  ( ‥)だから人類進化では性淘汰、
      つまり男女が異性に
      どうもてるのか?
      もてるもてない
      不合理だけども重要だ
      こういう要因が
      動力になって進化が進んだ
      そう考えられるわけ
      なのだけども
 
 それを考慮すると、カラスが賢いから知的生物になる、というのは怪し気だ。自然界を生き抜く上で、あの賢さで十分ならもうあれで打ち止めかもしれない。
 
 そうではなく、脳を使った性淘汰、というと、むしろ例えば...
 
 ∧∧
(‥ )アズマヤドリのみなさんは
\‐   物を作るという性淘汰が
     非常に発達した
     系統ですよね
     =>アズマヤドリ
 
  (‥ )もし、人類進化が
      性淘汰であって、
      脳の極端な増量がそういう
      結果だというのなら、
      ああいう種族から
      次の知的生物が現れるの
      かもしれないね。
 
 とはいえ、もちろん、脳を大きくする、というのはこんな単純な話ではないんだろう。例えば鳥なら飛べなくなってしまうかもしれないし、そうなったら脳の増量はそこでストップがかかるのかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)それに性淘汰はきまぐれで
    持続性がないようですし
 
 (‥ )脳の増量が可能で、
     もともと脳が大きくて、
     それゆえに、
     無駄に脳を大きくする過程が
     比較的短期間でも
     知的生物に行き着ける。
     そんな生物が
     次の知的生物になるのかも
     しれない。
     条件厳しいよなあ。
 
 それを考えると、地球の歴史上でたった一度しか知的生物が誕生しなかったことは、むしろ当然なんだとも言える。
 
 ∧∧
(‥ )動物の歴史が始まってから
\‐  10億年ぐらい。
    その歴史の中で、
    ただ一度の気まぐれだった
    のかもしれません。
 
  (‥ )確かに後の時代ほど
      中枢神経の大きな動物が
      現れているから、
      条件自体は改善されて
      いるわけだ。
      でも、人類が絶滅したら
      もう二度と地球上に
      知的生物が現れることは
      ないのかもしれないな
 
 人間は知能があるからそれを素晴らしいと勝手に思い込んでいるが、知能とは、実は無駄で無意味でむしろ有害で、偶然の気まぐれがないと誕生しないものだったのかもしれない。少なくとも、脳が有意義だとしたらこの有様は説明できないだろう。
 
  
 

2013年10月18日金曜日

人類滅亡後のスチームパンク

 
 もし、人類が絶滅して、別の生物が進化の階段を昇り、道具を作り、火を使用しても、しかし、金属の精錬ができなくて詰む。人類が掘り尽くしているから。
 
 という意見をネットで見た
 
 ∧∧
( ‥)...金属資源はむしろ
    都市遺跡に集中して
    残っているのでは?
 
  ( ‥)と思ったら、
    ‐/ これは本来スレの
       やり取りらしくて、
       そう返した人もいた
       みたいだね。
 
 むしろ人類が残した遺跡から取り放題。でも放射能という敵にさいなまれるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)原発とかは解体されて
    地下に埋められているから
    都市遺跡の金属資源採掘とは
    関係ないんじゃないですか?
 
  ( ‥)高レベル放射性廃棄物の
    ‐□ 廃棄をどうするのか?
      という問題はあまり
      認識されていないのな。
 
 日本には高レベル放射性廃棄物を捨てる場所なんかない、とよく言われるのも、そのひとつだろう(*実は可能)。
 
 ともあれ、
 
 ∧∧
( ‥)ともあれ、あれですね
    人類滅亡後、金属資源は
    酸化して、
 
  (‥ )つまり錆びて崩れ、
      水に溶けて流れて
      どっかに再堆積するの
      だろうな。
 
 コンクリートは水に少しずつ溶けて流れて消える。プラスチックはどうなるか分からない。太陽にさらされると紫外線とかで破壊されて壊れていくけども、地下に埋没したら消えるかもしれないし、あるいは
 
 ∧∧
( ‥)なんか僕らがまだ知らない
    ような作用でむしろ
    頑強な何かになって
    残るのかも知れない。
 
  ( ‥)植物の樹脂の成分が
    ‐□ 固く結びついて琥珀になる
      なんて普通は思わない
      ようにね。
 
 どっちにしろ、人類滅亡後、数十万、数百万、数千万年がたったら、都市の原型は何も残っていないだろう。溶けて流れて、腐食に強いほんのわずかな残骸と、浸食に取り残された遺構が堆積物中に残るのみ。
 
 ∧∧
( ‥)でも溶けて流れた金属は
    化学的条件の折り合いがつく
    場所で二次的に鉱床を
    作っているだろう。
 
  (‥ )どこにたまるのだろうね?
 
