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2022年5月19日木曜日

露軍はついに製鉄所には入れなかった

 
 ∧∧
(‥ )ロシアとウクライナは
\−  アゾフスタル製鉄所の
    ウ兵重傷者の搬出に
    16日同意
    その後、搬出したウ兵も
    武装解除に応じて
    投降してるね
 
  (‥ )でっ、17日には
      ウクライナ参謀本部が
      任務終了を表明
      その後も投稿するウ兵の
      画像が出てくるから
      これは基本的に降伏だね
 
 もちろん、降伏に賛成しない兵士もいるだろうし、なお立てこもる兵士もいれば、遊兵とかゲリラになる兵士もいるだろう。
 
 とはいえ、それらは以上の話からとりあえず除外する。少なくとも大きな戦闘はこれで終了。あるいはひと段落。つまりは17日までの行動が露軍の最大進出先となる。
 
 17日の動画にはこういうものがある。


 
 ∧∧
(‥ )製鉄所の
\−  北東部にある施設だね
    作業場に見えるけど
    近くにダムがあって
    貯水みたいな構造も
    見えるけど
    浄水場なのかな?
 
  (‥ )わからんけど
      この施設
      裏道につながるんだわ
 
 この裏道はウ軍がたてこもる製鉄所の脇を通る大通り。それに並行する道であった。露軍はこの道を通って製鉄所近辺の会社へと向かう。
 
 

 
 向かう先はKomunal'nykという会社で、googleでは公共事業請負業者とある(画像には除雪車のように見えるものがあるが、港町のマリウポリでそんな積雪があるのだろうか? 調べた限り、積雪量はたいしたことないようだが...)。
 
 17日の動画には破壊された施設と残骸が写っている。市街戦が激しくなると建物の破壊は進行し、衛星写真と見比べて位置を同定することも難しい。ただ、13日に投稿されたドローンによる空撮がこの近辺を撮影していた。そこから考えると、動画に写った残骸は、このKomunal'nykの敷地のものらしい。
 
 多分、以上の画像の建物は画面左4分の3がほぼ完全につぶれている。一番左にある軒先のように突き出した部分は鉄骨で、かろうじて残り、片隅がまだ持ち上がった状態でいる。中央部分は崩れ去って、柱だけが残っている。つまり空間の多い部分だったわけで、多分、倉庫だったのではないか? そして建物の右、4分の1だけが原型をとどめた。ここは階段とか、事務所とか、そういう内部構造があって頑強だったのかもしれない。
 
 画像と同定に不確実さは残るが、動画の前後と露軍の目的地、さらに13日動画に映された破壊状況。これらを考えると以上の同定で良いと思う。
 
 そしてこれが17日動画の目的地。



  
 ∧∧
(‥ )これはわかりやすいね
\−  Komunal'nykだわ
 
  (‥ )露軍はそこから
      大通り向かいの
      製鉄所を撮影し
      攻撃しているんだわ
 
 露軍は大通りではなく、裏道を使った。この道は見ての通り、塀や樹木、建物など遮蔽物がいくつもある通りだった。つまり、製鉄所からの攻撃を避けるために、露軍はここを通るのである。
 
 そして露軍は通りの反対、製鉄所に隣接するMarkokhimの敷地に侵入する。この侵入は13日、ウ軍によって撃退された(*17日の動画は実は13日以前撮影の可能性が少しある)。




 ∧∧
(‥ )でも動画からすると
\−  一旦退いた露軍は再び前進
    ここを占拠したみたいね
 
  (‥ )さらに100mぐらい
      前進したみたいだ
 



 これは16日の動画。おそらく露軍のドローンが製鉄所内にいるウ兵を撮影したもの。ウ兵は露兵に気づいて応戦しているようで、露兵は製鉄所の境である線路の向こう側にいるようだ。
 
 そしてこのまま17日の降伏へと続くのである。
 
 ∧∧
( ‥)つまりあれだ
    露軍はついに
    製鉄所内部に
    入れなかったわけだ
 
  ( ‥) 南のボタ山には
    −/ 入っているし
       そこでボタ山に陣取る
       ウ軍と交戦もしている
       みたいなんだけどね
 
 もちろん、ボタ山も製鉄所の施設ではある。しかし心理的にここが”製鉄所内部でございます!”と主張できるかというと、それは難しい。実際、露軍もこれをもって製鉄所侵入でございますとは言わなかった。
 
 なるほど、厳密に正確にいうと、露軍は製鉄所への内部侵入を一応はしている。製鉄所中央に到達した露軍は、5日に突入したから。
 
 ∧∧
(‥ )でも即座に撃退されたろ
\−
 
  (‥ )だからあれだな
      玄関までは入った
      それだけなのだな 
 
 つまり、露軍はついに製鉄所内部には入れなかった。事実上そうであった。
 
 ∧∧
(‥ )でもウ軍参謀本部は
\−  戦闘任務終了を告げたよね
    なんで?
    まだ戦えるだろ
 
  (‥ )任務終了とは
      交戦の価値が下落した
      ということだべ
 
 確かにもし、1万の軍勢がいまだにマリウポリにいて製鉄所にとりついていたら、交戦の価値はある。もし2万の露軍を釘付けにしていたら玉砕しても価値があるだろう。
 
 しかし、マリウポリの露軍は5月に入った時点で大部分が北へ移動していった。マリウポリには2000程度しか残っていないという推論もある。

 実際、5月以降、露軍の攻撃は滞り、裏道沿いに製鉄所北へ回り込んだり、ボタ山に登って交戦する程度であった。火力にまさるはずの戦闘車両で前進するというやり方を露軍はしなかった。多分、戦闘車両があまり残っていないのでそれができなかったのではないか? 実際、5月以降の露軍動画には戦闘車両がほぼ登場しなくなってしまう。最近登場したのはウ軍から鹵獲したBTR-4であったくらいだし。
 
 ∧∧
(‥ )つまりマリウポリの戦場は
\−  もう製鉄所でもないし
    市街地でもなく
    北方の防衛線か
 
  (‥ )それを考えれば
      ウ軍参謀本部が
      任務終了を告げるのは
      理解しやすいだろう
 
 もちろん投降が正しい判断かはわからない。ロシアはマリウポリのウ兵はネオナチだと熱心にプロパガンダしたので、彼らを正規兵ではなくテロリストとして扱おうとしているともいうし、処刑を提案する議員もいる。
 
 とはいえ、人間の判断は黒字、赤字を見定めた結果であること。それを踏まえればウ軍の判断には合理性があったのだろう。例えば以上のような。あるいはもっと別の理由が。
 
 ∧∧
(‥ )でもあれだろ
\−  マリウポリの露兵の状況は
    苦しいままだよな
 
  (‥ )逆包囲はなくなったけど
      やってくるウ軍から
      逃げるか包囲されるか
      玉砕するまで戦うか
      降伏するか
      最終的な選択肢は
      変わってないからな
      


 主戦場が北の戦線なら西側の援助で突破力を獲得したウ軍はいずれ戦線を南へ押し下げてマリウポリにまでやってくる。

 
 もしその時まで製鉄所にウ軍がいたら、それは逆包囲になった。現状、その選択肢は失われたようだが、その先の選択肢はあいかわらず同じままだ。
 
 
 プーチン大統領は露軍に死守を命じるだろう。つまり、再び市街戦が起こるし、露軍は玉砕するか降伏するか、相変わらずそのどちらかの選択肢しか選べない。そしてこれがマリウポリと製鉄所市街戦の最終的な決着ということになる。
 
 ∧∧
(‥ )各国の軍事援助は
\−  ようやく届き始めたばかり
    ウ軍が突破力を持つのは
    これからだから...
 
 
  (‥ )第二次マリウポリ市街戦は
      夏頃かな?

  
 
 
 *以下追記:以上の動画情報をまとめると、マリウポリ東岸市街地、5月における露軍の前進は次のようになる。








2022年5月11日水曜日

なぜ段丘面を北で降りずに橋で降りる?

  
 激戦続くマリウポリ

 5月7日に出て来た動画は奇妙なものだった
 
 ∧∧
(‥ )...ロシア軍が製鉄所の
\−  ボタ山を登っとる
 
  (‥ )何をやってるんじゃ?
      この人たちは
 

 
 製鉄所内部のボタ山に登るだけではない。位置や歩く向きからすると海を渡ったように見えるし、実際、動画を見たら確かに彼らは海を渡ったのであった。
 
 ∧∧
(‥ )要するにあれだ
\−  露軍は東岸市街地の
    南西部を掌握して
    いないのだな
 
  (‥ )掌握してたら
     普通に陸路で
     ボタ山に入るし
     登るからな
 
 敵に掌握されている市街地の沖合を船で移動し、製鉄所に上陸。そのボタ山に登る。
 
 ∧∧
( ‥)目的はなんだよ?
 
  (‥ )さあ?
 
