自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2012年6月22日金曜日

滅びゆくジャンル


 
  ( ‥)昔、SFは科学なんだ
      と言った奴がいてな
 
 ∧∧
( ‥)ほほー
 
 もちろん、そんなわけがない。SFはフィクションだし、論文ではない。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、確かにストーリーにしか
 □–  なっていない論文とか、もう
     これフィクションだよね?
     という論文もありますけど
 
  (‥ )事例を列挙しても、集合全体
      の傾向は変わらないのよな
 
 SFは小説。小説は論文ではない。面白い小説は売れるが、小説みたいな論文は引用されずに死ぬだけだ(だめ論文として引用される可能性もあるが、それはもう殺されて標本として陳列させられているのである)。
 
 仮説、という点は論文もSFも共通かもしれないけども、仮説を検証できるようになっているのか、どうか、と言う点では違う。
 
 ∧∧
( ‥)SFで未来予測があたっても
 
  (‥ )携帯電話の未来があたっても
      小説家に特許料が入るわけじゃ
      ないんよな。
 
 まあ、そんなことはどうでもよくて
 
 ∧∧
(‥ )あなたの記憶によると、
\–   SFは事実を元に論理的に
     考えると意外な結論が
     出てくるのが良いのだ、
     そう言った人がいたと
 
  (‥ )まあ、気持ちは分かるね
      地球型惑星だけども、
      質量、地球の31倍、
      表面重力は3.6倍
      *注:この話=>*
 
 そんな惑星の生態系はどうなっているだろう? もしも訪問したらどんな世界だろう?
 
 ∧∧
( ‥)想像すると楽しそうですね
 
  (‥ )重量が3.6倍になるから
      縦横幅を0.65倍にすれば
      まあ、良いわけなのよ
 
 プロポーションの変化もあるけども、周囲の自然の大きさを0.65倍にする、そう考えれば良い。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、ちっちゃな生き物は
\–   あまり関係ないでしょうけども
 
  (‥ )僕らみたいな大きな生き物は
      全部、ちっちゃくなるわけだ
 
 森の樹々も丈が低くなり、シラカシのような木(にあたる何か)も高さが20メートル以下ってことになる。
 
 ∧∧
( ‥)枝もあまり長くは伸ばせ
    ませんしね
 
  (‥ )森の樹々の見た目はちょっと
      バオバブっぽくなるのかも
      しれないな。
 
 ∧∧
(‥ )長い葉っぱは垂れそうです
 ゜–
  
  (‥ )短くしたり、あるいは谷間や
      折り目をつけて強度を増したり
      小さいけれどシュロヤシのような
      葉っぱがはびこっていたら
      エキゾチックだろうね
 
 あるいは針葉樹のようになっているのかもしれない。
 
 最大級の恐竜の大きさを考えれば、アジアゾウ程度の大きさが動物の限界の大きさなんだろう。もっと普通にいるのはずっと小さくて、サイぐらいの動物がのそのそ歩き、ウマも速駆けはともかく、ギャロップできるかどうか、ちと怪しい。
 
 ∧∧
( ‥)気圧が高くて温室効果で
    暖まっている星だったら
    飛行動物は意外にがんばって
    いるかもしれませんし
 
  (‥ )気候も違うよな。そもそも
      惑星が巨大なんで熱を持って
      いるだろうから、火山活動も
      盛んだろうし。地球とは
      違うプロセスでマグマが出来る
      のかもしれないし
 
 *注:地球のマグマは水の作用で出来るので、温度はあまり高くないし、粘度が高く粘りがある(マグマグの実ってスナスナの実に脱水されたら負けちゃうんじゃねーの? という話でもある)。反対に高温で粘性の低いマグマが流れてくるような星だったら怖い(昔の月はそうだったそうだ)。
 
 とっ、想像すれば面白かろうし、見てみたいと思う。
 
 ∧∧
(‥ )事実、別の惑星の生態系を描いた
□–   海外のドラマが話題になったり
     しましたしね
 
  (‥ )理系の本でも宇宙ものは
      よく売れるんだよ
 
 みんなそういう世界に行きたいし、見てみたいのだ。
 
 とはいえ
 
 ∧∧
( ‥)でも、こういうのって
    根本的に科学じゃない
    ですよね
 
  (‥ )シミュレーションなんだよな
      それも脳内でやっている
      かなり粗雑なやつ
 
 もちろん、粗雑でも楽しければそれで良い
 
 ∧∧
( ‥)でも、厳密さを追求すると
    あれができない、これが
    できないになるだけだと
 
  ( ‥)なんかネットでぼやいている
    –□ 声を見たことがあったな
       あれが科学じゃない、これが
       科学じゃない。SFは科学でなくて
       小説なのに、理屈を振りかざして
       小説を殺し、ジャンルを衰亡
       させている、と。
 
 ∧∧
( ‥)あなたの言っている最初の人は
    ジャンルを衰亡させた、の
    ですかね?
 
  (‥ )分からん、ただ、あの言いよう
      つまり、前提から論理で演繹した
      ものこそが科学だから、
      それこそがSFであるべきだ、
      というのは2つの意味で致命的だね
 
:SFは商品である以上、それは科学ではなくて、心理学に基づくべきである
:前提から論理で演繹するのは科学にも必要な動作だが、それだけでは科学ではない
 
 ∧∧
( ‥)どっちかというと
    科学が好きなのではなくて、
    プラトン主義者ではないか、という
    =>*
 
  ( ‥)だとすると、悲惨なんだよな
    –□
 
 ∧∧
( ‥)なぜ?
 
  (‥ )論理は大事、だけども
      論理だけが大事、になると
      経験を軽視する。つまり
      失敗してもそれをフィードバック
      できなくなる
 
 ∧∧
(‥ )つまり、もし科学科学で
\–   SFってジャンルがだめになった
     というのなら
 
  (‥ )是正は不可能だ。
      プラトン主義者は間違いを
      認める必要がないからな
 
 経験が論理でない以上、論理主義者は経験を無視する。
 
 
 ∧∧
( ‥)実際にはどうなのでしょうね?
 
  ( ‥)SFがどうもジャンルとして
    –□ じり貧なのは事実みたい
       なんだが、原因が以上の
       ようなものなのかは知らん
       のだよね。
 
 だがもしもそうだというのなら、全滅するか死ぬかしないとどうにもならんのだろう。
 
 
 

ブログ アーカイブ