 例えば鉄はどうなっているだろう? 単純に静かな水底に堆積した錆、つまり酸化鉄の姿をとっているのか? あるいはさらに移動して、あるいは還元的な条件、ヘドロのたまったかつての東京湾の底に黄鉄鉱の形になって残っているのか?
 
 ∧∧
( ‥)次の知的生物は、そこを
    掘るのでしょうね
    次の知的生物が進化する
    までにかかる
    タイムスケール次第ですけど
    地殻変動で鉱床が露出して
    いる場所もあるかも
 
  ( ‥)むしろ、石油が枯渇して
    ‐□ いることが痛いかもな
 
 ある人が言った。現代文明は白亜紀が無かったら存在しなかった。
 
 ∧∧
( ‥)白亜紀に海洋底の拡大速度が
    上昇して、海底、さらに海面が
    上がって、大陸性地殻の
    かなりの部分が水没する
 
  (‥ )そこに長い時間かかって
      堆積した植物プランクトン
      それが埋没した状態で
      出来たのが石油だ。
 
 植物は太陽エネルギーを用いて、水と二酸化炭素という安定な物質を、酸素と有機物という、化学的に不安定なものに変える。
 
 これは太陽エネルギーを化学エネルギーに変えることと同じ。
 
 つまり何百万年、何千万年もかけて堆積し、蓄積された石油は太陽エネルギーに他ならない。
 
 ∧∧
(‥ )それを文字通り、湯水のごとく
\‐   使って燃やして、
     そうして現代文明は
     成り立っているのですよね
 
  (‥ )石油は必ずしも白亜紀だけの
      ものじゃないけど、
      白亜紀がなかったら
      僕らの文明は
      石炭止まりだった
      という指摘は
      正しいだろうな
 
 つまり、SF的に言うと、白亜紀がなかった時空では人類文明はスチームパンクで終わっていた、ということになる。
 
 *スチームパンク。ネットや電脳の出現を見越した、石油と電力の先にある未来を想像したSF、サイバーパンクとは対照的に、産業革命に成功したビクトリア朝大英帝国のまま、石炭と蒸気機関による文明が発展したら、という世界を描いたSF、それがスチームパンクと言えば良いか。蒸気機関で動くバベッジの巨大階差エンジンが大演算を行う異様な平行世界。
 
 **蒸気機関は熱効率が悪いし、石炭を液化するとか、石油のような液体かつ揮発性の燃料を作り出して内燃機関に移行するとか、あるいは蒸気機関から核融合へ一気に移行するとか、そういう可能性はここでは考慮しない。
 
 ∧∧
(‥ )人類滅亡後の次の知的生物が
\‐   やむを得ず
     スチームパンクしてたら
     申し訳ない状態ですね
 
  (‥ )石炭は白亜紀と関係なく
      新生代のものもあるし
      蒸気機関までは
      成立するよね
      発電は出来るから
      電車とかは
      あるだろうな。
      でも、船は蒸気船かな、
      飛行機は辛いだろうなあ
      揮発性燃料を作って
      運用するにしても、
      手間がかかるし、運賃が
      高いから庶民の足では
      ないんだろうね。
 
 
 ロケットで月までいって人類の足跡を見つけているのに、ヒッグス粒子の発見は蒸気機関の電力で動かした粒子加速器で行われ、電車が走る空を飛行船が舞い、海を蒸気船がゆく世界。
 
  
  

自分の夢の実現は皆の夢の実現を意味するわけではない

 
 35すぎたら夢なんてあきらめな。
 
 ∧∧
(‥ )そんなことはない、私は
\‐   こうやって夢を...
 
  (‥ )いつも思うけども、
      そんなことはない
      私はこうして夢を...
      と言う人は、
      どんな世界にすんでいるの
      だろうな?
 
 ひとつふたつ、自分の経験を反証として上げれば他のすべての破滅した事例を覆せる、そう信じているのか?
 