 もしかしたら高所を取って、砲撃の着弾をより正確にするとか、そういう目的があるのかもしれないけども、詳細は不明だ。
 
 ∧∧
(‥ )少し間違えば
\−  ウ軍に追い詰められそうな
    危険な行動だけどな
 
  (‥ )それでもやるってことは
      重要な目的があるの
      だろうよ
 
 とはいえ、よくわからない。
 
 5月に入って、これまでと違うことが起こるようになった。
 
 ひとつは河川敷での戦闘や戦火が出て来たこと。


 
 製鉄所北にいるウ軍への砲撃、意外なことに対岸での発砲。これは多分、機関砲なので、BTRかBMPだと思う。そして衛星写真から見る河川敷での火事。これは4月までになかったことだ。


 
 もうひとつは製鉄所の北東にある橋での戦闘。


 
 7日に製鉄所の避難民脱出、9日に露兵の侵入、10日に露軍による攻撃。いずれも全部、この橋で行われた。
 
 ∧∧
(‥ )ウ軍がこもる製鉄所は
\−  河川敷にあって
    市街地とは段丘が違う
    だから境界線は斜面であり
    町の東西を貫く大通りは
    河川敷から
    盛土された橋を通って
    東部市街地の段丘に
    入るのである
 
  (‥ )つまりこの橋より北で
      河川敷に降りて
      そこから製鉄所内部に
      侵入すれば
      入りやすいはず
 
 段丘の境界線の斜面を真っ向突破なんて正気ではない。実際、どうやら製鉄所正面にたどり着いた露軍は、その前進を諦めたように思える。
 
 ∧∧
(‥ )露軍がやっているのは
\−  北部で斜面を降りて
    そこから河川敷沿いに
    製鉄所へ侵入する
    そういう動作に見えるね
 
  (‥ )それを踏まえると
      5月10日時点における
      戦況図はこうなるかな
 

 
 5月に入って河川敷に出て来た戦火と戦闘の分布。ウ軍は市街地、河川敷でも活動しているように思われたし、多分、皆が考えているよりも広く活動しているように思われた。
 
 ∧∧
(‥ )んー...それでだよ
\−  露軍は線路沿いに
    製鉄所内部に
    侵入できるの?
 
  (‥ )気になるのは9日の動画で
      露兵が斜面を徒歩で
      降りてることだな
 
 本当ならもっと北で段丘面を降りて、それから河川敷を移動してくるべきではないのか?
 
 ∧∧
( ‥)北にいけない?
    実はまだ北の線路は
    ウ軍の制圧下?
 
  ( ‥)かもしれないな
    −/ 戦況図は
       再解釈するべきかも
 
 なぜ段丘面を北で降りて、戦車と歩兵で線路沿いに移動しない?
 
 なにかできない理由があるのだろう。

 そして思うに、露軍による製鉄所制圧はもう無理ではないか?
 
 
 


2022年5月6日金曜日

ここはアゾフスタルではなくてイリイチ

  
 激戦続くマリウポリ。守備隊のウ軍が立てこもるのは町の南部にあるアゾフスタル製鉄所。

 一部報道では露軍がついに製鉄所に侵入。そしてニュースで流れる製鉄所内にいる戦車の姿。
 


 
 ∧∧
(‥ )...この戦車がいる場所
\−  アゾフスタル製鉄では
    ないよね
 
  (‥ )北にある
      イリイチ製鉄所だな
 
 画像の元ネタはロシアのプロパガンダ映像。画面右上に”ドネツク人民共和国の旗”があるように、正確にはドネツクの親露独立過激派が投稿した動画が元なのだが、撮影場所は本丸のアゾフスタルではない。
 
 ここはイリイチ製鉄所。動画に写る建物や戦車の居場所を見れば、それは明らかであった。
 

 
 *画面左下に戦車が映り込んでいるが、これを拡大したのが冒頭の画像。
 
 ∧∧
(‥ )そしてここ
\−  イリイチ製鉄所は
    ウ軍がすでに放棄した
    もぬけの空の場所
    なのである
 
  (‥ )ドネツクの連中...
      というかロシア軍は
      イリイチ製鉄所での行動を
      撮影投稿して
      ここが本丸の
      アゾフスタルだと
      たばかっとる
 
 ロシアが投稿した”製鉄所内部の戦い”はそのほとんどが、ここ、イリイチ製鉄所のものであった。
 
 例えば戦車が広場のような通路を移動する場面。これもイリイチのものである。



 ∧∧
(‥ )この場面もニュースで
\−  使われていたね
 
  (‥ )工場内部で走る戦車
      絵柄がいいから
      知っていても
      使いたくなるよね
 
 ニュースでは使われていないが、動画に出てくる、戦車が映り込み、戦闘車両周辺で兵士が動き回っている画像。これもまたイリイチ製鉄所のもの。
 

  
 全部をまとめるとこうなる。


 
 ロシア(ドネツク)投稿の動画は、そのほとんど全部がすでに戦闘の終わったイリイチ製鉄所のもので、動画の最後に登場する、爆撃場面のみがアゾフスタル製鉄所のものであった。
 
 ∧∧
(‥ )露軍は5日
\−  アゾフスタル内部に侵入したけど
    使える画像がないわけだ
 
  (‥ )露軍が1日に30m
      前進できるのなら
      プレスが入るのは
      10日ぐらい先かなー
 
 投稿動画を見るに、報道が戦場に入るのは、前線から遮蔽物ありで200〜300m離れたところだ。つまり報道するにはそれだけ前線を進める必要があるわけで、そのためには1週間から10日かかる。
 
 もちろん、兵士が持つカメラで撮影された画像はより早く出回るだろうけども。
 
 ∧∧
(‥ )それもさることながら
\−  露軍は製鉄所内部に
    深く入り込めるのかい?
 
  (‥ )戦火分布から考えると
      製鉄所に突入した露軍は
      突出し過ぎに
      見えるのよね
 

 
 東岸の露軍はがむしゃらに前進して、ついに製鉄所正面、さらには製鉄所内部に入り込んだ。これ、彼らの地図を見ると南北全線に渡って同時に進軍するはずだったけども、その企画は失敗した。全線同時前進のはずが、南と北の前進がなく、中央だけが突出した形になっている。その幅は南北900m。
 
 ∧∧
(‥ )十分に思えて
\−  実は背後に回られうる
    状況だよね
    大丈夫なのかね?
 
  (‥ )まあ見てれば分かるさ
 
 露軍は背後を突かれて後退するかもしれないし、少なくとも進撃が鈍るかもしれない。反対にウ軍は以前にあったように弾丸を失ってずるずる後退を余儀なくされるかもしれないし、むしろ前進するかもしれない。

 
 どうなるかは見ていればわかる。ともあれ、マリウポリの露軍は、実は皆が思うよりもずっと苦しい状況であること。これは確かだった。
 
  





2022年5月3日火曜日

2日で50m 1日に25m 建物ひとつ

   
 4月29日の動画から。

 市街戦続く都市マリウポリ。アゾフスタル製鉄所の近く。建物を制圧しようと走るロシア兵。しかし一人が撃たれて、まるで座り込むように倒れ、そして動かない。
 
 仲間が助けようと動かぬ彼を引きづるも、彼もまた撃たれたらしく、倒れてうめくような動作をする。支援のためにBTRがかけつけ、機関砲を連射する。


 
 ∧∧
(‥ )場所はアゾフスタル製鉄所
\−  から北へ170m
    いったところだね
    製鉄所正面は22日
    ロシア軍が占拠したけども
 
  (‥ )たぶん
      奪い返されたのだろうな
 
 露兵が制圧しようとした建物は、製鉄所正面よりも前(東側)にある。奥の製鉄所を露軍が制圧しているままで、突出した建物をウ軍が確保したままというのは不思議であるし、仮にそうだとしても、北から乗り込もうとするのは奇妙であろう。
 
 ∧∧
( ‥)南の奥にある製鉄所から
    乗り込めば
    ウ軍の背後を
    襲えるからな
  
  (‥ )でもしない
      ということは
      製鉄所正面は
      一度失ったのだろうよ
 
 以上を加味して製鉄所付近の状況を描くとこうなると思われた。


 
 22日に製鉄所正面を露軍が確保。カディロフ隊が占拠をアピール(多分、この方面の顕著な前進はカディロフの成果ではなく、ロシア正規軍とドネツク部隊の成果だと思うのだけども...)。
 
 ∧∧
(‥ )しかし翌23日
\−  ウ軍の攻撃で
    製鉄所正面に置かれていた
    露軍の戦闘車両が損傷
 
  (‥ )まあ製鉄所にこもった
      ウ軍本陣から
      300mしか
      離れてないからな
      こんな場所に
      車両置き場を作るのは
      ちょっと無謀だったね
 
 さて、露兵が撃たれる29日の動画は、朝におそらくはBTRによる攻撃が始まり、そして夕方に制圧に向かって露兵突入。そして撃たれるという流れになっている。
 
 その翌日、30日の動画より抜粋。



 場所は同じ。影の向きからするとBMPが朝に砲撃。正午にBTRが、そしておそらくは雨になって..同じ日なら夕方であろうか、自走榴弾砲Gvozdika(グヴォズジーカ)が砲撃する。
 
 ∧∧
(‥ )29日のBTR?の砲撃より
\−  砲撃場所が前進してる
    前進は100m
    とはいえ29日の救助時に
    進んだ距離からすれば
    50m前進かな
 
  (‥ )砲撃場所からすると
      29日に露兵が撃たれた
      建物を制圧した
      らしいのよね
 
 つまり2日間に露軍は50m前進、1日あたり25m
 
 ∧∧
(‥ )今まで見積もってきた
\−  露軍の前進速度
    10日あたり
    300mぐらいに
    極めて近い数字だね
 
  (‥ )これがマリウポリの
      市街戦における
      平常運転ってことだろ
 
 製鉄所正面から製鉄所内部まで300mぐらいあるから、10日もあれば、つまり5月10日ぐらいには製鉄所内部に突入できることになる。
 
 ∧∧
( ‥)順調だったらの話な
    というか
    そんな一箇所の突入で
    大丈夫か?
 
  (‥ )危険だろうね
      背後を打たれる
      可能性があるからな
 
 1日30mの前進とは、全線に渡って30mの前進が起こる、というわけではない。少なくとも無条件にそうではない。30mの前進は30mの円が進むようなものであった。

 だから敵地の全面を30mの円で塗りつぶすとなれば、当然、長い時間がかかる。
 
 それなら全面制圧をやめて、一箇所でもいいから突撃する。そういう手もある。実際、今の露軍はそうしているらしい。
 
 ∧∧
(‥ )でもそれは電撃戦だよね
\−  ロシア伝統の
    縦深戦術ではないな
 
  (‥ )そもそもマリウポリの
      露軍って1万人程度しか
      いないから
      縦深戦術なんて無理だべ
 
 全線同時にがむしゃらに、損害を無視して前進せよ。第一次が前進したら第二次が続け!

 ...なんて無理な話だろう。
 
 しかし、実のところ動画に写った地図からすると、マリウポリ東岸市街地の露軍はそれを計画したようである。だが現実は違った。製鉄所正面には到達したが、北部と南部の戦線がそれについてきていない。戦火の分布や動画の投稿場所からすると南部では背後にウ軍が回り込みそうで、露軍がそれを阻止しようとしているようにも見えた。
 
 ∧∧
(‥ )北部だとそこそこ
\−  成果を上げているように
    見えるんだけどね
    南部が厳しいねえ
 
  (‥ )おまけに攻囲軍の一部が
      北西に向かったとか
      言われるからな
      人数まで少なくなった
 
 止むを得ない処置には違いない。1万人程度で要塞都市を攻略するのが、そもそも無茶であった。

 なるほど、ただの一都市に全軍20万から1万を割くのは、むしろ多いくらいだ。しかし、それでも十分にはほど遠い。とはいえ、これ以上の戦力をマリウポリに追加投入するのも、それはそれで無謀。
 
 ∧∧
(‥ )北をあきらめて
\−  東に5万の軍勢を
    再配置したけど
    露軍の前進は微弱だしね
    現状でさえ全線が膠着に近い
    マリウポリに追加するなど
    ぜいたくすぎる選択肢
 
  (‥ )それにウ軍がじりじり
      マリウポリに迫ってるからな
 
 まあ迫っているというのは言い過ぎかもしれない。マリウポリの北西にいるウ軍は何週間もほとんど前進できずにいる...らしい。とはいえ、マリウピリから60km北でウ軍戦車が撃破された、つまりはそこまで来ているという話もある。ほとんど未確認に近い話なのであるが。
 
 ∧∧
( ‥)だからむしろ
    マリウポリ攻囲軍の一部を
    北西のウ軍へ振り向けたいし
    事実そうした
 
  (‥ )でもそうするとよ
      マリウポリの陥落が
      さらに遠のくのよな
 
 1日30m前進なら、全線同時に前進できたとしても、3kmの長さがあるアゾフスタル製鉄所を攻略するのに100日が必要であった。現状、ただでさえそんな状況なのに、攻囲軍の一部を割いて、北の戦線に回さねばならぬとは。
 
 ∧∧
(‥ )とはいえ
\−  回さないと
    欧米の援助で
    突破力を持った
    ウ軍に進軍を許し
    逆包囲されかねず
 
  (‥ )さりとて回せば
      回したで
      攻略が遅れて
      やはり逆包囲されかねない
 
 おまけに身内にあまり働かない部隊がいる。彼らときたら、多分、いざとなったら友軍を見捨てて逃げるであろう。この疑惑、おそらくマリウポリの露軍の多くが抱いているはずだ。実際、カディロフ部隊は働いてくれない、という愚痴が出ているぐらいだから。
 
 ∧∧
(‥ )やっぱマリウポリの
\−  露軍って絶望的だよな
 
  (‥ )割と絶望的なんだよな
      あの人たち
 
 
 ちなみに、29日に撃たれて倒れた露兵。リュックの色からすると民生品を使っていた。
 
 ∧∧
(‥ )あいかわらず
\−  補給もだめか
 
  (‥ )割と絶望的なんよな
 
 
  
 

2022年4月24日日曜日

100メートル前進に命をかけて、その全てを一瞬で失う

 
 去る4月22日、マリウポリで撮影、投稿された動画は、ロシア軍のBTRが被弾損傷、動けなくなり、それを露軍は戦車T-72で回収。その後、T-72がBTRに代わって前進を再開するが、これもまた被弾。乗員が脱出するという内容。

 これ自体は先に取り上げたのだけども
 
 ∧∧
(‥ )多分だけど
\−  その前の動画があったよ
    場所は同じで
    影の様子からすると
    時刻は朝
    おそらく
    T-72が被弾損傷するより
    前の時間だね
 
  (‥ )では時系列がつながって
      いると仮定して
      見て行こうか
 

 
 この動画はマリウポリ市の東岸にある通りを北から南へ走り抜けていくもの。googleを見るに通りの名前はMoskovska通り。
 
 通りの北にある学校が、この動画では左(東)に見える。
 
 通りの右にある建物はFeniks Tov。多分、画材関係の店。
 
 この二つの間を抜けて、撮影者が走っていく。影は右(西)へ比較的長く伸びており、撮影時間が朝であることを示していた。


 撮影者が向かうそこでは、露軍のBTRが集合住宅の角を遮蔽物として、左前方に向けて機関砲を連射している。つまりそこにウ軍がいるのだろう。
 
 そしてBTRから降車した露兵が集合住宅へ走り、梯子をかけて破壊された建物に入る。その場に後から走ってきた撮影者が合流する。動画の内容はそういうもの。
 
 
 ∧∧
(‥ )手前にある画材屋さん
\−   Feniksの壁に
     弾痕があること
     道に機関砲の薬莢が
     落ちていることからすると
     すでにこの手前で
     戦闘や掃討作戦が
     行われていたわけだね
 
  (‥ )BTRは装甲されて
      戦闘可能な兵員輸送車
      乗ってきた露兵が
      次々に降車して
      集合住宅に入って
      仮拠点を作るわけだ
 
 しかしおそらくはこの後、BTRは集合住宅の角を抜け、次の建物に取り付こうと数十メートル前進した地点で被弾損傷。タイヤを失い、行動不能に。
 
 このため、T72がやってきてロープでBTRをつないで牽引、回収。
 
 その後、T72がBTRに代わって前進するも、これもまた被弾、損傷、行動不能となる。
 
 その様子がこれ(これ自体はすでに上げた)。



  この動画では、撮影者は前進するT-72を側面、東側から撮影しており、戦車に搭載されたカメラによる画像も動画には利用されている。戦車のカメラは当然、北から南を見ている。
 
 撮影時刻はよくわからない。空が曇って明白な影がないので。ただ、建物の西側の壁が顕著に明るいので、時刻は正午をすぎているだろう。
 
 でっ、この後の動画もある。

 それは被弾、損傷した戦車を放棄して乗員が脱出。走って、建物に逃げ込むというもの。



 
 撮影している方向は南から北。脱出した乗員はMoskovska通りを北へ走り抜けて、右(東)に折れてそこにある学校に駆け込む。
 
 そして以上の全ての場所を地図にまとめて置くとこうなる。






 この地図は北から見ており、白いスケールバーは100メートル。最初のBTRと後のT-72は、火線の方向が違う。BTRは最初、西南を撃っており、T-72は南南東であった。
 
 ∧∧
(‥ )つまりウ軍を南へ
\−  数十mほど押し込むことに
    成功したわけだ
 
  (‥ )だけどT-72を損傷したので
      100メートル後退した
      わけだよ
 
 ∧∧
(‥ )...これってウ軍を
\−  数十メートル後退させるのに
    何時間も...多分、半日ぐらい
    使ってるだろ
    だけどBTRも戦車も撃破されて
    一気に100メートルを
    失ったわけだ

 
  (‥ )ロシア軍の前進速度が
      2週間で600mぐらいに
      見えることと整合的だよね
 
 今回は戦車が撃破されて100メートル後退したが、しかし露軍はなお優勢であった。

 1日50メートル前進して次の1日に100メートルを失う。その逆で1日に100メートル前進して次の1日に50メートル後退するような状況。そう考えると1日の移動速度は50メートルとなり、2週間で700メートルの移動となり、つまりは実際のロシア軍の移動速度に近くなる。
 