 しかし、確かにそうとでも考えていなければこんな発言はしないだろう。
 
 ∧∧
( ‥)論理的ではあるでしょ?
 
  (‥ )すべてのカラスは黒い
      そうおっしゃられるが
      しばし待たれよ!
      ここに白いカラスが
      いるではござらぬか
 
 ここにおいて、「全てのカラスが黒い」という命題は確かに論理的に否定された。
 
 ∧∧
(‥ )でもカラスの大部分は
\‐   真っ黒なままなんですよね
 
  (‥ )「全てのカラスが黒い」
      という命題を
      破壊することは
      比較的容易だが、
      カラスは黒いという
      事実は揺るぎもしない

 ああ、それでもしかし、ひとつの反証で命題を否定する。この動作、これ自体は論理ではなかったか。
 
 では、するとあれかい? 夢はこの年でもかなう、私をご覧なさい! という連中は論理的な思考の持ち主なのか?
 
 ∧∧
( ‥)演繹を重視しているという
    ことなのでしょう
 
  (‥ )というか、雑なんだと
      思うけどもな
 
 命題:この年になったら夢はもうかなわない
 
 だがその年で夢をかなえた私がいる
 
 ゆえにこの命題は間違いである
 
 ∧∧
( ‥)文章の形式では
    論理的ではあるのだけども
    雑だと
 
  (‥ )夢1〜100までのうち、
      35歳を越えて
      実現出来たのは
      2人だけでした。
      ゆえに35過ぎたら
      夢はあきらめなさい。
 
 そう言っている時に、私はその2人のうちの一人です、ゆえに夢は35すぎでもかないます。と言う。
 
 これは雑だろ。
 
 ∧∧
(‥ )人によってはそんなことまで
\‐   文章で述べていない
     ちゃんと言えよ、と
     述べるでしょうけどね
 
  (‥ )言葉は文脈で変わるもんよ
      お利口さんだね、という
      言葉は使い方ひとつで
      真逆の意味になる。
      文脈を踏まえない、
      そこが雑だと言うのさ。
 
 というか、
 
 私の夢、
 
 という事例が、なぜ、
 
 みんなの夢、
 
 という、より上位のカテゴリーを体現できると考える? 明らかにおかしい。
 
 ∧∧
( ‥)私の成功です、
    だからあなたも成功します
    そういう理屈だね
 
  (‥ )ほら、雑だ。
 
 私は死ぬから他の人も死ぬだろう
 
 ∧∧
( ‥)....それ逆だよね
    これまでの人は皆、死んだ
    だから私が人である以上、
    私も死ぬだろう
    つまり、
    他の人は死んだから
    それを人間の性質だとすると
    私も死ぬだろう。
    これが正しい。
 
  (‥ )人間という集合の中に
      私が含まれる
      だから、
      人間一般に通用することが
      私にも通用するだろう、
      それが正しい。
 
 人間は死ぬ
 私は人間だ
 ゆえに私は死ぬ
 
 これが正しい。
 
 だが、そうではなく、
 
 私は出来た
 私は人間だ
 ゆえに私に出来た事は他のみんなにも出来るはずだ
 
 というのは明らかに間違っている。どのぐらい間違っているかというと、
 
 アリクイは蟻を食べる
 アリクイは哺乳類だ
 哺乳類は蟻を食べる

 というぐらいに変。
 
 アリクイは哺乳類には含まれるが、哺乳類そのものではないのと同様、”私”なるものは人間全体でもないし、私の性質は人間全体の性質でも能力でもない。
 
 ∧∧
(‥ )よく勘違いされるけども、
\‐  ”私”自体は”人間”という
    集合ではないですからね
 
  (‥ )私は人間に含まれるが、
      私は人間を含まない。
      これは当然なんだけどね。
 
 つまるところ、
 
 私は35過ぎで夢をかなえたから、35過ぎでも夢はかないます。
 
 これはあからさまに論理の飛躍であり、破綻だ。
 
 ∧∧
( ‥)ひとつの反証例で
    夢の一律的滅びを否定する
    これは論理的。
    その一方で、
    私の成功を皆の成功に
    置き換えるという
    論理の破綻を平気で行う。
    あちらで論理、
    こちらで破綻。
 