 ∧∧
(‥ )これを何十日も
\−  繰り返してるのか...
   助かった露戦車乗員は
   興奮で目がいってるようにも
   見えるし
   嬉しいようにも
   がっかりしているようにも
   見えるよね
 
  (‥ )助かったのは嬉しいけど
      1日分の仕事と
      自分の戦車がぱー
      だからな
      命をかけた仕事の結果が
      これかと思うと
      複雑だよね
 
 命をかけて何時間もかけて、100メートル前進して。しかし一瞬にそれを失うことがある。これを何度も繰り返してじょじょに前進するが、仲間も装備も次々に失われていく。これが市街戦。
      
      
   
 
 

2022年4月22日金曜日

2週間で600mぐらい前進してるかな

  
 4月22日に出てきた動画より抜粋。
 


 ∧∧
(‥ )まずロシアのBTR
\−  兵員装甲輸送車が
    被弾してタイヤを破損
    行動不能に
    T-72がそれを回収
    そしてT-72が同じ場所から
    攻撃に向かうが
    これもまた被弾
 
  (‥ )派手に爆発した割には
      T-72は後退
      乗員は無事だった
      みたいだな
      *車両自体は
      放棄されたらしい
 
 場所はマリウポリ(Mariupol)の東岸市街地であった。



 
 ∧∧
(‥ )道の片面が直角配置された
\−  集合住宅だね
    こういう配置は
    マリウポリでは
    ほとんど例がないよね
 
  (‥ )さらに道の対面が
      開けていて
      高い建物がないんだ
      こんな場所は
      もうここしかない
 
 他に、

 動画の一部に特徴的な高い建物が写っていること。これは近所にあるKaskadという建材屋の隣に立っている、レンガ製らしき建物であった。
 
 道の開けた面に壁があること。

 その壁が白いブロックで作られており、これと似たものが近所にあるFeniks Tovから見えること。そもそもこの壁、Feniks Tov(額縁や色相展示があることからすると、美術系や内装系の会社か?)を囲むものらしい。
 
 壁に組み合わさった小屋状の建築物。
 
 集合住宅の間に四角の低い構造物があること。
 
 さらに道の向こうに比較的高い、長方形の建物が見えていること(通りの突き当たりにそういうものがある)。
 
 以上の証拠と一致点から考えて、間違いない。
 
 そしてこの場所。ウクライナ軍が立てこもる製鉄所まで1.3km。ロシア軍の地図では3月末より制圧済みとされてきた場所の真っ只中であった。
 
 ∧∧
(‥ )またもや
\−  制圧したはずの地域で
    攻撃を受けているのか
  
  (‥ )制圧すれば終わり
      市街戦はそういうもの
      ではないってことだ
 
 
 市街戦は、制圧すれば終わり、ではなかった。本拠地ある限り、ウクライナ軍はそこから出てきて、あちこちで戦闘をしかけてくる。こうしてロシア軍はソヴィエトロシアが設計した要塞都市で次々に斃れていく。
 
 3月末の動画に映ったロシア軍の地図は、東岸をほぼ制圧したことを示していた。
 
 しかし、その後も激しい戦闘は続いた。
 
 9日までの状況はこうであったし



 
 22日までの状況はこうであった。




 
 ∧∧
(‥ )一応、ロシア軍は
\−   前進はしてるんだよね
 
  (‥ )中央からやや北に
      よっていた戦火が
      南西に下がったように
      見えるよね
      ざっくりいうと...
      2週間で600mぐらい
      前進してるかな
 
 ネット上では動画の撮影場所を同定している人が幾人もいて、そういう人の情報を見ると、ロシア軍はどうやら市街地の北部では安全を確保したらしい(4月の5日と8日に、ロシア兵が東から西へ走り抜けていたあたり)。

 ∧∧
(‥ )とはいえ製鉄所まで
\−  先はなげーぞ
    まだ距離が
    1.3kmぐらいあるから
    ウクライナ軍の本陣に
    たどり着くまで
    あと4週間ぐらいかかる
    計算だべ
 
  (‥ )まあウ軍が弾薬尽きて
      突然抗戦不能になる
      可能性もあるけどな
 
 実際それで、ウ軍はマリウポリの西岸と北の陣地を放棄せざるをえなかった。それと同じことが製鉄所で起きる可能性は当然ある。
 
 ∧∧
( ‥)とはいえロシア軍
    この状況は地獄だろ
 
  (‥ )だからよ
      降伏しろだの
      すでに制圧しただの
      不規則発言や
      ホラ話もしたくなるよな
 
 他にも、対独戦勝記念日の5月9日には市内で勝利のパレードをするとか言っている。気持ちは分かる。しかし、それはもう、ホラ話を通り越しての失笑ものだろう。
 
 
 

2022年4月19日火曜日

制圧済みとは言っても、そのど真ん中で襲われる

 
 激戦続くマリウポリ。4月19日。ウクライナ軍が坂を下ってきたロシア軍車両を襲う。

 

 
 さて、注目すべきはこの襲撃場所だ。ここはマリウポリの西岸、市街中心部から南の海岸へ降りるMetalurhiv通り。海岸にほど近いカフェAraratの横。
 
 実はこの場所...
 
 ∧∧
(‥ )16日のカディロフ部隊の
\−  地図で赤塗りされて
    ロシア軍制圧とされていた
    地域のど真ん中だよね
 
  (‥ )東岸と状況が似てるな
      赤塗りした
      制圧済み地域に
      ウ軍がやってきて
      襲撃をかける
      このように
      制圧済み地域は
      制圧や安全を
      必ずしも意味しない
 
 ロシア軍は物資が足りないせいか、車両は軍用ではなく民間のワゴンなどであった。そこにZマークを書いたのみ。それがのこのこ上から降りてくる。
 
 このことからロシア軍はこの通りを、一応、安全だと思っていることがわかる。
 
 ∧∧
(‥ )でもよ動画を見ると
\−  ウ軍はウ軍で
    こちらもぞろぞろ
    ほとんど無警戒に
    やってきて
    通りの斜め前から
    車両を襲撃しとるがな
    ウ軍もこのあたりは
    かなり安全と
    みなしているよね
 
  (‥ )つまりさこの通りは
      両軍とも
      いつもはいないって
      ことなんだよ
 
 多分、何十人かで守る拠点がお互いあちこちにある。そこから移動したり出張ったり、退いたり、進んだりしている。そして人数に限りがある以上、中間地帯は両軍ともお互いにほとんどぶつからない。そんな感じに思われた。
 
 以上を踏まえると、動画に写り込んだ地図からわかる、ロシア軍の制圧領域は、制圧を必ずしも意味しない。
  
 そもそもこのMetalurhiv通り。そのちょっと北には集合住宅で周囲を守られた区画があって、そこをロシア軍が車両置き場に使っていた。つまりこの通りの上。市街を東西に貫く大通りの近くはほぼロシア軍の支配下にあることがわかる(ただし、11日と13日にウ軍ドローンの攻撃を受けていたけども)。
 
 そしてその安全地域から少し下った南側でロシア軍は今回の襲撃を受けた。
 
 ということは...
 
 ∧∧
(‥ )うむ
\−  この通りの北半分は
    ロシア軍優勢
    そして南半分は
    特に南の西側は
    ウクライナ優勢って
    ことだね
 
  (‥ )これを踏まえて
      19日時点での
      両軍の陣地を描くと
      こんな感じかな




 カディロフの地図は参考にすべきだが、割り引いて考える必要がある。
 
 ウクライナ守備隊は北にある工場を放棄。そこから退いて合流した(製鉄所に合流したらしい)。
 
 西岸のウ軍は南北二つの通りに挟まれた、長方形の領域に押し込まれているように見える(地図の蛍光緑が濃い場所)。ただし、この領域だけでも東西幅が3kmはある。西岸ウ軍の陣地はもっと広いかもしれないし、もう少し狭いかもしれない。
 
 12日に出てきた衛星写真と、そこから分かる戦火の分布からすると、ロシア軍は西岸西方にある侵食谷に取り付いて攻撃をしかけているように見える。今回は省いているが、15日の衛星写真と戦火からすると、その傾向がより顕著だ。
 
 また、西岸におけるロシア軍は東の海岸沿いから台地の下を取り、西方からの進出と合わせて、台地を包囲、孤立させようとしているようだ。
 
 ∧∧
(‥ )一方で東岸は
\−  まったく進捗がないな
    出てくる動画は
    いつも同じ場所を
    T72やBTRで
    砲撃しているだけだ
 
  (‥ )ウ軍が隠れそうな
      集合住宅を
      ひたすら破壊している
      だけのように見えるけど
      戦車の砲撃って
      こういうことに
      使うものなのかね?
 
 相手陣地の解体に戦車の砲撃を使う。いや、それは当然ありうる話に思えるけども、効率的なのか現実的なのか判断がつかなかった。
 
 これは本来なら爆撃で行うことでは?
 
 もしかしたら爆撃がうまくいかなくなってきたのであろうか?
 
 東岸では、この三週間、ずーっと同じことをしている。地図では制圧済みの赤塗り場所で、三週間ずっと市街戦を行い、兵士が駆け抜け、戦車が集合住宅やスーパーを砲撃して更地にしようと、ただただ砲撃を加え続けている。

 もっとも、集合住宅がこんなことで更地になるわけがない。壊れた建物と遮蔽物だらけの街並みが広がるだけであった。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えるとさ
\−  西岸の制圧済み地域も
    制圧してるか
    わからないよね
 
  (‥ )西岸で
      はっきりしているのは
      東西の大通りより
      北側はロシア
      露軍は台地のウ軍を
      包囲しようとしていて
      マリウポリの駅より東
      港より西は
      おおむねロシア
      そのぐらいしか
      言えないのよね
 
 まあ要するにマリウポリ陥落なんて夢の話ってことであった。
 
 ちなみに14日の動画(実際には9日ごろ撮影の可能性がある)では、港近辺の住宅街に、ロシア軍が激しい攻撃を加えている。



 これを見ると、大きな家屋や建物、隠れられそうな林などに、かたっぱしから攻撃を加えているように思われた。
 
 ∧∧
(‥ )もうめちゃくちゃだな
\−
 
  (‥ )米軍もベトコン相手に
      枯葉剤をまいて
      ナパーム投下して
      隠れ場所の森を
      消し去ろうとしたからな
      考えることが同じじゃね?
 
 しかし、正直な話、こんなやり方がうまくいくとは思えない。
 
 ∧∧
( ‥)撃ち込んだ場所に
    敵兵がいる可能性は
    非常に低いし
    攻撃したって
    視界の開けた
    更地になるわけじゃ
    ないからね
 
  (‥ )なんかよ
      ロシア軍ジリ貧だよな
 
 
 
 *ちなみに、18日の空撮で町の東西をつなげる橋が落ちている様子が確認できた。ウクライナが立てこもっている東側で破壊されているから、多分、ウ軍が破壊したのではないだろうか。
 
 ∧∧
( ‥)つまり町の東西の
    ロシア軍は
    仮にマリウポリを
    制圧しても
    大きく迂回しないと
    合流できないし
    対岸から
    補給も受けられないわけだ
 
  (‥ )思うけどさ
      東岸にいるカディロフ部隊
      いざとなると
      西岸のロシア軍を
      見捨てて国境まで
      退くよね
 
  
 マリウポリ包囲という局面では優勢なロシア軍だが、実のところ色々と薄氷なのである。
 
 

    
  

2022年4月14日木曜日

都市マリウポリにおける今のウ軍陣地は硫黄島ぐらい

   
 戦火というものは攻撃であって、攻撃するということは、そこが相手の領域だということ。
 
 ∧∧
(‥ )だからマリウポリでの
\−  戦火の分布を見ると
    ウクライナ軍の
    陣地がわかる
 
  (‥ )でっ11日の戦火から
      ウ軍の領域を見ると
      硫黄島と同じぐらいの
      広さなのよね
 


 
 ネットのみんなは縮尺を考えず、包囲されて小さくなったウ軍領域を見て、これはもう陥落寸前、寸土にウクライナが追い詰められている。そう考える。しかし、実際のウ軍陣地はまだキロメートル単位で測れる大きさを持っていた。

 そしてその広さは硫黄島ぐらい。

 太平洋戦争末期における激戦地、硫黄島。守備する日本軍2万に対して、11万の大軍で挑んだアメリカ軍。1ヶ月後、アメリカ軍は攻略に成功するが、戦死7000。負傷者2万を出した。そして日本軍2万は事実上の玉砕、文字通りの全滅。しかし、これによって1ヶ月を稼いだ。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えれば
\−  マリウポリのウ軍は
    まだまだ戦えるよね
 
  (‥ )ウ軍の場合
      すでに1ヶ月戦闘して
      弾薬が残り少なく
      なっているだろうから
      一概に比較は
      できないけどな
      まだ戦えるということは
      言えそうだよね
 
 もちろん一概には言えない。

 ウ軍はすでに弾薬が尽きかかっているかもしれない。確かに銃撃戦こそしているが、少なくとも戦闘車両のほとんどは喪失したようだ。ジャベリンも尽きたらしい。それに高さ170メートルある硫黄島に対してマリウポリは高さ70メートル。しかもすでにロシア軍は同じ高さに陣取っている。
 
 その一方でマリウポリには障壁となる集合住宅があり、戦車の移動をさまたげる林があり、谷があった。
 
 ∧∧
(‥ )とはいえ
\−  まだ十分以上に
    戦えそうじゃね?
 
 
  (‥ )クレムリンは5月9日の
      対独戦勝記念に合わせて
      マリウポリ市内で
      パレードする気だという
      報道があるけど
      無茶だよなあ
 
 さて、どんな情報源からなのか、マリウポリを包囲するロシア軍は大隊戦術群(BTG)が6個。これに加えること他のロシア軍部隊(やはりBTG?)。そしてカディロフ隊やドネツク部隊が加わっているとも言う。
 
 その数は、戦術群が10両ぐらいの戦車を持つことを踏まえると、戦車が60両とかそれ以上であろうか(部隊編成はどうも理解しかねるけども)。当然、歩兵戦闘車など他の戦闘車両はもっと多いのだろう。人員は1万ぐらい+逐次投入...つまりは1〜2万ぐらい? という具合であろうか。
 
 いかにも大軍に思われるが...
 
 ∧∧
( ‥)でもよ
    敵軍が立てこもる
    40万都市に
    その程度の数って
    少なくね?
 
  (‥ )とはいえさ
      ウクナイナを
      三方向から包囲する
      総延長1800kmの
      戦線に用意した全軍が
      20万だでよ
      そのうちの1万以上を
      ひとつの都市に
      投入するのは
      むしろ贅沢
 
 しかし、絶対的にはまるで足りない戦力に違いない。硫黄島に立てこもる日本軍に5倍の戦力で挑んだ米軍でも多数の死傷者を出した。

 それを踏まえれば、マリウポリ包囲に投入されたロシア軍。戦車が60とか80両、それに加えて多数の戦闘車両。さらに1万とか2万の兵隊。一見、十分すぎるほどに見えて、以上を踏まえればこのロシア軍の数、実はまるで足りなかったように思える。

 マリウポリを包囲、陥落せよ。この計画、そもそもが無謀だったのでは?
 
 ∧∧
(‥ )でもあれだな
\−  人数に限りがあるなら
    これ以上のことは
    ロシア軍には
    無理だったろうしね
    現実には理想論を
    言ってられんのです
    今だって各方面で
    ウ軍の反攻を
    許しているわけだし
    現状の配置でもぎりぎりだ
 
  (‥ )そこで強制徴兵ですよ
 
 3月の終わりまで、マリウポリの動画に登場するロシア兵は40ぐらいの兵隊だった。つまり勤続20年とか、そういう経験を積んだ兵士たちである。そんな彼らが負傷して運び出される姿や、遺体になって横たわり、周囲で仲間が厳しい顔をして体を休める。そういう動画や画像が出てくるようになった。
 
 兵員輸送車BTRが機関砲を撃ちまくる援護の下、わずか一件の家から負傷兵が3名、救出される。あるいは20名あまりの仲間たちの間で、回収された3名の遺体が横たわる。
 
 こういう動画や画像は多くないので、あまり注目されていない。しかし、40歳になったプロの兵士達の損害が大きいこと、これは疑いない。
 
 ∧∧
(‥ )そして4月の今になって
\−  出てきたのが
    20歳と思える
    若い兵士たちの姿ですよ
    撤収した北から
    配置換えされた兵隊なのか
    ドネツクとかで
    強制徴収された若者なのか
 
  (‥ )死んだ穴埋めに
      召集されて
      そしてみんな
      死んでいくんだよ
 
 
 これが市街戦。5月9日の対独戦勝記念日にパレードなど、夢のまた夢だろう。
 


 
 *最近のウ軍の攻撃には、7日に装甲車BTR-4で露軍のT72に損傷を与えた事例がある。少なくとも7日までは戦闘車両が1台はあった。しかし他にそういう画像はない。
 
 9日に屋根の上からロシア軍のBTR-2を破壊した時に使われたのは、70年台のロシア製ロケットランチャー(PRO-A)であったし、他の攻撃も迫撃砲やドローンを使った攻撃であった。
 
 ウクライナ軍は銃撃戦こそ行なっているものの、物資の欠乏は明らかであった。

 
 

2022年4月12日火曜日

マリウポリの台地を見よ おそらく、まだ踏みとどまっている

  
 都市マリウポリ(Mariupol)は町のど真ん中に蛇行して流れる川がある。4月10日。その河口にロシアのメディアが入った。
 
 ∧∧
( ‥)とうとう台地から
    河口まで降りたか
    ロシア軍
    よく進撃できたな
 
  ( ‥)西の大通りから
    −/ そのまま市街地中心へ
       突入して
       市役所を制覇
       そこからさらに東へ進み
       ついに台地を降りた
       なかなかにやりよる
 
 失態続きで馬鹿にされまくりではあるが、さすがユーラシア最強の陸軍国。むりやりでも、なんでも、ロシア軍はここまでやりとげた。
 
 町を守備するウクライナ軍はどうやら三つに分断されているらしい。北部の工場。東岸の製鉄所。そして西岸の台地の一部、それぞれに部隊がたてこもっている。

 北部は状況がよく分からない。それらしい動画があったが、場所の同定ができなかった。

 東岸は状況がほとんど進んでいない。ロシア軍が東岸市街地の北で西へと動く行動を示したが、それが橋頭堡を確保するようなものであったのか、ウクライナ軍に迫る結果をもたらしたのか? それはまだ分からない。
 
 ∧∧
(‥ )進捗あったのは西岸で
\−  衛星画像で見る
    戦火分布からすると
    ウクライナ軍は
    三方を包囲され
    台地から
    追い落とされそうな
    感じだけど
    実際どうかね?
 