  ( ‥)それ自体は悪いことでは
    ‐□ ないだろうな、
      人の動作は論理だけでは
      成り立たないからね。
 
 論理をふりかざす人間が安易なのは、論理だけではほとんど何もできないってことをまったく自覚していないままに、ハチャメチャなことをしている点にある。事実、無自覚に論理の破綻や飛躍を行っている。
 
 ∧∧
(‥ )ただし、これ自体は
\‐   誰しもがやっていること
     ですよね
 
  (‥ )だからこれ自体を
      責めることはない。
 
 確かに、論理的だのロジカルシンキングだのと言いつつ、実際にはハチャメチャだ、という点では恥ずかしいことではある。
 
 だが、それは言う事、信じていることが馬鹿っぽいというだけの話で、やっている動作、それ自体は人としておかしなことではない。むしろ当然。
 
 ∧∧
( ‥)でも言葉としては
    有害だと
 
  ( ‥)破綻した雑な理屈で
      夢はかないますよ〜と
      ささやくなんて、
      自覚していなくとも
      それは結果的に嘘であり、
      場合によっては詐欺と
      区別できないからね。
 
 ああ、しかし、そういう言葉は売れる商品にはなるのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)悪質だと思います?
 
  (‥ )無自覚だとは思うよ。
 
 
 
      
 

2013年10月17日木曜日

電子の世界では距離を詰めるのはたやすく、魚釣りは容易である

 
 貧乏人は米が高くて食べられない。しかし、輸入が自由化されたら安い米が入ってくる。コメ農家という既得権益者たちに税金が使われる時代は終わり、僕らはもっと自由になる。
 
 西欧諸国は例えばアフリカの旧植民地で安い主食を生産させればいいのに、それをしない。これは国防を理由とするからであり、日本も主食は守らなければいけない、と主張する人がいるが、片腹痛い。アフリカはどんどん砂漠化しているし、あそこの連中に倫理観や労働意欲なんてない。アフリカで穀物生産など無理である。だから国防の理由がうんぬんで食料は自給すべしという、こうした理論武装は無視して良い。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは、これらの意見は
    たわ言で馬鹿げていると
    見るけども、
    ”こういう言説を売る”こと、
    それ自体は正当だと。
 
  (‥ )商売とはそういうものよ
 
 求めがある。求めに応じることが出来る。この時、商売が生じる。
 
 ∧∧
( ‥)ビジネスチャーンス
 
  ( ‥)たわ言でも間違いでも
    ‐□ なんでもいいのさ、
      売れればいいんだよ
 
 さもなければUFOの本や新聞というものはこの世に存在しなかっただろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもネット全盛の今時、
\‐   こういう商売が流行る
     ものでしょうか?
 
  (‥ )パイが小さくなっている
      ことは確かだな。
      新聞やテレビ、出版界も
      ネットに根元を切り崩され
      縮小しておる。
 
 とはいえ、しかし、新聞もテレビも出版界も、生きていく事自体はこの先ずっと可能なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)単純に全盛期に太りすぎて
    縮小する家計で生活できない
    というだけでね
 
 (‥ )収入が減ったのに生活水準を
     落とせなくて借金するデブ、
     そう思えば良い。
     ありがちな話よ。
 
 それを踏まえると、冒頭の言説も十分に商売として成立することになる。
 
 ∧∧
(‥ )それにしても、こういう内容が
\‐   ネットでまかり通るのは
     なんだかなーとも
     思えますけども。
 
  (‥ )ネットよりも本の方が
      高級だ、というと
      反発する人は多いよね。
 
 例えば、本の方が質は良い、そうは言うけどもさ、最近の新書はネットの記事からコピペで作ったようなしろものじゃんよ。という意見。
 
 ∧∧
( ‥)それは事実でしょう?
 