  (‥ )11日にロシアの
      メディアが
      ドローンで空撮してな
 
 
 その画像を地図と照らし合わせるとこうなる。
 

 
 ∧∧
(‥ )ふむ 河口から
\−  850mほど西へいった
    海岸での空撮ですか
    見えているのは
    西側で
    マリウポリの駅方向
    その向こうに
    戦火があるね
    これは衛星画像には
    なかったものだね
 
  (‥ )戦火がある
      つまりそこには
      ウクライナ軍が
      いるんだよ
 
 当たり前だが、ロシア軍は危険な場所にメディアを入れない。メディアが入ったとは、そこは安全な場所。つまりマリウポリの河口から1kmぐらいまではロシア軍が制圧した。このことがわかる。

 しかし言い換えれば、そこから西側、マリウポリの駅とその大通りから西。おそらくは台地も含めて、その領域は今もウクライナ軍の制御下にある。そう解釈できる。実際、戦火は台地上にある病院からも上がっている。
 
 以上を踏まえて西岸の状況を地図にすると、こう。



 
 さて、こういう地図では地形の高低が分かりにくい。
 
 地形から状況を理解すると、まず、マリウポリの町は台地にある。西岸市街地は周辺を蛇行する川とその河川敷に囲まれている。さらに、台地には侵食で出来た谷がいくつもある。
 
 ∧∧
( ‥)僕らは軍人ではないけど
    こういう地形の厳しさは
    理解できるよね
 
  (‥ )ここは面倒くさい地形だよ
      動き回るのは大変だ
 
 地形は人間の行動を絶対的に規制する。これは訓練された軍人だって同じことだ。
 
 googleを見るとマリウポリの台地を一望できるすばらしい画像があった。そこから東を見た画像はこれ。



 
 オレンジに色塗りしたのが、ロシア軍が制圧した領域(Russian Territory)。

 見れば理解できようが、台地は奥(東)へ進むにつれて低くなり、ややなだらかに河口へ降りる(*実際にはそれでもかなりきつい傾斜や段丘がある)。

 町の中心と市役所は画面の左にある。つまり、そこを取ったロシア軍はそのまま東へ進み、台地を降りたわけだ。
 
 そして、戦火があった場所からすると、11日におけるロシア軍の進出は以上までであろうこともわかる。台地を降りたロシア軍は次にここから西へ進んでくるのだろう。
 
 一方、11日、ウクライナ軍はロシア軍が戦闘車両を隠していた街区を攻撃して、幾つかの車両を破壊した。画像に添付した場所がそこ。
 
 ここは確実にロシア軍の領域であることがわかる。そして反対に、ウクライナ軍の攻撃がそこまで届くことも理解できよう。
 
 
 以上に続き、西を向いた画像はこれ。



 手前にある白い建物は病院で、これは11日の動画で燃えていたものだ。奥にあるのはSportkompleks(多分 sport complexの意味で総合スポーツ施設)というもので、このあたりが台地の最高点であるように見える。
 
 ∧∧
(‥ )背後は壁になる集合住宅
\−  周囲は侵食された谷
    さらに木々が生えた公園に
    囲まれている
    人の動きも車両の動きも
    制限されるから
    防御するには
    なかなかによさげな
    場所ですなあ
 
  (‥ )ここにウ軍がいるか
      どうかは知らんけどな
      防衛するに
      良さげな地形であることは
      理解できるよね
 
 画像のずっと奥には、わかりにくいが台地の西を縁取る大きな侵食谷がある。戦火の分布からすると、現在、ロシア軍はこの谷を抜けようとしているらしい。そしてウクライナ軍の反撃にあっている。
 
 *この谷のもう一つ向こうにも侵食谷がある。そこで4月7日。ウ軍のBTR-4が、その機関砲でロ軍のT-72を損傷させた。画像に添付したのはそれ。この地域では、10日にウ軍の迫撃砲によってロ軍の車両が破壊されている。
 
 ∧∧
(‥ )要するに
\−  ウ軍は健闘し
    有利な場所に
    今も陣取っているわけだ
 
  (‥ )もちろん
      これらは証拠に基づいた
      解釈だ
      本当に正しいのか
      それは今後の証拠で
      検証しなければならん
 
 とはいえ、次のように言える。マリウポリに立てこもるウクライナ軍は、西岸に限っても東西4.5km、南北1.5kmほどの領域を占めているように思われる。

 もちろん、ロシア軍の領域がもっと広い可能性もある。例えば数百メートル広いとか。

 しかし、それでもウ軍は、4km x 1kmぐらいの領域を支配していることになる。

 だからロシア軍の言う、マリウポリは陥落寸前、マリウポリの9割はロシア軍が支配した! という宣伝文句はふかしすぎであった。
 
 ∧∧
( ‥)まあプロパガンダだからな
 
  (‥ )本当のところ
      ロシア軍の損失は
      甚大らしいよ
 
 
 あまりの損害に耐えかねて、毒ガスを使う誘惑にロシア軍が負ける。これはありうる話であった。12日、マリウポリで毒ガスが使用された。多分、サリンではないか? という報道が流れている。
 

 
 

4月5日と8日 駆け抜けるロシア兵

  
 激戦続くマリウポリ(Mariupol)から投稿される画像は、東岸のものが多い。

 理由のひとつはやってますアピールが激しいカディロフ部隊が東岸にいるからだ。しかし、ロシア正規軍のものと思われる投稿画像も多い。例えばこれ、4月5日付けの動画。



 動画をつなげて、写り込んだ建物とgoogleの地図とを対応させたもの。
 
 ∧∧
(‥ )まあ場所の同定は
\−  MapperKrummという人の
    Tweetを参考にしたけどね
 
  (‥ )この人、投稿された動画の
      場所を特定するのが
      非常に優れているのだよな
 
 ともあれ、MapperKrummの特定を参考に画像を見ると、確かにここであった。マリウポリの東岸の市街地。そこにあるVolodymyrska通りをロシア軍が駆け抜けていく。
 
 実は似た動画がもうひとつあって、これは4月8日付けのもの。


 
 こちらは自力でわかった。路面電車のレールが写っていたし、路面電車の通りは限定的だ。さらにここにあったレストランが画像をアップしていたので。

 場所はTravnya Ave という通りで、そこをロシア軍が駆け抜けていく。

 さて、実はこの二つ、隣の街区で、しかもロシア軍の動きは同一直線に乗るのであった。


 
 動きが同一直線に乗る。もしかしたらロシア軍は毎日出勤しているのかもしれない(考えにくい話だが)。
 
 あるいは、日付は違うが、ふたつの動画は同じ作戦行動を記録したものなのかもしれない。*ただし、兵士の影の向きからすると、少なくとも時刻が違うように思われたし、同じ兵士はどうも登場していないようだ。
 
 ともあれ
 
 ∧∧
(‥ )東岸市街地の北側を
\−  東から西へ
    350mぐらい
    移動してるね
 
  (‥ )言い換えるとここは
      ロシア軍にとって
      安全なのだ
      仲間が駆け抜ける脇で
      警戒に立っている兵士も
      ほとんど
      突っ立ってるからね
 
 ただし、画像にも添付したように、ウクライナ軍はこうしたロシア軍の領域(Russian Territory)にもかなり深く入り込んで攻撃してくる。4月9日には屋根に登ったウクライナ兵が、ロシアの制圧領域内で、ロシア軍のBMP-2を対戦車兵器で破壊している。
 
 実際、ここしばらく東岸で行われた戦闘と、その場所を地図に示すと以下のようになった。


 
 ロシア兵が駆け抜けていった場所は、4月6日にT-72で砲撃を加えて街区ごと破壊していた場所のすぐ近く。わずか200メートル程度しか離れていないのだった。
 
 ∧∧
(‥ )歩兵が駆け抜けられる
\−  比較的安全な場所から
    200m離れたら
    戦車を使った戦場か
    安全と危険
    敵と味方がわずか200m
 
  (‥ )これが市街戦なのだな
 
 
 そして以上のことからわかる。やはり、市街戦というのは明瞭な前線を持たない。塹壕全てに兵士を配置して、はっきりした前線を持ったWW1とはまるで違う。あちこちに拠点のようなものがあって、そこから出張って攻撃したり、牽制したり、後退したりするものらしい。
 
 なお、以上の動きを示したロシア軍がその後、どういう成果を上げたのかはわからない。彼らの行き先には医療センターがあるので、そこへ向かったのかもしれないし、あるいはそこを占拠するのが目的なのかもしれない。いずれにせよ、続報はない。
 
 
 以下追記:以上の動画では民生品を持ったロシア兵が3名写っている。



 
 ∧∧
(‥ )補給がうまくいってないのな
\−  どこからかっぱらって
    きたのやら...
 
  (‥ )使えるものは
      なんでも使う
      合理的精神では
      あるけどねー
 
 
 
 
 
  

2022年4月8日金曜日

踊るカディロフ 制圧地域のそんな場所で戦ってるのかい?

 
 チェチェンの支配者カディロフ首長の親衛隊カディロフ部隊。残忍さや拷問、人身売買などで悪名高い部隊である一方、働いてますよアピールでやたら動画投稿することで有名。
 
 4月5日に投稿されたのは住宅街から機関銃を撃ちまくった後、踊って決めポーズを取るおちゃめな姿。



 しかし、楽しそうなご本人たちには悪いが、注目すべきは背景であった、背景こそが場所の同定につながる情報であり、場所の同定は前線の位置を教えてくれる。
 
 幸いにもこの動画、撮影者がぐるっと180度視界を動かしてくれているので、画面をつなぎ合わせることができた。
 
 できたのだが...
 



 
 ∧∧
(‥ )...どこだよここ
\−  
 
  (‥ )んー...東岸だってことは
      わかるけど
 
 画面をみると壁が黄色で二階建て、三角屋根をした建物が見えている。これはどうも集合住宅で、いわば長屋のようなものらしい。そしてやや郊外で見られる形式のものであった。例えば町の中央を流れるカルミウス川。その東岸にこういう長屋がある。ついでにいうと最近のカディロフ部隊の投稿は東岸地区だから、以上も東岸地区で撮影されたと考えるのが妥当。
 
 ∧∧
(‥ )これらの集合住宅も
\−  市街戦における
    防御壁として
    使われることを
    想定してるよね
 
  (‥ )大通り沿いに
      並んで壁になったり
      あるいは
      長方形に並べて
      陣地として使える
      街区や区画を作ったりな
      明らかそういう作りだな
 
 旧ソ連邦の都市ではよく見かける構造だ。実際、マリウポリにも建築物の長方形配置はいくつもある。ただし、そのほとんどはもっと高層の集合住宅だ。
 
 実のところ、動画背景のように二階建て長屋形式で、なおかつ中央が広場になっている場所は多くない。

 それにも関わらず、この場所を見つけるのは難しかった。ひとつは画像が不明瞭であること。そしてもうひとつは画像の解釈を色々と勘違いしていたこと。
 
 そしてなによりもうひとつは...
 
 ∧∧
(‥ )ここ....ですかね?
\−  かなり意外なことに
    マリウポリの東岸市街
    住宅密集地のほぼ中央だ
 
  (‥ )いやはやこれは
      驚いたな
 

 
 なにが驚いたって、ここはロシア軍の地図ではとっくに制圧された場所であったから。しかもカディロフ部隊が発砲している方角は東(画面右)であって、つまりはロシア軍制圧地域の奥側である。
 
 同定に間違いがあるんじゃないか? と思って何度も確かめたけども、多分、本当にここで良い。



 
 この画面の地図は実際の方角を90度倒して、右側を北にしている。道路の左突き当たりの建物が、その部分で張り出して三角屋根を作ること。画面左奥の建物が、これもどうやら張り出しを持っているらしいこと。画面右奥の建物が、どうも凸型の輪郭をしているように見えること。画面右、撮影者背後の建物に小さな長方形の軒先があること。さらに背後の建物の左右が舗装されておらず、土になっていること。見れば見るほど、ここで良いらしいことがわかる。
 
 ∧∧
(‥ )いやしかし驚いた
\−  ウ軍は制圧地域の
    奥までやってきて
    攻撃しているし
    カディロフ部隊は
    出張ってきたウ軍の
    背後に回る感じで
    反撃しているってことに
    なるのだね
 
  (‥ )カディロフ部隊は
      やらせっぽい動画も
      投稿するから
      信用しすぎるのは
      危険なんだがな
      東岸市街地の
      露軍の攻撃方向って
      実際かなり
      ばらばらなのよね
 
 これはつまり、ウ軍は籠城した場所からあちこち出張って攻撃している、ということ。
 
 ∧∧
(‥ )市街戦って想像とは
\−  ずいぶん違うんだね
    細かな陣取り合戦かと
    思いきや
    あっち出かけたり
    こっちで反撃したり
    迎撃したり
    牽制したりするのだね
 
  (‥ )なんか塹壕戦みたいな
      ものを想像していたけど
      もっと動きが
      あるものなんだな
 
 
 まあ考えてみれば当然ではあった。もし制圧した一部屋一部屋に兵隊を配置できるなら、塹壕全てに兵隊を置いて、戦線が膠着したWW1と同じことになるであろう。
 
 しかし、現実には攻守共に人員に限りがある。そうであれば、双方ともに陣地を作ってそこから出動し、あちらを奪い、あるいは奪われ、こっちを攻撃して牽制し、こちらに出かけて嫌がらせをして帰っていく。そういうことが延々と続くことになるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )ウクライナ戦争全体だって
\−  あっちが出たり
    こっちが引っ込んだり
    こちらが包囲されて
    あちらが退いたりと
    色々、細々、
    動いているからね
 
  (‥ )市街戦とは
      こういうものかー
 
 迎撃するウクライナ軍も苦しい。しかしロシア軍もその損失は、どうやら甚大であるらしい。3月末までは40代ぐらいのプロの兵隊が動画に出ていたが、4月に入って負傷兵やぎこちない新兵たちが登場するようになった。増援と言えば聞こえは良いが、使い捨ての駒のように使われることは必至だ。
 
 何千、何万という市民を無残に殺して侵略しながら、しかしロシア兵自身も要塞都市の中で容赦無くすりつぶされて死んでいく。これが市街戦。
 

 

2022年4月5日火曜日

マリウポリ 東岸進捗なし 西岸進捗あり

 
  
 激戦続くマリウポリ。3月27日に投稿された、露軍カディロフ部隊が旗を掲げた場所。この場所は都市の真ん中を通る川の東岸の地区で、住宅街を南北に貫き、海岸へ抜ける大通りの行き止まり。ここから先は台地から海岸へ降りる坂になる。
 

 
 さてもさても、わざわざ旗を掲げる動画を撮影できるぐらいだ。この時点では露軍にとって安全な場所であったのだろう。当然、露軍の地図では制圧済みとなった地区であったが、4月2日の動画では、戦車がアパートを砲撃する場所になっていた。


 
 ∧∧
(‥ )制圧失敗しとるがな
\−
 
  (‥ )まあほとんど
      ゲリラ戦だからね
      ウクライナ軍は
      拠点から出張って
      攻撃だって
      するだろうしねえ
 
 とはいえ、実のところマリウポリの東岸は、露軍の地図とは裏腹に、街区の3分の1ぐらいは制圧できておらず、戦闘が続いている。
 
 4月4日に投稿された画像も、カメラが撮影している場所と向きからすると東岸地区で激しい戦いが続いていることを示していた。



 この画像、実はロシア軍優勢を伝えるものなのだが、実際には制圧したはずの地域で起きている戦闘を伝えているわけなので、馬鹿じゃねえの? という画像。
 
 
 ともあれ、以上を踏まえてマリウポリの戦況を図示すると、以下のようになる。町の東岸はほとんど膠着状態で、露軍は少なくとも目立った前進をしていない。
 




 ∧∧
(‥ )進展があったのは
\−  西岸地区ですかね
    4月3日の衛星画像と
    戦火の分布からすると
    露軍は中心街から南へ拡大
    台地の上はほぼ制圧した
    ように見えるね
 
  (‥ )さらに
      戦火の分布からすると
      西の方で戦いが
      起こっているように
      見えるんだよね
 
 マリウポリは河川の侵食で周囲を削られて作られた台地状の地形で、さらに西部には、これまた侵食による谷間が堀のように南北に伸びている。
 
 そして、露軍が占拠したらしい市庁舎南の台地は、周囲よりやや低かった。つまりウクライナ軍はまだ高い位置を占めている。

 もちろん露軍がすでに占拠した大通りならウクライナ守備隊と高さが同じか、むしろ高くて優位。しかしその方向からウクライナのいる場所に露軍が近づこうとすると、そこには壁になるアパート群や、さらに微小な侵食谷などがあった。
 
 以上を踏まえると、守備側はまだなお、守りに優位な領域を占めている。
 
 ∧∧
(‥ )露軍はあれだね
\−  堀になる西の谷を避けて
    さらに西から
    海岸に降りて
    そこから海岸沿いに
    東へ移動
    守備側を下から
    包囲する気かな?
 