  (‥ )まったくの事実だよ。
      当たり前じゃないか。
 
 問題は、”ネットの記事からコピペで簡単に作られた”、これがいかにも、ネットの技術が出版界を浸食した、かのように読める、あるいは発言者自身がそう思っているだろう、という点に多分ある。
 
 ∧∧
( ‥)実際には、ネットではなくて
    パソコンという機械が、
    コピー&ペーストを可能にした
    だけなんですけどね。
 
  (‥ )これはさ、むしろ
      出版界の底辺が
      ネットを浸食したと
      見るべきなんだよな。
 
 もちろん、どっちがどっちを浸食した、というのはあまり意味のない議論なんだろう。赤と青の染料の境界線で紫が生じれば、それは赤が青を、青が赤を、いずれも互いに浸食したと主張することが出来る。
 
 ∧∧
( ‥)無料になった、という点では
    ネットが出版界を浸食した
    わけですよ
 
  (‥ )一方、程度の低い、
      てきとーな文筆業が
      浸透してきた、
      という意味では
      出版界の底辺が
      ネットにどろどろと
      流れ込んできたとも言える
 
 どう見るのかは、どこにどう注目するか、どういう切り口で理解するか次第かもしれない。とはいえ、互いの世界の重複する部分が互いに浸透した部分であり、そしてそれは、
 
 ∧∧
( ‥)程度の低い部分である
 
 (‥ )程度が低い
     ジャンクフードな部分を
     食われたから
     出版界は今、
     苦戦しているわけでね。
     それはテレビや
     新聞でも同様だろう。
 
 程度の低い部分、というのは商売では極めて重要だ。とても大きな領域を占めている。実際、例えば、この世界からジャンクフードや”程度の低い料理”を追放したら、さて世界はどうなってしまうだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)破滅するんじゃね?
 
  (‥ )ポテチもコーラも
      マックも回転寿司も
      ラーメンもない世界だ
      消費も物流も企業も
      雇用も大崩壊だろ。
 
 多分、ネットのすばらしさを理論武装する人は、活字万能論者や頭のいかれた知識人が唱える言いがかりを、真に受けすぎているのではないか?
 
 活字万能論者やいかれた知識人は本の素晴らしさを説くが、実際のところそれは無駄に難解で自己満足大爆発の小説であり、随筆であり、哲学の仮面をかぶった思い込みであり、たわ言であり、役立たずであり、
 
 ∧∧
( ‥)そして実は商売の根幹ではない
 
  (‥ )あんな連中、出版界という
      氷山の、海面に浮き出た
      一部にすぎんよ。
 
 本当の大部分は海面の下、暗い、暗い世界にある。そもそもそこを切り崩されたから水没しているわけで、水没しているから氷山の上でお高くとまっていた連中が騒ぎだすわけで、そんな奴らのたわ言を真面目に聞いていては現状を見誤るだろう。
 
 ∧∧
( ‥)というか、見誤っていると
 
  ( ‥)冒頭の言葉とそれを買う人
    ‐□ あれらはそういうもの
      だろうし、
      そして悲しいかな、
      それが出版界の底辺なのだ
 
 というか、本来だったら出版界の暗い場所にあるべき領域が溶けてネットに流れ込んできて、その打ち寄せる流れに呑まれたのだと言える。
 
 実際、例えば冒頭の言葉を考えてみよう、アフリカの砂漠化は別にアフリカ全土の問題ではないし、仮に現地の人の生産効率が欧米や日本の農民の10分の1であっても、人件費がそれを帳消しに出来るほど安ければ問題ないし、実際に農場もあるし、あるいは反対に自給出来ないような、食えもしない商業作物を作るプランテーションに特化させてしまった歴史的経緯などなどもある。植民地経営ってのはろくなもんじゃない。それを考えれば、先の言説は学校で習った地理や歴史を忘れているのではないか、と思わせる。
 
 *それにどうも、冒頭の言説を読んでいると、アフリカがなぜ発展できないか、それを説明する都市伝説的なネット上のやり取りを鵜呑みにしているようなふしがある。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、底辺じゃね? と
 
  ( ‥)昔は、ああいう言説は
    ‐□ パルプな雑誌で、
      エロいお姉ちゃんの
      グラビアの脇につらつらと
      書いてあったものなんだが
 
 今じゃ、溶けて、ネットに流れ込んであちこちに水たまりを作ってる。
 
 ∧∧
( ‥)でも? 出版界から溶けて
    流れてきたはずなのに、
    今でもこういう言葉は
    出版界の商売になるのだと?
 
  (‥ )流れて溶けて水たまりに
      なってもだな、
      竿を伸ばして釣り糸を
      垂れれば、
      魚が釣れるって案配よ
 
 出版界から遠く逃げたからといって、そうは簡単に逃がさぬ。なんといっても電子の世界だ。距離を詰めるはいともたやすい。
 
 
      

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