  (‥ )軍事的に意味があるかは
      知らないけど
      少なくとも
      守備側の手数を
      引き付けられるから
      良い作戦かもね
 
 守備隊の大通り側が手薄になれば、露軍はうまくすれば占拠した大通りから、壁になるアパート群を抜いて攻撃することすらできるかもしれない。そんなことができる重火器やら戦車やらが残っていればだけども。
 
 ∧∧
(‥ )動画を見るに
\−  露軍は戦車や
    装甲兵員輸送車や
    歩兵戦闘車をまだ
    残しているけど
    突破できるほどの
    数を残しているか
    よくわからないよね
 
  (‥ )さらに歩兵もな
      なんか西側諸国では
      考えられない戦法を
      露軍は使っていて
      歩兵がすごい勢いで
      死んでるみたいだし
      露軍もつらいみたいね
 
 *西側では考えられない戦法:twitter上の証言として出てきたマリウポリにおける露軍のやりかた。戦車に50名あまりの歩兵を随員させ、ウクライナ軍の陣地へ接近する。そうして取り付いて(ここで座標を確定でもするのか)、次に後方の砲兵が砲弾を撃ち込んでウクライナ守備軍の陣地を撃破する。ただしこの過程で露軍は相当量の歩兵を失い、場合によると半分が戦死する。
 
 **カディロフ部隊の戦死者にジャガイモと玉ねぎ、米とオリーブ油が見舞いとして支給されたという(西側の人間にとっては)衝撃的なニュースがあった。従軍した息子が具材になって帰ってきた! と揶揄されたトンデモな処置だが、注目すべきは並んだ具材の数からすると100名以上が戦死しているという事実であった。1ヶ月の戦争の累計なのか? それともこれはマリウポリだけでの出来事か? カディロフ部隊は偉い人が登場するやらせ動画が多い一方で、激しい銃撃戦や負傷者の動画も少しある(そこには偉い人が登場しなかったりする)。もしかしたら下っ端が市街戦における使い捨ての駒としてバンバン死んでいる結果なのかもしれない。
 
 
 さて、後、どういうわけか、人工衛星の画像を見ると、4月3日、マリウポリ市外にある空港で複数の火災が起きていることがわかるのだが...
 
 ∧∧
(‥ )ウクライナ軍の攻撃ですか?
\−  ここまで届くの?
 
  (‥ )どうだか知らんけど
      じりじりウクライナ軍が
      マリウポリに
      近づいているのは
      事実らしいのよ
 
 ∧∧
(‥ )...これさ
\−  ロシア軍絶望的じゃね?
 
  (‥ )ウクライナ軍が
      接近してくるのなら
      守備側を撃破しても
      根本的な解決には
      ならんからな
      絶望的だよね
 
 
 露軍がこれからわずか一週間でウクライナ守備隊を撃破したとしても、肝心な自分たちの補給や援軍は来るであろうか? こなかったら今度は自分たちがボロボロのまま籠城する羽目になる。
 
 そしてそもそも一週間でウクライナ守備隊を撃破できるであろうか?
 
 ∧∧
( ‥)無理だろ
 
  (‥ )だよなあ
 
 
 もちろん、一週間で撃破できなくても良いのだろう。ウクライナの援軍だって一週間ではマリウポリにまで来ないであろうから。
 
 しかし、1ヶ月かかっても落とせなかったら? 1ヶ月という見込みすらいまや楽観的と思えるが、しかし、1ヶ月もあればウクライナ軍はマリウポリに到着するのではないか?
 
 
 ∧∧
(‥ )ロシア軍絶望的だな
\−
 
  (‥ )ロシア軍本部だって
      馬鹿じゃないから
      いろいろと援軍を
      送っているみたいで
      あるけどね
 
  
 しかし、状況が劇的に改善したようには見えないのである。一部の話では、マリウポリの露軍に届いた装備は使い物にならなかったそうだ。
 
 ∧∧
(‥ )ロシアは経済制裁で
\−  自国の武器生産すら
    滞っているみたいだしな
 
  (‥ )だっはははははは
      経済制裁って
      こわいよねー
 
  
 

2022年4月1日金曜日

20220年3月31日のマリウポリ これが市街戦

 
 激戦続く南部の港町マリウポリ
 
 そこで活躍(?)しているのが、チェチェンのカディロフ部隊。
 
 ∧∧
(‥ )拷問、虐殺、誘拐
\−  児童などの人身売買...
    そういう
    悪逆な部隊という
    評価の一方で
    なんかいい加減で
    お茶目さんなところが
    あるんだよね 
 
  (‥ )頑張ってるところを
      みせたくて
      なんにもない場所に
      銃を撃って
      いさましく
      TikTokに投稿したり
      なんか妙に張り切って
      地図を広げて
      作戦会議したりな
 
 一部からはTikTok軍隊とか、対戦車ミサイルを撃ってみました迷惑系youtuberなんて揶揄されるカディロフ部隊。しかし彼らの投稿画像に登場する地図を見ると、現状におけるロシア軍の縄張りが分かるというもの。

 29日のこういうものや....


  
 あるいは31日のこういうもの


 
 *ちなみに1枚目に写っているロシア軍の将校は19日に戦死したと伝えられたモルドヴィチェフ中将。チェチェンのカディロフ部隊は動画をアップする際、時や場所や時系列をかなりいい加減に扱っているように見える。要するに仕事がかなりてきとー。もしかしたら中将が戦死する前の画像をアップしているのかもしれないが、地図に描かれたロシア軍の縄張りは、29日当時までに伝えられた露軍の縄張りと確かに一致する。だからモルドヴィチェフ中将の戦死は誤りだったのだろう。
 
 **なお、戦死したと伝えられる他の将校で、モルドヴィチェフ中将のように生存を裏付ける画像が出た人はいない。要するに他の将軍、将官たちはやはり戦死したらしい。
 
 
 ともあれ、以上を踏まえて30日前後におけるロシア軍の縄張りを推論すると、こうなりそうであった。



  
 ∧∧
(‥ )町の西から市中央に突入
\−  同時に町の東部から西へ進み
    中央の橋を取って
    東西をつなげようと
    しているのだろうね
 
  (‥ )ただどうも
      ここから進めなくなって
      いるように見えるな
      図における黒枠に囲まれた
      黄色い点は衛星写真から見た
      戦火の場所なんだが...
  
 戦火があることは制圧を意味しなかった。戦火とは攻撃しているわけで、つまり、そこにはウクライナ軍がいる。
 
 西から突入したロシア軍は市の大通りに沿って、中央まで突き進んで市庁舎を取った。しかし、そのまま橋へはいかず、大通りの南側にこもるウクライナ軍に攻撃しているらしい。これも戦火からうかがえる。
 
 反対に町の東側では奇妙に真ん中が開くように露軍の縄張りが広がっていて、陣取るウクライナ軍を包囲しているように見える。
 

 ∧∧
(‥ )橋を取ろうと前進して
\−  残っている敵に
    後ろを塞がれたら
    いやだもんね
  
  (‥ )がむしゃらに突き進んで
      市庁舎を確保
      次は後ろの憂いを
      なくすために
      周囲の掃討戦を
      しているのかな?
 
 しかし一方、それは本格的な市街戦の始まりを意味していた。実際、ここ数日になって激しい銃撃や砲撃の画像が出回り始めている。幾つかは場所の特定が難しいが、次のように特定できるものもある。
 
 これは31日、戦闘車両(T-72 ?)で住宅を砲撃する動画。ここは町の東側の住宅街であった。


 
 これは31日に通りを移動する戦闘車両。周囲の状況からすると、これも町の東で、Pashkovskoho通りを通っている。


 
 いずれも29日に衛星から戦火が確認できた場所で、マリウポリ(Mariupol)の地図に重ねるとこうなる。



 
 2022月3月31日時点におけるロシア軍の縄張りは、以上のようなものであると思われた。そして29日に戦火が見えた場所で、31日になった今でも戦闘が継続されている画像が投稿されているのだから...
 
 ∧∧
(‥ )要するに目立つような
\−  進展はないってことだろ
 
  (‥ )進展自体は
     あるはずだけどな
     あそこの家を取った
     この部屋を取った
     この通りは制圧した
     そんな感じでな
 
 実際、Pashkovskoho通りを抜けていく戦闘車両のロシア兵たちは頭を出している。つまりこの通りの安全は31日には確保されているわけで、通り一つ分ぐらいは前進できたことを意味しているだろう。
 
 かように進展自体は確かにある。しかし、それはわずかの累積で、目に見えるような進展になるまでにたくさんの時間と犠牲を必要とした。そして、あまりに時間がかかると攻める側が逆包囲されて全滅することすらある。それが分かっているから断固として攻め落とそうとするロシア軍。それが分かっているから奮戦するウクライナ軍。これが市街戦。
 
 
 

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